歯周病がアルツハイマー型認知症につながるメカニズムが解明!

2020.10.06

九州大学や北京理工大学(中国)の研究チームは、歯周病菌がアルツハイマー型認知症を引き起こす仕組みを解明しました。同チームは、過去に歯周病菌がアルツハイマー型認知症に関与していることを論文で発表。今回はマウスを使った実験によって、そのメカニズムを解明したことが分かりました。

認知症の約67%を占めるアルツハイマー型認知症について

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症は、すべての認知症のうち、約67%を占める疾患です。多くの場合、物忘れがきっかけで気づくことが多いのが特徴。症状としては記憶障害や見当識障害、言語障害、視空間認知障害などがあります。

認知症の記憶障害は体感した出来事そのものを忘れてしまうのが特徴です。単なる物忘れとは違います。例えば「カレーライスを作ろう」と思いついて、買い物をした際にじゃがいもを買い忘れてしまった、としましょう。物忘れの場合は、調理する際にハッと気づきます。ヒントを与えられると思い出せるのです。

しかしアルツハイマー型認知症の場合は「カレーを作るためにじゃがいもを買わなければいけない」といった体験・記憶そのものが抜け落ちてしまいます。調理を始める際に「なぜこの食材を買ったのだろう」という考えに至ってしまうのです。

認知症やアルツハイマー型認知症については以下の記事で詳しくご紹介しています。

【専門家が監修】認知症とは|症状・予防法・検査方法などを解説

アルツハイマー型認知症とは|症状の特徴・治療法などを紹介

アルツハイマー型認知症の原因とは

「アミロイドベータ」をはじめ「タウたんぱく」などの異常なタンパク質が脳に蓄積してしまうことがアルツハイマー型認知症になってしまう原因です。その結果、神経細胞が死んでしまい、脳が萎縮することで、認知機能が低下してしまいます。

アミロイドベータが脳に蓄積してしまう直接的な原因については長年にわたって不明とされていました。しかし2017年に九州大学と北京理工大学(中国)の研究チームは歯周病菌である「ジンジバリス菌」(Pg菌)によってアミロイドベータが産生することをマウスを使った実験によって発見しています。

歯周病菌である「ジンジバリス菌」(Pg菌)が歯茎から血管を通って体内に侵入することでアミロイドベータが少しずつ脳に蓄積し、発症する可能性があると発表。歯周病のケアが認知症予防に効果的であることが分かりました。

歯周病菌がアルツハイマー型認知症を引き起こすメカニズムとは

今回、研究チームは調査をもう一歩進めて、脳にアミロイドベータが蓄積する仕組みに解明しました。

研究チームは3週間をかけてマウスの腹部に歯周病菌を投与し、感染させたうえで「正常なマウス」と「歯周病菌を投与したマウス」に分けました。比較すると、歯周病菌に感染したマウスはアミロイドベータを脳内に運ぶ「受容体」というタンパク質が約2倍に増加し、脳細胞のアミロイドベータ蓄積量は約10倍になったことが判明しました。

また記憶力を計測するために、明るい部屋と暗い部屋を用意。「暗い部屋に入ると電気ショックを受ける」と学習させて観察しました。すると正常なマウスが約5分間明るい部屋にとどまりましたが、歯周病菌に感染したマウスは3分間で暗い部屋に入ってしまい、記憶力の低下が判明しています。

また研究チームはアミロイドベータを運ぶ受容体を阻害する薬を使うことで細胞内を通るアミロイドベータの量を4割も減らせることも確認しました。

アルツハイマー型認知症の新たな予防法・治療法が進行中

今回の発見によって、あらためて歯周病の予防がアルツハイマー型認知症の予防に効果的であることが判明しました。またアミロイドベータだけでなく、受容体の存在がアルツハイマー型認知症の発症に大きく関与していることも解明されました。歯周病だけでなく、歯並びの矯正など根本的な要因についても、今後はより重要なテーマになるでしょう。

同時にアルツハイマー病の新薬も現在、期待が高まっています。米製薬大手バイオジェンと日本のエーザイは共同開発した薬剤「アデュカヌマブ」を2020年の7月に米食品医薬品局(FDA) に承認申請しました。

当局は通常よりも早く審査を進めることを明言しており、2021年3月ごろには回答が出ます。もし認可されたら、アミロイドベータを除去できるはじめての新薬となり、大きな期待が寄せられている状況です。

メカニズムや確固たる予防法が分かっていなかった認知症。しかし、だんだんとその仕組や予防・治療法がはっきりとしてきました。今後の進展にも注目していきたいところです。

と思ったら、友だちに共有しよう。
介護のほんねニュースをフォローする 

関連リンク

Facebookコメント

寄稿者

編集者画像

緒方 優樹

介護のほんね編集部。認知症サポーターです。
介護を始めたての方に向けて、老人ホームや認知症に関する知っておきたい情報を、誰もが分かる簡単な言葉でご紹介します。

今週の閲覧数ランキング