【専門家が徹底解説】グループホームとは|認知症への対処・費用の目安を紹介

介護施設のなかでも認知症に特化しており、比較的元気な人が共同生活をするグループホームについて紹介します。入居条件や費用、施設内での生活、他の施設との違いなどについて掲載していますので、参考にしてみてください。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

グループホームとは

グループホームとは認知症の高齢者が共同で生活する施設を指します。他の施設との大きな違いは、高齢者が掃除や洗濯などの家事を分担してする部分です。

介護士が日常的なケアをするのではなく、各自の特性を生かしながら、できるだけ自立に近いかたちで生活をしています。

高齢者がユニットに分かれて共同生活をする施設

グループホームの人数は1ユニットにつき5~9人と決まっています。他の施設に比べて小規模な体制を採用しているのが特徴の1つです。

少人数にしている理由に「認知症への配慮」があります。認知症の人は変化に対応するのが苦手です。入居者や職員の入れ替わりが激しいと名前を覚えられない場合があります。また変化が大きいとパニック状態になってしまい、落ち着いた生活ができません。そこでグループホームは1ユニット5~9人で最大2ユニットと決められています。

グループホームの入居条件

グループホームに入居するためにはいくつかの条件があります。施設を探す前に「介護対象者が条件を満たしているか否か」を確認しておきましょう。具体的には以下の5つの条件を満たせばグループホームに入居できます。

65歳以上であること

まずは年齢です。64歳以下でも特定疾病を患っている場合は要介護認定を受けられますが、グループホームの場合は介護サービスの都合によって入居条件を65歳以上としている場合も多くあります。

ただし、なかには64歳以下でも入居できるグループホームもありますので、施設に直接確認をしておきましょう。

要支援2以上であること

グループホームに入居できるのは、要支援2と要介護1~5の人です。要支援1の人は入居できません。ただし現状が要支援1でも、認知症の症状が進行するにつれて要介護度が高まる可能性があります。その場合は入居待ちをすることも可能です。

入居待ちの間は在宅介護をして、要支援2以上になったらグループホームを利用するといったパターンも考えられます。

医師により認知症の診断を受けていること

前述したように、グループホームは「認知症であること」が入居条件です。証明のために医師の診断書が必要になります。入居時に必要ですので準備をしておきましょう。

施設がある地域に住民票があること

グループホームは地域密着型の施設ですので、住民票がある地域のグループホームしか利用できません。ただしグループホームは全国で1万2,000施設以上あり、各地域に設置されている可能性が濃厚です。ご自身の地域にグループホームがあるか、検索サイトを利用して調べることができます。

集団生活への支障がないこと

グループホームは認知症の方々が共同生活をする場ですので、施設から「集団生活ができない」と判断されてしまうと退去になってしまうケースもあります。具体的には暴力や暴言、自傷などの行為はNGです。ただし退去については施設ごとに明確な基準を設けている場合もありますので、入所前にチェックをしましょう。

生活保護受給者は入所できるか

条件はありますが、生活保護を受けている方でもグループホームへの入居は可能です。グループホームには国からの指定を受けている「生活保護法等指定介護機関」があります。生活保護を受けている方でも、指定されたグループホームなら入居できるのです。

施設によって「施設全体が指定されている場合」「一部の居室だけが指定されているケース」があります。一部のみの場合、施設自体は空いていても生活保護で利用できる施設は満室である可能性も考えられますので、必ず入居の前に施設に確認をしておきましょう。

グループホームを利用するための費用

入居条件をクリアしたあとは、どうしても費用が気になるでしょう。他の施設と同じく、グループホームも入居時の費用月額料金の両方が必要です。具体的に準備しておくべき金額をご紹介します。

ただし、施設ごとに金額は異なります。また要介護度によってもサービス費は変わってきますので、あくまで目安としてご覧ください。

初期費用の目安

初期費用がないグループホームもあります。反面、施設によっては数百万円ほどの高額になるケースもあります。ただし初期費用が高額な施設は入居後の月額費用を抑えている場合が多いことが特徴です。

月々の費用の目安

月額費用は数種類の項目に細分化されます。具体的にどの項目にいくらほどの費用が発生するのかについて見ていきましょう。

居住費

居住費とは、いわば家賃のようなものです。月額3万~10万円になります。ただしもちろん金額は地域や施設によって変動しますので、詳しくはケアマネジャーや施設担当者に相談しましょう。

食費

食費は施設によって違います。一般的な額として月に5万円ほどをイメージしておくと十分無理なく生活できるでしょう。

その他の費用

居住費と食費の他に雑費が発生します。主な項目は以下の通りです。

主なその他の生活費
  • 共益費
  • おむつ代
  • 光熱費
  • 理美容費
  • 娯楽費

これらの雑費が、おおむね月に2万5,000~4万5,000円ほどかかります。

居住費、食費、その他の費用を合算すると月額費用はおよそ10万5,000~20万円となります。多くの場合、年金の範囲内でまかなえますが、足りない場合は家族が負担したり補助金を使ったりすることもあります。

グループホームの特徴

入居条件とおおよその費用を把握したうえで、グループホームがほかの施設とどう違うのか、特徴をご紹介します。

少人数制で生活をする

前述した通り、グループホームは5~9人で1ユニットを形成しています。少人数制なので、入居者の入れ替わりが少なく、同じ職員が長期的に担当するケースが多いのが特徴です。認知症の症状に配慮しており、少ない人数だからこそ落ち着いて生活ができます。

基本的には自身の力で生活をする

グループホームでは基本的に自身の力で生活をします。掃除や洗濯などの日常的な動作を自分の力でするので、認知機能の改善にもつながるでしょう。スタッフが過度にサポートしすぎることで運動機能や認知機能がさらに低下するという恐れがありません。

暮らし慣れた地域から離れない

グループホームは地域密着型の施設です。住民票のある住み慣れた地域で、空室のある施設を探して生活をすることになります。場所による環境の変化が少ないため、入居者にとっての負担を軽減できるのが特徴です。

需要が高まっている

高齢化もあってグループホームの需要は高まっている状況です。厚生労働省のデータによると、平成13年から平成25年の間に事業所の数は約10倍まで増加しています。以前に比べると入居しやすくなっている状況だといっていいでしょう。

グループホームの事業者数と利用者数の推移 出典:厚生労働省「施設・居住系サービスについて

グループホームを選ぶメリットとデメリット

ではこれらの特徴をメリットとデメリットに整理して、より分かりやすく紹介します。メリットが多いように思えるグループホームですが、もちろんデメリットもあります。双方を理解したうえで、納得のいく施設探しを進めていきましょう。

メリット

グループホームのメリットとして最も大きいのは、認知症の症状を理解した職員がいる点です。基本的に職員が過度に介入せず、入居者自身で生活を営みます。そのために運動機能や認知機能などの低下を阻止できる可能性があるのです。

またグループホームは認知症の方だけが入居する施設なので、当然職員も認知症のサポートに慣れています。毎日の生活を安心して任せられるのも大きな利点です。

さらに、認知症の人にとって「過度にストレスを感じない点」も大きなメリットです。5~9人の少人数制であること、住み慣れた地域から離れなくてもいいことで、新たに覚えることが少なく、精神的な負担を軽減できます。

グループホームにはさまざまなメリットがあります。それでは反対に、入居条件や生活に関するデメリットについて記載します。

デメリット

複数の入居条件があるので、そもそも入居しにくいという点がデメリットです。

地域密着型なので住民票がある地域にしか入れません。また要支援2以上のハードルもあるため、事前に要介護認定を受ける必要があります。前述したとおり、要支援1の段階では入居できません。そのうえで認知症であることが必要なので、ケガや脳卒中などによって介護が必要になった方は利用できないのも大きなデメリットです。

また規模が小さいので入居の難易度が高く、タイミングによっては長期的に満室であることもしばしばあります。空室が出るまで他の施設に入居するか、在宅介護をするかを選ぶ必要が出てくるのです。

また入居後のデメリットもあります。メリットである部分がデメリットに転じることもあるので注意しましょう。

少人数制であることは認知症の人の負担を軽減できますが、少人数制だからこそ、もし入居者同士の仲が悪くなってしまったら調整しにくいのです。大人数の施設の場合は他のユニットやフロアに移せますが、グループホームは規模が小さいので部屋の移動ができないこともあります。

また認知症に慣れた介護職員はいるものの、看護師は配置されていません。医療的なケアが必要になった際にすぐ対処することは困難な場合があります。

このようにグループホームにもメリットとデメリットがありますので、はじめに「自身が何を重視しているのか」を明確にしたうえで施設探しをすることが重要です。

他の施設との違い

ここからは、施設探しをするうえで参考になるよう他の施設との違いについて紹介します。なかでもグループホームと特別養護老人ホームは似ている部分もあり、迷ってしまいがちでしょう。まずは特養とグループホームの違いについて解説します。

グループホームと特別養護老人ホームとの違い

分かりやすいように「運営母体」「入居条件」「入居費用」「メリット」「デメリット」に分けて、違いを紹介しましょう。

グループホームと特別養護老人ホームの違い
グループホーム 特別養護老人ホーム
運営母体 民間企業、社会福祉法人、医療法人、NPO法人など 地方公共団体、社会福祉法人
入居条件
  • 要支援2以上
  • 認知症状態である
  • 施設のある地域に住民票がある
  • 要介護3以上
入居費用
  • 入居金:0~数百万円
  • 月額費用:10万5,000~20万円
  • 入居金:なし
  • 月額費用:10~15万円
メリット
  • 認知症の進行を予防できる
  • 認知症のサポートに慣れている
  • 住み慣れた場所で介護を受けられる
  • 費用が安い
  • 終身まで入所できる
  • 24時間介護を受けられる
デメリット
  • 少人数制なので入居者間のトラブルに対処しにくい
  • 看護はできない
  • 小規模なので満室になることも
  • 要介護3以上の人に限られる
  • 24時間の看護師配置はない
  • 入居待ちの期間が発生する

運営母体

グループホームは民間の施設なので、企業や医療法人、NPOなどのあらゆる団体が運営をしています。一方の特別養護老人ホームは公的施設であり、地方公共団体と社会福祉法人だけが運営できるので、倒産のリスクも少ないのです。

入居条件

グループホームは前述したように、さまざまな入居条件があります。そのぶん難易度が高いのが特徴です。一方の特別養護老人ホームは要介護3以上であれば入居ができます。

入居費用

グループホームと違って、特養の入居費用は非常に安いのが特徴です。公的なサービスであり介護保険を使えるので、安く済ませられます。

メリット

グループホームにできて特養にできないことの1つに「認知症への手厚いサポート」があります。認知症の方を専門にした施設ならではの魅力です。一方、特別養護老人ホームは費用の安さが最大のメリットといえます。

デメリット

グループホームのデメリットとして大きいのは、小規模がゆえに入居者間のトラブルに対処しにくい部分です。特別養護老人ホームの場合は規模が大きいので入居者の不仲などにも対処できます。ただし、費用が安いこともあって人気が高いので、すぐの入居が難しいのが実状です。

特別養護老人ホームについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

特別養護老人ホームとは、入居条件や費用、有料老人ホームとの違いを紹介

グループホームのメリット・デメリットを把握することが重要

グループホームは認知症の方にとっては安心して生活できる施設です。ただし少人数制や介護体制などの特徴にはメリットとデメリットの両方がありますので、前もって確認をしておきましょう。

また要支援2以上でなければ入居できません。あらかじめ要介護認定を受けることが必要です。他にも入居条件がありますので、必ず準備をしてから入居に進みましょう。

この記事のまとめ

  • グループホームは認知症の人が少人数共同生活をする施設
  • 入居条件が複数あるので、事前の確認と準備が大切
  • 入居金と月額費用がかかり、金額はホームによってさまざま