老人ホーム・介護施設で働いているスタッフを職種別に一覧で紹介|施設種類ごとの配置基準も

老人ホーム・介護施設では、あらゆる職種のスタッフが働いています。また施設の種類によって必要な職種と人数が違いますので、施設選びの参考にしてください。今回は老人ホーム・介護施設で働くスタッフの業務内容を紹介します。

老人ホーム・介護施設で働いているスタッフを職種別に一覧で紹介|施設種類ごとの配置基準も
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

老人ホームのスタッフ体制は施設選びの指針の1つになる

老人ホームではさまざまな職種のスタッフが働いており、それぞれの持ち場での仕事を通して入居者のサポートをしています。ご家族としては「どんなスタッフが働いて、どのように関わっているのか」が気になると思います。

スタッフの人員体制は施設によって異なるため、入居者本人やご家族が施設を探す際の指針の1つとなります。「施設で働く職員の職種」「国が定めている人員配置基準」を紹介していきますので、老人ホーム探しにお役立てください。

老人ホーム・介護施設のスタッフ

老人ホーム・介護施設で働いているスタッフについて、職種の名称と業務内容を紹介します。

介護職員

入居者の食事、入浴、排泄といった生活の介助をおこなうスタッフです。入居者と最も密接に関わる職種です。

施設見学の際には「入居者に対して気さくに声をかけているか」「介助は丁寧か」などを見ておきましょう。

国家資格の「介護福祉士」である介護職員もいる

介護職員は資格がなくても働くことができますが、業務において介護に関する知識・技術が求められるので「介護福祉士」などの資格を取得することが推奨されています。介護福祉士は国家資格です。介護福祉士の業務は、資格を有していない介護職員と大きな違いはありませんが、介護職員のまとめ役として助言や指導をおこないます。

他にも、初任者研修実務者研修を受けた介護職員もいます。専門的な介護の知識があるので、入居者も安心して介護を任せられます。

看護師

入居者の健康管理や服薬管理をするのが看護師です。入居者の介助や身の回りのお世話などのサポートをする介護職員とは違い、看護師は医療的なケアで入居者をサポートします。入居者の状態によって、外部医療機関と連携を図る窓口になることもあります。なお、要介護者が多い施設ほど看護師の数が必要です。施設によって看護師の設置基準は決まっています。

24時間看護師常駐の施設もある

深夜や早朝の入居者のケアや体調の変化に備えるため、24時間看護師を常駐させている施設もあります。ただし、一般的には日中のみ看護師が配置されている施設が多いため、夜間の医療的ケアが必要な方は事前に確認が必要です。

生活相談員(ソーシャルワーカー)

老人ホームの窓口となるスタッフが生活相談員です。業務は以下の通りです。

  • 入居者の家族への連絡や調整
  • 医療機関、行政機関、福祉サービスなど外部機関との連絡調整
  • 施設職員の内部調整
  • 行政的な手続き
  • ボランティアへの対応
  • 送迎車両の運転
  • 施設利用者拡大などの営業活動
  • 苦情の対応

施設によっては、入居者の介護をおこなう生活相談員もいます

家族の要望、苦情は生活相談員に相談する

家族が施設に入居すると、入居者本人だけでなく、家族にも悩みや苦情が生まれることがあります。その場合は生活相談員に相談しましょう。生活相談員には施設に関する情報が集約されており、解決に導くヒントを見つけてくれます。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援相談員(ケアマネジャー)は、入居者に合った介護サービス利用計画書(ケアプラン)を作成します。介護支援専門員になるためには決められた試験に合格し、研修を修了する必要があります。

ケアマネは変更もできる

介護の方針はケアマネジャーによって異なる場合があります。

もし入居者本人や家族が「合わない」と感じた場合は、ケアマネジャーを変更することも可能です。ただし話し合いで解決できる可能性もありますので、まずはケアマネジャーとよく相談することをおすすめします。

機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語療法士など)

入居者のリハビリの方針を決め、サポートをするスタッフが機能訓練指導員です。機能訓練指導員は理学療法士、作業療法士、言語療法士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、看護師などが担当します。

「楽しくリハビリができるか」が重要

リハビリは一度でなく継続的におこなうことが重要です。特に高齢者の場合は、日常的に体を動かしていないと心身の機能が低下し、怪我や病気の回復が遅れてしまいます。

個人に合わせた機能訓練計画書をもとにリハビリをします。機能訓練指導員は入居者が楽しくリハビリをするために、ゲーム形式にするなどの工夫をしています。

栄養士・調理師

入居者の食事は個々の状況に合ったものでないといけません。嚥下機能の状態や持病などに対応したメニュー(献立)を作成する専門スタッフが栄養士(または管理栄養士)です。栄養士の作成したメニューをもとに食事を作るスタッフが調理師です。調理師の設置基準は定められておらず、調理を外部委託している場合は調理師がいない施設もあります。

介護食への対応はできるかを確認しておく

施設により食事のメニューはさまざまですし、調理方法も異なります。特に嚥下機能に不安があって固形食を食べられない方は、事前に「介護食」に対応できるか確認することをおすすめします。調理を外部の委託業者に調理を頼んでいる場合は介護食の対応ができないこともあるので注意が必要です。

医師

入居者の総合的な医療管理を担うのが医師です。医療ケアに力を入れている施設の場合は、24時間対応で医師が往診をしてくれることもあります。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは必要な人数が定められています。それ以外の施設でも医師は連携機関として往診、定期健康診断、緊急時の対応といった業務を手掛けます。

医師にしかできない医療措置が必要な方は要チェック

入居者によってはインスリン注射など、医学的なケアが必要なことがあります。介護職員や看護師だけでは限られた医療行為しかできません。医師がいることでより柔軟なケアを受けられます。

施設長

施設長は、施設全般の管理や運営、職員のマネジメントをおこないます。誰でもなれるわけではなく、一部施設を除いて「社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者」などの資格が必要です。

介護方針について質問しておく

各施設で方針や入居する人の条件、介護方法が異なります。介護方針を定めるのは施設長であるため、スタッフへの教育、入居者に対する接し方などを入居前に施設長に質問してみることをおすすめします。

老人ホーム・介護施設によっては最低限の人員配置基準がある

老人ホーム・介護施設は、最低限の人員配置基準が定められています。ここでは各施設の人員配置基準をまとめました。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームはすべて「特定施設入居者生活介護」に指定されていますので、以下の人員配置が必須です。

管理者 常勤1人(兼務可)
生活相談員 要介護者:生活相談員=100:1
看護・介護職員 要支援者:看護・介護職員=10:1
要介護者:看護・介護職員=3:1
機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
計画作成担当者 介護支援専門員1以上(兼務可)
引用:厚生労働省「特定施設入居者生活介護(参考資料)

人員配置基準では常勤の介護職員は1人以上居れば良いことになっており、他は非常勤の介護職員でも構いません。看護師も1人以上の配置義務があります。

また介護は24時間365日フルにおこなう必要がありますが、常に「入居者:職員=3:1」というわけではありません。あくまで常勤職員数の基準であり、時間帯によっては入居者に対応する職員の数は増減します。施設によっては、夜間の人員が入居者50人に対して2人ということもあります。

ただし、反対に人員にゆとりを持たせている施設では、入居者1.5~2.5人に1人といった基準で配置しているところもあります。そのような施設は料金が高額なケースがほとんどです

グループホーム

グループホームは「認知症であること」「要支援2以上であること」「施設と同じ市区町村に住民票があること」などが入居条件です。主な人員配置は以下のようになっています。

世話人 常勤換算で、利用者数を6で除した数以上
生活支援員 常勤換算で、次の①から④までに掲げる数の合計数以上
① 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数
② 障害支援区分4に該当する利用者の数を6で除した数
③ 障害支援区分5に該当する利用者の数を4で除した数
④ 障害支援区分6に該当する利用者の数を2,5で除した数
サービス管理
責任者
・利用者数が30人以下:1人以上
・利用者数が30人以上:1人に、利用者数が30人を超えて30又はその端数を増す毎に1人を加えて得た数以上
管理者 常勤で、かつ、原則として管理業務に従事するもの(管理業務に支障がない場合は他の職務の兼務可)
引用:厚生労働省「グループホームの概要

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

要介護3以上の高齢者が入居する特別養護老人ホームは、公的施設ということもあり人員配置基準がさらに細かく定められています。医師の配置が義務付けられていることが大きな特徴です。

医師 入所者に対し健康管理および療養上の指導をおこなうために必要な数(非常勤でも可)
介護職員または看護職員 入所者の数が3人又はその端数を増すごとに1人以上※
栄養士 1人
機能訓練指導員 1人
介護支援専門員 1人以上(入所者の数が100人又はその端数を増すごとに1人を標準とする)

※「ユニット型」の施設の場合は、1つのユニットに1人以上の介護職員または看護職員を配置しないといけません。

参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(参考資料)

ケアハウス

ケアハウスの人員配置基準は以下のように定められています。

施設長 常勤1人
生活相談員※ 入所者の数が120又はその端数を増すごとに1人以上
介護職員※ 30人以下の施設:常勤換算方法で1人
31人~80人以下の施設:常勤換算方法で2人
80人以上の施設:常勤換算方法で2人、実情に応じた人数
栄養士※ 1人以上
事務員※ 1人以上

※複数人配置する場合は、1人以上常勤職員を配置しなければなりません。

参考:厚生労働省『軽費老人ホームの設備および運営に関する基準

「スタッフ」を老人ホームを探す際の指針の1つにする

介護施設・老人ホームの種類によって、職員配置に最低限の基準は設けられています。ただし同じ施設種別でも施設によって人員の充実度は違います。例えば介護付き有料老人ホームの人員基準は「要介護者:看護・介護職員=3:1」ですが、施設によっては2:1と手厚いこともあります。

またスタッフのスキルも違います。入居者本人の要介護度が高い場合は、介護・看護体制が手厚い施設を選ぶべきです。また経口での食事ができる元気な方であれば、調理師の技術力が施設を選ぶポイントになります。

施設をお探しの方は「スタッフの充実度」「スタッフのスキル」をあらかじめ知っておき、老人ホーム選びの指針の1つとすることをおすすめします。

この記事のまとめ

  • 快適な介護生活を送るには良いスタッフに巡り合うことが重要
  • 老人ホーム・介護施設の人員配置基準は施設種別によってさまざま
  • 入居者本人の状態に合った人員が揃っている施設を選ぶことが重要

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