ストーマとは|パウチ(装具)の種類、ケアの方法、介護方法などを紹介

現在家族がストーマを導入している、もしくはこれからストーマを導入しようと考えている人の中には、そもそもストーマがどのようなものか、どんなケアが必要になってくるのか分からない人もいるでしょう。

そこで今回は、ストーマの特徴からパウチ(装具)の種類ケア方法などをご紹介していきます。また、今回はストーマを導入した人を介護していく際の方法についても分かりやすく解説いたします。ストーマのケアや介護について知りたい人はぜひご参考ください。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

ストーマとは?

ストーマとは、便や尿を排泄するための新しく設けた出口です。手術で腸や尿管の一部を体外へ引き出し、そこから排泄できるようにしています。いわゆる、人工肛門・人工膀胱がストーマにあたります。

もともとギリシャ語で「口」を意味するストーマは、赤色で梅干しのような見た目をしています。表面は粘膜なので常に湿っている状態です。ストーマは腸や尿管をお腹に引き出しているため、痛みがありそうに見えるかもしれませんが、実際は痛覚がないので触っても痛みを感じません。

ストーマの特徴は他にも、括約筋や膀胱を通さずに便や尿を排泄することになるため、便意を感じたり便を我慢したりできなくなってしまいます。そのため、自分のタイミングで排泄できず、常にパウチ(ストーマ装具)を身につける必要があります。

ストーマのイメージ図

ストーマの種類

ストーマは作られる位置の違いで名前が変わります。それぞれの種類で特徴も若干違ってくるので、どのような違いがあるのか把握しておきましょう。

コロストミー

コロストミーとは、結腸の一部をお腹に引き出して作るストーマです。小腸に一番近い「盲腸・上行結腸ストーマ」、横行結腸に取り付ける「横行結腸ストーマ」、脇腹に近い部分に設置される「下行結腸ストーマ」、股間に近い「S状結腸ストーマ」の4タイプに分かれます。

ストーマを取り付ける位置によって、便の固さが変わってきます。大腸では摂取した食べ物の栄養素や水分を吸収する場所です。盲腸・上行結腸ストーマを取り付けた場合、水分はまだ十分に吸収されていない状態なので水気を含む柔らかい便が排泄されます。

一方、S状結腸ストーマは肛門に近いS状結腸から排泄されるため、水分も十分に配給されているため普通の便とほとんど変わらない、固形に近い状態で排泄されます。コロストミーは一般的に、下行結腸ストーマかS状結腸ストーマが作られる場合が多いです。

イレオストミー

イレオストミーとは、回腸(小腸の一部)をお腹に引き出して作るストーマです。大腸や直腸などの切除術をした後に作られるケースも多く見られます。コロストミーはお腹の左側に作られることが多いですが、イレオストミーの場合は回腸に取り付けるためお腹の右側に作られます。

イレオストミーでは便の水分を吸収してくれる大腸を通る前に排泄されるので、便は液状で流れやすい特徴を持っています。また、小腸を通ってくる間に分泌された消化液も含んでおり、皮膚に付着すると短時間でも皮膚炎を起こす可能性があるので注意が必要です。

ウロストミー

ウロストミーは「尿路ストーマ」とも呼ばれており、尿が正常に排泄されない場合に作られるストーマです。通常、腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱へ移動します。膀胱内に尿が溜まってきたら尿道を通って体外へ排出される仕組みです。

膀胱や尿路に病気が発生し、うまく尿が排出できなくなると、尿路を変更してウロストミーを作る手術をします。ウロストミーには腎臓にカテーテルを取り付ける「腎瘻」や2本の尿管を引き出して作る「尿管皮膚瘻」、回腸の一部を導管としてつなげる「回腸導管」、膀胱にカテーテルを取り付ける「膀胱瘻」といった種類があります。

ウロストミーの場合も基本的に尿を貯蔵できません。排尿もコントロールできないのでウロストミー用の収尿袋が必要となります。

パウチ(装具)の種類

ストーマを作ると便や尿は自分の意思と関係なく排泄されてしまいます。そのため、ストーマに取り付けるパウチ(装具)についても知っておいたほうが良いでしょう。パウチはコロストミー・イレオストミー・ウロストミーによって種類が異なります。

コロストミー用ストーマ装具

手術でコロストミーを作った直後は透明の袋が装着されていますが、不透明のパウチを使っている人もいます。コロストミー用ストーマ装具には「単品系装具」「二品系装具」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

単品系装具はストーマ袋と面板が一つになっていて、皮膚に密着できるタイプです。面板をお腹に貼るだけで簡単に取り付けられます。また、短期間で交換できるように費用も安価です。

二品系装具はストーマ袋と面板が別々になっており、面板を貼り付けたままストーマ袋だけ交換可能です。ストーマ袋と面板は粘着テープ、もしくはプラスチック製によるかみ合わせで一体化させています。

二品系装具のメリットは、ライフスタイルに合わせてストーマ袋を使い分けられる点や入浴時に専用の入浴キャップに取り替えられる点が挙げられます。ただし、長期間の使用を視野に作られているため、単品系装具よりも高価です。

イレオストミー用ストーマ装具

イレオストミー用ストーマ装具も単品系装具と二品系装具から選べるようになっています。コロストミー用ストーマ装具との違いは、開放型が一般的に選ばれているということです。

ストーマ袋には「開放型」「閉鎖型」の2種類に分かれています。開放型は排出口が付けられており、閉鎖型には排出口がないためストーマ袋をそのまま捨てなくてはなりません。開放型にもマジックテープを折り返して開閉するタイプやキャップを使って開閉するタイプ、クリップで開閉するタイプがあります。コロストミーはマジックテープの開閉タイプが選ばれやすく、イレオストミーはキャップ式が選ばれやすいです。

ウロストミー用ストーマ装具

ウロストミー用ストーマ装具は上記2種類と同じく単品系装具と二品系装具があります。ウロストミー用のストーマ袋は排出口が付いている開放型であることがほとんどです。しかし、排出口の形状はキャップ式で開閉するタイプとコック式で開閉するタイプの2種類に分けられます。

さらに、ウロストミー用ストーマ装具には接続管も付属されます。接続管とは、ウロストミーと外出中や就寝時に使う外付けの畜尿袋「レッグバッグ」をつなげるために使われるアイテムです。接続管は各メーカーによって作りが異なり、互換性もないので現在使用しているストーマ装具に付属された接続管を使いましょう。

ストーマの交換について

ストーマ装具は清潔さを保つためにも定期的な交換が必要です。交換するタイミングは食前もしくは食間に行い、腸の働きが活発になる食後には行わないようにしています。

装具交換は基本的に看護師や介護職がしますが、保有者自身や家族が交換することも可能です。どのように交換すれば良いのか、今回はコロストミーを例に詳しく解説していきましょう。

1. 交換に必要なアイテムを準備する

装具を交換するときに、いくつか準備すべきものがあります。

準備するアイテム 使用理由
粘着剥離剤 貼り付けている面板をはがすときに使用
ノギス ストーマの径と高さを計測するために使用
ストーマゲージ ストーマのサイズを測って面板に穴を開けるために使用
はさみ 面板に穴を開けるときに使用
洗浄剤、洗面器 ストーマ周囲の皮膚を洗うときに使用
ビニール袋 使い終わった装具を処理するために使用
手袋 使い終わった装具を処理するために使用
ガーゼや不織布など 洗浄後の皮膚を拭いたり、交換時に排泄物が出てくるのでストーマを塞いで抑えたりするために使用(ウロストミーにはロールガーゼがおすすめ)
交換用装具 ストーマを交換するために使用

2. 装具をはがす

皮膚を傷付けないように優しく剥がしていきます。装具がなかなか剥がれなかったら専用の粘着剥離剤を使用しましょう。

3. はがした面板の裏や皮膚を観察する

面板を剥がしたらストーマに傷はないか、周辺の皮膚がかぶれていないかを確認します。さらに面板の裏を見て、皮膚保護剤は溶け具合やどれくらい膨潤しているかを確認しましょう。

溶け具合や膨潤に偏りがある場合、面板がうまく貼れていなかった可能性が高いです。排泄物が漏れたりかぶれの原因にもなったりするので注意しましょう。

4. ストーマ周辺の皮膚を洗浄する

まずはストーマと周辺の皮膚に付着している便をティッシュなどで綺麗に拭き取り、洗浄剤とぬるま湯を使って周辺の皮膚を洗っていきます。あらかじめ洗面器にぬるま湯を張っておくと良いでしょう。

皮膚を洗うときはストーマをガーゼなどで押さえながら洗っていきます。この時、皮膚を傷付けないように擦りすぎには注意してください。洗ったらガーゼやタオルで水気を拭き取ります。

体毛が長くなっていたら、はさみもしくは女性用の電動シェーバーを使ってストーマを傷付けないように注意しながらカットしてください。ただし、かみそりを使うのは非常に危険なので使わないようにしましょう。

5. ストーマの大きさを測る

ノギスを使って径と高さを測り、そのサイズに合わせて面板をカットしていきます。また、ノギスがない場合でもストーマゲージと呼ばれるサイズを簡単に測れるものもあるので、活用していきましょう。

ストーマの大きさを測ったら1~2mm程度大きめに取って面板に穴を開けていきます。穴が開いたらストーマが傷付かないよう、はさみで切ったところを指で擦っておきましょう。

6. サイズを確認したら、面板を貼り付ける

穴を開けた面板をストーマに合わせ、ちゃんと適切かどうかチェックします。もし大丈夫なら面板の裏にくっついている剥離紙を剥がして面板を貼り付けましょう。

面板を貼り付けるとき、お腹のシワは伸ばします。ストーマに近い部分からしっかりと抑えていき、そこから外周に向かって貼り付けていきます。皮膚保護剤が馴染むまで面板を軽く押さえておき、しばらく安静にしましょう。

介護時のストーマ管理

ストーマは自分でも管理することは可能ですが、場合によっては家族からの協力が必須となります。介護時、家族がストーマ管理をする場合はどのような点に注意しなくてはならないのでしょうか? ここからは、介護時のストーマ管理についてご紹介します。

高齢者が自分でストーマ管理する際の問題点

高齢者が自分でストーマ管理する場合、さまざまな問題点が挙げられます。

  • 体や心の変化による影響
  • 皮膚の変化による影響
  • 体型の変化による影響
  • 社会環境による影響

高齢者は若いときと比べて身体機能の変化が大きく見られるようになります。例えば視力の低下や痛覚・温度など感覚の鈍化、記憶力や判断力の低下などです。

さらに、認知症を発症する可能性もあります。こうした体と心の変化による影響でストーマ管理がうまくできない場合もあるのです。

皮膚の変化による影響では、皮下脂肪の減少や毛細血管の脆弱化などから皮膚障害が起こりやすく、かつ治りにくい状況になってしまいます。ストーマは清潔さを常に保ちながら管理しないとかぶれなどの皮膚障害をもたらしてしまうので注意が必要です。

体型の変化とストーマは一見関係ないように思えるかもしれませんが、肥満やヘルニアからストーマの周囲が突出してきたり、逆に痩せてストーマの周辺皮膚に細かいシワやたるみが出てきたりします。このような体型の変化は装具の密着度を低下させ、排泄物の漏れにつながってしまうでしょう。

社会環境による影響は、独居の高齢者や老々介護でどちらも高齢者である場合に起こりやすいです。経済的に厳しい状況でストーマ装具の交換を故意にずらしたり、看護師や介護職に依存することでケアレベルが低下したりする問題も見られます。

高齢者のストーマ管理における問題解決を目指すためには、ストーマ外来などの専門医と連携を図り、社会サービスの活用も考えながらケアプランを作成する必要があるでしょう。

認知症の高齢者のストーマ管理を実践するときは

高齢者のストーマ管理において、認知症は特に大きな影響をもたらします。認知症であると装具を付けていることに違和感を覚えて剥がしてしまったり、溜まった便をトイレでなく別の場所に廃棄したり、ストーマを弄ってしまったりする恐れがあります。

認知症で表れる症状は人によって異なりますが、例えば見当識障害だと交換する手順が分からなくなってしまうため、家族や看護師、介護職などの他者が交換をサポートする必要があるでしょう。また、理解力や判断力の低下によってコミュニケーションが困難になってくると、ストーマ管理自体も難しくなる可能性があります。

認知症の高齢者にストーマ管理を実施する場合、家族だけで担うのは難しいことです。特に大切な家族だからと負担を背負ってしまうと、家族全員が肉体的にも精神的にも疲労してしまうでしょう。

訪問看護などの社会サービスを取り入れることも視野に入れてください。また、それでも在宅介護が難しいのであれば、介護施設への入居も検討してみましょう。施設によって受け入れ条件は異なりますが、中には認知症の人の受け入れに加え、ストーマ管理に対応している場合もあります。

ストーマに対応できる介護施設は以下から検索できます。
ストーマ・人工肛門に対応できる全国の施設一覧

ストーマケアは専門職の人と相談しながら利用しよう

今回はストーマについてご紹介してきました。ストーマは自分でも交換できるものですが、さまざまな影響から高齢者が1人でケア・管理をしていくのは難しい場合もあります。特に、認知症も併せて発症していると、家族にかかる負担はより大きなものになってくるでしょう。

ストーマケアは専門医や看護師、介護職、ケアマネジャーなどの専門職の人と相談しながら、ストーマ保有者や家族にとって一番の方法を見つけていくことが大切です。負担を軽減させるためにも、上手に訪問サービスや介護施設を利用すると良いでしょう。

この記事のまとめ

  • ストーマはお腹あたりに設置する、便や尿を排泄するための出口
  • ストーマは定期的に交換する必要があり、清潔さを保つことが大切
  • 保有者本人や家族の負担が大きくなり過ぎないように、看護・介護サービスを取り入れる