インタビュー

サービスの秘訣は「楽しんで働くこと」 ファミリー・ホスピス荒川ハウスの暮らし

東京メトロ千代田線ほか各線「町屋」駅から徒歩約7分、都電荒川線「荒川七丁目」駅すぐの「ファミリー・ホスピス荒川ハウス」にインタビューしました。朗らかで明るい雰囲気に包まれたホームの様子をお届けします。

サービスの秘訣は「楽しんで働くこと」 ファミリー・ホスピス荒川ハウスの暮らし | 介護のほんねニュース

東京都荒川区にあるホスピス「ファミリー・ホスピス荒川ハウス」。がん末期やALS、パーキンソン病といった難病の方が入居されています。入居者様の平均要介護度は3.5、平均年齢は75歳です。ホーム長の上田 順子(うえだ じゅんこ)さんは「職員が楽しく働くことが入居者様への良いケアにつながる」と話します。

楽しんで働くことが、質の高いケアにつながる

ーー施設を見学している途中、職員のみなさんが明るく声をかけてくれたのが印象的でした。

ありがとうございます。ファミリー・ホスピス荒川ハウスでは「職員が楽しく働ける環境でなければ、良いケアは提供できない」と考えています。ケアする側が心身ともに健康であればケアの質も上がりますし、ホームの雰囲気も良くなるからです。だから職員が明るく、のびのびと働ける環境を整えています。

ーー職員の方々が楽しく働けるように、意識されていることはありますか?

私(ホーム長)自身が楽しんで働いています! あとは、どの職員とも同じくらい会話していますね。例えば「今日仕事楽しい?」と声をかけると、職員のコンディションによって答えが変わるんです。「楽しいよ」と明るく返ってくるときもあれば、「今日“は”楽しい」というときもあって(苦笑)。そんなふうに普段から気軽に声をかけあうことで、職員が困っていることや辛いことを共有しやすいようにしています。

当ホームは2021年の秋にオープンしたばかりということもあり、「職員みんなでホームを作り上げていこう」という協力意識があるのかもしれません。

ーーホーム内が明るい環境だと、入居者様たちにも良い影響がありそうですね。

そうなんです! ファミリー・ホスピス荒川ハウスにご入居いただいてから、お食事の量が増えたり、はじめに伝えられていた余命より長くお過ごしになったりした方が多くいます。

ご入居前は病院で生活され、長い時間お一人で過ごされていた方も少なくありません。そんな方がホームにきて職員とコミュニケーションを取ることで、いい刺激になっているんじゃないでしょうか。

ーー職員の方々とのおしゃべりが、入居者様の心のケアにもつながっているんですね。どんなことを話されるんですか?

特別意識して「この話題を」ということはありません。季節に応じた話題や、明るいニュースをお話ししています。あと入居者様はお部屋にいらっしゃることが多いので、「桜が咲きましたよ」というふうにお外の情報をお伝えしたり。

入居者様のご趣味について話すことも多いですね。スポーツや将棋のことなど、詳しくなかったとしても一緒にお話しするだけでとても喜んでくださいます。そういう小さな会話の積み重ねが、入居者様にとって活力になっているのではないでしょうか。

ーー入居者様と接するうえで気をつけていることはありますか?

何をするときもお声掛けしています。入居者様のなかにはいろいろなご病気の方がいらっしゃいますので、ホームで暮らしていただく間は少しでも不安を感じさせないようにしたい。入居者様にとっては職員が自分のそばでどんなケアをしていて、どこにいるのか把握できる方が安心できますよね。

例えば「お体を触ったり動かしたりするとき」「お部屋に入るとき」など、あらゆるタイミングでお声掛けしています。お部屋で横になって目を閉じている方もいるので、お声掛けすることで周囲の状況が分かり、安心していただけるんです

晴れた日は窓から東京スカイツリーが見える4階の居室

終末期医療から日常のご要望までを叶える

ーー「ホスピス」は、がん末期や難病の患者さんがお住まいの施設です。終末期のケア体制について教えてください。

当ホームでは、入居者様に「私のらいふプラン」というシートをご記入いただいています。医療サポートの方法や、終末期にどのようなケアを望まれるかという質問が書いてあるシートです。シートをもとに、それぞれの医療ケアについてメリットやデメリットをご説明しています。

ーー入居者様が納得いくケアを受けられるように、どのようなことを意識されているのですか?

医療ケアを選ばれるうえでの入居者様の「価値観」を必ず確認しています。職員から医療ケアについてご説明するときは、どの医療ケアを選ばれてもいいというスタンスを徹底しています。なぜなら、看護師の視点から「最適なケアだ」と判断したことが、ご本人の希望に沿うとは限らないからです。施設側の価値観は絶対に押し付けません。そのうえで、入居者様から「あなたならどうする?」と意見を求められたときは職員の考えをお話しています。

ーー医療ケアについての説明はどなたからしているのでしょうか。

ファミリー・ホスピス荒川ハウスでは、入居者様それぞれに受け持ち看護師がついています。入居者様へのケア内容は介護士や看護師などさまざまなスタッフで話しあいますが、ご説明の際の窓口は担当の看護師に一本化しています。いろいろな職員から何度も説明を受けるのは、入居者様やご家族にとって負担になるからです。

ーーそうなんですね。入居者様やご家族に対して納得いくケアが提供できたエピソードがあれば教えてください。

当ホームにいらしてから5日で旅立たれた方がいらっしゃいました。そのご家族から「最期にここで過ごせてよかった」と言っていただけたことが心に残っています。

入居時からご容体が安定していない方だったので、医療ケアに関してご家族のご意向を丁寧にお伺いしました。例えば服薬についてもいろいろな選択肢があるんです。鎮痛作用が強いお薬を使うと副作用で長く寝てしまわれるため、入居者様とご家族が話せる時間が減ってしまいます。かといって、副作用の少ないお薬ではご本人が痛みに苦しんでしまう……。

最終的には「本人が辛くないようにしたい」というのがご家族の希望だったので、痛みを取り除くことを優先したケアをいたしました。ご家族に安心していただけるように、入居者様の身体状況や、病状の変化の予測を逐一報告していましたね。

ご家族に「残された時間が少ない」とお話しするのは心苦しいときもあります。でも、だからこそ「今の時間を大切になさってください」とお伝えできるんです。そのご家族は面会の時間を長くとられ、入居者様と過ごせる時間を大切にしていらっしゃいました。最終的にこちらで暮らしていただけたのは数日でしたが、ご家族は「本人が痛く、苦しくないようにケアしてもらえてよかった」と話してくださいました。

ーーご家族のお考えにそったケアができたんですね。日々の生活についてはどのようにサポートしていますか?

日常の介助や医療ケアなどは一般的なホームと同じだと思います。ファミリー・ホスピス荒川ハウスでは面会を希望される方が多いため、ご家族との外出や面会を積極的にサポートしています。当ホームでは現在、週3回まで面会が可能です。

ーーご家族と外出されるときはどんな場所に行かれているんですか?

桜を見に行ったり、近くの公園にお散歩に行かれたりしていますね。病院だと自由なお出かけが難しかった方が、「家族と外に出られた」と大変喜ばれていました。系列の「ファミリー・ホスピスハウス」全体としては、無理のない範囲で「ご家族にもケアに参加していただきたい」と考えております。コロナ禍以前は、入居者様とご家族が一緒に食堂でご飯を召し上がっていただけるホームもありました。

取材日の昼食

1日のスケジュール

ーーファミリー・ホスピス荒川ハウスの1日のスケジュールを教えてください。

当施設は症状によって1日の流れが異なります。こちらでは、一例としてがん末期の方の生活をご紹介しますね。

朝7時から起床介助をさせていただき、8時から胃ろう注入や吸引、またお食事ができる方は朝食となります。現在は新型コロナの影響もあり、お食事はそれぞれのお部屋で召し上がっていただいている状況です。その後、10時から排泄介助の時間です。12時から再び胃ろう注入・吸引、または昼食の時間となります。

13時30分から排泄介助、お風呂の日は入浴介助の時間です。15時からは曜日に応じて訪問マッサージや訪問診療を呼んでいます。16時から排泄介助をさせていただき、17時30分から胃ろう注入と吸引、もしくは夕食となります。19時30分ごろに就寝介助をして、お休みになる方が多いです。

ファミリー・ホスピス荒川ハウスの1日の生活スケジュール

ーー最後に、ファミリー・ホスピス荒川ハウスへ入居を検討していらっしゃる方にメッセージをお願いします。

当ホームはホスピスケアに特化した施設です。お身体の辛さはもちろん、お気持ちの辛さや苦しさを少しでも和らげられるようなサービスを提供しております。ホームには私も含め認定看護師や専門看護師などさまざまな経験を持った職員が勤務しています。研修のほか、日々の会議のなかでケアの知識や技術を共有していますので、安心してお過ごしいただける環境です。現在は介護される方もご高齢という家庭も多いと思いますので、お困りの方は一度ご相談ください。

介護度に応じて3タイプある浴室
石橋

この記事の寄稿者

石橋

介護のほんね編集部です。老人ホームや介護にまつわることを丁寧にお伝えしていきます。

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