【老人ホームの種類一覧】主要8施設の特徴と費用相場
世の中に「老人ホーム」と呼ばれる高齢者向けの施設や住宅がこれだけたくさんあることに驚かれた方も多いかもしれません。こちらの記事では老人ホームの種類を一覧にまとめ、それぞれの特徴について解説しています。老人ホーム探しの第一歩にお役立てください。
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老人ホーム一覧
一般的に「老人ホーム」と総称される施設には、公的施設と民間施設があり、まとめるとこれだけの種類があります。
この中から主要な8施設の入居条件と費用相場を一覧にすると次のようになります。
この中で最も利用者数が多いのは特別養護老人ホーム(特養)です。「老人ホームといえば特養」と考える方も多いかと思いますが、入所には原則要介護3以上の認定が必要な上、待機者が多くすぐに入所できるとは限りません。そのため、要介護者の受け皿として利用者が増えているのが有料老人ホームなどの民間施設です。
公的施設
まず公的施設4種について解説します。公的施設は民間施設と比べて費用が安いことから人気がありますが、入所するには一定の条件を満たす必要があります。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、民間施設より費用が安く、終身利用が可能なことから人気の施設です。ただし、その人気から申し込んでも待機となることが多く、入所したい時にすぐにできるとは限りません。また、看護師は基本的に日中しかいないため、夜間や早朝にも医療行為が必要になると退所しなくてはならなくなることもあります。
「入所を申し込んでも数年待ち」という状況が続いたことから、2015年に特養の入所条件が要介護1以上から要介護3以上に引き上げられました。また、要介護者の受け皿となる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が増えたことで以前より入所しやすくなっているようです。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、在宅復帰を目標にリハビリを中心に療養上・日常生活上の世話を受けられる施設です。通常、医師が施設長を務め、その管理下で看護師や介護職、リハビリ職*、ケアマネジャー(以下、ケアマネ)、支援相談員などさまざまな職種が連携してケアに当たります。
3カ月おきに退所(在宅復帰)が可能かどうかを判断することになっており、平均的な入所期間は3〜12カ月程度です。一部に看取りに対応している施設や長期療養を前提とした施設(介護療養型老人保健施設)もありますが、基本的に終身利用を前提とした施設ではありません。
病院と自宅の中間施設に位置付けられますが、入所の手続きに1〜3カ月程度かかるため、入院期間が2週間程度では病院から老健に直接入所することは難しいと言えます。また、老健入所中の診察や投薬にかかる費用は施設側の負担となるため、入所を断られたり薬の変更、減薬を求められたりすることもあります。
介護医療院
介護医療院は2018年度に新設された施設で、病院の長期療養機能と介護保険施設の生活支援機能を併せ持ちます。大きく分けてI型とII型の2種類があり、I型は医療療養病床(療養型病院)や介護療養病床(介護療養型医療施設)*から、II型は介護療養型老人保健施設からの移行を想定したもので、それぞれ人員配置や設備の基準が異なります。
なお、医療費については、日常的な診療にかかる費用は介護保険が適用されます(特定診療費)が、緊急時の処置に関しては医療保険が適用されます。
たん吸引や点滴管理(経鼻経管栄養、中心静脈栄養など)が必要な方を受け入れられる施設は限られています。介護医療院には、その受け皿として質の高い医療サービスや看取り・ターミナルケアを提供していくことが期待されています。
ケアハウス
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は、賃貸住宅から退去を求められたり、頼れる身内がいなかったり、さまざまな事情で自宅での生活に不安のある高齢者を受け入れている施設です。低所得者に対しては利用料を軽減する制度があり、民間施設より低額で利用できます。ただし、入居時に一時金(前払い家賃)が必要な施設もあります。
自立から入居可能で、介護が必要になっても外部の居宅介護サービスを利用しながら住み続けることができます。特定施設入居者生活介護(以下、特定施設)の指定を受けている場合、施設職員から介護サービスを受けることができます。
公的施設の中でもケアハウスは数が少なく、入所したい時にできるとは限りません。なお、ケアハウスを含む公的施設への入所をお考えの場合は、まず役所の担当課や地域包括支援センターに相談するのがスムーズです。
民間施設
次に民間施設4種について解説します。民間施設は株式会社や社会福祉法人、医療法人、NPO法人など、さまざまな事業者によって運営されています。実際に施設探しをする時には施設形態にこだわりすぎず、それぞれの施設がどういった方針でサービスを提供しているかに注目してください。
グループホーム
グループホームは、認知症の診断を受けた高齢者が共同生活を営む施設です。1ユニットの定員は最大9人とアットホームな雰囲気で生活できるのが特長です。また、認知症ケアに詳しい職員が24時間常駐し、食事・排せつ・入浴の介助など必要に応じて日常生活上の世話をしてくれます。
なお、グループホームは地域住民限定のサービス(地域密着型サービス)のため、入居するには施設所在地の住民票が必須となります。また、看護師がいる施設は少数派で医療には強くありません。そのため、認知症の診断こそあれ基本的に身の回りのことが自分ででき、健康上に大きな問題を抱えていない方が主な入居対象となります。
地域住民との交流を通じて認知症に対する理解を深めてもらったり、併設のデイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所)を通じて在宅で介護をするご家族の負担を軽減したり、グループホームは地域の認知症ケアの拠点となっています。
介護付き有料老人ホーム
有料老人ホームの中でも都道府県から特定施設の指定を受けたものを介護付き有料老人ホームといいます。特養などの介護保険施設と同じように介護サービスは施設から包括的に提供され、デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)などの外部サービスは利用できません。
自立から入居し終身利用することも可能ですが、サービスや設備が充実している分、費用が高額になる傾向があります。そのために導入されている仕組みが入居一時金で、入居時に家賃の一部または全部を数年分前払いすることで、月々の支払い額を抑えられます。前払いするのが家賃の一部なら数百万円、全部なら数千万円にもなります。
介護付き有料老人ホームは札幌、首都圏、名古屋、大阪、神戸、福岡といった都市部に集中しており、地方には少ないのが現状です。特定施設は数が増えすぎないよう各都道府県が指定を制限していることから、このような地域差が生まれています。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、特定施設の指定を受けていない通常の有料老人ホームを指します。介護付き有料老人ホームのように施設から介護サービスは提供されないため、介護が必要になったら外部の事業者と個別に契約を結ぶことになります。もともと利用しているデイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)などを利用し続けたい場合などは住宅型がいいでしょう。
住宅型有料老人ホームは併設事業所によって特色が出ます。主な併設事業所には、訪問介護ステーションやデイサービス(通所介護)、ケアプランセンター(居宅介護支援)が挙げられます。
住宅型有料老人ホームは特養や特定施設への入居が叶わない要介護者の受け皿となってきました。そのため、入居対象者を要介護1以上とする施設や入居希望者多数の場合に要介護度の高い方を優先する施設が多い傾向にあります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢向け住宅は、高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅です。外出や面会に制限が少なく、有料老人ホームと比較してキッチン・浴室付きの部屋や夫婦で入居できる広めの部屋も比較的多くあります。
住宅型老人ホームと同じく、介護が必要になった時は外部の居宅介護サービスと契約するのが基本です。介護付き有料老人ホームほど数は多くありませんが、一部に特定施設の指定を受けたものもあります。
生活の自由度の高いサ高住はお元気な方におすすめの施設形態です。逆に認知症の方にとっては、職員の目が届きやすく外出に制限がある施設のほうが安心でしょう。
押さえておきたい近年のトピックス
老人ホームを探す上で知っておきたい最新情報を3つまとめました。
1. 増える利用者負担
介護保険制度が始まってから20年余り。制度開始時に3.3兆円だった給付総額は10兆円を超える規模に膨れ上がりました。制度を安定して運営していくため、利用者にも負担増が求められています。
例えば、保険料の負担額は一人当たり約3,000円だったものが約6,000円と倍増しています。また、介護サービスを利用した時の利用者負担の割合はもともと一律1割でしたが2015年の改正で2割負担、続く2018年の改正で3割負担が導入されました。さらに、2024年の改正で2割負担の対象者を拡大する案が検討されており、2023年12月にも結論が出る見込みです。
そのほか、介護保険施設の居住費と食費の補足給付の対象者が厳格化されたり、高額介護サービス費の上限が引き上げられたり、利用者の懐事情を直撃する改正が近年続いています。
2. 「LIFE(科学的介護)」とは?
LIFEとは「Long-term care Information system For Evidence」の略で、日本語では科学的介護情報システムといわれます。LIFEに利用者の既往歴や服薬情報、要介護度、ADL(日常生活動作)、口腔・栄養状態などの情報を入力すると、過去に蓄積されたビッグデータからどのような介護をすればいいのかフィードバックを得られます。これまで職員一人ひとりの経験やスキルに依存していたサービス提供体制から脱却し、介護の質の底上げを図ると同時に、利用者に対する重度化防止や自立支援を加速させようというものです。
2021年の運用開始からすでに多くの事業所がLIFEを導入していますが、システムから質の高いフィードバックを得るにはより多くの情報(ビッグデータ)が必要です。そのためこの3年間は主にデータの収集に重きが置かれてきました。2024年からはLIFEにケアプランのデータを紐づけることで、本格的にPDCAを回すフェーズに入ります。
事業所の重度化防止や自立支援に対する取り組みが評価されやすくなったことで、利用者にも多くのメリットをもたらしそうです。
3. 新規施設が続々オープン「ホスピス」とは?
最近オープンが相次いでいるのが、ホスピス型の住宅です。
もともとホスピスとは、末期がんなどで終末期にある方に対して緩和ケアをおこなう病棟、いわゆる緩和ケア病棟のことを専ら指していました。緩和ケア病棟はそもそも病床数が限られること、対象者が主に末期がんの患者に限られること、長期療養には対応していないことが課題となっていました。
そこで登場したのがホスピス型の住宅です。施設形態としては住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に訪問看護・訪問介護ステーションを併設したものです。厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に該当する方であれば、医療保険で訪問看護を週4回以上利用できるという仕組みを利用しており、医療依存度の高い方が安心して暮らせる場所として注目されています。
現在は都市部中心に展開されていますが、今後全国にも広がっていきそうです。
老人ホーム入居までの流れ
老人ホームは昨日の今日で入居できるものではなく、問い合わせから入居まで最短でも1カ月弱かかります。
興味のある施設があれば、まず空室状況や受け入れ可否を確認した上で見学の予約を取ります。見学では施設の設備や入居者の様子を確認し、施設担当者からサービスや費用について説明を受けます。
見学後「入居したい」という意向があれば、入居の申し込み(仮押さえ)をし必要書類を提出します。さらに、審査や面談を経て、施設から入居可という判断が出てはじめて契約となります。
入居される方のお身体状態などによっては面談で入居NGとなることもあるため、複数のホームを同時に検討・見学することをおすすめしています。
老人ホーム探しなら「介護のほんね」にご相談ください
このように老人ホームにはさまざまな種類があります。特に民間施設に関しては、運営法人やブランドによってさまざまな特色があります。見学予約を取るにも、都度、お身体状態などについて説明して受け入れ可否を確認しなくてはならないのも老人ホーム探しの大変さの一つでしょう。
そんな時は「介護のほんね」にご相談ください。現在のお身体状況やご予算、ご希望エリアから条件に合った施設を提案いたします。気になる施設への受け入れ可否の確認や見学調整もお任せください。
「まだ何も決まっていない」「どの施設がいいか分からない」そんな状態でも大丈夫。入居相談員が次のステップについて一緒に考えますので、お気軽にお問い合わせください。
- e-Gov法令検索「介護保険法」
- e-Gov法令検索「老人福祉法」
- 厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会) 第221回(2023年8月7日開催)資料「【資料1】介護老人福祉施設」「【資料2】介護老人保健施設」「【資料3】介護医療院」「【資料4】特定施設入居者生活介護」
- 厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会) 第218回(2023年6月28日開催)資料 「【資料4】認知症対応型共同生活介護」
- 厚生労働省 住まい支援のための連携強化のための連絡協議会 第1回(2020年8月3日開催)資料 「【資料10】全国老施協説明資料」
- PwCコンサルティング合同会社「令和4年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究 報告書」
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」
- なるほど!ジョブメドレー「LIFE/科学的介護の導入による介護業界の変化とは?現在の状況と課題、今後の見通しを聞きました 」
- 2023/08/30 全面更改
- 2022/04/05 本文修正
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- 2020/09/30 タイトル修正
- 2020/09/20 導入文修正
- 2020/09/09 初版公開
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