インタビュー

ファミリー・ホスピス二子玉川ハウスにインタビュー! テーマとして掲げる「ありのままを受け入れる介護」とは

東京都世田谷区玉川にあるファミリー・ホスピス二子玉川ハウスにインタビュー。入居者様との関わり方について、実例を交えながら教えていただきました。

ファミリー・ホスピス二子玉川ハウスにインタビュー! テーマとして掲げる「ありのままを受け入れる介護」とは | 介護のほんねニュース

「二子玉川」駅から徒歩約10分、木々が美しく整然と並ぶ舗道を進んだ先にあるのが「ファミリー・ホスピス二子玉川ハウス」です。がん末期や神経難病を患った終末期の方に特化した施設となっています。

今回はホーム長の中井 康雄(なかいやすお)さんにインタビュー。介護の方針について「常に入居者様を尊重することを心がけている」とおっしゃいます。一見、ありきたりな言葉のように思えますが、その背景には「ありのままを受け入れる」という深い考えがありました。

入居者様の希望に施設側が合わせる

居室

――ホスピスということで、がん末期や神経難病の方のお受け入れを積極的にしていらっしゃると思います。

はい。医療依存度が高い方への対応ができます。他の施設との違い、という部分でいうと、「介護度などの条件に当てはまっている方であれば基本的にはお断りしない」という姿勢です。例えば「あと1週間で亡くなってしまう」といった方もご相談いただけましたらお受け入れさせていただきます。

――施設側のご負担も大きいと思います。

そうですね。「入られてすぐ退去」という場合、確かに施設として大きな負担がかかります。ただやはり終末期ということもありますので、入居者様とご家族のご希望には可能な限り応えてあげたいんです。

――過去にそのような方を受け入れられた例はありますか?

はい。余命数日ということが分かっている方が入居されたことがあります。その方はご両親がご健在でお子様もいらっしゃった。入院していらしたのですが、コロナ禍で面会ができなかったんですね。このままでは面会できずに亡くなってしまう。それは避けたい、ということで、ホームへの入居を決められました。

その方はすでに流動食でなければ食べられない状態だったんですが、もともと麺類がお好きだったそうです。流動食のカレーうどんを提供したときに「カレーうどんだ!」と喜んでいらっしゃいました。

――病院では食べられない好物に出会ったんですね。

そうですね。偶然だったのですが、とても喜ばれていました。

また「いつ亡くなってもおかしくない」ということで、非常に予後の短い方だったので「いつでも面会、宿泊OK」ということにしました。ご家族は毎日居室に泊まっていらっしゃいましたね。1週間後に亡くなられたのですが、奥様から「ここに入って本当に良かった」と言っていただいたことは今でも覚えています。

こうした形で、入居者様のご状況やご希望に合わせて柔軟にルールを変えられるのは、ファミリー・ホスピス二子玉川ハウスならではの魅力だと思っていますね。

「ありのまま」を受け入れるから信頼を得られる

5階のテラス

――入居者様のご希望を把握するうえで「コミュニケーションの取り方」が重要になると思います。このあたりで工夫している点はありますか?

基本的にはリラックスして過ごしていただけるように、かしこまらない程度にフランクに接していますね。「お客様」としてもてなしすぎると、本当の信頼を得られないと思うんです。だから職員側も自然体で接します。

――具体的にはどのような話をされるんでしょうか。

例えば食事介助のときに「もうすぐ女の子が生まれるんだけど、名前が考えつかないんですよ」みたいに、なんてことない話をしていますね。入居者様も「ちゃんと中井さんが考えなさいよ」みたいに返してくださったり……(笑)。

――こうした会話が成立する、という部分で「信頼関係」を築けているのだろうな、と思いました。

そうですね。ありがたいことに信頼していただけているから、自然な会話ができるのだと思います。

――どのような点が「信頼」に結びついたとお考えですか?

はい。これは私個人でも、ファミリー・ホスピス二子玉川ハウス全体でもあるのですが、介護の大きなテーマとして「ありのままを受け入れる」ということを考えています。

――具体的にはどういったことでしょう。

例えば施設によっては「〇〇をしてもらっては困ります」とか「〇〇はするべき」などのルールがあると思います。そこで入居者様に制約が生まれてしまうんですね。

そうではなく、入居者様のご希望を受け入れて「なんとか叶えられないかな」と考える。これが「ありのままを受け入れる」ということです。

――なるほど。

ありのままを受け入れると、入居者様も落ち着いて暮らせるんですよ。例えば認知症の方で、帰宅願望が出てきた方がいらっしゃるとします。多くの施設では「帰れないよ」と自室に戻るよう促すと思うのですが、そうではなく、まずは「なぜ帰りたいのか」を伺う。すると「何日も家を空けているから心配なの」などと、答えてくださいます。

そこまでを伺って「家は大丈夫だよ」と答えるのも良くないと考えています。なぜならご本人は「家を空けているから心配」だと考えているわけで、大丈夫じゃないからです。だから「じゃあ帰らないとね」と玄関まで一緒に行く。そうやって時間を共有することが寄り添う姿勢だと思います。

ただもちろん施設からは出られないですから、鍵がかかっているなど出られないことを伝えたうえで「職員に家の様子を見てきてもらうね。状況がわかったら連絡するよ」などと安心できるよう言葉をかける。すると「分かった。部屋で連絡を待ってるわ」と、安心して戻っていただけるんですね。

基本的には入居者様のありのままが正解なんです。「家を空けているから心配だ」という気持ちが正しくて、それを否定してしまうことは「職員の考えを押し付けていること」だと思っています。

浴槽に浸かれない方向けにミスト浴の準備も

――素晴らしい考えをお持ちだと思います。こうした考えは職員の方などにも共有されているのでしょうか。

はい。常に言い続けていますね。例えば過去に30秒おきくらいでナースコールを押す入居者様がいらっしゃいました。スタッフは最初いらだちを覚える者もいました。でも入居者様が不安を感じているのは事実です。だからカンファレンスの際に職員に「きちんと毎回応答して居室まで行って、安心してもらうように心がけましょう」と伝えました。「相手が今何に困っているのか」に向き合うことが大事なんです。

そこからは毎回対応をしていたのですが、だんだんとナースコールの回数が減ってくるんですよ。最後までコミュニケーションを取ることが入居者様との信頼に結びついていると思いますね。

――なるほど。確かに入居者様としても安心しますし、ご家族からの信頼も獲得できると思いますね。

はい。ただこうした「姿勢」ももちろん必要ですが、専門職としてのサービス力も大事だと考えています。そのためファミリー・ホスピス二子玉川ハウスの職員は、みんなプロ意識を持ってケアにあたっているのも特徴です。

――具体的にどういった部分に力を入れていらっしゃいますか?

特に注力しているのは「介護・看護の連携」です。役割としては生活は介護、医療は看護と明確に分かれていると思うのですが、この2つは決して独立してはいけません。訪問介護、訪問看護、ハウスのサービスが常に協力し合うことで良いサービスになります。

例えば要介護度の重い方のご入浴の際、事前に看護師が体につけている医療機器の位置を確認したうえで介護スタッフに任せるようにしています。

また食事の際にも食べる前に看護師がたん吸引をします。そうすると飲み込みやすくなるんですね。その後は介護スタッフが食事介助をします。こうした形でたん吸引を事前にすることで、食べる意欲が出てくるんです。

共用のダイニング

――連携力も高いんですね。全体を通して「あくまで入居者様をベースにして、最も喜んでもらえる介護・看護」を意識されているなぁ、と思いました。最後に入居を考えている方に対してメッセージを頂いてもよろしいでしょうか。

はい。ファミリー・ホスピス二子玉川ハウスは病院とは大きく違います。ただ療養するだけではなく「どのように豊かな生活をするか」を考えていただき、そのサポートができる施設です。ですので諦めずに「やりたいこと」を可能な限り実現します。最近ではMr.Childrenのコンサートに行かれた方もいらっしゃったくらいです。

「叶えたいことを実行しながら最期まで暮らしたい」とお考えの方はお気軽にご相談ください。

ファミリー・ホスピス二子玉川ハウスのスケジュール

緒方

この記事の寄稿者

緒方

介護のほんね編集部。認知症サポーターです。
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