認知症の症状とは|中核症状・周辺症状・家族の対応などを種類別に紹介

高齢になるにつれて心配なのが認知症です。どれだけ注意をしていても、誰もがかかってしまうリスクがあります。早期発見によって進行を遅らせることができ、家族としては早めに対処をしなくてはいけません。そのために認知症ならではの行動について知りましょう。今回は認知症の症状についてご紹介します。「どのような変化が見られたら認知症を疑うべきなのか」を把握して、家族の介護に備えておきましょう。

認知症の症状とは|中核症状・周辺症状・家族の対応などを種類別に紹介
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

認知症とは

認知症とは「疾患などによって脳の働きが低下してしまった結果、発生する症状の総称」です。全部で約70種類あります。種類によって発生する症状が違いますので、注意深く観察することが必要です。

認知症の症状は大きく2つに分かれます。それが「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」です。簡単にまとめると「中核症状」は脳の機能が低下することで発生する症状であり「周辺症状(BPSD)」は中核症状によって引き起こされる二次的な症状になります。では、より詳しく説明しましょう。

認知症の症状

認知症の「中核症状」とは

中核症状とは脳の機能が低下することで起こる症状です。主な中核症状を1つずつ紹介します。

記憶障害

記憶障害はその名の通り「記憶が抜け落ちてしまう症状」です。「老化による物忘れ」と誤解されがちですが、両者ははっきりとした違いがあります。物忘れは何かヒントになる情報を伝えれば思い出すものです。しかし認知症の場合は、記憶そのものが抜け落ちているので、ヒントがあっても思い出せません。

例えば昼食のメニューを思い出せない場合は「物忘れ」です。「昼ごはんを食べたか否か」を思い出せない場合は「記憶障害」になります。

見当識障害

見当識とは周りの風景や状況、人々などの情報から「なぜ自分はここにいるのか」「今日は何曜日か」「季節は何か」などを把握することをいいます。例えば「昨日は金曜日だったから今日は土曜日だ。休日だから出社はしないし、朝は〇〇のテレビ番組が放映されている」という情報はわざわざ考えなくても分かっているものです。人は見当識によって無意識のうちに自分を取り巻く情報をキャッチしています。

見当識障害になると時間や場所などの見当識を把握できません。順番としては「時間」「場所」「人間関係」の順番で分からなくなるのが特徴です。まずは日付や曜日を把握できなくなり、次に自分がいる場所が分からなくなります。進行すると自分の家族や友だちを忘れてしまうのです。

理解・判断の障害

理解・判断の障害が起きると、状況を理解して判断するまでのスピードが遅れてしまいます。たとえば「会計の際にどの硬貨をどれだけ出せばいいのかがすぐに分からない」「数人で話している際に自分だけ内容が理解できず、関係のない話を始める」などが主な行動です。

実行機能障害(遂行機能障害)

実行機能障害とは、食事や買い物などをきちんと遂行するために計画を立てたり、段取りを考えたりする能力が低下する症状になります。具体例を挙げると「食べきれない量の食品を買ってしまい腐らせる」「掃除や料理などの家事をするために、いつ、どの道具を使えばいいのかが分からなくなる」などです。

視空間認知障害

視力には問題ないのに、脳の機能低下によって空間を視認することができない状態を指します。具体的にいうと「方向感覚が分からなくなり、通い慣れた道で迷ってしまう」「置いてある物と自分との距離を正確に測れなくなる」といった問題が起きるのが特徴です。

失語

脳のうち言葉を司る部位の機能が低下することによって、うまく言葉を使えなくなります。とはいえ、会話をする際に使う脳の機能はさまざまです。「相手の声を聞く」「聞いた声を言葉だと認識する」「知っている単語を探して、回答すべきフレーズを考える」「言葉を発する」などの動作があります。失語の場合は、会話をしながらどの動作でつまずいたかを確認することで、脳のパフォーマンスが落ちている部位が分かります。

失認

触覚・視覚・聴覚・嗅覚・味覚の感覚が低下する、もしくは消失することを指します。この結果「普段から食べている好物が苦手になる」「手先がうまく使えなくなる」「知っている人がまったく別人のように見える」などの変化が訪れます。

失行

筋肉の動きには問題がないのに、日常動作が急にできなくなることを「失行」といいます。失語や失認を総称する場合もあります。

失行は大きく分けて4種類です。無意識だとできる動作なのに意識するとできなくなる「観念運動失行」、使い慣れた道具が急に使えなくなる「観念失行」、図形の模写ができない「構成失行」、ボタンを外して服を着るなど、着脱の順番が分からなくなる「着衣失行」になります。

これらが8種類の主な中核症状です。中核症状が起こると副次的に周辺症状が表れます。では続いて周辺症状について見ていきましょう。中核症状を主軸にしてみると理解しやすいはずです。

認知症の「周辺症状(BPSD)」とは

周辺症状とは中核症状によって引き起こされる症状です。原語である「Behavioral and psychological symptoms of dementia」を略して「BPSD」といわれることもあります。表立って表れる症状ですので、家族にとっては周辺症状のほうが目に付きやすいはずです。では、具体的に起こる症状を順に見ていきましょう。

徘徊

目的なく外を歩き回ることです。さまざまな中核症状が原因になるケースがあります。例えば視空間認知障害の場合は道に迷っているうちに徘徊してしまいますし、記憶障害の場合は帰宅途中に「家に帰っている」という動機を忘れてしまう場合もあるのです。

また徘徊の間接的な要因となっているのが「夕暮れ症候群」です。夕暮れ症候群とは、見当識障害や記憶障害などによって自分の置かれている状況を把握できなくなり、介護施設や家にいながら「家に帰らなきゃ」と思ってしまう症状をいいます。日が落ちてくると特に「家に帰って晩御飯の準備をしなきゃ」と不安に思ってしまい、外出してそのまま迷子になってしまうこともあります。夕暮れに症状が現れることから「夕暮れ症候群」といわれるのです。

夕暮れ症候群に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

抑うつ

抑うつとは気分が落ち込んでしまい、意欲が減退することです。中核症状によってできないことが増えます。本人も「何かおかしい」と気づいており、日常生活を満足に過ごせない結果、気分が落ち込んでしまうのです。

ただし認知症の抑うつ症状ではなく、本来のうつ病の可能性もあります。両者は非常に似通っているので間違えてしまうこともあるでしょう。認知症の抑うつ症状の場合はゆっくりと症状が進行していきますが、うつ病の場合は急速に症状が進行します。またうつ病の場合は記憶障害がありません。もしご家族にうつのような症状が現れた際は「記憶障害の有無」などで判断しましょう。分からない際はかかりつけ医を受診することをおすすめします。

認知症とうつ病の違いについては以下の記事でも紹介しています。

アパシー

アパシーとは「無気力」を指す言葉です。抑うつと混同されることもありますが、アパシーの場合は気分が落ち込むこともありません。かといって、気分が高揚するわけでもなく、フラットな状態になってしまいます。何をやってもうまくいかず外部との接触もなくなってしまった結果、身の回りのことへの関心が薄れてしまう症状です。

アパシーについては以下の記事でも紹介しています。

易刺激性・易怒性

記憶障害や見当識障害の場合は「周りが明らかに異変に気づいていても、本人は普通の行動をしている」ということがあります。そんなときに頭ごなしに否定してしまうと怒りが溜まってしまうのです。またそれが続くと結果的に怒りっぽくなってしまいます。これが易刺激性・易怒性です。

幻覚

中核症状である視空間認知障害や記憶障害などによって強烈な不安や恐怖を覚えた結果、幻覚が見えてしまう可能性があります。もともと視力に異常をきたしており、五感が安定していません。そのうえで記憶障害によって、いないはずの人が見えたりするのです。

妄想

中核症状である記憶障害が発生した結果、妄想にとらわれることがあります。例えば「物盗られ妄想」の場合は家族に対して「自分の財布を盗んだ」と疑いをかけることもあります。これは記憶障害によって記憶が曖昧になっているうえ、不安を感じた際などに出てくる症状です。

失禁・ろう便

排泄行為に関する周辺症状が起こる可能性もあります。例えば「失禁」は中核症状である「理解・判断の低下」や「失語」「失行」などによって引き起こされるのです。自分がトイレに行きたいことをうまく伝えられなかったり、とっさに判断ができなかったりした結果、失禁につながります。

また便を壁や床などにこすり付けてしまう「ろう便」も周辺症状の1つです。「理解・判断力の低下」によって便を認識できなかったり、便を処理したいものの「失行」によって適切な処理方法が分からず、床にこすりつけてしまうケースもあります。

睡眠障害

周辺症状によって睡眠障害が現れます。見当識障害によって時間がわからなくなったり、同じ周辺症状である失禁をしてしまうと不安になって眠れなくなることもあるのです。また、夜に幻視を見てしまい、恐怖で眠れなくなることもあります。

暴力・暴言

暴力や暴言も周辺症状の1つです。易刺激性・易怒性に近い理由で暴力行為をすることがあります。また脳の機能が低下することで、いつもは我慢できたことも、こらえきれなくなるのが要因です。

これらの9項目が主な周辺症状です。あくまでも中核症状によって引き起こされる二次的な症状になります。まずは原因である中核症状をしっかりと把握したうえで、対応が必要です。

各症状の初期段階で気を付けたいこと

主な中核症状と周辺症状についてはご紹介しました。ただし突然これらの症状が顕在化するわけではなく、初期段階での明らかな変化はあまりありません。「物忘れかな」「いつも短気だから」と見逃してしまうこともあります。なぜなら軽度の物忘れや判断のミスなどは認知症でなくても起こるからです。

しかし認知症は早期発見・早期治療によって進行を遅らせることができます。そのため、家族の異変には早めに気づくことが大切です。ここでは早めに気づけるような初期症状のサインを紹介しましょう。

記憶障害の初期症状

記憶障害は前述した通り、ヒントを与えても思い出せないのが特徴です。例えば「電話を切ったあとに、さっきまで電話をしていたことを忘れる」という初期症状があります。電話の内容ではなく、電話をしたという体験を忘れていたら要注意です。

判断力低下の初期症状

趣味や家事などでミスが続いた場合は注意しましょう。また新しいことを覚えられなくなるのも脳機能が低下していることが理由です。判断力が鈍ると、満足な日常生活を送れなくなる可能性があるため、早急に治療を検討しましょう。

見当識障害の初期症状

「集合時間に遅れる」「道を間違える」などは誰しもあることです。しかし何度も繰り返すようになったら注意しましょう。時間や場所に関する見当識が低下している可能性もあります。

人柄の変化の初期症状

「温和で心優しい人だったのに急に怒りっぽくなった」「自分のミスを人のせいにした」などの、人格の変化も認知症の初期症状といえます。アルツハイマー型認知症の場合は、急に頑固になるというケースも多いようです。

抑うつやアパシーの初期症状

認知症によるミスを周りから否定され始めたら、気を付けて本人の様子を見るようにしてください。気分が落ち込んでしまう可能性があります。「一歩も外に出たがらない」「趣味をまったくしなくなった」などの行動が目立つようになったら、注意しましょう。

暴力や易怒性の初期症状

穏やかだった方が、明らかに暴力的な性格に変わった場合は注意が必要です。また、以前では考えられないような言葉を使う場合も認知症を疑ってください。

妄想や幻覚の初期症状

「事実ではないことを本当かのように話す」「会話が噛み合わない」などの症状の場合は認知症である可能性があります。また「壁に向かって1人で話している」「誰かを避けるようにして歩く」などの行動は幻覚を見ている可能性もあります。

徘徊の初期症状

徘徊は家の中だけではなく、外をうろうろすることもあります。「スムーズに家に帰ってこられない」「なぜ歩いているのかが分からない」といった症状の場合は外出する際に注意が必要です。

認知症ごとに症状は違うので要注意

さて認知症の中核症状、周辺症状、そして初期段階で気を付けたい症状について説明しました。これらの症状は認知症の種類によって、すべてが表れるわけではありません。認知症の種類は実に70種類以上もあり、それぞれで症状に違いがあります。

すべての認知症のうち、92%を占めているのは「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」です。まとめて「三大認知症」といわれています。では三大認知症によって、どのような症状が出るのでしょうか。順に見ていきましょう。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは日本の認知症の70%近くを占めている認知症です。記憶力や思考力が徐々に失われてしまいます。アルツハイマー病が原因で引き起こされるのが特徴で、比較的、女性のほうが多いとされている認知症です。

代表的な中核症状

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断の障害など

代表的な周辺症状

  • 易怒性
  • 妄想など

アルツハイマー型認知症については以下の記事でも紹介しています。

血管性認知症

血管性認知症はアルツハイマー型認知症の次に多い認知症で、約20%を占めています。脳卒中を始めとする脳の疾患によって脳がダメージを受けることで発症します。アルツハイマー型と同じく、記憶障害や判断力の衰退などがありますが、特徴的なのは手足の麻痺など、運動器官の不調です。

代表的な中核症状

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断の障害など

代表的な周辺症状

  • 歩行障害
  • 抑うつ
  • アパシー

血管性認知症については以下の記事でも紹介しています。

レビー小体型認知症

レビー小体というタンパク質が大脳に蓄積することで発症するのが「レビー小体型認知症」です。他の2つの認知症とは大きく異なり、初期症状として手足の震え動作の鈍化などが見られます。また周辺症状として幻覚が見えるのも大きな特徴です。

代表的な中核症状

  • 記憶障害
  • 視覚認知機能障害
  • 実行機能障害など

代表的な周辺症状

  • 幻覚
  • 抑うつなど

レビー小体型認知症については以下の記事でも紹介しています。

このように認知症の種類によって症状が変わります。種類別の症状を知っておくことで、家族の異変に気づいた際はどの認知症かを予想することにも役立つでしょう。なお、認知症の治療方法については下記の記事に詳して解説しています。

段階別の症状で見る認知症

認知症を診断された場合に、どのような段階を経て症状が進むのでしょうか。一般的な認知症が進行する流れと段階を紹介します。認知症の症状や進行速度は人にとって異なるということを前提に参考にしてください。

大きく分けて4段階

認知症の症状の段階は主に「前兆期」「初期」「中期」「末期」の4段階です。下記の図のような経過を辿ります。段階ごとの症状を紹介しましょう。 認知症の症状の段階

前兆期(軽度認知障害)

前兆期は軽度認知症(MCI)です。アルツハイマー型認知症の場合は、名前が思い出せないなどの記憶障害が中心です。日常生活に支障をきたすことはありません。

周辺症状としては不安やめまい、頭痛、意欲減退などが見られることもあります。この段階で早期発見できれば進行を遅らせることが可能です。

軽度認知症(MCI)については下記の記事を参考にしてください。

初期(軽度)

個人差はありますが認知症を発症後のおよそ1~3年は初期段階です。

前兆期に比べると認知機能も低下し、直前の出来事を忘れるようになります。また見当識障害や判断力の低下などが目立ってきます。金銭管理や服薬管理、買い物、料理などの日常生活にも支障が出始めるのも特徴です。

周辺症状としては、アパシーや易刺激性、妄想などの症状が挙げられます。

中期(中度)

進行具合は人それぞれですが、発症後およそ2~10年に中期段階へ突入します。

認知機能の低下だけではなく、失語・失認・失行などが進むケースもあり、ADL(日常生活動作)が低下します。結果、トイレや食事、着替え、入浴などが困難になり身体介護を必要とします。

また、無関心や易刺激性、不安、妄想、幻視、幻聴、徘徊などあらゆる周辺症状が出やすい時期でもあるでしょう。

末期(重度)

末期は認知症を発症してからおよそ8~12年です。認知機能とADLがさらに悪化し、寝たきり状態となります。

介護者との意思疎通も難しくなってくるため、失禁やろう便、異食など周辺症状が生じることもあります。

アルツハイマー病の7段階

アルツハイマー型認知症に関しては、ニューヨーク大学のバリー・ライスバーグ博士により考案された 「アルツハイマーの7つのステージ」という指標があります。どのような段階を経るのか紹介しましょう。

段階1: 認知機能の低下に気づかない

この段階では、専門の検査を受けない限り気づきません。しかしこの段階からゆるやかに認知症が進んでいます。軽度認知障害(MCI)の状態です。

段階2: 非常に軽度の認知機能の低下

徐々に物忘れなどが増えてきて、 本人はおかしいと気づき始めます。慣れていた言葉が思い出せなかったり、鍵や眼鏡、財布など日常的に使用する物の置き場所などを忘れたりします。

段階3: 軽度の認知機能の低下

段階3では家族や友人など周囲の人が変化に気づき始めます。直近の出来事を忘れる、同じ質問を繰り返す、文章を読んでも覚えていない、計画や整理整頓ができないなどが特徴です。

段階4: 中等度の認知機能の低下

段階4は、軽度あるいは初期段階のアルツハイマー型認知症です。段階3の症状がより強く出るようになり、最近の出来事についても忘れてしまいます。複雑な作業が苦手になるため「100から7ずつ引いていく」などの暗算が答えられません。

段階5: やや重度の認知機能の低下

段階5からは、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症という認識になります。現在地や時間、季節が分からないなどの見当識障害も生じます。ただし自分や家族の名前は覚えている状況です。食事やトイレなどの身体介助も必要としていません。

段階6: 重度の認知機能の低下

最近の経験および出来事や周辺の環境はほぼ認識がありません。認知機能の低下に伴い、性格に変化が見られることもあります。着替えやトイレの手助けが必要になることもしばしばです。徘徊し迷うこともあるので介護者も日常的に注意が必要です。

段階7: 非常に重度な認知機能の低下

段階7は最終段階であり、重度のアルツハイマー型認知症です。歩行や座位も困難になり、寝たきり状態が続きます。嚥下障害も出やすく、お食事をすることが困難になることもあります。24時間、日常的な介護です。

認知症の症状に対して家族が気を付けたい対応

認知症の症状が表れると、それまでの家族の姿とは大幅に変化しますので、戸惑ってしまう場合もあります。しかし前述した通り、中核症状に対する家族の対応によって本人のストレスが溜まってしまい、周辺症状を引き起こす可能性が高まりますのでご注意ください。

あらかじめ家族が認知症を理解して対応することで、周辺症状の悪化を予防できる可能性もあります。そこで最後に「各症状ごとに家族が心がけたい対応方法」を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

記憶障害

記憶障害の方は、自分の言動や行動について記憶から抜け落ちてしまうことがあります。そのため、事実無根のことを口にする可能性もあるのです。しかし否定せずに受け止めてあげましょう。またメモや付箋などを見える場所に設置するのも効果的です。

見当識障害

見当識障害は「時間」と「場所」を分かるように明示することが必要です。時間に関しては毎日カレンダーに印を付けてもらうことで「今日が何月何日か」を覚えやすくなります。場所に関しては、各部屋の扉に「トイレ」「お風呂」などを明記しましょう。

理解・判断の障害

理解・判断力が低下している方と接する場合は、とにかく待つことが重要です。動作や会話にすぐにはついてこれませんので、アクションをゆっくりと待ちましょう。

実行機能障害(遂行機能障害)

実行機能障害の方は家事や買い物などを計画的にできません。しかし一緒に付き添ってあげて、一つひとつやり方を教えることで、また改善が見られます。

視空間認知障害

視空間認知障害の場合は道が分からなくなったり、物や人の距離感をうまく掴めなくなったりします。そのため、外出する際は必ず付き添って手を引いてあげましょう。また迷子になる可能性も高いので目を離さないように注意が必要です。

失語

言葉をうまく使えないことがストレスになります。筆談などで対処しながら、最もスムーズにコミュニケーションを取る方法を考えましょう。

失認

失認の場合は五感がうまく働かなくなります。特に触覚がなくなってしまった場合は物を掴んだり運んだりする行為にハードルが生じます。適宜サポートをしましょう。

失行

進行度合いにもよりますが、失行の場合はできることとできないことがはっきりしています。何でもサポートするのではなく、できることは任せましょう。その際にも焦らず、できるまで待つことが重要です。

徘徊

徘徊が起きた際は本人に危険が伴います。ですから、地域と連携したり、センサーを準備したりして事故を未然に防ぎましょう。また何より、本人が1人で行動しないように対処することが大事です。外に出る際には一緒に行動をしましょう。

認知症による徘徊への対応法に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

抑うつ・アパシー

抑うつ状態の際は孤独を感じさせないことが重要です。なるべく一緒に行動してポジティブに過ごすことで笑顔も増えていきます。また生活のリズムを一定に保ちましょう。アパシーの際などは夜に眠れなくなることもあります。規則正しい生活にすることで、肉体から健康にすることが重要です。

易刺激性・易怒性・暴力・暴言

怒りっぽくなった際はこちらも耐えられなくなってしまうかもしれません。しかし言い返してしまうと喧嘩になり、ストレスが溜まってしまいます。また男性の場合は暴力を振るってくると、身の危険を感じるかもしれません。その際は周りの知人を頼ったり、施設入居を考える必要があります。

認知症によって攻撃的になってしまう症状への対応に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

幻覚

体験しないと分からないかも知れませんが、幻覚は本当に見えています。頭ごなしに否定するのではなく、共感することが大事です。すると本人も心が落ち着くでしょう。

妄想

「物盗られ妄想」をはじめとする妄想の出来事は本人にとっては事実です。納得いかないことも否定するのではなく、同調することが重要になります。

認知症による妄想症状への対応に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

失禁・ろう便

失禁や弄便をしてしまうと、本人はひどく情けない気持ちになってしまいます。そこで頭ごなしに叱られてしまうと、落ち込んでしまうでしょう。許容することが大事です。

睡眠障害

睡眠導入剤を利用するのも手段の1つですが、体調に影響を及ぼす可能性もあるのが実状です。日中の活動がないと夜も眠れなくなってしまいますので、お昼に散歩などのアクティビティをしてみましょう。活動量が増えることで自然と夜に眠れるようになります。

認知症の方への接し方に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

認知症の方への対応方法に関しては以下の記事にまとめています。

認知症の症状をきちんと理解して対処をする

認知症になると、記憶や見当識などに障害があらわれます。発言や行動に異変があり、戸惑ってしまうこともあるでしょう。まずはきちんと症状を認識して客観的に認知症の方と接することが重要です。

また1人で対処すると、自分までアパシーや抑うつになってしまう場合があります。周りと協力しながら介護を進めることで、肉体的にも精神的にも負担を軽減することが可能です。

症状を理解したうえで、ストレスを軽減しながら認知症と向き合いましょう。

この記事のまとめ

  • 認知症には約70種類あり、症状もそれぞれ異なる
  • 脳の機能低下で起こる「中核症状」と、中核症状が引き起こす「周辺症状」がある
  • 周囲の対応が新しい症状の引き金になることもあるので、正しい対応方法を知っておくことが大切

豊富な施設からご予算などご要望に沿った施設をプロの入居相談員がご紹介します

老人ホーム探しは
介護のほんねにおまかせください!
おすすめの施設をピックアップしました。
無料入居相談室

お困りの方はいつでも
お気軽にご相談ください

お困りの方はいつでもお気軽にご相談ください

施設の探し方や介護に関するご質問など、プロの相談員が施設探しをサポート致します!

介護スタートガイド

これから介護をはじめる方向け

初心者のための
介護スタートガイド

資料を無料ダウンロード

介護まるわかりガイド

公式SNSアカウントも更新中!

介護に役立つ選りすぐりの
最新ニュースをお届けします!

介護のほんね 老人ホーム探しなら
介護のほんね

入居相談員が無料でフルサポート!

0120-002718

営業時間:9:00〜18:00

みなさんの介護の悩みや気になることを教えてください

集まった質問は今後の参考にさせていただきます!

質問を投稿する