介護食とは|種類・宅配サービス・レトルト商品紹介など

身体機能が弱まってきた親を介護している人の中には、普段から介護食を作っている人もいるでしょう。食材を食べやすい大きさにカットしたり、とろみをつけたりする介護食は、手間もかかり作るのも一苦労です。

しかし、食事を毎日の楽しみにしている人も多く、満足に咀嚼が出来ないことに対しては家族も手助けしたい気持ちがあります。身体機能が低下し、調理方法が変わったとしても、食事は美味しく食べたいものです。そこで今回は、介護食の種類に触れつつ、宅配サービス、レトルト商品紹介などをご紹介します。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

介護食とは

介護食とは一般的な食事に手を加えて、咀嚼能力が弱まった人が食べやすいように作られた食事のことです。私たちの体は、年齢を重ねるごとに身体機能が弱まっていき、咀嚼能力も低下していきます。

噛む力や飲み込む力が衰えると、これまで平気だった食事に対して「噛みにくい」「飲み込めない」と感じるようになります。それにより食欲の低下や誤嚥が起きやすくなり、食事をする楽しさが味わえなくなるでしょう。

その点、介護食は個々の噛む力や飲み込む力に配慮された食事です。食べる機能が低下した状態でも食べ物の美味しさを感じられるため、健やかな生活を手助けしてくれます。介護食は通常の食事をアレンジするものですが、特別に頑張る必要はありません。

むしろ介護食を通常の食事とは別物と考えてしまうと、妙に身構えてしまい、作るのも辛くなってしまうでしょう。介護食のメニューは家族とは別にイチから作る必要もなく、同じ材料やそれに近い食材で問題ありません。本人としては別メニューで食事を提供されるより、家族と同じメニューを出されたほうが一緒に食事を楽しんでいる感覚が味わえるはずです。

本人が食べたいものを食べさせているだけでは栄養バランスも偏るため、さまざまな食材を選び、調理する必要があります。介護食を作る時は、本人が食べたいものを食べさせてあげられるようにしながら、普段の食事をアレンジするくらいの気持ちで臨みましょう。

介護食の種類

介護食は咀嚼機能が弱まってきた人に作る食事であり、主にやわらかいメニューです。普段から介護食を作っている人であれば、噛みやすい工夫や飲み込みやすい工夫をすでにしているでしょうが、改めて介護食の種類についておさらいしておきましょう。

嚥下食(えんげしょく)

嚥下食とは、飲み込む力や噛む力といった嚥下機能が弱まった時に作る食事です。私たちは普段食事をする際にあまり意識していませんが、食事を口の中に入れた時、食材が飲み込みやすいように大きさを整えたり、まとめたりしています。

嚥下とは、その口の中での咀嚼から喉の奥への飲み込み、食道から胃への送り込みのことを言います。嚥下食は食事を飲み込みやすい形にし、食塊のまとまりやすさを調整した食事です。

調理方法としては、とろみを使うのが一般的です。市販のとろみ剤を食べ物や飲み物に加えると、まとまりがよくなり、飲み込みやすくなります。粉末状のとろみ剤は商品によって違いはあるものの、温度による影響を受けない、溶けやすい、唾液の影響が少ない、食事の味を保てるなどの点がメリットです。

ソフト食

ソフト食とは、噛む力が低下した人のために柔らかく作った食事のことです。個々の咀嚼機能に合わせて調理され、柔らかく煮込んで提供することもあれば、ミキサーをかけてから固めて食事を提供することもあります。

ソフト食は、歯茎や舌でつぶせるほどの柔らかさが基準です。通常の食事では噛みにくいと感じている人はもちろん、飲み込む力が弱くなった人にも向いています。中にはほとんど噛まずに飲み込める食事もあります。

自宅でソフト食を作る時には、柔らかく加工しやすい食材を選ぶことが大事です。繊維の少ない野菜やミンチ肉、白身魚は調理しやすいでしょう。ミキサーや圧力鍋を使って、食べる時に負担にならない程度まで潰します。

味噌汁などスープ類にはとろみをつけると、より飲みやすくなるでしょう。具材の柔らかさや大きさ、とろみの量に注意して調理していきます。

きざみ食

きざみ食とは、通常の食事を細かく刻んだ食事のことです。飲み込む力は十分にありますが、噛む力が弱くなった人に提供します。対象者としては、歯が悪くなってきた人や口の開閉が難しくなってきた人などです。

ただし、きざみ食は固形の状態で食事をするため、飲み込む力や唾液量が衰えてきた際には、使用を避けなければなりません。

きざみ食では3mm程度の大きさに、固いものも柔らかい食材も刻みます。とろみなどを使っているわけではないので、口の中で食塊が作りにくく、まとまりがないため誤嚥を引き起こす原因になることもあります。

また、きざみ食は、調理済みの料理をまな板の上で調理するため、衛生面で問題があるとも言われています。調理の際に包丁やまな板を使いまわすことで、食中毒を引き起こす可能性があるからです。衛生管理を考えるのであれば、調理用ときざみ用の調理器具は分けなければなりません。

一方できざみ食は、見た目に彩りがあり、食欲増進につながるという点がメリットです。通常の食事を細かく刻んだだけなので、食材の元の状態を感じやすく、香りもあります。きざみ食は気を付けることもありますが、食事を口だけでなく、目でも楽しめるのは本人にとっても大きな喜びでしょう。

ミキサー食

ミキサー食は、食事をミキサーにかけてポタージュのような形状にした食事です。対象としては、噛む力と飲み込む力が低下した人に向いています。胃腸にも負担がかからず、体にも優しい介護食となっています。デメリットは、とろみをつけないと誤嚥しやすいことです。

ただし、ミキサー食は飲み込むつもりがない状態でも喉奥に入ってしまうため、とろみで粘度をつけすぎると危険です。液状にすることで見た目が損なわれ、水分が多くなると全体の量も増えるので、本人の食欲も考えて作ると良いでしょう。

ミキサー食に適している食材としては、ほうれんそうなどの葉物野菜、でんぷん質が豊富ないも類があります。

ゼリー状

介護食は、通常の食事やソフト食をミキサーにかけてペースト状にした後、ゼラチンなどでゼリー化する方法もあります。対象としては、嚥下機能に重度の障害がある人に向いています。

ゼリー食は、舌で潰さなくても安全に飲み込める食事です。食塊も形成されており、ツルっと口に入るため食事も取りやすくなっています。水分をなかなか摂ってくれない時は、お茶をゼリー状に固めるなどの工夫をすると、不足した水分を補えるでしょう。

自宅で注文できる介護食の宅配サービス

アレンジだけとはいえ、介護食を毎日作っていると「大変だな」と感じることもあります。そんな時は介護食の宅配サービスを利用してみましょう。咀嚼や嚥下能力に合わせたメニューが、豊富に揃っています。

健康うちごはん

運営会社の名称から通称・MFSと呼ばれる介護食の宅配サービスです。MFSで製造している製品は、菌の増殖を防止するため調理後に急速冷凍され、出荷されるまでマイナス20℃の冷凍庫またはチルド温度帯で保管されます。放射能検査も毎週実施されており、安全・安心の食事作りが強みです。

商品は電子レンジで温めるだけですぐ食べられます。ニーズに合わせて用意された豊富なメニューは、飽きないように日替わりメニューも提供する充実ぶりです。プロの管理栄養士と調理師によって、制限食の中でも食の楽しみが味わえるようになっています。

初めての人は、体の状態に合わせた数種類の食事がある“お試しセット”から注文すると良いでしょう。

参考:メディカルフードサービス株式会社「健康うちごはん

コープの介護食

コープの介護食は、きざみ食とムース食の2コースから選べます。“やわらか普通食”を細かく刻んだ“きざみコース”は、味やおかずが多種多様にあり、約2,000種類のメニューが用意されています。

ムース食コースは食事が固形になっていますが、料理の味はそのままです。約120種類の専用メニューはごはんが全粥で、汁物にはとろみがついています。管理栄養士監修のもと、カロリーや塩分も計算されているので、栄養価を改善したい人に良いでしょう。適切な栄養バランスで健康的な体をキープできます。

参考:生活協同組合連合会 コープ九州事業連合 「コープの介護食

Health Dish

ヘルスディッシュは、在宅介護やさまざまな疾患で悩んでいる人に介護食を届けるサービスです。“やわらか食”には、酵素の働きで素材をやわらかくする凍結含浸法という特殊な製造方法が用いられており、スプーンで簡単に崩せる柔らかさです。

ムース食やソフト食は、舌で潰せる柔らかさであり、噛む力や飲み込む力が弱まった人に向いています。メイン料理のソースにこだわり、本格的な味付けがしてある点も魅力です。

お弁当は電子レンジで温めるだけなので、手間もかかりません。商品は日本全国どこでも送料無料です。

参考:株式会社メディア・グローブ 通信販売事業部「Health Dish

ベネッセのおうちごはん

有料老人ホームを運営する、ベネッセの介護食宅配サービスです。「ベネッセのおうちごはん」では、美味しく、健康を考えた季節感あふれるメニューを1年中食卓に運ぶことを大切にしています。

毎日の生活で必要な食事を提供しているので、介護食を作る時間がない時にもおすすめです。「ベネッセのおうちごはん」は365日毎日配達しており、前日18時まで受け付けしています。1食からの注文も可能なので、初めての人でも注文しやすいでしょう。

お弁当は冷蔵(チルド)で届くため、見た目にも美味しさを感じられる商品です。安全で楽しく、しっかりと栄養が摂れるように現役歯科医師と考えられたメニューです。

参考:株式会社ベネッセパレット「ベネッセのおうちごはん

レトルトの介護食品はユニバーサルデザインフードの区分に注目

市販で買えるレトルトの介護食品を利用する時は、ユニバーサルデザインフードの区分に注目しましょう。ユニバーサルデザインフードとは、日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮された食品です。

かたさや粘度を基準とした日本介護食品協議会の4つの区分のうち、いずれかに該当した商品には、ロゴマークと区分形状が表示されています。

キユーピー やさしい献立

キユーピー製品は種類が豊富で人気があります。4段階の食べやすさで選べるので、噛む力や飲み込む力に応じて選びやすいでしょう。公式サイトでは、日々の介護食アレンジに役立つレシピも公開されています。

参考:キユーピー株式会社「キユーピー やさしい献立

アサヒグループ食品 バランス献立

アサヒグループ食品が展開しているバランス献立シリーズも人気があります。商品ラインナップも豊富で、日本料理「なだ万」が監修したおかずやデザートの味わいは、本格的な仕上がりです。高齢になって食べる力が弱くなった人でも、楽しく美味しく食事ができる商品が揃っています。

参考:アサヒグループ食品株式会社「バランス献立

まろやか食専科

まろやか食専科では、きざみ食やミキサー食でよくある「何を食べているのか分からない」「作るのが大変」といった問題を解消する、介護用ソフト食を販売しています。食事の味や色、形、そして香りにこだわった商品は、見た目にも美味しく、なめらかで飲み込みやすくなっています。魚類や肉類を中心とした介護食は、食べる人にも作る人にも優しい点が特徴です。

参考:株式会社ベスト「まろやか食専科

介護食に関する資格を知って、施設探しに生かす

介護疲れや仕事の忙しさから、介護食を提供している施設を探している人もいるでしょう。咀嚼や嚥下をケアできる施設であれば、介護食に関する資格を持つスタッフがいます。介護食に関する資格を知っておくと、どのようなサポートが受けられるかイメージしやすくなるので、施設選びの目安にすると良いでしょう。

介護食士

公益社団法人 全国調理職業訓練協会が認定する資格です。介護に携わる人たちの調理技術を向上させる目的で設けた認定資格制度は、1級から3級まであります。要介護者向けの食事が提供できる専門知識を学んだ人に与えられます。

取得難易度

3級の難易度はあまり高くなく、講習内容を理解していれば全員合格できます。2級は3級合格者であれば受講可能で、1級は介護食士2級を取得した後2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の人が受講できます。合格基準は、筆記・実技試験ともに60点以上です。

介護食アドバイザー

高齢期の栄養管理や生理機能について学んだ、介護食のスペシャリストです。ソフト食の作り方から嚥下状態に合わせたレシピ、食事介助の基本などを学びます。

取得難易度

協会指定のキャリアカレッジジャパン「介護食アドバイザー資格取得講座(通信)」を修了後、在宅にて試験を受験します。合格ラインは得点率70%以上です。ただし、試験はテキスト見ながら受けられ、万が一不合格でも何回でも受講可能です。

介護食コーディネーター

一般社団法人日本味育協会が認定する資格です。高齢者に必要な栄養学や衛生額の知識、食事介助の基本を習得し、介護食の調理法について学びます。食べやすい調理方法や正しいとろみの付け方、各食材の調理アレンジなどを学び、安全な食事を提供できるスキルを習得します。

取得難易度

ユーキャンの通信教育講座で受講期間内に全課題を提出して、在宅で試験に合格すれば資格取得できるため、難易度はあまり高くないとされます。受験資格も特にありません。万が一不合格でも、受講期間中であれば再受験できます。

管理栄養士

厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。高齢者で健康な人から食事をとりづらくなっている人までを、栄養指導や給食管理、栄養管理の専門知識と技術でサポートします。医療施設、老人福祉施設、介護保険施設などで働いています。

取得難易度

管理栄養士の合格率は、60%前後です。内訳として新卒の合格率は高い傾向にありますが、既卒になると合格率が大幅に下がります。専門学校に通うなど、合格するには一定の勉強時間を確保する必要があります。

在宅でも施設でもおいしく食事をするために

高齢社会を迎えた日本では、介護の重要性はますます高まっています。シニア世代が増加するにしたがって、自宅で介護食を作る人も今後増えていくでしょう。

毎日通常の食事をアレンジできれば一番ですが、仕事や用事で忙しい時は介護食の宅配サービスがおすすめです。在宅でも施設でも、本人のためにおいしい食事を提供できる方法を考えていくと良いでしょう。

この記事のまとめ

  • 介護食は通常の食事をアレンジする気持ちで良い
  • 宅配サービスやレトルトも利用すると便利
  • 介護食関連の資格は施設選びの目安に