「介護のほんね」地域医療支援チームについて
病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や看護師からの依頼を受け、患者さんが退院後に安心して生活できる老人ホームをご提案し、ご入居までをサポートしています。
病院から在宅、そして老人ホームへ
渡邊さんは株式会社メディパス時代に深野さんと老人ホーム紹介事業(旧:ゴイカのかいご)を立ち上げたメンバーの一人なんですよね。
はい。サービスの提供開始は2014年の秋ですが準備はその数ヶ月前から始めていたので、もう9年経ちますね。
それ以前はどんなお仕事をしていたんですか?
扱う商材は違いますが、ずっと法人営業でした。実はもともと父親が在宅酸素療法を使っていて医療機器が身近にあったので「こういう医療機器を扱う会社も面白いな」と思って、人工呼吸器とか麻酔器とかモニター類とか主に手術室で使う医療機器の製造と卸売の会社に入社しました。配属先が大阪だったので地元を離れていたんですが、父親が倒れたのを機に戻ってきました。
それは大変でしたね……。
やっぱりだましだまし働いてたところがあったんですよね。そのときに父親が入院中に「家に帰りたい」「早く帰りたい」って言うのをずっと聞いていたので、今度は在宅での療養を支援する訪問診療に関する仕事をやってみようとメディパスに入ったんです。
なるほど。
でも結局、在宅が難しくなって老人ホームに入居するケースがあるんですよ。それでメディパスで新しく老人ホーム紹介事業を立ち上げることになったときにそこへ参加したんです。
病院から在宅へ、在宅から老人ホームへというわけですね。
これまで医療機器にしろ訪問診療にしろずっと法人のお客様を対象にしてきたんですが、老人ホームの入居相談員になって初めて個人のお客様とも関わるようになりました。この仕事は病院のMSWや看護師さん、患者さん、ご家族、もちろん施設の方と、多方面の方と関わるのでそれぞれ使う筋肉が違って面白いなって。気づけば9年ですね(笑)。
「使う筋肉が違う」ですか……。なんだかかっこいいですね!
「もう少し何かできないか」と取得した資格の数々
全然そんなことないですよ(笑)。でも、入居相談員として相談を受けるうちに高齢者やそのご家族がいろんな問題を抱えていることがわかってきたので、もう少し何かできないかなと。かっこいい言い方をすると、包括サービスを提供できないかなと思って、いろんな勉強を始めるきっかけになりましたね。
どんな勉強ですか?
まずお客様から「不動産屋さんみたいですね」って言われたんですよ。
確かに、地域医療支援チームの場合は相談員が運転する車で見学先までご案内することもあるので、不動産の内見と似てますね。
でも、不動産屋は国家資格が必要じゃないですか。私たちの仕事も住まいに関わることなのに何の資格もないのが不思議だなと思って、宅建(宅地建物取引士)の資格を取りました。
えっ! 宅建の資格、持ってるんですか!?
それから生活保護で身元保証人がいない方の入居先についてご相談をいただいたときに、法律についても勉強しておいたほうがいいなと思って、行政書士の資格も取りました。
えっ! 行政書士も取っちゃったんですか!?
これで行政の仕組みがわかったので「知らなくて損してることがいっぱいあるな」って思いましたねえ……。
さらりとお話ししてますけど、簡単に取れる資格ではないですよね。
それはもう、結構がんばりました(笑)。資格を持っているだけで実務ができるわけではないんですが、老人ホームの紹介以外にも頼ってもらえるような“よろず相談”ができたらすごくいいなあと思っています。
いい老人ホームってどんなホーム
もしかしてほかにもまだあるんですか……?
FP2級とホームヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)、福祉用具専門相談員を持っています。
本当にすごいですね……!
髙野さんのように実際に働いた経験があるわけではないんですが、ホームヘルパー2級取得時の実習や訪問診療の支援業務を通じて、特養・老健・グループホームを含む介護の現場を間近に見る機会がありました。やっぱり食事・排泄・入浴の介助がしっかりしているホームが一番いいなって思ったので、ご家族にもそこを見てくださいってお願いしています。
設備なら見ればある程度わかると思うんですが、介護の質はどこをどう見て判断すればいいんでしょうか?
分かりやすいのは、入居者の方の表情ですかね。特にご高齢の方はゆったりとした時間の中で過ごされたいと思っているので、職員が常にバタバタと慌ただしくしていると落ち着けませんし。
人手が足りないと慌ただしくはなりがちですよね。
いいホームってやっぱり自立支援ができているホームだと思うんです。
自立支援?
残存機能を維持するには自分でできることは可能な限り自分でやっていただいたほうがいいんですが、介護の効率を考えると職員がやったほうが早い。
確かに、自分の力で歩くのを側で見守るより、車いすで案内してしまったほうがよっぽど早いですよね。
そうなんです。でも、どこも人手に余裕があるわけではないので、限りある中でどのように工夫して介護を提供するかはホーム長の考えが大きく影響します。なのでホーム長や介護リーダーに会って「どんな思いで介護に関わっているのか」聞く機会は設けてほしいと思います。
「老人ホームに入ったら二度と自宅に帰れない」という勘違い
やっぱり(親を老人ホームに入れることに対して)ご家族は当惑し、悩ましい気持ちがあるんですよね。本当だったら「自宅がいい」って当たり前じゃないですか。でも医療処置が必要だからとかご家族が忙しいからとか、やむにやまれない事情があることは私たちも分かっているので、ご家族が心のどこかで抱えてらっしゃる「自分がもっと頑張れば」という気持ちをおもんぱからないと。
相談をいただいた時点で、まだ在宅か施設か迷われている方はいらっしゃいますか?
いらっしゃいます。ただ、施設に入ったらもう二度と自宅に戻れないということはないので。実際「どこまで回復されたら、ご自宅で見られそうですか」と聞くと、大概は「トイレに多少自分で行けるようになれば、自宅に連れて帰りたいんですよね」って言ってくださるんですよ。なので「それなら、職員の方に相談して入居後にトイレにご自身で行けるよう自立支援を厚くしてもらいましょう」「回復できたらご自宅に戻ることを前提に考えていきませんか?」という話はしますね。
そう言ってもらえると前向きに考えられますね。今はプロの力が必要なとき、頼っていいときなんだって。
実際は年齢も年齢なので難しいことも多いんですが、本当に自宅に復帰された方や、完全復帰は難しくても、月に何回か日中に自宅でご家族とお食事をすることを楽しみにしていらっしゃる方もいます。
過去に相談を受けた方がご紹介した施設で元気に過ごされている様子を知ると本当に嬉しいものですね。
そういう実績があるホームは自信を持っておすすめできますし、迷っている方には「私見ではありますが」と断った上で意見も伝えます。それが入居相談員が介在する価値だと思っています。実際に足を運んで、目で見て、職員の方と話すことで知っている実感値をお伝えすることで、ご家族やご本人が納得のできる選択ができるようにしたいなと思います。
-
関東 [12234]
-
北海道・東北 [6920]
-
東海 [4898]
-
信越・北陸 [3311]
-
関西 [6708]
-
中国 [3568]
-
四国 [2056]
-
九州・沖縄 [7729]
この記事の寄稿者
介護のほんね編集部
年間1万件以上の老人ホーム探しをサポートしている介護のほんね編集部です。介護に関する情報を、認知症サポーターの資格を持つスタッフが正しく・分かりやすくお届けします。