「夕暮れ症候群」をご存知ですか
夕暮れ症候群という言葉を聞いたことはありますか?
認知症の方が病院や介護施設に入ると、「子どもに晩御飯を作りますので、家に帰ります」と何度も話すことがあります。また、自分の家なのに、「そろそろ帰らせてもらいますね。」とそわそわしたり、帰る準備をはじめたり。こうした症状は夕方によくみられるため、「夕暮れ症候群」と呼ばれています。
今回はこの夕暮れ症候群について紹介していきます。
自分が置かれている状況がわからなくなる、その原因
夕暮れ症候群の主な原因は、認知症の症状である見当識障害や記憶障害です。見当識障害になると、時間、場所、自分が置かれている状況をきちんと認識できなくなります。ですから、施設にいることや入院していることが認識できず、家に帰らなければと身支度を整え始めるのでしょう。
また、記憶障害がおこると新しいことがなかなか覚えられず、覚えていたはずの記憶も徐々に失われていきます。仮に、数年前から数十年前の記憶がごっそり失われてしまっていたらどうなるでしょう。最後に残っている記憶の世界が今の世界となってしまいます。ですから、今住んでいる家は自宅ではなく他人の家に思えてしまうのです。夕方になれば「そろそろお暇しなければ」と考えてしまうのもうなずけます。病院や施設のスタッフ、そして認知症の方の家族にとっては対応に頭を悩ませてしまいますが、本人にとっては当然の行動なのですね。
対応するときは認知症の方の気持ちを理解して
夕暮れ症候群かな?と思ったら、まずは認知症の方のこうした状況をよく理解することが大切。その上で、周りの方は上手に受け入れていくことが重要です。
理詰めで話してわかってもらおうとするよりも「ご家族には連絡を入れますので、ゆっくりしていってください。」のように本人の言い分を聞きつつ、協力をお願いする声かけが有効です。「途中まで送りましょう」と、一緒に散歩して気分を紛らわすのもいいでしょう。ついやってしまいがちですが「ここがあなたの家でしょう」と言ったりすると、余計に混乱してしまうかもしれないので要注意です。
このように、認知症の方の気持ちを理解したうえでケアにあたることは、認知症の方との関わり方全体に言えること。頭でわかっていても簡単ではないのも事実なので、夕暮れ症候群などさまざまな事例を知ると同時に、認知症の方がスムーズに暮らせる方法を日頃から考えていきたいですね。
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この記事の寄稿者
もなか
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。