サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは? サービス・費用・入居条件などの特徴、住宅型有料老人ホームとの違いについて解説

高齢者の方が安心して住めるように安否確認・生活相談サービスを付けた賃貸住宅をサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と呼びます。急速に進む高齢化を背景にサ高住は増え続けています。この記事ではサ高住のサービス・費用・入居条件などの特徴について詳しく解説します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは? サービス・費用・入居条件などの特徴、住宅型有料老人ホームとの違いについて解説
遠藤 木実

この記事の監修

遠藤 木実

介護のほんね 入居相談員

介護のほんね 入居相談グループ マネージャー。「介護のほんねの入居相談グループでは、老人ホームをお探しの方から年間2万件近くご相談を承っています。条件に合った施設の提案から見学予約の代行まで、入居相談員が老人ホーム探しをお手伝いします。お困りのことがあれば、お電話やWeb、LINEでお問い合わせください」

サービス付き高齢者向け住宅とは「安否確認・生活相談サービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅」

サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認サービスと生活相談サービスが付いた高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅です。略してサ高住サ付き住宅と呼ばれますが、こちらの記事ではサ高住を用います。

サ高住は2011年の高齢者住まい法(正式名称:高齢者の居住の安定確保に関する法律)の改正により、それまでにあった高齢者向けの賃貸住宅(高優賃:高齢者向け優良賃貸住宅*、高専賃:高齢者専用賃貸住宅、高円賃:高齢者円滑入居賃貸住宅)を一本化したものです。急速に進む高齢化を背景に、制度開始から10年余りの2022年12月末時点で全国に約8,000もの施設が整備されています*。

*一部の自治体では家賃の補助制度として「高齢者向け優良賃貸住宅」の名称が現在も用いられています。
*出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2022年12月)

サ高住は賃貸住宅のため、契約形態も通常の物件と同じ賃貸借契約となります。通常、プランに含まれるのは家賃、管理費、基本サービス費(安否確認・生活相談サービスにかかる費用)のみで、それ以外のサービスについては必要に応じて個別に契約するため、月額費用を抑えたい方利用するサービスを自分で選びたい方におすすめです。

サービス付き高齢者向け住宅の種類

サ高住には住宅型介護型の2種類があり、主に介護サービスの利用方法が異なります。

住宅型の場合、訪問介護ステーションやデイサービスなど必要に応じて外部の居宅介護サービスを利用します。一方の介護型は施設職員から24時間介護サービスを受けることができます(特定施設入居者生活介護)が、手厚いケアが受けられる後者のほうが月額費用(施設に対して毎月決まって支払う費用)の相場が高くなっています。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の種類と特徴 *出典:一般社団法人 高齢者住宅協会(サービス付き高齢者向け住宅運営事業者部会)「サービス付き高齢者向け住宅登録の動向 2022.9.30 現在

住宅型と介護型の介護サービスの提供方法の違いをまとめると次の表のとおりとなります。住宅型は利用するサービスを自分で選びたい方介護型は定額で上限を気にせずにサービスを利用したい方(入居先の施設にすべてお願いしたい方)におすすめです。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)住宅型と介護型の介護サービスの違い

サ高住の多くが住宅型であり、介護型は全体の1割程度にとどまります。この記事でも特に断りがない限り、住宅型のサ高住について解説します。なお、特定施設について詳しくはこちらの記事でも解説しています。

サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違い

サ高住と住宅型有料老人ホームは介護が必要なときは外部の居宅サービスを利用する点で同じです。両者とも月額費用(施設に毎月決まって支払う費用)を抑えられるため、予算重視の方におすすめです。敢えて違いを挙げるとすれば、居室の広さや設備です。

サ高住の標準的な居室は「トイレ付きで18㎡〜」です。さらに「キッチン・浴室付きで25㎡〜」の居室も比較的多く、主に自立の方を想定した造りになっています。行動の制限も少なく、自宅に近い生活ができます。生活の自立度・自由度が高い分、認知症の症状が進むと入居の継続が難しくなる側面もあります。

一方の住宅型有料老人ホームの標準的な居室は「トイレなしで13㎡〜」。どちらかと言えば介護が必要な方向けの造りで、入居に要介護の認定が必要な施設もほかの施設形態より多くなっています。

ただし、これらの違いはあくまで一般的な傾向ですので、施設形態にこだわりすぎず、希望条件に合致する施設を複数見学してみることをおすすめします

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームの違い

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サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービス

サ高住では主に安否確認・生活相談・食事サービスが提供されています。ただし、介護を含むそれ以外のサービスの提供状況は施設によって異なります。

安否確認・生活相談サービス

すべてのサ高住に提供が義務付けられているサービスで、様子に変わりがないか見守ったり、日常生活における困りごとについて相談に応じたりします。

食事サービス

ほとんどのサ高住で食事が提供されています。摂食嚥下機能や持病に合わせ、介護食(きざみ食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食など)や医療食(減塩食、糖尿食、腎臓食など)に対応している施設もあります。

家事サービス

掃除や洗濯、買い物などの家事については入居者ご自身かご家族がおこなうのが基本です。これらの家事代行を有料のオプションサービスとして提供している施設もあります。外出時の送迎や付添いについても同じです。

介護サービス

通常、介護が必要になった場合は外部の居宅介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)を利用します。これらのサービスを提供する事業所を併設している施設もありますが、どのサービスを利用するかは原則自由に選ぶことができます

健康管理サービス

基本的な健康観察緊急対応に加え、提携医療機関による訪問診療定期健診予防注射などを実施する施設もあります。たん吸引やインスリン注射などの医療行為が必要な場合は、対応可能な施設を探す必要があります。

レクリエーション

施設職員によって体操や工作、カラオケなどのレクリエーションや、季節行事や誕生祝いなどのイベントが企画・実施されています。書道や絵画、音楽など、内容によっては外部講師を招くこともあります。頻度や内容は施設によって異なり、特色が出やすいポイントの一つです。

サービス付き高齢者向け住宅の職員

サ高住では、少なくとも日中は職員が常駐することになっています。職員は次のいずれかに該当する「ケアの専門家」とされています。

ケアの専門家
社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員/医師/看護師/准看護師/介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員(ケアマネ)/介護職員初任者研修課程修了者

夜間の職員配置は義務ではありませんが、高齢者住宅という特性上、一般的に夜間にも職員が配置されています。職員が不在になる場合は緊急通報装置で対応します。

サービス付き高齢者向け住宅の設備

サ高住はすべての施設がバリアフリー構造になっています。具体的には床に段差がないこと、ドアや廊下に十分な幅が確保されていること、手すりが設置されていることなどが基準として示されています。

居室は全室が個室です。最も多いのが、トイレ・洗面台・収納付きで広さ18〜20㎡程度の1Rタイプの部屋です。トイレ・洗面台・収納・浴室・キッチンの5点完備タイプはサ高住全体の2割程度で、浴室やキッチンは共用部にあることが一般的です。

居室がコンパクトな分、共用部の設備が充実しています。見学の際は共用部の設備や利用のルールについても確認しておきましょう。

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サービス付き高齢者向け住宅にかかる費用

サービス付き高齢者向け住宅は、民間ホームの中では初期費用・月額費用を抑えやすい施設形態の一つです。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用

初期費用

通常、サ高住に入居する際に必要な費用は敷金のみで、相場は家賃1〜2カ月分です。入居のハードルを下げるため、敷金を0円としている施設もあります。また、礼金や更新料もかかりません

月額費用が高額になる場合、前払い方式(入居一時金として数年分の家賃を前払いすることで、月額費用を抑える支払い方法)を選択できる施設もあります。

月額費用

毎月決まってかかる費用は主に家賃管理費水道光熱費食費基本サービス費です。家事代行や送迎などの有料サービスを利用した場合は、オプションサービス費がかかります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用の相場

外部の介護サービスを利用した場合は、自己負担として原則1割を支払います。さらに、医療費や通信費、理美容費、日用品代、おむつ代などがかかることを考慮して資金計画を立てる必要があります。

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サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

入居者

サ高住に入居できるのは、原則60歳以上の方*です。60歳以上であれば基本的にお身体の状態(自立・要支援・要介護)を問わず入居できますが、中には要支援や要介護の認定が必要な施設もあります。

*40歳以上60歳未満の方の場合、がんや関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの特定疾病により要介護認定を受けていれば入居できることがあります。

そのほかにも「認知症ではない方」「感染症にかかっていない方」などの条件を設けている施設もあります。

同居者

入居者の配偶者(内縁を含む)や60歳以上の親族、要介護認定を受けている親族が同居できます。そのほか「特別な理由により同居されることが必要があると知事が認める者」も同居可能とされています。

保証人

サ高住に入居するには、保証人(連帯保証人や身元引受人)が原則必要です。保証人は緊急時や死亡時の連絡先となるほか、必要な手続きを代行したり費用の支払いが滞った場合に弁済したりします。保証人がいない場合は、保証会社成年後見制度を利用することが一般的です。一般財団法人 高齢者住宅財団の家賃債務補償制度が利用できる場合もあります。

退去となるケース

たん吸引やIVH、胃ろうなどの医療行為が必要になったり、要介護度が進行し常時介護が必要になったりすると入居の継続が困難になります。また、認知症の進行などによりほかの入居者や職員に対して暴言や暴力などの迷惑行為がある場合や費用の滞納がある場合にも、退去を求められることがあります。

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サービス付き高齢者向け住宅の入居までの流れ

サ高住に入居するまでの流れは次のようになります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居までの流れ

問い合わせ

「介護のほんね」ではサ高住を含む老人ホーム探しをお手伝いをしています。入居相談員に現在お困りのことご希望の条件をお聞かせください。条件に合った施設を提案いたします。

「介護のほんね」に相談する

見学

気になる施設が見つかったら、見学の予約を入れます。ほとんどの方が3〜4施設見学・比較しています。見学時間はおよそ1〜2時間程度です。確認したいポイントは事前にまとめておき、見学当日は遠慮なく質問しましょう

申し込み(仮押さえ)

見学した施設が気に入れば申し込み(仮押さえ)をします。ご家族との相談中にほかの方の入居が決まってしまうこともあります。ご契約前であればいつでもキャンセル可能ですので、検討から外れない限りは仮押さえしておくことをおすすめします。なお、仮押さえできる期間は施設によって異なりますので、あらかじめ確認しておくと安心です。

審査

施設の指示に従って審査に必要な書類を提出します。健康診断書や診療情報提供書は取得するのに1〜2週間(場合によっては1カ月程度)かかるため、早めに準備しておくと手続きがスムーズです。

サ高住の審査に必要な書類の例(必ず施設にご確認ください)
  • 入居申込書
  • 印鑑
  • 健康保険被保険者証のコピー
  • 介護保険被保険者証のコピー
  • 介護保険負担割合証のコピー
  • 収入証明書(課税証明書の原本など)
  • 健康診断書、または、診療情報提供書

面談

入居されるご本人とご家族、施設担当者で面談をおこないます。施設側から施設の運営方針や設備、サービス、月々のお支払い額について改めて説明があります。ご本人やご家族が希望するサービスと施設が提供できるサービスの間にミスマッチがないかを確認した上で、最終的に入居の可否を判断します。

契約

審査と面談が完了したら、本契約を結びます。施設側から重要事項に関する説明がありますので、不明な点があれば必ず確認し、納得した上で契約書に押印しましょう。

契約に必要なもの(必ず施設にご確認ください)
  • 入居契約書
  • 印鑑
  • 写真
  • 住民票の写し、または、住民票記載事項証明書

振り込み

契約手続きが完了したら、施設の指示に従って初期費用(当月・翌月分の家賃、敷金、入居金など)を振り込みます。

入居

入居日に向けて引越しの準備を進めます。家具や家電については、居室や共用部に備え付けのものがある施設もありますので、持ち込み可能なものは何かあらかじめ確認しておきましょう。

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サービス付き高齢者向け住宅のメリットとデメリット

サ高住のメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット デメリット
  • 行動の自由度が高い
  • 自立でも入居できる施設が多い
  • 必要なサービスを選べるので、費用を抑えやすい
  • サービスの提供体制が施設によって大きく異なる
  • 施設で提供されていないサービスは外部サービスを利用しなければならない
  • 要介護度や認知症が進行すると、住み替えが必要になることもある

「介護のほんね」入居相談員からのメッセージ

「介護のほんね」入居相談員:遠藤より

自立でも入居でき、行動の自由度が高い施設が多いサ高住は「身の回りのことは自分でできるものの、高齢者だけの暮らしに不安がある」という方を中心に需要があります。介護型の施設(特定施設の指定を受けたサ高住や有料老人ホーム)の場合、まだ介護が必要ではない方や要介護度が低い方にとっては費用が割高となりがちですが、通常のサ高住ならご自身で必要なサービスを選ぶことで費用を抑えることも可能です

ただ、サ高住と一口に言っても、サービスや設備の充実度や費用、入居条件はさまざまです。やみくもに探すと時間がかかってしまいますので、まずは希望条件を整理することをおすすめします。介護のほんねの入居相談員にご相談いただければ、ご希望に合った施設をご提案させていただきますので、お気軽にお問合せください。

「介護のほんね」に相談する

「介護のほんね」掲載中のサービス付き高齢者向け住宅へのインタビュー

最後に「介護のほんね」に掲載されている施設から、サ高住に取材した記事を紹介します。

そのほか「取材レポート」が読めるサービス付き高齢者向け住宅を探す

参考
更新履歴
  • 2023/02/28 一部更改(画像の追加など)
  • 2023/01/20 全面更改
  • 2022/11/30 全面更改
  • 2020/08/04 初版公開

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