認知症対応型通所介護とは|人員基準や利用条件、介護費など

認知症を患っている利用者が自宅で生活を送るために、非常に便利なサービスとして「認知症対応型通所介護」があります。通称「認知症デイサービス」ともいわれていて、認知症の人が自宅で日常生活を送れるようにするための援助をしています。

在宅サービスの利用率が多くなっているなか、通所介護サービスも人気です。なぜ通所介護サービスが、介護を必要としている人たちから注目されているのでしょうか?

認知症対応型通所介護は、他の介護サービスとどのように異なるのか、また利用するにあたっての利用料金なども知りたいという人は多いでしょう。そこで今回は、認知症対応型通所介護が他の介護サービスとどう異なるのか、利用料金や利用条件はあるのかなどを解説していきます。これから利用を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

認知症対応型通所介護とは

認知症対応型通所介護とは、認知症を患っている利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスで「認知症デイサービス」ともいわれています。利用者ができる限り自宅で自立した日常生活を送れるように、認知症の利用者がデイサービスセンターやグループホームなどに通って専門的なケアを受けます。

施設では食事や入浴などの日常生活上の援助や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供しているのです。自宅にこもりがちな利用者の社会的孤立感の解消や心身機能の維持・回復だけでなく、家族が介護をする負担を軽減することを目的としています。

認知症対応型通所介護は3つに分けられる

事業所の形態として、細かく3つに分けられます。単独型は特別養護老人ホームや養護老人ホームなどの特定施設に併設されていないもの、併設型は特定施設に併設されているもの、共用型は認知症対応型共同生活介護などの施設の一部を使っているものです。

単独型

単独型は認知症デイサービスを単独で運営していて、社会福祉施設や特定施設に併設されていません。多くの場合は、古民家などを改装して利用されています。

併設型

併設型は、社会福祉施設や特定施設に併設されているものです。施設には、当別養護老人ホームや介護老人保健施設のほかに、病院や診療所なども含みます。

共用型

共用型は、グループホームと言われる認知症対応型共同生活介護などの食堂や居間を借りて実施しています。認知症対応型共同生活介護とは、認知症を患っている利用者が共同で生活する住居において、入浴や排泄などの介護や世話などをする場所です。この施設の一部を使うことで、同じ認知症を患っている利用者と交流できるので、症状を遅らせる効果があります。

認知症対応型通所介護の利用条件

利用条件として、住んでいる地域の事業所であること、要介護または要支援の認定を受けていること、医師によって認知症との診断を受けていることが挙げられます。住んでいる地域の事業所であることに関しては、他の介護サービスと同様です。

他の介護サービスと異なる点は、要支援の認定を受けていてもサービスを受けられることと、医師によって認知症との診断を受けていることです。

他の介護サービスは要介護のみの認定を受けていないとサービスを受けられませんでしたが、認知症対応型通所介護は要支援の認定を受けていればサービスを受けられます。また、医師によって認知症との診断がされていないと利用できないのは、このサービスの特徴です。

要介護や要支援について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
要介護認定1~5の判定基準は|給付金の限度額、入居できる施設も紹介

ただし、市区町村によっては近隣の自治体と連携して、他の地区の利用を認めていることもあります。さらに認知症の診断以外でも他の手段を認めている場合もあり、住んでいる市区町村によって扱いが多少異なるので注意しましょう。加えて、特別な食事形態の対応や医療的処置の対応が可能かどうかも各事業所によって異なります。

事業所で対応ができない場合は利用できないこともあるので、各事業所に問い合わせてみてください。

認知症対応型通所介護の人員基準

認知症対応型通所介護の人員基準は、管理者と従業者で分けて説明していきます。それぞれ定められている人数の人員を配置しなければいけないので、きちんと確認しておきましょう。

管理者

管理者は、職務に従事する常勤の人手、厚生労働大臣が定める研修(認知症対応型サービス事業管理者研修)を修了している人のことを言います。つまり、認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していないと管理者になれないのです。事業所の管理で支障が無い場合は、事業所内に属している常勤の生活相談員、機能訓練相談員、看護職員、介護職員を兼務できます。

管理者として従事する人は、基本的に1人以上と決められています。通常の通所介護サービスであれば特に資格がなくても管理者になれますが、認知症対応型通所介護の場合は研修を修了していないといけません。

従業者

従業者は、単独型・併設型と共用型に分けて説明していきます。単独型・併設型をさらに細かく分けて、生活相談員、介護職員、看護職員、機能訓練指導員の4つで説明しましょう。

単独型・併設型の従業員

まずは単独型・併設型の生活相談員から見ていきます。生活相談員は通所介護で提供する時間数に応じて、同じ通所介護に常勤で提供する人が1人以上いないといけません。通所介護で生活や相談、指導などの業務を担う生活相談員は、ソーシャルワーカーとも言われています。

社会福祉士、社会福祉主事、精神保健福祉士のいずれかの資格が必要で、地域によっては介護福祉士の資格があれば生活相談員になれるところもあります。10人以上いる事業所では、生活相談員又は介護職員のうち1人は常勤でないといけません。

介護職員は単位ごとに提供時間数に応じて、介護職員を配置しなければなりません。通常の通所介護サービスの場合、利用者15人までは1人以上という決まりがありますが、認知症対応型通所介護の場合は12人以下で1人以上と決まっています。

看護職員も介護職員と同じで、単位ごとに提供時間数に応じて介護職員を配置しなければなりません。利用定員が10人を超える場合は、単位ごとに時間帯を通じて専従する必要はありませんが、提供時間帯に事業所と密接かつ適切に連携を取れる人が1人以上必要です。

機能訓練指導員は、常勤で1人以上なければいけません。看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格が要り、同じ事業所での他の職務との兼務ができます。

共用型の従業員

共用型の場合、指定認知症対応型共同生活介護の利用者や指定地域密着型特定施設の入居者などの入居者数の数と事業の利用者数を合計した数について、規定を満たすために必要な数以上とします。つまり認知症対応型共同生活介護での利用の場合、その共同生活をしている利用者と事業の利用者を合計した数で介護職員の数が決まるということです。利用定員は単独型や併設型とは少し厳しく、1日に3人以下となっています。

他の通所介護サービスとの違い

人員基準などを説明してきたところで、他の通所介護サービスとの違いはどこにあるのでしょうか。ここでは一般のデイサービスの違い、療養通所介護との違い、地域密着型通所介護との違いを見ていきます。

通所サービスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
通所サービスについて費用も含めて一覧で紹介

一般のデイサービスとの違い

一般のデイサービスと大きく異なるところは、定員が少人数制で人員配置の割合が高いことです。認知症対応が通所介護は、利用者の定員が12人以下となっています。また介護保険法で特別養護老人ホームなどの福祉施設が定められている人員配置基準では介護職員1人当たり利用者が3人までという決まりです。そのため、一般の通所介護よりも人員体制が手厚くなっています。

一般的なデイサービスは、レクリエーションや共同作業をする時は大人数でやるため、認知症を患っている利用者にとってはそれが苦痛になる場合があります。なかなか落ちつけずに、興奮状態になったり引きこもりになったりすることもあるのです。そのような人でも認知症対応型通所介護は、少人数で介護が手厚い環境で穏やかに過ごせるように工夫されています。

療養通所介護との違い

療養通所介護とは、難病や末期がんなどで重度の介護を必要とする人が対象の通所介護サービスです。認知症対応型通所介護が療養通所介護と異なる点は、認知症に関する専門的なケアを提供できることです。認知症対応型通所介護の管理者は、認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していることが義務付けられています。

療養通所介護は常に看護師による観察が必要な重度の認知症の人が対象です。また専門的な知識を持っている人がいないため、常に看護師が一緒にいなければなりません。

一方で認知症対応型通所介護は、認知症と医師から診断されている人で要介護もしくは要支援に認定されている人であれば対象となります。手厚い人員配置で専門的なケアの実施も可能となっていて、利用者一人ひとりの認識や感情を重視して個別にケアができます。

地域密着型通所介護との違い

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)と認知症対応型通所介護の違いは、利用定員の人数です。小規模デイサービスの場合、日中の利用定員が18人以下に対し、認知症対応型通所介護は利用定員が12人以下となっています。そのため、より認知症の利用者に寄り添ったケアが可能です。

また、地域で開かれているので認知症の利用者が住み慣れた地域から離されることもなく、地域の人とつながる仕組みになっています。認知症になると新しい環境に馴染めず、ストレスを抱えて症状が悪化する人も少なくありません。馴染みの地域で馴染みのある人とつながり続けられることも、認知症対策のポイントになってきます。

一方で小規模デイサービスと同様の部分もあります。地域密着型の認知症対応型通所介護と小規模デイサービスは、原則として利用者が当該の市区町村住民に限られているのです。またサービスの内容もほとんど一緒で、食事や入浴、排せつの介護、日常生活の動作訓練などをします。認知症対応型共同生活介護も同じようにしているので、地域密着型という部分では、似ているのかもしれません。

単位で分かる利用料金

認知症対応型通所介護の利用料金は、単独型、併設型、共用型の事業所形態や利用時間などによって異なります。また事業所の所在地やサービス提供体制などによっても利用料の負担額が少し異なるのです。送迎費用は基本料金に含まれますが、食費やおむつ代、その他の日常生活費は別で必要になるので注意しましょう。

時間の単位によって料金は異なります。例えば4時間以上5時間未満の場合、要支援1に認定されている人で単独型が495円、併設型が447円、共用型が258円となっています。要介護1の人は単独型が566円、併設型が512円、共用型が277円です。要介護の場合、単独型が795円、併設型が717円、共用型が317円です。

金額だけを見てみると、共用型は単独型・併設型と比べると安くなっているのが分かります。時間は1時間ずつで上がっていき、最大6時間以上7時間未満の時間までサービスを利用できます。さらに時間単位での料金に加えて、サービス内容や事業所の体制によって加算料金が発生し、利用料に加算されることがあるので注意しましょう。

加算料金の内訳は、入浴介助代、個別機能訓練加算、若年性認知症利用者授乳加算、栄養改善加算、口腔機能改善加算などです。入浴介助代は、入浴介助のサービスを受けた時、個別機能訓練加算は理学療法士などによって個別に機能訓練を受けた時などに1日につき加算されます。栄養改善加算や口腔機能改善加算は1月につき加算されていきます。

認知症対応型通所介護はデイサービスよりストレスが軽減される

今回は認知症対応型通所介護についてご紹介してきました。通所介護の中でも認知症の人へのケアを重視した介護サービスであり、在宅介護における家族の負担を減りつつ、利用者本人も機能向上や社会的孤立感の解消につながります。

認知症対応型通所介護だと一般的なデイサービスなどとあまり変わらないように感じるかもしれませんが、人員体制は認知症対応型通所介護のほうが手厚く、一人ひとりにしっかりと寄り添いながらサポートしてもらえます。利用者はその分少なめなので、ストレスも軽減されやすいです。

地域密着型通所介護や療養通所介護など似ている施設も多いため、認知症対応型通所介護のサービスを利用したい人は間違えないように気を付けましょう。

この記事のまとめ

  • 認知症対応型通所介護は、認知症患者を対象に専門的なケアを提供する通所介護サービス
  • 入所条件は「住所と同じ地域の事業所である」「要介護・要支援認定を受けている」「医師から認知症と診断されている」の3点
  • 単独型や併設型に比べて、共用型は安く利用できる