【医師監修】レビー小体型認知症(DLB)とは|診断基準・治療・リハビリなどを解説

レビー小体型認知症は三大認知症の1種です。このレビー小体型認知症には、認知機能障害に加えて、幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害などが現れるといわれています。この記事では認知症専門医である湘南いなほクリニック内門大丈院長の監修のもと、レビー小体型認知症について分かりやすくまとめました。「具体的な症状」「治療方法」「ケアのポイント」を紹介します。

【医師監修】レビー小体型認知症(DLB)とは|診断基準・治療・リハビリなどを解説

横浜市立大学医学部卒業。2011年より現職。現在は、いなほクリニックグループ共同代表として認知症在宅医療を推進する一方、N-Pネットワーク研究会代表世話人、日本認知症予防学会神奈川県支部支部長、レビー小体型認知症研究会事務局長などの取り組みを通じて、認知症診療の充実ならびに認知症啓発活動に精力的に取り組む。『 レビー小体型認知症 正しい基礎知識とケア 』(池田書店)など著書多数。

レビー小体型認知症とは

認知症の1種であるレビー小体型認知症は、認知症とパーキンソン病の症状が現れる病気です。レビー小体型認知症を英語でいうと「Dementia with Lewy Bodies」であり、頭文字をとって「DLB」とも呼ばれています。

すべての認知症患者のうち、レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症の次に多い疾患です。約500万人いる全認知症患者の20%がレビー小体型認知症と報告されています。

患者の男女比は、欧米では男性がはるかに多いという報告もありますが、本邦では性差は少なく、男性がやや多い程度といわれています。

主な症状には「幻視」「パーキンソン症状」「認知機能の変動」「レム睡眠行動障害」が挙がります。特に幻視や「手足が震える」「動きが遅くなる」などのパーキンソン症状は、アルツハイマー型認知症や他の変性性認知症にはみられないか、少なくとも初期にはみられないことから重要な特徴となります。

原因は「レビー小体」

レビー小体型認知症の原因となる「レビー小体病」とは、αシヌクレインというタンパク質からなる「レビー小体」が脳内に溜まることで発症する病気です。脳内にレビー小体が蓄積される原因は分かっていません。

なお、レビー小体はパーキンソン病患者にも見受けられます。レビー小体が脳幹に見られるとパーキンソン病と診断されるのです。脳幹は運動調節機能に加えて、呼吸・循環・意識を調整しています。

さらに広がり脳全体にレビー小体が見られると、認知症の症状も現れるためレビー小体型認知症と診断されるのです。

レビー小体型認知症の進行

レビー小体型認知症の症状は時間とともに進行します。アルツハイマー型認知症に比べると進行が早いのが特徴です。個人差がありますが、初期・中期・後期で症状が違います。初期~後期までにかかる時間は10年未満といわれています。前兆も含めて、具体的な症状についてはこの後に解説します。

レビー小体型認知症患者の症状と出現時期と頻度
レビー小体型認知症患者の症状と出現時期と頻度 参考:Hiroshige Fujishiro,Eizo Iseki,Shinichiro Nakamura,Koji Kasanuki,Yuhei Chiba,Kazumi Ota,Norio Murayama,Kiyoshi Sato「Dementia with Lewy bodies: early diagnostic challenges

前兆

レム睡眠行動障害、便秘などの自律神経症状、嗅覚低下、うつ

もっとも特徴的なのは睡眠時に大声を出す、暴れるなどの「レム睡眠行動障害(RBD)」です。これらは、10年以上前から家族に指摘されている場合もあります。また、便秘や立ちくらみなどの自律神経症状、嗅覚低下、うつが前兆として現れることも多様です。

うつ病と診断されていたが、実はレビー小体型認知症だったというケースもあります。記憶障害が明らかでなくても、上記のような症状を認めた場合は、レビー小体型認知症に進展する可能性があるので注意が必要です。

初期

認知機能障害、パーキンソン症状、幻視

初期には、必須症状である認知機能障害がまず出現します。記憶したり保持したりに比べて、再生の障害が目立つことが多いです。

また、もの忘れなどの記憶障害よりも注意障害や視空間認知障害、実行機能障害が目立ちます。視空間認知障害はアルツハイマー型認知症では病気の進行とともにみられますが、レビー小体型認知症は、記憶障害が軽度のうちから障害されることが多いです。また認知機能の動揺も初期から出現するでしょう。

中核的特徴として、手足が震えるなどのパーキンソ症状や存在しないものが見えてしまう幻視があります。出現時期に関しては、レビー小体型認知症の病理学的亜型によって異なりますので、必ずしも初期段階で、パーキンソ症状は必発ではありません。病状の進行とともにパーキンソン症状が顕在化してくる方は多いです。

パーキンソン症状の特徴的な症状は、筋固縮、静止時振戦、姿勢反射障害、動作緩慢の4つです。前傾姿勢で小刻み歩行のような歩行障害がみられた場合は、パーキンソン症状の合併を疑ってください。

中期

初期症状のさらなる悪化

中期になると、アルツハイマー型認知症と同様の記憶障害、見当識障害が顕在化し、日常生活上の介助や支援が必要な状況になります。初期にもみられた視空間認知障害がさらに進行し、起立性低血圧などの自律神経症状もあいまって、転倒のリスクが高くなります。

また、初期には自覚できていた幻視が、自覚できなくなり妄想などへ発展してしまう場合もあります。パーキンソン症状も悪化する方が多く、副作用に注意しながら適切な薬物治療も必要になってきます。

後期

転倒のリスク、寝たきり、嚥下機能低下

後期はパーキンソン症状が強く現れ、転倒のリスクも高まり、一度転倒して骨折すると、車椅子生活になることもあります。また、四肢体幹の固縮が急速に進行し、拘縮を起こして歩行困難となり、寝たきり状態になりやすいです。

飲食物を飲み込む嚥下機能の低下も生じやすく、自発性低下も加わり食事摂取困難になります。誤嚥性肺炎が引き起こされる危険も高まり、状況によっては胃ろうなどの経管栄養を検討しなくてはいけません。

レビー小体型認知症の余命への影響

アルツハイマー型をはじめとした他の認知症に比べるとレビー小体型認知症は進行が早いと考えられていますが、平均罹病期間には幅があり、臨床経過と予後が多様です。

他の変性性認知症と同様に、レビー小体型認知症を完治させる治療方法はありません。ただし症状を緩和させるための工夫はできます。レビー小体型認知症と診断された場合は「早期の治療」「リハビリテーション」「安全な室内環境」が大切です。

次に具体的な症状と対処法を解説します。

レビー小体型認知症の症状と対応方法

レビー小体型認知症は多様な症状が現れます。脳の細胞が影響を受けて生じる中核症状から、中核症状に応じて引き起こされる周辺症状などさまざまです。ここではレビー小体型認知症の代表的な症状と対処法を解説します。

パーキンソン症状

初期症状としてパーキンソン病特有の症状が現れます。運動機能が不自由になることで以下の症状が現れます。なお、同時に「抑うつ」「不眠」などの精神的な症状も現れます。

代表的なパーキンソン症状
  • 手足の震え(振戦)
  • 動作の緩慢(寡動・無動)
  • 筋肉のこわばり(固縮)
  • 体のバランスが悪くなる(姿勢反射障害)
  • 歩行障害
  • 無表情
  • 抑うつ
  • 不眠

日常生活での対応ポイント

筋肉や関節が固くなって平らな床でもつまずきやすくなるので転倒に注意が必要です。一度骨折してしまうと、寝たきりや車椅子生活を余儀なくされることもあります。

特に目立つのが「椅子から立ち上がるとき」「階段で移動するとき」です。バリアフリーにリフォームするなど住環境を見直してください。

転倒の引き金となる要因は環境だけではありません。実はご本人が転倒しそうな際に「危ない!」と大きな声をかけることは逆に危険な行為でもあります。その声に驚き転倒するケースがあるからです。下記の適切な対応のように、事前に転倒リスクを軽減するよう環境を整えておくことが大切でしょう。

適切な対応
  • 歩行、椅子の立ち上がり、階段の使用に注意
  • マットや電気コードなど居室内の段差や凹凸を減らす
  • サンダルなどの脱ぎやすい履物を避ける
  • 後ろから不意に声をかけたり、驚かしたりしない

幻視・妄想

後頭葉の視覚野の機能低下や注意覚醒機能の低下などで幻視が現れるとも考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。「存在しないものが見える」などの幻視や「見えるものが違う形に見える」などの錯視はレビー小体型認知症の特徴です。それに伴い妄想へとつながることがあります。

日常生活での対応ポイント

幻視は室内の環境を整えることで改善できるといわれています。まずは室内に見間違いとなる影を作らないこと。照明の明るさを均一にするなど工夫を凝らしてください。「ハンガーにかかった洋服」「テレビのランプ」「柄の壁紙」などを避けてなるべくシンプルな居室を造ります。

妄想に関しては周囲が否定してはいけません。幻視により、誰かと浮気をしているなどの妄想に関しては、きちんと否定をした方が良い場合もありますが「どのような気持ちになったか」など感情についても尋ね、気持ちによりそうことが必要です。また家族が妄想の対象となってしまった場合は、少し距離を取ることも一案です。

適切な対応
  • 室内の照明の明るさを統一する
  • 壁に洋服をかけない
  • 周囲に目立つものを置かない
  • 妄想を否定しない
  • 妄想が発展して手に負えない場合は医師へ相談する

認知機能障害

レビー小体型認知症も、認知機能障害が現れます。ただしアルツハイマー型認知症に比べると初期にはあまり目立ちません。

意識がはっきりとした状態とぼやっとしている状態が交互に来ることが特徴です。調子が良い状態で検査を受けると、正確な認知症の診断が難しいといわれています。

レビー小体型認知症の場合は認知機能障害のなかでも視空間認知障害が目立ちます。視空間認知障害は、目の前にある物が見えているにも関わらず正確に認識できない症状です。自分の身体の位置を把握することが難しくなり、足元との距離感も掴みにくいため転倒のリスクも高まります。

日常生活での対応ポイント

空間をうまく把握できないので、階段などの段差を上がるときもどこまで足を上げていいのか迷います。そのような場合は、明るい靴や靴下を履いてもらいましょう。足元の色を明るくすることで、どこまで足が上がっているか自分で認識しやすくなります。

適切な対応
  • 明るい靴や靴下を履く
  • 階段では段ごとに色違いのテープなどを張り目印をつける
  • 落下や転倒の危険がある部分にはセンサーをつけて音で知らせる
  • 探し物を一緒に見つけてあげる

自律神経症状

自律神経は循環器・消化器・呼吸器などの活動を無意識に調整しています。自律神経のバランスが崩れるとさまざまな不調が現れるのです。

レビー小体型認知症の原因であるレビー小体は脳の他にも心臓や食道などの自律神経にも現れます。そのため、以下の不調に悩まされることが多くなるでしょう。

代表的な自律神経症状
  • 排泄にまつわる症状(便秘・頻尿・尿失禁)
  • 起立時の立ちくらみ(起立性低血圧)
  • 食後の立ちくらみ(食後性低血圧)
  • めまい・失神

日常生活での対応ポイント

低血圧による立ちくらみに注意してください。パーキンソン症状でも解説しましたが、椅子から立ち上がる際は注意しなければいけません。特に食後は食後低血圧という急激に血圧が下がる症状がでる危険性があるので要注意です。

また便秘や頻尿、尿失禁に悩んでいる人も多く見られます。対策としてはこまめな水分摂取が重要です。

適切な対応
  • 起き上がったらその場で脚を上げて足踏みする
  • めまいを感じたらしばらく動かない
  • 入浴やアロマなどで心身をリラックスさせて自律神経を整える
  • 1日1リットル以上の水分を補給する

レム睡眠行動障害

睡眠には熟睡状態の「ノンレム睡眠」と浅い睡眠状態の「レム睡眠」があります。ちなみに夢を見ているときはレム睡眠です。

レム睡眠時に大声を叫んだり、眠ったまま歩き回ったりなどの異常行動をレム睡眠行動障害といいます。健康な場合は、レム睡眠中に身体に力が入りませんが、レビー小体型認知症の人は身体に力が入ってしまいます。悪夢を見ることも多いようです。

レム睡眠行動障害はレビー小体型認知症の前兆から初期に多くみられる症状です。中期以降になると生じにくくなります。

日常生活での対応ポイント

レム睡眠行動障害は10分以上も続きません。夜中に症状が現れた場合は危険がないように見守ってください。

朝方に症状が現れた場合は部屋を明るくしたり、目覚ましを鳴らしたり、自然に目を覚ますように手伝います。冬の時期は外の冷たい空気を入れるのも効果的です。身体に触れて起こすことは、より強い刺激になるため控えてください。

適切な対応
  • 10分以内で治まることが多く、危険がないように見守る
  • 身体を揺らす、声を掛けるなどして起こさない
  • 歩き始めたら、付いていき様子を見守る
  • 夜にぐっすり眠れるように、日中に活動する
  • 不安になるニュースや怖い映画などを避ける

抑うつ症状

抑うつ症状にかかると「気分が落ち込む」「何をする気も起こらない」など慢性的に憂鬱な気分になります。レビー小体型認知症の多くの人は抑うつ症状が出現します。精神状態に合わせて、食欲の低下や倦怠感などの身体症状も現れます。

日常生活での対応ポイント

ストレスを溜め込むと抑うつ症状は悪化します。周囲もご本人が孤立しないように、積極的なコミュニケーションを心がけてください。

適切な対応
  • 本人が嫌がることを強制しない
  • 本人が得意なことに役割を与える
  • 散歩や趣味など気分転換になる活動を勧める
  • 「がんばれ」などプレッシャーとなる言葉をかけない

レビー小体型認知症の診断方法

レビー小体型認知症の症状が思い当たる場合は、早めの診断をおすすめします。現在、レビー小体型認知症を根治させる治療はありません。ただし、進行を遅らせるための治療は可能です。

また診断を受けることで、周囲もレビー小体型認知症の理解が深まり、適切なケアを実践できます。続いて実際に医療機関での診断方法やレビー小体型認知症の基準を解説しましょう。

STEP1:面談・問診

まずは医師との面談や問診を実施。「いつからどのような症状が現れたか」「どのくらいの頻度で現れるか」「症状の進行具合」など、いつもの様子を質問されます。

ただしレビー小体型認知症の人は、初期には記憶障害が明らかでないため、「認知症」という表現ではご本人もご家族もしっくりこないことが多くあります。医師によっては、「レビー小体病」という病名を使用する場合もあります。頭がおかしくなったと思われたくないために症状をあまり多く語らない場合もありますので、同行しているご家族が状況を伝えることで、問診がスムーズに進むこともあります。

レビー小体型認知症の疑いがある場合は前駆症状のチェックリストに当てはまる症状を、医師に伝えるといいでしょう。

前駆症状のチェックリスト
1 物忘れ、日付を間違える。物の名前が出ず、あれ、それと言うことが増えた。
2 匂いがしない、匂いが分からない。
3 3日以上の便秘。あるいは定期的な下剤の服用。
4 繰り返す立ちくらみがある。
5 失禁。下着を汚してしまうことがある。
6 汗がたくさん出る。
7 唾液がたくさん出る。
8 睡眠のリズムが変わった。
9 睡眠中に夢と現実が分からなくなることがある。
10 睡眠中に手足が動いて、ベッドから落ちたり、隣で寝ている人がケガしそうになったりすることがある。
11 悪夢を繰り返している。
12 気持ちが落ち込んだため、病院で受診したことがある。
13 不安が強くなったために、病院で受診したことがある。
14 不機嫌。イライラ、怒りっぽくなった。
15 意欲がなくなった。無気力になってしまった。
16 他の人には見えないものが見える。
17 いないはずの人の気配を感じる。
18 歩行がゆっくりになり、つまずいたり、バランスが悪くなったりする。
19 手足が震えるようになった。
20 動きがゆっくりになった。
参考:Chiba Y et al. 「Dementia Geriatr Cogn Disord 2012

STEP2:身体検査

一般的な身体検査です。糖尿病や高血圧など、認知症を引き起こす要因となる病気を発症していないか調べます。

主な身体検査
  • 血液検査
  • 聴診・触診(神経学的検査を含む)
  • 心電図検査

STEP3:認知症検査

最後に認知症検査を実施します。認知症検査は「神経心理学的検査」「画像検査」の2種類です。

神経心理学的検査

神経心理学的検査は認知機能の状態を評価するテストです。検査の内容は医療機関によって異なります。質問に答えたり、書いたり、道具を使ったりすることがほとんどです。

テストを通じて記憶力・見当識・実行機能などを見極めます。テストの点数と失点場所を確認することで「認知症の疑い」を判定します。

主な神経心理学的検査
  • 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
  • ミニメンタルステート検査(MMSE)
  • 時計描画試験(CDT)

認知症テストについては下記の記事で詳しく解説しています。

画像検査

画像検査は、脳の萎縮をみる形態画像検査と脳機能画像検査があります。それぞれの病気に特徴的な所見があるかを観察します。

検査内容も検査目的によって異なります(下記の表を参考)。レビー小体型認知症の画像検査は「SPECT(DAT-scan)検査」「MIBG心筋シンチグラフィ検査」が有用です。

画像検査の種類
検査方法 検査目的
  • CT検査
  • MRI検査
レビー小体型認知症の場合は異常が見つからない。脳に他の病気がないか調べる。
  • SPECT検査
  • PET検査
脳の血流や代謝を調べる。レビー小体型認知症の場合は後頭葉の血流や代謝が落ちている。(落ちていない人もいるので注意が必要)
  • SPECT(DAT-scan)検査
    (ドパミン トランスポーターシンチグラフィ)
ドパミンを取り込むタンパク質の働き具合を調べる。異常の場合、レビー小体型認知症であること可能性が高い。
  • MIBG心筋シンチグラフィ検査
心筋の交感神経が正常に働いているかを調べる。アルツハイマー型認知症など他の変性性認知症との鑑別ができる。

レビー小体型認知症の診断基準

レビー小体型認知症には正しく診断するための診断基準があります。診断基準は「日常活動に支障をきたす進行性の認知機能低下」が必須です。それに加えて「中核的特徴」および「指標的バイオマーカー」の該当数に応じて「ほぼ確実」か「疑い」かを診断します。

レビー小体型認知症の臨床診断基準(2017年改訂版)

必須の症状
  • 日常活動に支障をきたす進行性の認知機能低下
中核的特徴
  • 注意や明晰さの顕著な変化を伴う認知の変動
  • 繰り返し出現する構築された具体的な幻視
  • 認知機能の低下に先行することもあるレム睡眠行動障害
  • 特発性のパーキンソン症状
指標的バイオマーカー
  • ドパミントランスポーターの取り込み低下
  • MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下
  • 睡眠ポリグラフ検査による筋緊張低下を伴わないレム睡眠の確認
レビー小体型認知症の診断基準
診断 基準
ほぼ確実である
  • 2項目以上の中核的特徴
  • 1項目以上の中核的特徴と1項目以上の指標的バイオマーカー
疑いがある
  • 1項目以上の中核的特徴が存在するが、指標的バイオマーカーの証拠を伴わない
  • 1つ以上の指標的バイオマーカーが存在するが、中核的特徴が存在しない
出典:日本神経学会「第7章 Lewy小体型認知症

他の病気と誤診されやすい

レビー小体型認知症は多様な症状があり個人差もあります。初期には認知機能障害が目立たず、抑うつなどが前景に現われる場合には「うつ病」と診断されたり、「幻視・妄想」などの症状が強いと「統合失調症」と診断されるかもしれません。

診断結果によって治療方法も異なり、統合失調症と診断され、抗精神病薬を使用された場合には、病状が悪化してしまうこともあります。

処方された薬を飲んでも症状の改善しない場合は、かかりつけ医に相談するほか、セカンドオピニオンを受けてみてください。 それではうつ病、アルツハイマー型認知症との違いを紹介します。

うつ病との違い

レビー小体型認知症の約7割の人は「抑うつ」の症状があるといわれています。初期にうつ病の症状が出やすいため「うつ病」と誤診されるケースもあるでしょう。 なお、うつ病にも物忘れなど認知症のような症状が発症します。これを「仮性認知症」といいます。

うつ病であっても、レビー小体型認知症に伴う抑うつであっても、抑うつ状態が強くなると「自分に価値がない」「生きる意味がわからない」などの自責の念があり、苦痛を伴います。

一般的に認知症にみられる「アパシー」(意欲低下)では、苦痛がみられないことで違いがわかります。中高年以降のうつ病をみたときには、レビー小体型認知症への進展の可能性があるかを調べることが必要ですので、医療機関に相談してみましょう。

アルツハイマー型認知症との違い

アルツハイマー型認知症は認知症の代表格です。アルツハイマー型認知症の場合、パーキンソン症状はほとんど現れません。種類によって症状が異なるのです。

また「MIBG心筋シンチグラフィ検査」をすることで、アルツハイマー型認知症かレビー小体型認知症かを判別できます。

レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の比較
レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症
主な原因 レビー小体が溜まり神経細胞が死滅する 脳内に老人斑という物質が溜まり、脳が萎縮する
主な症状
  • 認知機能の変動
  • パーキンソン症状
  • 幻視
  • 睡眠障害
  • 物忘れ
  • 徘徊
  • 妄想(物盗られ妄想)
経過 急速に進行することもある 徐々に進行する
男女比 男性に多い 女性に多い

アルツハイマー型認知症については、以下の記事で詳しく解説しています。

レビー小体型認知症の治療方法

現在の医療にはレビー小体型認知症を完治させる薬はありません。ただしレビー小体型認知症の進行を緩和できます。

処方される代表的な薬に「コリンエステラーゼ阻害薬」「NMDA受容体拮抗薬」があります。これはアルツハイマー型認知症にも効く薬です。

加えて、抗パーキンソン病の治療薬である「レボドパ製剤」「ゾニサミド」も処方されます。症状に併せて抗認知症薬・抗パーキンソン病薬・抗精神病薬が処方されます。

ただしレビー小体型認知症は薬に副作用が出やすく敏感です。もし薬を使う場合は、体調の変化をこまめに観察してください。

また比較的副作用が少ない漢方薬「抑肝散(ヨクカンサン)」を服用することもあります。抑肝散は幻覚・妄想・レム睡眠行動障害に効果があるといわれています。

代表的な主な薬
分類 薬剤名 一般名
抗認知症薬 コリンエステラーゼ阻害薬
  • ドネペジル
  • ガランタミン
  • リバスチグミン
NMDA受容体拮抗薬
  • メマンチン
抗パーキンソン病薬 レボドパ製剤
  • メネシット
  • ネオドパストン
ゾニサミド
  • トレリーフ
抗精神病薬
※できるだけ使用しない
定型抗精神病薬
  • セレネース
  • コントミン など
非定型抗精神病薬
  • リスパダール
  • セロクエル など
漢方薬 抑肝散
  • 抑肝散(薬剤名と同じ)

薬の飲み始めに要注意

前述しましたが、レビー小体型認知症は薬に対して過敏です。そのため、新しい薬を飲み始めた場合は、様子を観察する必要があります。特に抗精神病薬、睡眠薬、風邪薬、胃腸薬、過活動膀胱治療薬などを服薬する際は気にかけてください。

服薬後にこんな症状が現れていませんか?
  • ぼーっとするなど反応が鈍くなった
  • ふらつき、転倒が増えた
  • できないことが増えるなど、認知機能障害の悪化
  • イライラすることが多くなるなど、精神症状の悪化
  • 便秘などの自律神経症状の悪化
  • 体の動きが硬くなるなど、パーキンソン症状の悪化

非薬物治療であるリハビリが効果的

レビー小体型認知症は薬物に過敏に反応するため、非薬物療法であるリハビリテーションも実施します。

特にパーキンソン症状は運動機能が低下します。何もしないで放置しておくと、寝たきりや転倒のリスクも高まるでしょう。寝たきり・転倒予防には、薬物療法よりもリハビリテーションが効果的です。

リハビリテーションは、ご本人のやる気を引き出すために周囲のフォローも大切です。一緒に暮らしているご家族もご本人と散歩や買い物を楽しむなど心がけてください。

転倒予防のための機能訓練は、家事の役割を与えてお願いすることもおすすめです。洗濯、掃除、食器洗いなどは結果が分かりやすく、役割があることに心地よさも感じます。加えてデイサービスや通所リハビリを利用するといいかもしれません。

リハビリテーションを日常に組み込むことで、QOLの向上にもつながるでしょう。

レビー小体型認知症に寄り添う介護のポイント

この記事で紹介したようにレビー小体型認知症の症状は多岐にわたります。症状別のケアポイントも紹介し他通り、人間性を尊重したケアが大切です。一人の人として周囲に受け入れられることは、リラックスできるとともに自分に自信を持てます。

レビー小体型認知症は、初期には自分の症状を客観的にみることもできます。本人が病気の特徴を学ぶことで症状への対処がうまくできることもあるのです。また周囲の人から否定されたり、無視されたりすると、本人も傷つき悲しみます。症状も悪化するでしょう。幻覚や異常行動を取った場合も、周囲の人は、本人の言動を頭ごなしに否定せず感情に寄り添ってください。

また周囲でもフォローが難しくなってきた場合は、家族だけで抱え込まないで、かかりつけ医やケアマネージャー、自治体の相談窓口に相談しましょう。

安全な環境づくりも大切

レビー小体型認知症は、パーキンソン症状を伴うようになると、体が思うように動きません。ちょっとした段差でも転倒しやすい状況です。「居室スペースに段差がある」「ベッドが高くて降りにくい」など、転倒の引き金になる不備がないかを確認してください。

バリアフリーにリフォームしたり福祉用具を使ってみたりと、安全な環境づくりも積極的に実施してみましょう。

介護者1人で抱え込まない

介護者にとっても、認知症の介護は負担が大きいでしょう。疑問や不安があれば、医師やケアマネジャーに相談してください。なお、レビー小体型認知症の当事者、家族、ケアスタッフなど誰でも参加できる「レビー小体型認知症サポートネットワーク(DLBSN)」などの交流会も存在します。1人で抱え込まず、それぞれの専門家に頼りチームでケアに取り組んでください。

参考文献:『レビー小体型認知症 正しい基礎知識とケア 』(池田書店)

この記事のまとめ

  • レビー小体型認知症は、脳に「レビー小体」ができることで起こる認知症
  • 男性患者が多く、手足のふるえや幻視、抑うつなどが特徴的な症状
  • 安全な環境づくりと、本人の主張を否定せず受け入れることが大切

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