介護にまつわる疾患と医療措置|介護に備えるために知っておくべきこと

疾患によって突然、介護が必要になってしまう場合は往々にしてあります。またその場合は介護する側としても医療的なケアが必要になり、適した処置をしなければ大きな事故につながってしまう恐れもあるのです。特に高齢期に差し掛かってくると、急性の疾患によって要介護状態になることもあります。そこで今回は介護につながりやすい疾患と、その医療措置について詳しくご紹介します。

介護にまつわる疾患と医療措置|介護に備えるために知っておくべきこと
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

疾患と医療的な措置を知っておくことでスムーズに介護に入れる

人は高齢になると疾患にかかりやすくなります。また怪我するリスクも増えてしまいます。しかも若いころとは違って、すぐには回復しません。長く不安定な時期を過ごしてしまう可能性もあります。

このように急な疾患やケガによって、高齢の方の介護は急に訪れることもあるのです。あらかじめ介護につながりやすい疾患の情報を頭に入れておくことで、介護に対しての準備ができます。また、もし持病をお持ちの方でしたら「いつか自分は介護を受けなければいけない」と自覚できるでしょう。

医療措置についても同様です。介護施設を探す際に病気があったり、専門的な医療措置が必要になったりすると、入居できる施設が限られてしまいます。なぜなら処置ができる医師や看護師がいないと、いざという際に対処できないからです。だからこそ、家族に要介護状態の人がいる場合は、必ず医療的なケアについての知識を持っておきましょう。

介護が必要になる可能性が高い疾患や怪我

では介護にまつわる疾患について説明をします。「どんな症状なのか」「完治はするのか」「またどれほどの期間が必要なのか」を知りましょう。

高齢者の骨折で歩行が困難になることも

高齢者の場合は少しの段差ですら、転倒の可能性があります。転倒をしてしまうと、大腿骨が骨折して車椅子での生活を余儀なくされる可能性もあります。また、手で体を支える際に鎖骨を骨折してしまうケースもあるのです。骨折によって自分ひとりで生活ができなくなると、介護施設や訪問サービスなどを利用する必要も出てくるのです。

脳梗塞の予防のために生活習慣用を予防する

脳梗塞は脳卒中に含まれる疾患です。脳卒中はあらゆる疾患のなかでも特に介護につながりやすいのが特徴になります。生活習慣が大きく関わっている疾患なので、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの数値を普段から観察しておくことが予防につながります。

床ずれからウイルスが入ってしまう可能性も

床ずれは専門的な呼称では「褥瘡(じょくそう)」といいます。寝たきりの状態になってしまった方は自分で寝返りをうてません。その結果、床ずれが起きてしまうのです。床ずれになってしまった部分からウイルスが入ってしまうと二次的な疾患にもつながります。介護施設を利用することで、職員が床ずれの予防をしてくれます。

パーキンソン病は認知症にもつながりやすい

パーキンソン病は重大な脳の疾患です。かかってしまうと、手足がうまく動かせなくなったり、言葉が出てこなくなったりします。またパーキンソン病は認知症につながる可能性が高いのが特徴です。

高齢者の喘息は肺炎につながることも

高齢者の喘息は心臓病や肺炎などの大きな疾患にもつながる可能性があります。喘息で年間800人以上の方がなくなっており、その8割が高齢者です。介護施設に依頼することも考えましょう。

ALSは全身の筋肉が動かなくなってしまう疾患

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は全身の筋肉が動かなくなってしまい、寝たきり状態になってしまう疾患です。だんだんと症状が進行してしまい、介護が必要な状況になってしまいます。

嚥下障害でウイルスに感染する可能性も

「嚥下」とはものを飲み込むときの運動を指す言葉です。嚥下障害とはその名の通り、嚥下がうまくできなくなってしまった状態になります。嚥下障害の場合はものを飲み込めず、飲料などが肺に入ってしまうことがあります。そこからウイルスに感染し肺炎になってしまう可能性もあり、命にも関わる症状です。

【疾患ではない】フレイルによって怪我や疾患の状態になりやすくなる

フレイルは疾患ではありません。直訳すると「虚弱」といわれる状態です。高齢になると食事の量が少なくなりますし、運動をする機会も減少してしまいます。するとだんだんと筋肉量が落ちてしまうのです。フレイルになると、怪我をしやすくなったり、免疫力が低下したりとさまざまな弊害がありますので、注意が必要になります。

【疾患ではない】冬場のヒートショックに要注意

ヒートショックは気温の変化によって血圧が乱高下することを指します。急に血流が良くなり血栓が脳に詰まってしまい、脳梗塞を引き起こす可能性も有るのが特徴です。特に冬場の入浴には注意しなければいけません。寒い脱衣所から突然厚いお風呂に浸かることでヒートショックが起きてしまう可能性もあります。

【疾患ではない】廃用症候群の予防で退院後に備える

怪我や疾患の治療によって安静期間が長引いてしまい、身体機能が低下することを廃用症候群といいます。寝たきりの介護状態が続くと、廃用症候群になってしまう場合があります。家族がマッサージなどをしてしっかりサポートしてあげることが重要です。

【疾患ではない】ロコモティブシンドロームは立座・歩行動作が衰えてしまうこと

ロコモティブシンドロームとは現代病の一種のようなものです。エレベーターや車、飛行機など、動かなくても移動できる機会が増えた結果、私たちの運動機能は低下している可能性があります。その結果、歩く・立つなどの機能が衰えてしまった状態をロコモティブシンドロームというのです。

慢性硬膜下血腫は認知機能低下などにつながる

ちょっとした頭の打撲によって血腫ができてしまい、頭痛や物忘れ、認知機能の低下などを引き起こすのが慢性硬膜下血腫です。歩行障害などの症状を発生することもあり、場合によっては介護施設に入りながら治療をする必要もあります。

中心性脊髄損傷は骨折でなくとも気をつけるべき

一般的に脊髄損傷は骨折によって起こってしまうものです。しかし年を重ねると骨折をしなくても、脊柱管が狭くなることで「頚椎性脊髄症」という疾患にかかってしまうことがあります。そのうえで転倒などをすると、中枢神経が傷つけられ、運動麻痺症状が出ることがあるのです。この状態を「中心性脊髄損傷」といい、介護が必要になります。

気管支炎は肺炎などの重大な疾患につながりやすい

気管支炎もまた喘息と同じく、大きな疾患につながってしまう可能性があります。炎症が広がってしまうと肺炎などを引き起こし、気づけば呼吸がしにくくなってしまうのです。病院で診療をしてもらうだけで治る場合もありますが、心配な場合は介護施設を利用するのも選択肢に入ります。

必要な医療措置を知ると、適した介護施設を探しやすくなる

続いて介護になった際に必要な医療措置について紹介します。ご家族の方は介護者にとってどんな医療的ケアが求められているのかを知っておきましょう。すると介護施設を選ぶ際の指標になります。

胃ろうは胃から直接栄養を摂取すること

身体機能が下がってしまうことで経口での食事ができなくなる可能性もあります。その際にお腹に小さな穴を開けて、胃から直接栄養を摂取することを「胃ろう」といいます。胃ろうの状態である場合は、対応可能な施設を探す必要がありますのでご注意ください。

ストーマは人工的に取り付ける膀胱や肛門のこと

消化器や泌尿器などを手術で取り除いた際に人工的に取り付けた膀胱や肛門などをストーマといいます。ストーマを装着している場合は交換や清掃などが必要です。経験を持った介護士が常駐している施設を探さなくてはいけません。

透析は老廃物を排出する際に使う

腎臓の機能が下がってしまうと、老廃物などを排出する機能が失われていきます。そこで必要になるのが人工透析です。なかでも最も頻繁に用いられるのが「血液透析」になります。血液に混ざった老廃物を取り除き、また戻す処置をする医療措置です。

インシュリン投与で血糖値を下げる

糖尿病になると、血糖値を下げるためにインシュリンを注射で投与する必要があります。インスリンの投与によって血糖値が下がるので、糖尿病が改善する可能性があるのです。糖尿病を始めとする生活習慣病は、重大な疾患につながる可能性もあり、介護にも大きく関わります。

中心静脈栄養は太い静脈から注射で栄養を摂ること

経口での食事ができなくなったり消化管に異常が起こったりすると、食事ではなく注射などで栄養を補給する「人工栄養法」が採用されることがあります。人工栄養法のなかでも静脈から栄養を取る手法を「経静脈栄養」といい、太い静脈から栄養を取る手法が「中心静脈栄養」です。

【医療措置ではない】バルーンカテーテルは医療措置の際に使う器具

バルーンカテーテルとは、医療措置のために用いられる管です。手術や治療にも用いられますが、介護では主に排尿のために使われます。バルーンカテーテルによる排尿介助も施設によっては対応できない場合がありますので、事前に調査が必要です。

【医療措置ではない】介護脱毛で身体介助に備える

介護脱毛とは医療的な措置ではありません。しかし介護をスムーズに進めるために重要なことです。介護の重度が重くなると、衣類の着脱や排泄介助などまでを介護者に任せなければいけません。その際に介護がしやすくなるよう、脱毛をする人が男女問わず増えています。

【医療措置ではない】ターミナルケアを選択して終末期を考える

ターミナルケアは終末期における介護のことであり、人生の最期の段階で受ける介護のことです。例えば終末期を迎える場所の希望や延命措置の希望などを事前にヒアリングし、その情報に基づき、医療措置を実施していきます。

【医療措置ではない】身体拘束はやむを得ず、要介護者の身体の自由を制限すること

身体拘束とは、認知症などによって暴力性が高まってしまった人を介護するための方法の1つです。以前はベッドなどに四肢を縛りつけることにより安全の確保をしていましたが、現在では、まれに身体拘束禁止の原則に基づき、医療的に必要かつご本人の同意の上で実施することがあります。

【医療措置ではない】延命治療は終末期に最期まで余命を延ばすために必要

医療措置によって死期を伸ばすことを延命治療といいます。治療によって身体的にも精神的にも苦痛が生じる可能性があるため、倫理的観点から常に議論されているのが特徴です。介護施設に入居される人のなかには「医療的なケアをせず、余生をのんびりと過ごしたい」と思っている人も多くいらっしゃいます。

疾患や医療的な措置を知ると、突然の介護に備えられる

冒頭で書いた通り、疾患やケガによって急に家族の介護が必要になる可能性があります。また専門的な医療措置をする際には入居できる介護施設が限られてしまう可能性があるでしょう。あらかじめ、疾患や医療的な措置を知っておくことで、いざという介護に備えられますので、ぜひ各記事をご覧ください。

この記事のまとめ

  • 疾患によって急に介護が必要になる場合がある
  • 疾患やケガ、医療的ケアを知っておくことで心の準備ができる
  • 医療措置によって入居できる介護施設は限られる

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