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介護の相談を聞いてくれる機関を教えてください

親が農作業中に転んで足を骨折してしまいました。予後が悪くなかなか元通りとは行かず、補助や介護が必要な状況になってしまいました。しかし仕事の都合もあり、家でつきっきりで介護するのは難しいです。このままではいけないと思い、どこかに相談したいのですが、正直介護のことが良くわからず、どこに何を相談したら良いのかがさっぱりわかりません。どこにどういうふうに相談をすればいいのでしょうか?

A介護が必要だと感じたら、介護保険を申請し、介護を受けられる環境を整えましょう。

介護保険の申請は、市区町村か地域包括支援センターで手続きできます。「申請に必要なものは?」「今の状態で介護は受けられる?」など気になる点は、市区町村か地域包括支援センターに電話で相談しましょう。介護保険を申請したら、約1カ月程度で要介護(要支援)認定が出ますので、認定が出たあとはケアマネジャーを探しましょう。介護保険認定書と共にケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所の一覧も同封されています。自宅から近い事業所に連絡し相談しましょう。

平栗 潤一
平栗 潤一
一般社団法人 日本介護協会 理事長

多くの方が急に介護が必要になった時、パニックになってしまいます。今まで無縁だった介護が身近になった時、どこに相談をして、どのように対応すればよいのか、皆さんの疑問にお答えします。

介護は急に必要になることも

突然の怪我や病気で介護は急に必要になります。今まで深く考えたことのなかった介護が必要になった時、どのように対処したらいいのかわからないとパニックになってしまう方も多いでしょう。しかし、そのような場合にも相談ができる機関は多くあり、介護を受けられる環境が整っているため、慌てる必要はありません。介護を受けるために必要な手続きを一つひとつしていきましょう。

介護の相談ができる機関

介護が必要になった時には市区町村の窓口か、地域包括支援センターに電話で相談しましょう。このどちらかの機関に相談すれば、介護保険を申請し、要介護(要支援)認定を受けられますし、不安に思っていることや気になることを解決できます。

地域包括支援センター

あまり聞きなれない名前かもしれませんが、地域包括支援センターは、介護に関して何でも相談できる窓口です。介護予防マネジメント・総合相談・包括的継続的ケアマネジメント・権利擁護の4つの業務を主体としており、保健師(看護師)・社会福祉士・主任ケアマネジャーが在籍し、介護・医療・福祉・保健に関して専門知識を有した職員に相談し、介護保険の申請ができます。

また、地域包括支援センターは、対象エリアに居住している65歳以上の高齢者や、その家族など支援に関わっている方なら利用できます。離れて暮らしている家族について相談したい場合には、介護を必要としている方が居住しているエリアを管轄している地域包括支援センターに問い合わせて相談しましょう。その地域で生活している高齢者に問題が起きたときに、ここに相談すれば解決できるというのが、地域包括支援センターが存在する意義であり、高齢者が安心して暮らせるよう、地域住民で見守り支援する要となっています。

そのため、地域包括支援センターは「近所のおばあちゃんを最近見かけないけど大丈夫?」や「隣の老夫婦のお宅の庭が荒れ放題で困る」といった地域住民からの相談にも対応しています。些細なことでも、ご家族や身近な方がおかしいと感じたら相談することで大事に至る前に未然に防ぐことができるかもしれません。相談に関して費用は一切かかりませんので、困ったことがあれば相談しましょう。しかし、紹介されたサービスを使われる時には費用が発生する場合もあります。

ケアマネジャー

ケアマネジャーとは、介護保険に関するスペシャリストであり、介護を必要としている方がサービスを受けられるようケアプラン(サービス計画書)の作成や、介護サービスをしている事業者との調整をしています。介護を必要としている方が適切な介護サービスを受けられるよう、総合的な支援を担っており、医療から福祉までサービスを組み合わせマネジメントしています。

介護サービスはケアプランがないと利用できないため、利用者と家族の相談や希望を聞き、問題をまとめ利用者一人一人に合ったケアプランを作成します。介護認定で「要支援」の方のケアマネジャーは地域包括支援センターが担当しますが、「要介護」の方のケアマネジャーは居宅介護支援事業所が担当するため、自分で選びます。

居宅介護支援事業所は要介護認定を受けた高齢者のためのケアプランを作成する事業所の役割を持っており、ケアマネジャーが常駐し、既に介護認定を受けている人のケアプランの作成や、介護サービスを受けられるよう事業所を紹介しています。地域包括支援センターもしくは市区町村の窓口に、居宅介護支援事業所の一覧や情報をまとめた冊子があるので、そこから探すのが良いでしょう。

他にも、既に利用している方の口コミや周りの友人知人の話を参考にしたり、かかりつけ医に相談したりするのも良いかもしれません。ケアマネジャーを選ぶ際には、人柄や能力に加えて信頼関係を築ける相手であるかどうかが重要です。一度や二度でそれらを見抜くことは難しいかもしれませんが、接しているうちに伝わってくるものもあるでしょう。

契約したケアマネジャーとは利用開始時だけではなく、利用中は何度も面談をする機会が訪れますが、面談は利用者が自分たちの希望を伝えるだけでなく、ケアマネジャーにとっても利用者の要望を確認するための重要な時間です。双方うまくやっていくためには、自分の希望を具体的に伝えることが大切で、「プロに任せているから大丈夫」といった考えでは、信頼関係を築けず、適切なサービスを受けられないかもしれません。

それでも万が一、どうしてもケアマネジャーとうまくいかなかった場合には変更もできます。その場合には、理由を曖昧にして終わらせずに、具体的な理由を伝えることが大切です。自立した生活を支えるためにサービスを受けるわけですから、スムーズな介護ができるかどうかは、担当のケアマネジャーにかかっています。

市区町村

居住地域の市区町村の役所の介護担当窓口では、介護保険や高齢者の保健福祉に関する総合的な相談ができます。介護保険サービスを利用するためには要介護認定を申請する必要があります。要介護認定とはどのくらいの介護サービスを必要としているかを判断するもので、結果に応じて受けられるサービスの種類が決まります。

申請にお金はかかりませんが、メールやインターネットからは受け付けていません。また、市区町村によっては平日のみで受付時間が決まっている場合が多いため、よく確認してから申し込みに行きましょう。家族が遠方に住んでいるなど直接窓口に行くのが難しい場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の代行として申請してもらえます。

申請に必要なのは以下の4種類です

  • 印鑑
  • 介護保険要介護(要支援)認定申請書(窓口やHPから入手できます)
  • 介護保険被保険者証(本人が40~64歳の場合は健康保険被保険者証)
  • 主治医の意見書(かかりつけの病院名・医師名などを提出すれば、市区町村が主治医に依頼します)

判定には2つ段階があり、市区町村に申し込んだ後は、市区町村から調査員が派遣され、家庭に訪問し介護を必要とする本人の様子や心身の状態を聞き確認します。要介護認定等基準時間と呼ばれる日常生活において8つの生活場面に置ける行為(食事・排泄・清潔保持・移動・関節生活介助・医療関連行為・機能訓練関連行為・BPSD関連行為)にどの程度の介護サービスが必要かをコンピューターが推測し算出します。

これらの結果と主治医の意見書を参考に、介護認定審査会でどのくらいの介護サービスを必要としているかを判定します。結果は、申請日から約一ヶ月程度で郵送されるので、届いたら認定通知書と被保険者証の確認をしましょう。

認定通知書に書かれている区分によって利用できるサービスや限度額は違います。認定は、介護を必要とするレベルにより「要支援1・2」と「要介護1・2・3・4・5」の7つに区分されており、区分によってその後の連絡先も変わりますので、よく確認し地域包括支援センターか居宅介護事業所に連絡します。

シルバー110番

シルバー110番とは、各都道府県に設置されており、高齢者やその家族が抱えている不安や悩みを相談できるサービスダイヤルです。#8080でつながり、相談料はかかりませんが、通話料は利用者負担です。介護に対して悩みや不安を抱えている方は少なくありません。一つひとつは小さなことでも積み重なると大きな不安になりますし、一人で思い詰めてしまうと、ストレスの原因となり心や体が不調をきたすこともあり、さらに悪循環に陥ってしまいます。

そんな時には誰かに話しを聞いてもらうだけでも心が楽になります。なかなか周囲に自分の弱音を吐けないという方も、顔も見えない全く知らない人だからこそ本音を話しやすいということもあるかもしれません。介護のストレスや介護に関するお金の相談、専門知識が必要な法律の相談にも対応しています。

ほかにも人生相談や虐待などなかなか人に話せない家庭の問題などでも専門家が相談に応じてくれるところもあり、今までとは違った視点で悩み事に対するアドバイスをもらえるかもしれません。ケアマネジャーや地域包括支援センターでももちろん介護について相談できますが「自分の事を知らない人に話を聞いてもらいたい」「電話で少し話をしたい」という方におすすめです。介護やお金の悩みなど一人で抱え込んでいても解決することは少ないです。心の余裕が無くなる前に、とにかく悩みを吐き出したくなった時には利用してみてください。

保健所

保健所は、地域住民の健康を守る役割を担っており、健康危機管理の拠点として医療機関や保健センターの活動を調整し、住民にとって必要なサービスを提供しています。市区町村の窓口でも案内されていることもあるように、あらゆる相談に応じてくれます。また介護予防や認知症への取り組みなど健康づくりを地域主体となって進めています。

介護予防とは、未然に介護を必要とする状況を防ぐための取り組みであり、生涯にわたり限り自立した生活を目指して体操や栄養指導などをしています。また、「もしかして認知症かも?」と思っても勘違いかもしれないし、どこに相談したら良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

地域によっては保健所や保健センターで相談を受け付けています。講習会をしているところもあるので、気になる方は最寄りの保健所へお問い合わせください。介護や認知症の相談窓口として気軽に利用できます。

介護は1人で考えず、周りを頼る

急に介護と言われても何がなんだかわからないことが多く、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。しかし、介護は長期間に渡ることが多いうえに、問題も多発します。周囲に相談できずに「周りに迷惑をかけられない」「自分で何とかしないと」と一人で思い悩んでしまうと、どんどん負のスパイラルに巻き込まれてしまい、介護うつになることもあります。

負のスパイラルに陥らないためにも、介護の問題を正しく認識することが必要です。介護の問題は繰り替えし起こってしまうものですし、介護の疲れは自分でも自覚していないうちに溜まっていくものです。しかし、周りからはそんな介護の疲れは見えにくく理解されないことが多々あります。特に職場で理解を得られない場合、休みをもらうことに気が引けてしまい、余計にモヤモヤした思いを感じてしまうこともありますが、介護の大変さは経験していない人にはわかりづらいものです。

辞めたほうがいいのか悩んでしまうこともあるかもしれませんが、職場の方全員が迷惑だと感じているわけではないでしょう。休む時はあっても、またしっかり会社に貢献するのだという意識を持ち、相手の対応は受け流すことも必要です。

ストレスがたまると体に不調の症状が現れることが多いです。「朝体が重く起きられない」「やる気がでない」「イライラしやすい」などいつもと何かが違うと感じたら、自分だけで思い悩むのではなくケアマネジャーや周囲に自分の気持ちを打ち明けましょう。自分の気持ちを話す際には、ストレスを感じた出来事よりも、その出来事を通して感じた感情を意識して話すと、よりすっきりしやすいです。

また話を聞いてもらう相手にどのように反応してほしいかを前もって伝えておくのも良い方法です。ただ話を聞いて共感してほしいのか、アドバイスをしてほしいのかなどその時の自分の状態によって相手に求める反応が違う場合が多いです。自分でもわかっているけどどうしようもできない感情を窘められても「そうじゃない!」と反発してしまい余計ストレスがたまってしまう経験をしたことはありませんか?ストレス解消のはずだったのに、更にストレスを溜めてしまっては意味がありません。特に介護の話は繊細な内容が多いため、聞く側もどのように反応すれば良いのか悩む場合も多いです。

話す前にアドバイスが欲しいのか、ただ聞いてほしいのか、はたまた一緒に笑って欲しいのか伝えるだけで、目的がはっきりするため話す側も聞く側も気が楽になります。一人で思い悩まず、周囲にどんどん頼りましょう。

平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

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