住宅型有料老人ホームとは? サービス・費用・入居条件などの特徴、サ高住との違いを解説

2016年から始まった特定施設の総量規制により急増しているのが住宅型有料老人ホームです。「要介護なら介護付き」と思われがちですが、住宅型でも十分なケアを受けることは可能です。こちらの記事では住宅型有料老人ホームのサービス・費用・入居条件などの特徴について詳しく解説します。

住宅型有料老人ホームとは? サービス・費用・入居条件などの特徴、サ高住との違いを解説
遠藤 木実

この記事の監修

遠藤 木実

介護のほんね 入居相談員

介護のほんね 入居相談グループ マネージャー。「介護のほんねの入居相談グループでは、老人ホームをお探しの方から年間2万件近くご相談を承っています。条件に合った施設の提案から見学予約の代行まで、入居相談員が老人ホーム探しをお手伝いします。お困りのことがあれば、お電話やWeb、LINEでお問い合わせください」

住宅型有料老人ホームとは「生活支援サービスが付いた民間の高齢者向け住宅」

次の4つのうち1つ以上のサービスを提供する高齢者向け住宅を有料老人ホームと呼びます。

  1. 介護サービス(入浴・排せつ・食事の介助)
  2. 食事サービス(朝昼晩の食事やおやつの提供)
  3. 家事サービス(掃除・洗濯・買い物などの代行)
  4. 健康管理サービス(健康観察・服薬管理・訪問診療・緊急対応など)

有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護(以下、特定施設)の指定の有無によって介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの2種類に大きく分けられます。住宅型は特定施設の指定を受けていない通常の有料老人ホームです。

一方の介護付き有料老人ホームは施設職員から手厚いケアが受けられるのが魅力ですが、2006年に特定施設の総量規制が始まったことで新規開設が難しくなりました。その影響で住宅型有料老人ホームが急増しており、今や住宅型が有料老人ホームの7割以上を占めるようになっています

介護が必要になったとき、住宅型では外部の居宅介護サービス(居宅介護支援、デイサービス、デイケア、訪問介護、訪問看護など)を個別に契約する必要があります。ただし、多くの住宅型有料老人ホームにこれらの介護事業所が併設または隣接しているため、介護が必要になってもこれらの事業所が提供するサービスを利用することで、入居し続けることができます。

また、どのサービスを利用するかは基本的に入居者が自由に決められます。以前から使っているデイサービスや訪問リハなどを入居後も引き続き利用したい場合は、住宅型有料老人ホーム(または、サービス付き高齢者向け住宅)の検討がおすすめです。

住宅型有料老人ホームの特徴

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住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違い

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)も住宅型有料老人ホーム同様、外部の介護サービスを利用することができます。

住宅型もサ高住も必要なサービスは個別に契約するため、月額費用(施設に毎月決まって支払う費用)を抑えられるのが特徴です。両者とも予算重視の方におすすめですが、次の表のとおり設備やサービス面の違いから、介護が必要な方・認知症の症状がある方は住宅型身の回りのことを自分でできる方はサ高住のほうが希望に合った施設を見つけやすいでしょう。

住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い

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住宅型有料老人ホームのサービス

住宅型有料老人ホームでは次のようなサービスが提供されています。

食事・栄養管理サービス

独居だと偏りがちな栄養バランスも、施設の食事サービスを利用すればシニアに必要な栄養がしっかり摂れます。施設によっては季節や行事に合わせた特別食(お節料理、うなぎ、寿司など)を提供したり、出前ケータリング(出張)を利用したりする日もあります。

また、多くの施設が介護食(きざみ食やソフト食など)に対応しています。持病がある場合は治療食(減塩色や糖尿食、腎臓食)に対応しているかも確認しましょう。

なお、食事は共用部のダイニング(食堂)で提供されますが、体調不良など特別な理由があれば居室に運んでもらうことも可能です。

介護・生活支援サービス

住宅型有料老人ホームの場合、必要な介護サービスは居宅介護支援事業所のケアマネジャー(居宅ケアマネ)が作成したケアプランに沿って、外部の介護事業所の職員から提供されます。自己負担率は原則1割(前年所得によって2〜3割)となります。

利用できる介護サービスの例
  • デイサービス(通所介護)
  • デイケア(通所リハ)
  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハ
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

なお、居宅介護サービスには要介護度別に支給限度額が定められており、それを超えた部分については全額自己負担となります。ケアプランは基本的に支給限度額の範囲内で作成されますが、お体の状態によっては十分なサービスが受けられなくなる可能性もあります。

また、通院や外出の付き添い、訪問理美容などは介護保険の適用外となります。どのようなサービスがいくらで利用できるのかは施設によって異なりますので、パンフレットや重要事項説明書でご確認ください。

医療・健康管理サービス

老人ホームで提供される主な健康管理サービスは、バイタルチェック服薬管理健康相談緊急時や往診時の対応入院時の付き添いなどとなります。

住宅型有料老人ホームに看護師の配置は義務付けられていませんが、多くの施設が入居者の健康管理のために施設に看護師を配置したり、訪問看護サービスを提供する事業所*を併設・隣接したりしています。ただし、介護付き有料老人ホーム同様、夜間については看護師不在となる施設が大半です。

*訪問看護事業所、看護小規模多機能型居宅介護事業所、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所

看取りを希望する場合は、方針や実績、協力医療機関などについてあらかじめ確認しておきましょう。

リハビリテーション

老人ホームで提供されるリハビリは、生活リハビリを中心とした今できることを維持するための機能訓練となります。生活リハビリとは、介護職員の声かけや見守りのもとで、立つ・歩く・着替える・食事を取るなどの日常生活動作(ADL)を今ある力でおこなうことです。そのほか体操やストレッチなどの集団リハも広くおこなわれています。

機能の回復や向上を期待する場合は、機能訓練指導員を配置し個別リハに力を入れている施設がおすすめです。機能訓練指導員と一口に言っても保有資格(専門分野)はさまざまですので、どのような資格を持った指導員がどのような方針でリハビリをしているのか確認しましょう。

機能訓練指導員の保有資格
看護師/准看護師/理学療法士(PT)/作業療法士(OT)/言語聴覚士(ST)/柔道整復師/あん摩マッサージ指圧師/鍼灸師

レクリエーション

住宅型有料老人ホームの場合、レクリエーションは施設内で実施するケース、併設・隣接のデイサービスを利用するケース、ないしは、それ以外のデイサービスをお好みで利用するケースが考えられます。施設内で実施する場合、月額利用料とは別にレクリエーション費がかかることがあります。

要介護度が高くなると活動量が減り外出が難しくなることに加え、近年は感染症予防のために外出や面会に制限があることから、どのようなレクリエーションやイベントが実施されているか(利用できるか)は重要なポイントのひとつです。

レクリエーション・イベントの例
体操/脳トレ/工作/カラオケ/合唱/絵画/書道/将棋/囲碁/麻雀/誕生日祝い/季節行事/日帰り旅行

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住宅型有料老人ホームの職員

住宅型有料老人ホームに配置が義務付けられているのは管理者のみで、それ以外の職員については入居者の数提供するサービスに応じて必要数を配置することになっています。高齢者が暮らす場所という施設の性格上、ほとんどの施設が夜間にも職員を配置しています。

住宅型有料老人ホームの人員配置基準

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住宅型有料老人ホームの設備

有料老人ホームの居室は基本的に個室で、広さは1人当たり13㎡以上とされています。

住宅型の場合、広さ18㎡未満の部屋が全体の6割程度を占めます。比較的コンパクトな造りのため、居室内にトイレがないこともあります。数は少ないですが、相部屋を探すことも可能です。

また、既存の建物(寮、社宅、ホテル、マンションなど)を転用したリノベーション物件も多く、構造的に廊下に十分な幅が確保できないなど設備の一部がバリアフリー対応ではないケースもあります。

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住宅型有料老人ホームの費用

介護付き有料老人ホームと比較すると、一般的に住宅型有料老人ホームのほうが費用を抑えることができます

住宅型有料老人ホームの初期費用と月額費用

初期費用

一部の高級ホームを除き、住宅型有料老人ホームに数百〜数千万円といった高額な入居一時金(前払い家賃)は通常かかりません。初期費用としてかかる可能性があるのは、家賃1〜3カ月分程度の敷金や保証金です。敷金や保証金は未払い利用料などの債務の返済や居室の修繕費に充てられ、残金があれば退去時に返金されます。ただし、入居のハードルを下げるために、このような敷金や保証金がかからない施設もあります

月額費用

毎月決まってかかる費用は主に家賃管理費水道光熱費食費です。居室の掃除や衣類の洗濯、買い物の代行などは、オプションサービスとして提供されることが一般的です。

住宅型有料老人ホームの月額費用の相場

上記のほか、利用に応じて介護サービス費(自己負担1〜3割)医療費(自己負担1〜3割)、通信費、理美容費、日用品代、おむつ代などがかかります。これらも考慮して毎月かかる費用を見積もる必要があります。

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住宅型有料老人ホームの入居条件

入居者の条件

施設のサービスの提供体制によって入居条件が異なります。住宅型有料老人ホームの場合、要支援ないしは要介護の認定が必要な施設が多く、自立でも入居できる施設は全体の3割程度にとどまります

認知症については一般的に軽度〜中度であれば受け入れ可能ですが、医療処置や看取りに対応している施設は介護付きと比較して少ない傾向にあります。ただし、末期がんや神経難病などの特定疾病に該当する場合は、近年増加しているホスピス系のホームが利用できる可能性があります

また、住宅型は生活保護受給中でも入居できる施設が比較的多くありますが、月額費用が生活保護の給付範囲内であることが前提となります。それに加え、すぐに入居できる空室も限られています。

同居者の条件

配偶者や親族であれば同居可能です。ただし、2人部屋は数が少ないため、隣り合った部屋(1人部屋)にそれぞれが入居するという選択肢もあります。

保証人

ほかの施設形態同様、基本的に入居時に保証人(身元引受人や連帯保証人)が必要です。子どもや親族が保証人となることが一般的ですが、身近に頼れる人がいない場合は保証会社や成年後見制度を利用することができます。

退去となるケース

住宅型有料老人ホームに限らず、こういった高齢者向け施設の退去理由として最も多いのは長期入院です。退院のめどが立たない場合や、施設で対応できない医療処置が必要になるなどお体の状態に変化がある場合は、そのまま退去となる可能性が高くなります。そのほか、費用の滞納や迷惑行為(暴言・暴力など)があると退去勧告が出されることがあります。

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住宅型有料老人ホームの入居までの流れ

住宅型有料老人ホームに入居するまでの流れは次のようになります。

住宅型有料老人ホームの入居までの流れ

問い合わせ

「介護のほんね」では老人ホーム探しのお手伝いをしています。入居相談員に現在お困りのことご希望の条件をお聞かせください。条件に合った施設を提案いたします。

「介護のほんね」に相談する

見学

気になる施設が見つかったら、見学予約を依頼します。3〜4施設見学し比較する方がほとんどです。見学時間はおよそ1〜2時間程度です。確認したいポイントは事前にまとめておき、見学当日は遠慮なく質問しましょう

申し込み(仮押さえ)

見学した施設が気に入れば申し込み(仮押さえ)をします。ご家族との相談中にほかの方の入居が決まってしまうこともあります。ご契約前であればいつでもキャンセルできますので、検討から外れない限りは仮押さえしておくことをおすすめします。なお、仮押さえできる期間は施設によって異なりますので、あらかじめ確認しておくと安心です。

審査

施設の指示に従って審査に必要な書類を提出します。健康診断書や診療情報提供書は取得するのに1〜2週間(場合によっては1カ月程度)かかるため、早めに準備しておくと手続きがスムーズです。

審査に必要なもの(必ず施設にご確認ください)
  • 入居申込書
  • 印鑑
  • 健康保険被保険者証のコピー
  • 介護保険被保険者証のコピー
  • 介護保険負担割合証のコピー
  • 収入証明書(課税証明書の原本など)
  • 健康診断書、または、診療情報提供書

面談

入居されるご本人とご家族、施設担当者で面談をおこないます。施設側から施設の運営方針や設備、サービス、月々のお支払い額について改めて説明があります。ご本人やご家族が希望するサービスと施設が提供できるサービスの間にミスマッチがないかを確認した上で、最終的に入居の可否を判断します。

契約

審査と面談が完了したら本契約を結びます。施設側から重要事項に関する説明がありますので、不明な点があれば必ず確認し、納得した上で契約書に押印しましょう。

契約に必要なもの(必ず施設にご確認ください)
  • 入居契約書
  • 印鑑
  • 写真
  • 住民票の写し、または、住民票記載事項証明書

振り込み

契約手続きが完了したら、施設の指示に従って初期費用(当月・翌月分の家賃、敷金、入居一時金など)を振り込みます。

入居

入居日に向けて引越しの準備を進めます。家具や家電については、居室や共用部に備え付けのものがある施設もありますので、持ち込み可能なものは何かあらかじめ確認しておきましょう。

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住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット

住宅型有料老人ホームのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット デメリット
  • 費用を抑えられる
  • 必要な介護サービスを自分で選べる
  • これまで利用していた介護サービスを入居後も引き続き利用できる
  • 設備がバリアフリーとは限らない
  • 自立から入居できる施設が意外に少ない
  • 住み替えが必要になることがある

「介護のほんね」入居相談員からのメッセージ

「介護のほんね」入居相談員:遠藤より

住宅型有料老人ホームは「費用を抑えたい方」や「現在利用しているデイサービスや訪問介護サービスを入居後も継続して利用したい方」におすすめの施設です。ただし、住宅型有料老人ホームは民間事業者によって運営される施設のため、提供されるサービスや設備、人員体制、費用、入居条件は施設によって大きく異なります。

中には敷地内にデイサービスや訪問介護ステーション、訪問看護ステーションを併設し、介護付き有料老人ホームと遜色のないサービスを提供している施設もあります。ご検討の地域によっては介護付き有料老人ホームの数が限られる場合もありますので、そういったときは住宅型有料老人ホームまで条件を広げてみるとご希望に合った施設が見つかるかもしれません

「介護のほんね」の入居相談員にご相談いただければ、ご希望に合った施設をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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「介護のほんね」掲載中の住宅型有料老人ホームへのインタビュー

最後に「介護のほんね」に掲載されている施設から住宅型有料老人ホームに取材した記事を紹介します。

医療に強いホーム

リハビリに強いホーム

憧れの高級ホーム

ホスピス型のホーム

更新履歴
  • 2023/02/16 全面更改
  • 2022/12/12 全面更改
  • 2020/07/01 初版公開

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