老人ホーム選び・手続きについて|入居までの流れ・契約手続きの書類などを紹介
自分自身や家族に介護が必要になった場合、老人ホームの入居を考える方も多いでしょう。しかしいざ、介護施設探しをはじめようとした際に、「どう選べばいいのか」「どんな手続きが必要なのか」と不安になることもあります。自身、もしくは家族の「終の棲家」になる場所ですので、慎重になるのは当然です。そのうえ,ほとんどの方にとって老人ホーム選びは人生で1回しかないことなので、分からない点も多くあります。
そこで「老人ホームの選び方」「入居の手続き」について紹介します。また入居時に必要になる手続きに関してもご紹介しましょう。これから施設を探す方は、ぜひ参考にしてみてください。
老人ホームの選び方
まずは老人ホームの選び方から紹介します。「老人ホーム」と一言でいっても種類はさまざまです。特徴、費用、入居条件などがそれぞれ違いますので、探す前に「自分が求めている条件・優先順位」を明らかにしておきましょう。
「施設側の入居条件」と「入居者側の希望条件」の考え方
では具体的に「どのような視点で優先順位をつけるべきか」を紹介します。老人ホームに入るためには、もちろん施設側が提示している入居条件を満たしておくことが必要です。主に以下の要素について把握をしておくといいでしょう。
老人ホームの入居条件
- 要介護度はいくつなのか
- 特別養護老人ホームは要介護3以上
- グループホームは要支援2以上、など
- 施設種別ごとの条件は満たしているか
- グループホームは施設と同じ市区町村に住民票がある認知症の方のみ
- 介護老人保健施設はリハビリによって回復が見込まれる方のみ、など
- 医療行為に対応できるのか
- ストーマ、胃ろうなどのケアが可能か
- 保証人不在・生活保護受給中などの状況に対応できるか
入居者側の希望条件
- 費用はいくらまで払えるのか
- 現地までのアクセスに希望はあるか
- 居室の広さはどれくらいがいいか
- 設備面(リハビリ、アクティビティなど)には何を重視しているか
- レクリエーション・イベントの頻度、内容にこだわりはあるか
- 食事にこだわりはあるか
- 介護士・看護師などの職員体制に希望はあるか
老人ホームによって費用・人員体制などが違います。まずは「本人の受け入れが可能なのか」を把握しておきましょう。そのうえで、入居者・家族としての希望条件を考えるのが、選び方のコツです。
「医療的ケアの必要性」を把握しておく
なかでも特に注意したいのが「医療的なケアができるか」という点です。医療行為の内容によっては、入居が難しいホームもあります。そのため本人の身体状況を把握し「どんな対処が必要なのか」を自覚しておきましょう。
身体状況を確認するうえで「〇〇の病状があるから、いつ△△のケアが必要である」と考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、認知症を患っている糖尿病患者であり、朝昼晩の食事前にインスリン注射が必要としましょう。すると「朝食前に看護師常駐しているホーム=24時間看護師常駐のホーム」と判断できます。
対象者の身体状況や症状を把握したうえで老人ホームを探すことが重要です。
資金計画を立て費用を準備しておく
また「費用面」も注意したいポイントです。老人ホームの費用には主に「入居費用」と「月額費用」の2種類があります。
入居費用とは、入居時に支払う「入居一時金」「敷金・礼金」です。月額で支払う「家賃」「管理費」「共益費」「食費」などを月額費用といいます。
「入居時は払えていたが、だんだんと支払いが滞るようになってしまった」という事態を避けるためにも、老人ホーム費用の資金計画を立てておきましょう。未払いが続くと、契約違反となりゆくゆくは退去しなければいけません。
基本的に老人ホームの費用は入居者の貯金・年金から支払うのが通常です。また費用を軽減するための制度もあります。事前に入居費用をどう捻出するのか、またいくらまでなら継続的に支払えるのかを把握しておきましょう。
保証人不要の老人ホーム
また多くの老人ホームでは、万が一入居費用が払えなくなった場合に備えて、保証人が必要となります。しかし高齢になってくると保証人がいない可能性もあるでしょう。
その場合は「保証人不要」の老人ホームを探す必要があります。しかし入居可の施設が絞られてしまうので成年後見人や保証会社などを利用して保証人を確保する、という手段もあります。
老人ホームを探す際の相談先
費用、場所、条件などの希望条件が固まってきたら、実際に老人ホームを探しはじめましょう。老人ホームを探す際の相談先には以下の種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、事前に確認したうえで相談しましょう。
老人ホームを探す際の相談先
- 地域包括支援センター
- 高齢者総合相談センター・福祉事務所
- 居宅介護支援事業所のケアマネジャー
- 対面式(オフライン)の紹介センター
- インターネット(オンライン)でやりとりする紹介サービス
地域包括支援センターや高齢者総合相談センター、福祉事務所に相談をした場合は、施設内で勤務しているケアマネジャーが対応するか、紹介センターに行くよう指示をされるケースが多いです。居宅介護支援事業所のケアマネジャーに直接相談をするケースもあります。
また実際に店舗を構えて老人ホームを紹介する紹介センターや、介護のほんねのようにインターネットを使った紹介サービスもあります。
候補が決まったら見学をする
実際に候補の施設が絞れたら、見学することをおすすめします。候補が複数施設ある場合、見学が決め手になることがほとんどです。実際に施設内部を確認することで施設内の雰囲気を知ることができますし、時間帯によっては食事もできます。
老人ホームの見学前に知っておきたいこと
まずは「施設見学前に知っておきたい豆知識」から紹介しましょう。細かい部分ですが、多くの方が疑問に思っている部分でもあります。
施設見学に着ていく服装に決まりはある?
施設の見学の際に着ていく服装に規定はないので、スーツなどをフォーマルな服装を着ていく必要はありません。移動しやすいかカジュアルな服装でいいでしょう。
ただし、老人ホームは共同生活をする場所です。あまりにだらしない格好をすると、施設側から敬遠される可能性もありますので、清潔感ある身なりで見学にいきましょう。
施設見学のベストな時間帯は?
老人ホームでは施設ごとに1日のスケジュールが組まれています。第一希望のホームは「昼食」と「レクリエーション」の時間を聞いておくといいでしょう。
昼食の時間帯に訪問をすることで、実際に試食できることもあります。またレクリエーションは、入居者が最も居室外に出ている時間帯です。施設内の雰囲気をつかみやすいといえます。
老人ホームに駐車場はある?
車で施設へ向かう方は、駐車場の有無を確認しておきましょう。老人ホームによっての駐車場の有無は違います。ある程度、規模の大きい老人ホームであればほとんどが駐車場を備えていますが、小さめの施設になると無いのが実情です。
もし駐車場を備えていない場合は、近くのコインパーキングの場所も聞いておくことをおすすめします。
コロナ禍での施設見学で気をつけることは?
新型コロナウイルスの拡大によって介護施設によっては、見学時のルールが異なります。「応接間しか見学ができない」「オンライン見学のみ見学できる」「一時的に見学お断り」など、施設によって対応がさまざまです。
見学できる際は、自身の体調を加味して見学に挑みましょう。少しでも「体調が悪い」「熱っぽい」と感じた場合は、キャンセルをしてください。
各ホームも感染予防対策として、国の指針に従い除菌・消毒・換気を徹底しています。
ただし「居室や食堂には入れない」など条件付きの可能性も高いです。「居室がわかる写真や動画をもらう」など、気になることはお願いしてみましょう。以下の記事では新型コロナウイルス下における見学の心得を、より詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
施設見学の際に予約は必要か?
約束をせずに施設に出向いた場合、案内係である生活指導員や施設長の時間が空いていた場合はそのまま見学ができるかもしれません。
しかし案内役がいなかった場合は、日を改めることになる可能性もあります。必ず事前に予約をしておきましょう。
施設見学って何時間かかる?
施設見学は1施設あたり1~2時間ほどかかります。食事をした場合だと、さらに長くなるかもしれません。「2時間ほどで済むなら」と1日でいくつも施設を回りたくなるでしょう。
しかし施設見学は館内を歩き回るうえに説明も聞く必要がありますので、かなり体力を使います。1日に回る施設は2~3程度にしておくことがおすすめです。
実際に見学をする際の15のチェックポイント
見学前に知っておくべきことを把握したら、実際に見学をしましょう。老人ホームの見学は入居を判断するうえで重要なことです。あらかじめ「チェックすべきポイント」を整理したうえで臨むことをおすすめします。
「体験してチェックするポイント」と「担当者に質問すべきポイント」の2つに分けて紹介しましょう。それぞれのチェックポイントは以下のとおりです。
体験してチェックすべき8つのポイント
- 施設スタッフの対応は丁寧か
- 居室の広さや安全への配慮はあるか
- 共有スペースは賑にぎわっているか
- 食事が口に合うか
- 施設スタッフのあいさつや入居者への接し方が快活か
- 施設内の状態は美しく保たれているか
- アクセスが良く面会しやすそうか
- 共有設備の充実度は満足か
担当者に質問すべき7つのポイント
- 医療体制
- スタッフの人員配置・資格保有
- 自立支援や介護予防の具体例
- 食事の調理方法
- レクリエーションの頻度・内容
- 個別対応
- 契約関連
体験入居
見学後に入居の契約をする場合もありますが、施設によっては数週間~数カ月間の体験入居(ショートステイ)ができます。実際に生活をしてみると「他の入居者と馴染めるか」「生活リズムが自分にあっているか」などを確認できるのが魅力です。
体験入居の際にもチェックすべきポイントがあります。
体験入居で確認すべきポイント
- 既に入居している方と仲良くなれそうか
- 隣室の騒音などはないか
- 活気があり共有スペースに人が集まっているか
- 介助時のスタッフの対応はどうか
- スタッフは他の入居者と結びつけようと努力しているか
- ケアやリハビリは希望通りか
- 個人に合わせて対応できるか
- 食事は口に合うか
- 清掃はしているか
契約手続きについて
施設のことをよく知って「安心して入居できそう」と確信したら、入居の契約をしましょう。なお、気になる部分、不安なところを質問することも大事です。契約書にサインをする前に疑問はすべて解消しておきましょう。
契約する前に確認しておきたい「重要事項説明書」
なかでもしっかりと目を通しておきたいのが「重要事項説明書」です。重要事項説明書とは法人が老人ホームを設立する際に市区町村に対して提出する届けになります。なかには「居室」「設備」「費用」などの項目が書かれており、費用面に関しては算定根拠の欄もあるのです。
もし費用の面で気になることがありましたら、算定根拠について施設側に質問をしましょう。
権利形態にも注目をしておく
また老人ホームに入居する際に見ておくべきポイントに「権利形態」があります。主な権利形態は以下の3つであり、この部分が費用面にも大きく関わってきますので、必ずチェックをしておきましょう。
老人ホームの代表的な権利形態
建物賃貸借方式 | 賃貸住宅のように、ホームで生活するために家賃相当額を毎月支払う方式。
入居者が亡くなっても契約が終了することはない。 |
終身建物賃貸借方式 | 建物賃貸借方式と仕組みは同じだが、入居者が亡くなると契約が終了する。 |
利用権方式 | 入居一時金を支払うことで、ホームに住む権利、各種サービスを利用する権利などを得られる。 |
老人ホームへの入居をキャンセルする方法
契約書を交わして老人ホームの入居が決まった後も、キャンセルすることは可能です。電話や問い合わせメールなどでキャンセルの旨を伝えましょう。
契約を交わしていない仮押さえの場合は、キャンセルしても料金は発生しません。
もし契約をしていた場合でも、90日以内であればクーリングオフが適用されます。入居一時金は日割りでの計算によって家賃・生活費を差し引いた額が戻ってきます。
90日を過ぎてしまった場合は契約書の内容によって、入居一時金がどれほど戻ってくるかが決まるのです。退去はトラブルになるケースが多いため、入居前に必ず契約書の内容を確認してください。
入居条件・施設検索・見学・契約手続きの4つにわけて進める
老人ホームの選び方・手続きは複雑な部分もあり、最初は戸惑ってしまうかもしれません。退院が迫っているなどして入居を急いでいる場合は焦ってしまうでしょう。しかし入居者の終の棲家となるかもしれない場所ですので「入居条件」「施設検索」「見学」「契約手続き」の4つの段階にわけて、丁寧に進めましょう。
なお、もし不安を感じている方がいましたら、介護のほんね入居相談室にご相談ください。入居条件さえ伝えていただけましたら、ベテランの入居相談員が完全無料で施設探しから見学設定までを担当いたします。
スピーディーかつ確実に入居までサポートできるのが魅力です。どなたでも無料でご相談いただけますのでお気軽にお電話かメールにてご相談ください。
この記事のまとめ
- 老人ホームの特性を知ったうえで老人ホームを選ぶ
- 施設探しで困った際は老人ホームの紹介センターに相談する
- 契約の前に必ず契約書の内容を把握しておく
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