【2020年度版】介護保険料とは|いつからいつまで支払う? 額はいくら?

介護保険の仕組みをご存じですか?「介護保険料はいつからいつまで払えばいい?」「介護保険サービスは誰でも使えるの?」など、詳しくは分からないという方も多いでしょう。このページでは、介護保険制度介護保険料の仕組み、また保険料の払い方などについて、分かりやすく解説します。

更新日:
写真
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

介護保険はどういう仕組み?

介護保険とは、そもそもどのような仕組みなのでしょうか。

介護保険の目的は、介護を必要とする人やその家族の金銭的負担が軽くなるよう社会全体で支えることです。介護保険サービスの利用料の一部は、介護保険料と税金で補われます。この制度があることによって、介護保険サービスを利用したときの本人負担額は所得によって異なりますが1~3割まで抑えられているのです。介護保険を運営しているのは市町村と特別区、つまり各自治体です。

詳しい財源の内訳は次のようになっています。

介護保険の財源の内訳

50%は被保険者が支払う介護保険料でまかなわれています。25%は国が負担し、残りの25%は都道府県と市区町村で折半する仕組みです。

40歳以上の人は介護保険の「被保険者」となり、保険料の支払い義務が生じます。

年齢によって異なる2種類の被保険者区分

被保険者には、年齢によって「第1号被保険者」「第2号被保険者」の2種類があります。区分によって「介護保険サービスを利用できる条件」「介護保険料の納付の仕方」が異なりますので、自分や家族がどちらに当てはまるのかを理解しておくことが大切です。それでは、2つの違いを詳しく見ていきましょう。

65歳以上は「第1号被保険者」

被保険者のうち、65歳以上の人が「第1号被保険者」です。

65歳の誕生月になると「介護保険被保険者証」が交付されます。そのうえで要介護認定または要支援認定を受けた場合は、介護保険サービスが利用可能です。

なお、介護保険サービスを利用していても、保険料の納付義務はあります。65歳以上の人は必ず支払う必要がありますので、納付漏れがないよう気を付けましょう。

「第2号被保険者」は40歳から64歳まで

「第2号被保険者」に該当するのは、40歳から64歳までの公的医療保険加入者です。

公的医療保険について簡単に説明しましょう。日本では全ての国民が何らかの公的医療保険に加入するという「国民皆保険制度」があります。代表的なものは、会社員が勤務先を通じて加入する「健康保険」と、自営業などの人が自治体を通じて加入する「国民健康保険」の2種類です。公務員の「共済組合」や船員の「船員保険」などもありますが、仕組みは「健康保険」とおおむね共通しています。

また健康保険には、被保険者の収入で生活している家族が「被扶養者」として給付が受けられる制度がありますが、介護保険には「被扶養者」に相当する制度はありません。40歳から64歳までの一人ひとりが介護保険の被保険者となります。

第2号被保険者は、基本的に介護保険サービスを利用することができません。しかし、特定疾病に定められている16種類の病気が原因で要介護認定や要支援認定を受けた場合は、保険の対象となります。

第2号被保険者が介護保険対象となる特定疾病
  • 末期がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

万一、これらの病気以外で要介護認定を受けたとしても、介護保険は適用外となります。40歳から64歳の間は「要介護認定=介護保険サービスの利用対象」とはなりませんので、注意が必要です。

介護保険制度については、以下の記事で詳しく紹介しています。

【2020年版】専門家が介護保険制度のしくみと改正点を解説!

介護保険料を支払うのはいつからいつまでか

これまでに説明した通り、40歳以上の人は被保険者であり介護保険料を支払わなければなりません。それでは、保険料はいつからいつまで払えばいいのでしょうか。

介護保険料は「満40歳に達したときから生涯にわたって」払い続けます。「満40歳に達したとき」とは「40歳の誕生日の前日」のことです。つまり1日生まれの人は40歳の誕生日の前月から、それ以外の人は40歳の誕生月から徴収されます。

介護保険料 支払い開始月の例
誕生日 満40歳に達する日 支払い開始月
4月1日 3月31日 3月
4月2日 4月1日 4月
4月30日 4月29日 4月

介護保険には支払い満了日がなく、一生払い続ける必要があります。介護保険の目的は高齢者やその家族の負担を軽減することです。そのため39歳以下には納付義務がなく、直接的に介護に関わる可能性が高い40歳以上は保険料を納め続ける仕組みになっています。

介護保険料の金額

「生涯払い続ける」といわれるとなおさら、介護保険料の金額も気になるでしょう。

金額面でも、第1号か第2号かという被保険者区分が大きく関係しています。保険料の計算方法も支払い方も異なりますので、それぞれ整理していきましょう。

第2号被保険者の保険料の目安

まずは40歳から64歳の第2号被保険者の場合を見ていきましょう。

以下は、全国健康保険協会(協会けんぽ)/東京/令和2年4月分(5月納付分)からの介護保険料の一覧です。

全国健康保険協会「令和2年度保険料額表(令和2年4月分から)」 引用:全国健康保険協会「令和2年度保険料額表(令和2年4月分から)

会社員や公務員のように給料をもらっている人の介護保険料は、健康保険料や厚生年金保険料と同じく「標準報酬月額」「標準賞与額」をもとに計算されます。

介護保険料の計算方法
  • 1カ月当たりの介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率
  • 賞与時の介護保険料=標準賞与額×介護保険料率

「標準報酬月額」「標準賞与額」とは

「標準報酬月額」「標準賞与額」という言葉になじみのない人も多いでしょう。

標準報酬月額とは、4月から6月の報酬(毎月の給料など)を平均した月額を、標準報酬月額表の等級に照らし合わせて決めるものです。毎月の実際の報酬は、勤務時間や手当などによって変動します。金額が変わるたびに毎月の保険料に反映することは難しいため、平均的な金額に基づいて計算するという方法です。

基準となる標準報酬月額表は都道府県ごと、また所属する健康保険組合ごとにも異なるため、介護保険料の金額もそれぞれ違うものになります。

一方、標準賞与額はシンプルな考え方で、税引き前の賞与総額から千円未満を切り捨てたものです。そのため賞与にかかる介護保険料は、賞与総額の千円未満を切り捨てた数字に介護保険料率を掛けた金額となります。

ただし介護保険の保険料率は健康保険組合ごとに異なるため、詳細は所属している組合に確認をしてみてください。

介護保険料は健康保険料と一緒に「給与天引き」で納付

第2号被保険者で給料をもらっている場合、介護保険料は健康保険料と併せて徴収されます。健康保険料と同じく介護保険料も天引きされますので、特別な納付の手続きは必要ありません。

なお健康保険は職業によって「共済組合」「船員保険」など名称が異なりますが、給料をもらっている人は給与から天引きされるという仕組みは共通です。

自営業の場合は国民健康保険に上乗せ

続いて、給料をもらっていない場合の納付方法について説明しましょう。

自営業の場合も、健康保険料と併せて介護保険料を払うという基本的な考え方は同じです。自営業の人が加入しているのは「国民健康保険」ですので、国民健康保険料に介護保険料を上乗せして納付します。

専業主婦も保険料を支払う必要がある?

それでは、配偶者などの扶養に入っている人はどうでしょうか。専業主婦を例にとって解説しましょう。

まず、扶養者である夫が会社員や公務員である場合は、妻本人が介護保険料を直接払うことはありません。夫も40歳から64歳で第2号被保険者に当てはまるときは、夫1人分の保険料を払えばいいという考え方が一般的です。

しかし、夫が39歳以下、もしくは65歳以上であれば、所属する健康保険組合によっては「特定被保険者」として妻の保険料を支払わなければいけないこともあります。その場合は、夫の健康保険料に併せて天引きされます。

一方、夫が自営業の場合は妻の介護保険料も併せて夫の国民健康保険料に上乗せして支払う形になります。

40歳~64歳の被扶養者(専業主婦など)の介護保険料納付について
扶養者(夫など)の職業 扶養者(夫など)の年齢 介護保険料の納付方法
会社員・公務員など ~39歳 健康保険組合によっては支払い義務あり。夫の健康保険料に併せて天引きされる。
40歳~64歳 納付義務なし
65歳~ 健康保険組合によっては支払い義務あり。夫の健康保険料に併せて天引きされる。 ※夫は第1号被保険者となるため、別途納付する。
自営業 年齢問わず 夫の国民健康保険料に上乗せして納付する。

自治体によって異なる第1号被保険者の介護保険料

第1号被保険者、つまり65歳以上の人が納める介護保険料は、自治体ごとに決められています。

基準となるのは、介護保険の財源のうち第1号被保険者が負担すべき金額を、第1号被保険者の人数で割った金額です。しかし全員に同じ金額の納付を求めると、所得によっては大きな負担になりかねません。そのため、介護保険料は所得に応じて段階的に定められています。段階がいくつ設けられているかも自治体によって異なりますので、気になる人はぜひお住まいの自治体の情報を確認してください。

第1号被保険者の介護保険料の納付方法は、公的年金から天引きされる「特別徴収」が基本です。年金が2カ月に1回給付される際に、併せて2カ月分の介護保険料が徴収されます。ただし、年金額が18万円未満の場合や年度の途中で65歳になった場合などは、納付書または口座振替で納める「普通徴収」となりますので、忘れないように気を付けましょう。

介護保険料の計算方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

介護保険料の納付額の計算方法や式について徹底解説

3年ごとに見直される介護保険制度

介護保険制度は、2000年に制定されてから3年ごとに見直されています。保険料の財源はもちろん、介護サービスの方針や介護ロボット普及に向けた施策など、介護全般のあり方を決定し、持続可能な制度を作るためです。

介護保険を運営する自治体も、介護保険制度の見直しに合わせて介護保険事業計画を策定し、3年ごとに見直しを実施しています。3年間の計画を通じて財政の均衡を保てるよう、必要な費用や介護保険料率を決定しているのです。

また、介護保険料は「単年度で収支が均衡するように保険者が定めること」と決められています。つまり保険料率は見直し後の3年間は一定というわけではなく、毎年の収支に合わせて変わる可能性があるということです。実際に、全国健康保険協会に加入している第2号被保険者の介護保険料率は、急速に進む高齢化などの影響を受けて2020年3月分から0.06%上昇しています。

制度そのものの大きな見直しや改正は3年ごとですが、自分が払うべき介護保険料は毎年変動があります。65歳以上の第1号被保険者は自治体の、40歳~64歳の第2号被保険者は所属する健康保険組合の情報を確認するといいでしょう。

次の見直しは2021年 「2025年問題」に向けての動きに注目

2018年(平成30年)に実施された介護保険制度の改正では、それまで1割、もしくは2割だった介護サービス利用料の自己負担額が最大で3割になるなど、利用者にも大きく関わる点が変更されました。

介護保険制度の次回の見直しは2021年(令和3年)に予定されています。2025年には団塊世代が75歳以上となり、後期高齢者人口が約2,200万人にのぼる見込みです。それに伴い介護給付額は総額21兆円程度、介護保険料は全国平均で月額約8,200円になると推測されています。介護保険料の増額や介護保険サービスの不足など、一人ひとりの生活への影響も懸念されているのが現状です。

国民の負担増大が見込まれる「2025年問題」が迫るなか、2021年にはどのような改正がなされるのでしょうか。介護保険制度のこれからの動向にも注目です。

この記事のまとめ

  • 40歳以上の人は介護保険の「被保険者」となり、保険料の支払い義務が生じる
  • 給料をもらっている人の介護保険料は、「標準報酬月額」「標準賞与額」をもとに計算
  • 介護保険制度は、2000年に制定されてから3年ごとに見直されている