地域密着型通所介護とは|通所介護との違いや使える単位数、人員基準など

加齢による心身の衰えは誰にでも平等に訪れます。心身が衰えてくると身体機能が下がるだけでなく不自由さや孤独感から家族に遠慮したり、家にこもりがちになったりする人も少なくありません。しかし、少し体が不自由なだけで、適切なサポートがあれば問題なく日常生活を送れる人も多くいます。そんな人のために用意されているのが通所介護です。

通所介護とは要介護認定を受けた人でも、その能力に応じて自立した日常生活を送れるようにサポートをし、介護を受け持つ家族への負担を軽減することを目的とした制度です。なかでも地域密着型通所介護は小規模事業所での運営となるため、利用者に寄り添ったサポートが可能になります。ここでは通所介護との違いを見ながら地域密着型通所介護について見ていきましょう。

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地域密着型通所介護とは|通所介護との違いや使える単位数、人員基準など
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

地域密着型通所介護とは

通所介護とは、要介護認定を受ける状態になってもその人の能力に応じて自立した日常生活を送れるように心身機能の向上を目指し、社会からの孤立感の解消を目的としたサービスです。同時に、介護を受け持つ家族の精神的、肉体的負担を軽減し、息抜きを目的としているものです。主なサービス内容は日帰りで訪れた利用者へ食事や入浴といった日常生活支援や、生活機能訓練やレクリエーションなどの提供で、利用者の定員が18人以下の小規模な通所介護を地域密着型通所介護といいます。

これまでは通所介護事業所の指定は都道府県の管轄でしたが、2016年より細かい市区町村での管轄へ変わりました。また、利用者定員が19人以上なら「通所介護に該当する事業所」に、18人以下なら「地域密着型通所介護の事業所」と区分され、今まで以上に地域との連携を取れる仕組みとなっています。

地域密着型通所介護の人員基準

地域密着型通所介護には人員基準が設けられています。介護福祉士や介護支援専門員などの資格を持った生活相談員や、理学療法士・作業療法士などの資格を持つ機能訓練指導員、看護師や准看護師の資格を持つ看護職員の他に介護職員と管理者がそれぞれ1名以上必要です。介護職員と管理者には必要な資格は特にありません。地域密着型通所介護は小規模な事業所なため人員基準も多くなく、業務に支障がなければ無理のない範囲で他の職務と兼務している場合もあります。

地域密着型通所介護の利用条件

地域密着型通所介護を利用するには次の3つの条件を満たしている必要があります。

  • 事業所と同一の市区町村に住民票があること
  • 原則65歳以上であること
  • 要介護認定を受けていること

地域密着型通所介護は通常の通所介護と違い、事業所と同じ市区町村に居住している人だけが利用できるのが大きな特徴です。地域と連携を取りながら介護事業に取り組めるような仕組みとなっています。しかし、状況によっては市区町村の同意を得て、他の地域の人が利用できる場合もあるようです。

他にも、原則65歳以上で要介護認定を受けている人が対象ではありますが、特定疾病により要介護認定を受けている場合は40~64歳の人でも利用可能です。要介護1以上の認定を受けた人のみが利用可能であり、要支援の人は利用できません。

地域密着型通所介護のサービス

地域密着型通所介護では食事や入浴、排せつ介助などの日常生活支援や体温や血圧の測定といった健康チェック、生活機能訓練サービスの提供や利用者が参加可能なレクリエーション活動もしています。

利用者は前日までに着替えや歯ブラシ、予備のオムツなどの準備が必要になります。一人暮らしの利用者など、自分で用意するのが難しい場合には訪問介護サービスの際にホームヘルパーに準備を依頼するなどの方法を取るのが多いようです。

食事

地域密着型通所介護では食事やおやつの提供サービスがあります。高齢になると食事量だけでなく回数自体が減ってしまう人も少なくありません。また、一人暮らしや食事の際にサポートが必要な人はどうしても普段の食事に偏りが出やすいです。事業所を利用した時だけでも栄養バランスの整った偏りのない食事をするのは日々の生活に良い変化を与えられます。

事業所で他の利用者たちと会話を楽しみながら食事をすると自然と食事量が増え、食べることが楽しいと思えるようになれば普段の食事も積極的に摂るようになる場合が多いです。そのため、食事を通しての健康管理や服薬のサポートに積極的に取り組む事業所も多くあります。

機能訓練

「お風呂は一人で入りたい」「大好きな手芸を続けたい」といった利用者本人の希望を叶えるため、地域密着型通所介護では機能訓練サービスを提供します。具体的な生活行為やそのための機能の維持にかかわる行為などを目標にし、実践的な訓練を反復して機能の向上や維持を図るのです。

機能訓練を繰り返すことで利用者は自分の希望が現実味を帯びてくる事実に喜びを覚え、積極的に事業所を訪れ機能訓練に励むようになります。希望が叶ったり、好きなことが続けられたりすると人は精神的にも肉体的にも若返る傾向にあるので、機能訓練は利用者本人の希望をしっかりと聞き取りをしてから始める事業所が多いです。

リハビリ

地域密着型通所介護では車椅子生活の利用者が歩行可能になるために足腰を鍛えたり、腕が上がらない利用者へ関節の可動域を広げるリハビリを提案したりと、個々の利用者の状況や本人から聞き取りをした結果に合わせてリハビリメニューを作成します。メニュー内容に自分の希望が含まれていることで意欲的に取り組む利用者も少なくありません。

他にも、事業所で催される体操やレクリエーション、近隣への散歩などもリハビリや機能訓練の一端を担っており、利用者が気分転換を図るとともに無理なく身体機能や生活機能の改善ができる環境が整っています。

地域密着型通所介護と通常の通所介護の違い

日帰りでさまざまなサービスが利用できる通所介護は、利用者にとって家族以外の人と交流が持てるため社会とのつながりを確認できる場であるとともに、普段介護をしている家族の精神的・肉体的負担の軽減や気分転換の時間を確保できる制度です。

2016年に細かく区分されるまでは地域密着型通所介護と通常の通所介護は一つの枠とされていました。2種類に分けることによってそれぞれにどんな役割の違いが生まれたのか、地域密着型通所介護の特徴について、定員数や地域、費用面を見ていきます。

定員数

利用者定員が18人以下という小規模な事業所である地域密着型通所介護は、その定員の少なさを活かして利用者一人ひとりにより目が届きやすく手厚いサービスが提供可能となりました。利用定員が少なければ利用者一人に割ける時間も増えるためスタッフも余裕を持って行き届いた対応ができます。

利用定員が少なければ広いスペースは必要ないため、中には民家を改装した事業所なども存在します。いかにも施設然とした事業所よりもアットホームな雰囲気の事業所の方が利用者も馴染みやすかったり、こじんまりした事業所内ならスタッフとの距離の近さを感じられたりして安心感や満足度が高くなりやすいです。

また、利用者定員が少ないということはスタッフの人数も多くありません。少ない人数で事業所を運営すると情報の共有化を図るため自然とスタッフ同士のコミュニケーションが活発になります。その結果、利用者一人ひとりの状況やニーズをスタッフ全員が把握しやすいです。さらに、スタッフそれぞれの意見やアイデアがピックアップされやすくなり事業所の運営にもいい影響を与えやすい環境といえます。

地域

区分けされる以前や通常の通所介護は利用者の居住地域に関係なく、サービスの提供がされていました。事業所の運営自体に利用者の居住地域は直接関係ないからです。しかし、それだと各自治体で整備が必要な介護事業所はどのくらいあるのかといった実態の把握ができないという問題が発生します。そこで、介護事業所と同一の地域に住民票のある人が限定で利用できる地域密着型通所介護という枠が生まれたのです。管轄も都道府県から市区町村へ細かく分けることでその地域の実情に合わせた介護事業所の整備が可能になりました。

その結果、地域の実態を把握しやすくなるだけでなく、利用者にとっても住み慣れた地域で介護が受けられるという安心感が得られるようになったのです。ただし、例外的に市区町村の同意を得られれば他の地域の人も利用可能な介護事業所もあります。

地域密着型のサービスは通所介護だけではありません。そもそも「地域密着型サービス」とは事業所のある地域に居住する要介護認定を受けた人に限定定期に提供される介護サービス体系を指します。地域密着型通所介護の他に地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護と、サービスは全部で10種類です。

費用

通所介護は1回利用するごとに費用がかかり、その点は通常の通所介護と地域密着型通所介護も変わりありません。しかし、その金額は少しずつ違います。要介護1の人が1単位10円で1割負担として利用した例で見てみると、通常の通所介護を3~4時間未満利用すると364円、6~7時間未満利用すると575円かかるのに対し、地域密着型通所介護を3~4時間未満利用すると409円、6~7時間未満利用すると666円かかり、地域密着型通所介護の方が若干高いです。

通所サービスについては以下の記事をご覧ください。
通所サービスについて費用も含めて一覧で紹介

地域密着型通所介護の費用

地域密着型通所介護にかかる費用は要介護度によって金額が設定されており、利用者は原則1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となるので注意が必要です。それ以外にも入浴や機能訓練をすると費用が加算されていきます。

費用の他にかかる料金としては食事代やおやつ代、オムツ代や送迎料金を設定しているところもあり、料金体系も事業所によって異なるので注意が必要です。

サービスコードで分かる「利用できる単位」

介護では要介護度によって利用限度額というものがあります。限度額の範囲内でサービスを利用できるものです。しかし、要介護度が同じだからといってどの人も同じケアプランでいいというわけではありません。

ケアマネジャーが利用者の状況や希望をしっかりと聞き取り、利用者とともに考えながらケアプランを作成していきます。地域密着型通所介護は利用者が住み慣れた地域で今後も自立した生活を送るための支援をするところです。

介護サービスだけでなく家族や友人、地域社会の支援も組み込んだケアプランが必要になります。だからこそ、利用者一人ひとりに合わせたケアプランが重要になるのです。

要介護1の場合に利用できる単位数は1万6,765単位になります。サービスコード表に当てはめると3~4時間未満利用すると409単位必要ですが、それよりも短い2~3時間未満の利用の場合は300単位で利用可能です。

通所介護は日帰での利用が前提なため、利用時間は最大で8~9時間未満となります。必要な単位は768単位ですが、もし1時間延長した場合は768単位+50単位の818単位が必要です。

地域密着型通所介護は住み慣れた土地で生活できる

ここまで通所介護との違いを見ながら地域密着型通所介護についてご紹介しました。地域密着型通所介護を含む地域密着型サービスは、国が推進する地域包括ケアサービスです。浸透すれば利用者へきめ細かいケアができると期待されていました。しかし、当初の期待通りに浸透しているとはいい難い状況です。

提供する側の問題点としては定員が少なく、低い介護報酬で採算が取れないといった点や、サービス内容の対応範囲が広いので網羅できる人材確保が難しいといった点が挙がっています。利用定員が少ないとはいえ、小規模事業所となると少ない人数で運営していかなくてはなりません。それはスタッフ一人ひとりの負担が増えることを意味します。

負担が増えることで人材が不足し、人材不足がサービスの低下を招き、サービス低下が利用者を集められないという悪循環に陥ってしまうのです。事態を重く見た国は要件緩和などを検討しており、解決を図っています。

要介護認定を受けても、これまで住み慣れた地域で生活を送れる地域密着型通所介護は高齢化社会が進む状況で大きな期待が寄せられているサービスです。より良い制度となるために課題を一つひとつクリアしていき、老後も安心して暮らせる社会を作っていく必要があります。

この記事のまとめ

  • 地域密着型通所介護とは利用者に寄り添ったサービスが可能
  • 地域とより連携した介護支援を目的としている
  • 人材の確保など課題もある