起きている時間の3分の1をテレビを観て過ごす高齢者
若者のテレビ離れが指摘されるいっぽうで、じわじわと増え続けている高齢者のテレビ視聴時間。NHKが行った統計調査によると、テレビの視聴時間は年齢とともに増加し、70代以上の高齢者は、起きている時間の3分の1をテレビを観て過ごすのだそう。
なぜ高齢者は、テレビを長時間視聴する傾向が強いのでしょうか?
高齢者はなぜテレビを観るの?
テレビの視聴時間がぐっと増え始めるのは、60代。サラリーマンは定年を迎え、子どもたちも手を離れていく…ちょうどそんなころではないでしょうか。
高齢者のテレビ視聴時間がのびる大きな理由、それは「時間があり余っているから」だと考えられています。サラリーマンだったころは観られなかった、連続ドラマに夢中になる。子どもに合わせず、自分の観たい番組を選べる楽しさについハマる。テレビ番組を楽しむのに十分な時間を手にしたからこそ、高齢者はたくさんテレビを観るのです。
また、リタイアを迎えてからの新たな人間関係を作るのが面倒になってしまったり、体力の衰えから外出が億劫になってしまう人も。その点テレビは家にいて電源を点けさえすれば、常に新しい番組を見られ情報に触れることができます。
長時間のテレビ視聴に隠されたものとは…
しかしその一方で、高齢者の長時間に及ぶテレビ視聴には、孤独や将来への不安が隠れていることも。ようやく手に入れた長い自由時間に戸惑い、何をすればいいのかわからないのでとりあえずテレビをつける。日常的に関わる相手が減り、孤独を感じるので、テレビをつけて人の声を聞く。そんな消極的な理由でテレビを観ている人が、実は少なくありません。
気持ちが沈んでいるときであっても、テレビを楽しめているのであればいいのですが、楽しく感じられなくなってきたら要注意。もしかすると、それはうつ病のサインかもしれません。
高齢者はどんな番組を好んで観ているの?
ところで、高齢者にはどんなテレビ番組が好まれるのでしょうか?
NHKの調査によると、高齢者には「世の中の流れを知りたい」「世間から遅れたくない」という人が多く、ニュース・報道番組が人気を集めているようです。とりわけ高齢女性は、朝の情報番組の視聴率が高く、流行にも敏感に反応していることがわかります。
また、ドラマでは「感動するようなもの」や「古い時代が舞台のもの」が好まれる傾向にあります。対して、イジメや犯罪がテーマとなるようなドロドロとした展開の番組は避けられがちなようです。
高齢者向けのテレビ番組が増えるかも?
テレビをよく視聴する高齢者には「自分の世代に合った番組が少ない」という不満が多くあがるようです。特に民放は、企業の広告によって支えられています。企業は消費をうながしたいわけですから、消費をしてくれそうな世代向けのテレビ番組に広告を出すのです。これまでは、もっとも消費する世代は、20代~30代の若者をはじめとする現役世代だと考えられていました。しかし、若者の貧困が問題視される近年では、若者の財布のひもはきつく、消費しない傾向にあります。これから先、高齢者がターゲットとなる可能性はおおいにあります。高齢者向けのテレビ番組が続々と誕生する日は、そう遠くないかもしれませんね。
高齢者だからこそ、新たな楽しみを見つけることが重要
高齢になると自由な時間が増えていき、だんだんと挑戦する意欲が失われていきます。しかし何か楽しみを見つけることは、生きるうえで活力になるものです。毎日の生活に張りが出るだけでなく、認知症の進行の緩和などにも効果があるとされています。テレビもただ見るだけでなく、見たことをメモする、周りの友人と話をするなどの行為によって、より有意義な時間に変わるでしょう。
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この記事の寄稿者
シノヅカヨーコ
家事が嫌いなぐうたら主婦。25年2月生まれのムスメと夫の三人暮らしです。 子育てをしながら育児や暮らしにまつわる話題を中心にライターとして執筆活動をしています。