【専門家監修】胃ろうとは|メリット・デメリット・費用・種類・手術・ケアを解説

胃ろうは、胃に直接栄養を注入する医療措置です。口から食事ができなくなった方などが対象となります。胃ろうは延命措置の一種ととらえられることもあり、実施するべきかどうか判断に迷うこともあるでしょう。

そこで今回は胃ろうのメリット・デメリット種類造設手術の方法と費用などを紹介します。さらに胃ろうの方を介護するときに気を付けるポイントや、介護施設選びの注意点も解説しますので、胃ろうについて悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

【専門家監修】胃ろうとは|メリット・デメリット・費用・種類・手術・ケアを解説
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

胃ろうとは

「胃ろう」は、胃に穴を開けて直接栄養を送り込む経管栄養法のことです。自力で口から食べ物を食べられなくなると、そのまま何も処置をしなければ栄養を取れず衰弱してしまいます。そのため、経口摂取以外の栄養補給の一つの方法として「胃ろう」があるのです。

「胃ろう」とよく似た手段に、腸に栄養を入れる「腸ろう」という方法もあります。「腸ろう」は、主に胃に病気がある場合など「胃ろう」ができないときに用いられる経管栄養法です。

人工的な栄養補給の方法は、他にも2種類あります。1つ目は「経鼻胃管栄養」です。手術が必要なく、鼻の穴からチューブを通して食堂や胃に栄養を送り込みます。

2つ目は「経静脈栄養」です。胃や腸ではなく血管に投与するため、消化器官の機能が低下している場合にも有効です。

いずれの方法も、口から食事を取れなくなったり、食事をすることで何らかの問題が生じたりするときに用いられます。

胃ろうと寿命(余命)について

「胃ろうで延命を図ることは倫理的かどうか」という議論がしばしばあります。

胃ろうは「食事ができない人に栄養を与え続ける」という点で、延命措置の一つとして考えられることがあるのです。さらに胃ろうが必要となる人は意識がはっきりしていないケースも多く、家族や周囲の人が胃ろうにする判断することもあります。

そのような状態で胃に手術をしてまで栄養を与えることが、果たして正しいのだろうかという意見です。寿命による老衰で食べられなくなったケースなどは、特に議論の対象となることがあります。

ただし一方で、胃ろうを併用しながら食事の練習をして、再び自分の口で食べられるようになるという例もあります。60~70代など、比較的若くして摂食嚥下障害を患っているケースです。比較的若年だと回復の可能性も十分あるため、胃ろうを用いることは効果的といえるでしょう。

胃ろうの意義については、確かにさまざまな議論があります。しかし最も大切なことは「何のために胃ろうにするのか」という目的や「胃ろうにすることのメリットとデメリット」について、家族や周囲の人が理解して納得していることです。

胃ろうは、急を要するタイミングで判断が求められることも多々あります。日頃から家族とよく話し合い、いざというときに備えて意思を確認しておくと安心です。

胃ろうのメリット・デメリット

胃ろうには多様なメリットがある反面、もちろんデメリットもあります。胃ろうにするかどうかを判断する前に、メリットとデメリットをしっかり理解しておくことが重要です。

メリット デメリット
  • 違和感や負担が少ない
  • 口から食べ物を食べられる
  • 誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる
  • カテーテルが抜けにくい
  • 入浴できる
  • 手術が必要になる
  • カテーテルの定期的な交換が必要になる
  • 誤嚥性肺炎の可能性はゼロにならない
  • 口腔内が不潔になりやすい
  • 逆流の可能性がある

メリット

違和感や負担が少ない

鼻の穴からチューブを通す「経鼻胃管栄養」に比べると、違和感や痛みが少ないのが大きな特徴です。胃ろう部分は衣服で隠れるため見た目では分かりづらく、本人もあまり気にせずに生活できます。

口から食べ物を食べられる

胃ろうのカテーテルは腹部に直接作られます。そのため口や食道には管が通っておらず、口から食事をすることも可能です。食事を再開するための嚥下訓練もしやすくなります。

誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる

胃に直接栄養を送り込むため、誤嚥や誤嚥性肺炎の可能性が低くなります。ただし全くリスクがなくなるわけではありません。詳しくは「デメリット」の項目で後述します。

カテーテルが抜けにくい

鼻から管を通す「経鼻胃管栄養」では、違和感や不快感から自分でカテーテルを引き抜いてしまうことがあります。胃ろうはカテーテル自体が比較的抜けにくく、違和感も少ないため自己抜去のリスクも低くなります。

入浴できる

胃ろうは特別な処置をせずに入浴できます。入浴時の手間がかからないことは、介護者にとってもメリットの一つです。

デメリット

手術が必要になる

胃ろうを造設するには手術が必要です。手術は比較的短時間で負担が軽いものですが「手術をする」という行為に本人や家族が抵抗を感じるケースもあります。また手術をした箇所の皮膚トラブルを防ぐため、消毒などのアフターケアも必要です。

カテーテルの定期的な交換が必要になる

胃ろうは一度造設したら終わりではなく、定期的な交換が必要です。交換の頻度はバルーン型であれば1~2カ月に1回バンパー型であれば4~6カ月に1回ほどになります。交換の手間と費用がかかることを不便に思うケースもあるようです。

誤嚥性肺炎の可能性はゼロにならない

誤嚥性肺炎のリスクが減ることは大きなメリットですが、可能性はゼロにはなりません。誤嚥性肺炎は自分の唾液でも起こることがあるのです。そのため、誤嚥性肺炎の心配が無用になるわけではないということは覚えておきましょう。

口腔内が不潔になりやすい

口から食べ物を食べることが減ると、唾液の分泌が減少します。また介護者も「食べていないから大丈夫」と口腔ケアをおろそかにしてしまいがちです。しかし唾液が減った口腔内は乾燥しやすく、雑菌が増えやすい環境になります。そのため、不潔にならないようしっかりとケアを続けることが重要です。

逆流の可能性がある

胃ろうから送り込んだ栄養剤が逆流してしまうことがあります。逆流すると誤嚥を引き起こす危険性もあるため、十分な注意が必要です。栄養剤を投与するときと投与してから30分以上は、上体を30度か90度に上げておきましょう。また逆流するのは1回あたりの量が多すぎる可能性もあるため、少量から始める方法も有効です。

胃ろうの種類

栄養剤を流し入れるために手術で胃に穴を開け、カテーテルを装着することで胃ろうができます。

胃ろうのカテーテルは、全部で4種類あります。体の外に出ている部分は「ボタン型」「チューブ型」の2種類、胃の内部にある部分は「バルーン型」「バンパー型」の2種類です。体外部と内部の種類の掛け合わせで、4種類あるのです。

どのタイプが使用されるかは、一人ひとりの状態や手術をする病院によっても異なります。形状によってメリットとデメリットが異なりますので、種類別に紹介しましょう。

胃ろうのカテーテルの種類

バルーン・ボタン型

メリット

  • 体外にチューブが出ていないため、動作の邪魔になりにくい
  • バルーン内に蒸留水を注入したり抜いたりして調整する仕組みで、交換が容易
  • 栄養剤が通過する部分が短く、カテーテルの汚染が少ない
  • 逆流防止機能がついている

デメリット

  • ボタン型は着脱しにくい場合がある
  • バルーンが破裂してしまう恐れがある
  • 1~2カ月に1回は交換が必要

バンパー・ボタン型

メリット

  • 体外にチューブが出ていないため、動作の邪魔になりにくい
  • 安定して固定でき、抜けにくい
  • 栄養剤が通過する部分が短く、カテーテルの汚染が少ない
  • 逆流防止機能がついている
  • 交換期間が4~6カ月程度で比較的長い

デメリット

  • ボタン型は着脱しにくい場合がある
  • 交換する際に痛みや圧迫感が生じることがある

バルーン・チューブ型

メリット

  • 栄養剤を投与するときにチューブと接続しやすい
  • バルーン内に蒸留水を注入したり抜いたりして調整する仕組みで、交換が容易

デメリット

  • チューブが汚れやすい
  • 体外に出ている部分が邪魔になり、自己抜去してしまうことがある
  • バルーンが破裂してしまう恐れがある
  • 1~2カ月に1回は交換が必要

バンパー・チューブ型

メリット

  • 栄養剤を投与するときにチューブと接続しやすい
  • 安定して固定でき、抜けにくい

デメリット

  • チューブが汚れやすい
  • 体外に出ている部分が邪魔になり、自己抜去してしまうことがある
  • 交換する際に痛みや圧迫感が生じることがある

胃ろうの手術とは

胃ろうのデメリットの一つにも挙がる手術ですが、実際には15~30分程度で済み、比較的リスクも少ないものです。ここでは手術前の検査や手術の内容、入院にかかる日数などを見ていきましょう。

導入時の検査

胃ろうをする人は全身の状態が優れないことも多いため、手術前には多数の検査が実施されます。前述した通り、体の状態によっては胃ろうを造設できないケースもあるのです。

血液検査感染症胸部腹部単純レントゲン検査など一般的な手術前の検査に加え、必要に応じて腹部CT検査などをします。

また「血が止まらない」「出血しやすい」などの出血傾向や、肝機能・腎機能障害の確認も必要です。

さらに嚥下障害の状態栄養状態の評価を通して、胃ろうが適切であると判断されたら手術に進みます。

また胃ろうの手術をする人は、すでに口から食べ物を摂取できていないケースも多く、口腔内が不潔になっていることもあります。そのため、手術前には口腔内のケアをして清潔な状態に整えます。

造設手術

胃ろうの手術は「PEG(経皮内視鏡的胃ろう造設術)」と呼ばれる術式が主流です。以前は開腹式の外科手術がありましたが、PEGは内視鏡を使った手術で15~30分程度の短時間で終了します。そのため、近年ではPEGが基本となっています。

PEGの方法は、大きく分けて3種類です。それぞれの流れを簡単に解説しましょう。

プル/プッシュ法

PEG(プル/プッシュ法)
  1. 口から胃に内視鏡を挿入する。
  2. 内視鏡から胃の内部に空気を送り込んで膨張させ、胃壁と腹壁を密着させる。
  3. 胃の内部から内視鏡の光を照らし、光が見える部位を皮膚の上から指で押す。押された部位を内視鏡でも同時に確認して、穴を開ける場所を決める。
  4. 局所麻酔による試験穿刺の後、本穿刺をしてガイドワイヤーを挿入する。
  5. スネア鉗子を使ってガイドワイヤーをつかみ、内視鏡と一緒に口から外に出す。
  6. プッシュ法ではガイドワイヤーに沿わせる形で、プル法ではガイドワイヤーに結びつけてバンパー型カテーテルを口から挿入し、胃壁から体外に出す。
  7. カテーテルを胃の内側・体外の両方から固定する。
  8. 内視鏡を再び挿入し、カテーテルの装着位置や出血などの異常がないことを確認する。

プル法やプッシュ法ではバンパー型のカテーテルを使用するため、交換期間が4~6カ月と比較的長いのがメリットです。しかし口を通してカテーテルを挿入するため、口腔内の雑菌などによって汚染されるリスクがあります。

イントロデューサー法

PEG(イントロデューサー法)
  1. 鼻または口から胃に内視鏡を挿入する。
  2. 内視鏡から胃の内部に空気を送り込んで膨張させ、胃壁と腹壁を密着させる。
  3. 胃の内部から内視鏡の光を照らし、光が見える部位を皮膚の上から指で押す。押された部位を内視鏡でも同時に確認して、穴を開ける場所を決める。
  4. 局所麻酔をして胃壁と腹壁を縫い合わせて固定する。
  5. トロカール針という太い針を胃の内部まで刺し、外筒を残したまま内針のみを抜く。
  6. 外筒の空洞部分からバルーン型のカテーテルを挿入し、バルーンを滅菌精製水で充満させて固定した後、外筒を取り除く。
  7. 体外のストッパーを装着する。

イントロデューサー法では、内視鏡の挿入が1回で済みます。カテーテルも胃ろうを造設する部位に直接付けられるため、汚染のリスクが低いことも利点です。ただし使用できるカテーテルはバルーン型のみで、1~2カ月に1回の交換が必要になります。

イントロデューサー変法

イントロデューサー変法は、バンパー型のカテーテルも利用できるよう「イントロデューサー法」を改良した手法です。「清潔に造設できる」「内視鏡の挿入が1回で済む」というメリットはそのまま生かされています。

バンパー型であれば交換頻度も少なく、4~6カ月に1回程度です。

費用

胃ろうの手術にかかる費用は造設方法や入院日数によっても異なるため、一概には明言できません。一般的には、10万円前後の自己負担がかかることが多いようです。

胃ろうの手術は、医療費が一定の上限を超えた場合に利用できる「高額療養費」制度の対象となる可能性があります。

「高額療養費」は、上限を超過した分の医療費が払い戻される制度です。限度額は収入に応じて違いますので、自分がいくらから対象になるのかを事前に確認しておきましょう。

入院日数

胃ろうの造設手術にあたっては、一般的に1~2週間程度の入院が必要になります。

手術後は穴を開けた部分が炎症を起こすこともあるため、注意深い経過観察が必要です。特に問題がなければ1週間程度で状態が安定します。

ただし、術前の処置や術後の経過などによって日数は前後します。状況によっては1カ月程度入院するケースもあります。

胃ろうのメンテナンスとは

前述した通り、胃ろうは一度造設した後も定期的な交換などのメンテナンスが必要です。交換方法や頻度は、カテーテルの種類がバルーン型かバンパー型かによって差があります。

状況に応じて異なる判断がされる場合もありますが、一般的な方法を紹介しましょう。

バルーン型のメンテナンス

交換頻度

バルーン型の胃ろうは、原則的に1カ月に1回の交換が推奨されています。ただし、負担を軽減するために2カ月に1回の交換となることもあります。

交換方法

  1. 胃ろうのチューブを通してガイドワイヤーを挿入する。
  2. バルーン内部の蒸留水を抜いて、ガイドワイヤーは残したままカテーテルを抜去する。
  3. ガイドワイヤーに沿って、新しいカテーテルを挿入する。
  4. カテーテルが胃の内部まで到達したらガイドワイヤーを抜く。
  5. バルーンに精製水を注入し、体外のストッパーを固定する。

バルーン型の交換には特別な設備が必要ないため、在宅でも交換が可能です。ただし交換は医師が対応するのが基本ですので、必ずかかりつけ医に相談しましょう。

費用

バルーン型の交換は、約1万円前後の費用がかかります。内訳はバルーン交換の手技料が2,000円、バルーン型の材料費が8,000円前後です。

バンパー型のメンテナンス

交換頻度

バンパー型の交換は、4~6カ月に1回程度です。バルーン型よりも交換の頻度が少なくなります。

交換方法

  1. 胃ろうのチューブを通してガイドワイヤーを挿入する。
  2. ガイドワイヤーを残した状態でカテーテルを抜去する。
  3. バンパー挿入用補助具を使い、バンパーを変形させた新しいカテーテルをガイドワイヤーに沿って挿入する。
  4. カテーテルが胃の内部まで到達したら、バンパー挿入用補助具とガイドワイヤーを抜去する。
  5. カテーテルを体外から固定する。

バンパー型の交換には痛みや出血を伴うことがあります。設備の整った病院で交換するのが一般的です。

費用

バンパー型の場合、交換費用は約2万2,000円前後です。交換の手技料はバルーンと同じ2,000円ですが、バンパー型の材料費が約2万円かかります。

一回あたりの費用はバンパー型のほうが高価ですが、交換頻度を考慮するとバルーン型よりもバンパー型が結果的に安くなります。

どのような状態になったら胃ろうを検討すべきか

胃ろうには是非を問う議論があることを紹介しましたが、実際にはどのような状態になると胃ろうを検討するのでしょうか。

最大の判断基準は「口から食事ができるかどうか」という点です。全く問題なく食事ができる方が胃ろうをすることはありません。口腔機能や嚥下機能の衰えを防ぐためにも、できる限り経口摂取を続けるのが基本です。

胃ろうを検討するのは、食事ができない場合や食事をすることで大きな問題が生じる危険性がある場合です。

「嚥下機能が落ちてうまく飲み込めない」「何度も誤嚥性肺炎を繰り返している」「食事を取ると体に何らかの悪影響がある」といった状態では、口から食事を取ることが本人の健康にとって良くないと判断されます。

また、食事ができなくなった理由によっても判断は変わってきます。

例えば、老衰により食事を取る機能が低下してしまった方は、胃ろうで栄養を与えたとしても機能が回復する見込みは薄いでしょう。そうすると、延命のためだけに胃ろうをする必要があるのかという問題が生じます。

反対に、若くして脳卒中などで意識不明になり胃ろうにするケースもあります。この場合、治療を続けることで状態が回復する可能性もあります。意識が戻れば嚥下訓練をして、再び食事ができるようになることもあるのです。

胃ろうを造設するかどうかは単に「食事ができない」という状況だけでなく、病状や年齢によっても大きく左右されます。そのため、判断を迫られる家族も頭を抱えることが多いものです。

本人の意思が分かっている場合はできるだけその意思を尊重し、分からない場合も回復の見込みなど医師の意見も参考にしながら慎重に判断する必要があります。

胃ろうの手術ができない方もいる

胃ろうを検討すべき状態でも、体の状況によっては胃ろうを造設できないこともあります。胃ろうには手術が必要です。手術に耐えられない、または手術が困難な状態の方は、胃ろうにすることができません。具体的には次のようなケースです。

  • のどや食道に腫瘍などがあり内視鏡が通らない
  • 胃や上腹部の手術をしたことがある(胃ろうが可能な場合もあります)
  • 栄養状態が著しく悪い
  • 腹水がたまっている
  • 出血しやすく血が固まりにくい
  • 過度の肥満である
  • 横隔膜ヘルニアを患っている
  • 妊娠している

胃ろうの可否は個々の状態によって異なります。実際に胃ろうの手術ができるかどうかは、医師の診断を仰ぎましょう。

胃ろうの家族を介護するとき気をつけるポイントとは

家族が胃ろうを造設し在宅で介護する場合、普段以上に注意すべきポイントがあります。特に気をつけるべきことを、具体的に見ていきましょう。

  • 胃ろう周辺をよく観察する
  • 体を清潔にする
  • 口腔ケアをする
  • 衛生管理に気をつける
  • 事故(自己)抜去に備える

胃ろう周辺をよく観察する

胃ろうを造設した部位は、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

代表的な例が皮膚トラブルです。赤く腫れあがったり化膿したりすることがあります。もしトラブルが起きてしまったら、薬が処方されるケースもありますので早めに医師に相談しましょう。

予防のためにスキンケアをすることも大切です。1日に1回は清浄し、よく乾燥させてください。必要に応じて綿棒やガーゼなどを用い、清潔な状態を保ちましょう。

他にも、ストッパーが皮膚に食い込み圧迫してしまうこともあります。ボタン型はストッパーの調整ができませんが、チューブ型であれば固定する位置の調整ができます。

皮膚とストッパーの間には1~1.5cm程度の余裕をもたせ、直接的に圧迫することがないようにしましょう。

体を清潔にする

皮膚トラブル予防のためにも、体を清潔にすることが必要です。胃ろうは入浴の支障になりません。特別な保護なども必要ないため、通常どおり入浴したりシャワーを浴びたりできます。

体を洗う洗浄料で胃ろう部分を洗っても特に問題ありません。洗ったあとはしっかりすすぐようにしてください。

もし入浴ができない場合でも、清拭して清潔な状態を保ちましょう。滲出液などがついて固まってしまうと炎症に発展する恐れもあります。水で湿らせるなどして、汚れを取り除いてください。

口腔ケアをする

胃ろうを使うようになると口から食べ物を食べることが減り、唾液の分泌が著しく減少します。そのため、口腔内は雑菌が溜まりやすく不潔になりがちです。

胃ろうのデメリットでも紹介したように、誤嚥は全く起きないわけではありません。雑菌が入ってしまうと、肺炎や気管支炎になるリスクもあります。

口から食事を取る機会が減っても、必ず口腔ケアをしましょう。

衛生管理に気をつける

胃ろうのチューブや栄養剤などは、衛生的に管理しましょう。体内に注入するために使用するものですので、雑菌などが付着しないように注意が必要です。

特に栄養剤は栄養のかたまりですので、扱いを間違うと雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。他の人が誤って触ったり移動させたりすることもないよう、取り扱いに気をつけましょう。

事故(自己)抜去に備える

胃ろうは経鼻胃管栄養に比べると違和感が少ないものです。しかし認知症の進行などによって胃ろうの認識ができなくなると、自分で胃ろうを抜いてしまうことがあります。

またそれ以外にも、体外のチューブが引っかかったり、バルーンがしぼんでしまったりして抜ける可能性もあるのです。あらかじめ、抜去してしまったときの対処方法を知り準備しておきましょう。

事故(自己)抜去の対応方法

胃ろう造設から約3週間程度は特に注意が必要です。胃ろう部分の穴がまだ完全に形成されておらず、抜去してしまうと腹膜炎や出血などを引き起こす可能性があります。

3週間経たないうちに抜去してしまった場合は、至急医師に連絡して指示を仰ぎましょう。

手術から1カ月以上経過した後に抜去が起こった場合、穴がふさがらないようにする対処が必要です。

バルーン型であれば、抜けてしまったカテーテルを再度挿入してみましょう。抵抗がありスムーズに入らなければ、無理して差し込んではいけません。

バルーン型でカテーテルがうまく入らない場合やバンパー型の場合は、あらかじめ用意しておいた細いチューブを挿入してみましょう。もしチューブも入らないようであれば、早急に医師に連絡する必要があります。

カテーテルやチューブが挿入できた場合でも医師への連絡・相談は必要です。しかし応急処置はできているため、夜間や休日の場合は翌朝になってから連絡しても問題ないケースがほとんどです。

ただし誤った場所に挿入されている可能性もあるため、自己判断で栄養剤を与えるのは絶対にやめてください。

介護施設で暮らす場合の注意点

胃ろうの方の入居先を探すにあたっては、注意すべきことが3つあります。何をチェックすべきなのか、具体的に見ていきましょう。

  • 胃ろうに対応できる職員がいるか
  • たん吸引の対応が可能か
  • 嚥下のリハビリができるか

胃ろうに対応できる職員がいるか

大前提として、胃ろうに対応できる体制が整っていることが大切です。

在宅介護であれば家族も胃ろうを扱えますが、胃ろうは本来、医療行為に分類されます。そのため、栄養剤の注入なども看護師が担当するのが基本です。

ただし、2012年以降は特定の研修を受けていれば介護職員でもケアできるようになりました。研修を受けていない介護職員は、以前と変わらず胃ろうの対応はできません。

そのため、施設を検討する際は「看護師が24時間常駐しているか」「胃ろうに対応できる介護職員がいるか」を確認しましょう。

たん吸引の対応が可能か

先にも述べたように、胃ろうの人は自分の唾液を誤嚥してしまうリスクがあります。そのため、たん吸引の対応ができることは重要です。

たん吸引も胃ろうと同じ医療行為に当たります。看護師、もしくは研修を受けた介護職員による対応が必要です。

人員体制の基準は満たしていても、ケアの対象者が多くて人手不足になり対応できないというケースもあります。ケアしてほしいことは必ず施設側に伝えて、対応可能かどうか判断してもらいましょう。

嚥下のリハビリができるか

嚥下のリハビリに取り組むかどうかは、個人の意向にも差があります。もしリハビリがしたいと望むのであれば、専門的なリハビリに対応しているかを確認しましょう。

特に、摂食嚥下障害の専門家である言語聴覚士(ST)がいる施設は、嚥下のリハビリに注力しているといえます。なかには言語聴覚士が常駐していなくても、定期的な訪問や外部の専門機関との提携などがあり、積極的にリハビリをしているケースもあるのです。

気になる人は具体的に「どういうリハビリをしているのか」「改善した事例があるか」を尋ねてみると、参考になるでしょう。

納得のいく決断をするために

胃ろうは「口から食事ができなくなっても延命できる」という点で、さまざまな議論が巻き起こることもあります。しかし、胃ろうを造ることによって救われる命があることは確かです。

また胃ろうによって状態が回復し、結果的に再び食事ができるようになるというケースもあります。

「胃ろうを造るかどうか」を判断するときには本人の意思がはっきりしていないことも多く、家族を悩ませることが多い問題です。そのため可能であれば事前によく話し合い、本人の意向を確認しておきましょう。

また「何のために胃ろうをするのか」「回復の見込みはあるのか」を医師に確認することも大切です。

胃ろうにはリスクもありますが、食べられなくなっても栄養を取ることができる貴重な手段でもあります。判断を迫られたときに焦らずに納得のいく決断ができるように、事前に胃ろうについての理解を深めておくことが大切です。

この記事のまとめ

  • 胃ろうは胃に穴を開けて栄養を直接送り込む医療措置
  • 胃ろうには造設手術や定期的な交換などのメンテナンスが必要
  • メリット・デメリットを理解して、胃ろうにするかどうか判断することが大切

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