療養型病院(医療療養病床)とは|費用や入院期間、介護療養病床との違いも解説

療養型病院は病床(ベッド)が療養病床である病院のことです。医療療養病床とも呼ばれています。この記事では療養型病院の特徴や入院費用などについて解説しましょう。「療養病床とは何か」「介護療養病床とはどう違うのか」など検討時に知りたい情報を分かりやすく紹介します。

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療養型病院(医療療養病床)とは|費用や入院期間、介護療養病床との違いも解説
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

療養型病院(医療療養病床)とは

「療養型病院」は医療療養病床の通称です。医療療養病床とは、慢性期(病状が安定している時期)の患者を対象に、医療ケアやリハビリのサービスを提供します。

長期間の療養を目的とした医療機関

医療療養病床は、慢性期の疾患がある方が、長期間の療養ができることを目的とした医療機関です。患者4人に対して、看護師・看護補助者が1人以上配置しています。

利用対象者は慢性期の患者

利用対象者は、病状が安定した慢性期の患者が対象です。2006年より医療区分が導入され、医療区分2・3の人を優先的に受け入れています。医療区分については後ほど紹介しますが医療区分1の人は入院が難しくなりました。

医療療養病床は医療保険が適用

医療療養病床は医療保険が適用される医療機関です。

入院期間の目安は3~6カ月

入院期間は病院によって異なります。あらかじめ3カ月、6カ月などと期間を設定している病院もありますので、検討時に確認しておきましょう。

似た施設に「介護療養病床」がある

なお療養を目的とした施設には「医療療養病床」だけではなく「介護療養病床」もあります。介護療養病床は2023年に廃止が決まっています。この2つの施設の違いについては後ほど解説しましょう。その前に「療養病床とは何か」について説明していきます。

療養型病院の療養病床とは

病床分類

病床は病院などに設けられているベッドを指します。病床は「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「療養病床」「一般病床」の5つに分類されます(下記の表を参考)。

精神障害・感染症・結核病などの特定疾患がある患者は「精神病床」「感染症病床」「結核病床」へ、それ以外の疾患の場合は「療養病床」または「一般病床」へ入院するのが基本です。なかでも療養病床は、療養を必要とする患者を対象にしています。
病床分類
分類 役割
精神病床 精神科の患者が入院するための病床
感染症病床 感染症に関する法律において指定された感染症患者が入院するための病床
結核病床 結核患者が入院するための病床
療養病床 長期にわたり療養を必要とする患者が入院するための病床
一般病床 上記以外の患者が入院するための病床。一般病床には、緩和ケア病棟、集中治療室(ICU)、ホスピス病棟などの病床も含まれる

一般病床と療養病床の違い

一般病床と療養病床の違い

一般病床と療養病床の違いを簡単にいうと、一般病床は「今必要な治療を提供する病院」です。療養病床は「療養生活を支援する病院」です。具体的に治療のステージや設備、職員体制が違います。

治療のステージ

療養型病床と一般病床の違いは、治療のステージの違いです。治療のステージは「急性期」と「慢性期」があります。

急性期は病気になりはじめた時期です。病状の変化も日によって激しく、患者の状況を常に把握しておく必要があります。一般病床は「急性期」の患者が対象です。 慢性期は病状が安定しています。しかし在宅で暮らすことは困難で日常的な医療ケアが必要な状態です。療養病床は「慢性期」の患者が対象となります。

入院期間

一般病床は入院期間も短く、約2週間ぐらいが目安となります。療養病床は3~6ヶ月が目安です。ただし病状や事業所によって異なります。

設備・機器

一般病床は病気の発見・診断・治療を実施するため、多くの機器や設備を導入しています。検査室・手術室も充実です。

療養病床は療養に必要な設備・機器しか導入していません。手術室も存在しない病院もあります。長期利用する人が多いため、病室や談話室は一般病床よりもゆとりある広さです。

職員体制

職員体制は医療法に基づいて決まっています。患者の状況がいつ変わってもおかしくない一般病床は療養病床に比べると手厚い人員体制です。

人員配置の比較
職員 一般病床 療養病床
医師 患者16人に対して1人以上 患者48人に対して1人以上
歯科医師 患者16人に対して1人以上 患者16人に対して1人以上
薬剤師 患者70人に対して1人以上 患者150人に対して1人以上
看護師及び准看護師 患者3人に対して1人以上 患者4人に対して1人以上
看護補助者 規定なし 患者4人に対して1人以上
栄養士 病床数100以上の病院に1人
診療放射線技師・事務員など 適当数
理学療法士・作業療法士 適当数
出典:厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について

医療療養病床と介護療養病床の違い

医療療養病床と介護療養病床の違い

介護療養病床(介護療養型医療施設)とは

療養病床には医療療養病床介護療養病床があると前述しました。どちらも療養を目的とし、医師や看護職員の管理下のもと、医療ケアや身体介護が受けられます。

医療療養病床は、慢性期の疾患がある方のための長期間の療養施設です。一方、介護療養病床は、医療が必要な要介護者のための長期療養施設であり、目的や役割が異なります。「介護療養型医療施設」とも呼ばれています。

介護療養病床と医療療養病床との違い

介護療養病床は医療療養病床と比べて介護サービスが充実しています。そのため医療保険ではなく、介護保険が適用されます。利用条件は要介護1以上の医療処置が必要な方です。医療療養病床よりも医療依存度が低い方を受け入れていました。入院期間は約1年ぐらいが目安となります。

ただし介護療養病床は2017年に廃止が決まり、現在は新施設へ移行する経過措置期間です。厚生労働省は2024年3月までが移行期間として設定しています。

介護療養病床の特徴
  • 要介護1以上の医療処置が必要な人が対象
  • 介護保険が適用される介護施設
  • 入所者6人に対して、看護師・介護職員が1人以上配置
  • 2017年に廃止が決まる
医療療養病床の特徴
  • 慢性期の病状である医療区分2・3の人を対象
  • 医療保険が適用される医療機関
  • 患者4人に対して、看護師・看護補助者が1人以上配置

介護療養病床を廃止するわけ

介護療養病床(介護療養型医療施設)が廃止になる経緯を紹介します。

理由1:医療費や社会保障費を圧迫

1つめは、想定以上に長期の利用者が多かったため、医療費や社会保障費を圧迫していたことです。2001年の創設当時、介護療養病床は短期的な療養を想定していましたが実際は計画通りに進みませんでした。介護保険の財源を確保するためにも、介護療養病床の運営は問題視されていたのです。

平均在院日数(平成30年4月)
病床 平均在院日数
医療療養病床(療養型病院) 141.8日
介護療養病床(介護療養型医療施設) 297.6日
一般病床 16.4日
出典:厚生労働省「病院報告(平成30年4月分概数)

理由2:各利用者に大きな違いが見られない

2つめは、医療療養病床と介護療養病床の利用者の状況に大きな違いが見られなかったことです。厚生労働省の調査によると、各療養病床の利用者を比較すると「医療の必要性の高い人と低い人が同等の比率で混在している」という実態が分かりました。

本来なら医療療養病床は医療療養が必要な人の受け入れ先であり、介護療養病床は介護療養が必要な人の受け入れ先である必要があります。このような状況に陥ったのも医療と介護の必要性が明確に区分されていなかったことが原因です。

療養病床の再編

課題を解決するためにも、きちんと利用者を棲み分けするために療養病床を再編することになりました。主な施策は、医療の必要性が高い人は医療療養病床へ、医療より介護の必要性が高い人は他の施設へ促すことです。

そうした経緯もあり介護療養病床を廃止することになりました。併せて医療療養病床も一部減らす計画が進んでいます。

療養病床の再編
  • 介護療養病床:約5万9,000床を完全廃止(2024年3月までが期限)
  • 医療療養病床:約21万6,000床のうち、約7万2,000床を廃止

介護療養病床の代わりとなる介護医療院を新設

介護療養病床の転換先として「介護医療院」が2018年に新設されました。介護医療院は医療ケアが必要な人も長期利用できる介護施設です。身体介助や生活サポートに加えて、日常的な医療措置や看取りなどのサービスが受けられます。

介護療養病床との違いは、生活の場として配慮されていることです。多床室でもパーテーションなどで仕切りが設けられています。

医療療養病床との違いは、利用者の医療区分です。医療療養病床は医療区分2・3を対象としています。介護医療院では医療区分1を対象としています。

医療療養病床と介護医療院の比較
施設形態 医療療養病床 介護医療院
保険 医療保険を利用 介護保険を利用
サービス
  • 長期療養を目的としたサービス
  • 特に医療の必要性が高い
  • 長期療養を目的としたサービス
  • 特に介護の必要性が高い
利用者像
  • 医療の必要性が高い人
  • 医療区分2・3を中心
  • 長期の医療・介護が必要な人
  • 医療区分1を中心
医療機能
  • 人工呼吸器や中心静脈栄養などの医療
  • 24時間の看取り・ターミナルケア
  • 当直体制(夜間・休日の対応)
  • 医療の必要性が比較的高く、容体が急変するリスクがある人
  • 喀痰吸引や経管栄養を中心とした継続的な医学管理
  • 24時間の看取り・ターミナルケア
  • 当直体制(夜間・休日の対応)もしくはオンコール体制

介護医療院についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【専門家監修】介護医療院とは|施設・人員基準などをわかりやすく解説

医療区分とは

医療区分とは患者の医療の必要性を評価するための指標です。3つの区分があり、医療区分3が最も重い疾患・状態です。医療区分2・3に該当しない場合は、医療区分1とします。

医療区分3
疾患・状態 医療措置
  • スモン、医師及び看護師により、常時監視・管理を実施している状態
    ※状態により医療区分2に分類
  • 中心静脈栄養
  • 24時間持続点滴
  • 人工呼吸器使用
  • ドレーン法、胸腹腔洗浄、発熱を伴う場合の気管切開、気管内挿管
  • 感染隔離室における管理
  • 酸素療法を実施している状態
  • 肺炎等の急性増悪により点滴治療を実施している状態
医療区分2
疾患・状態 医療措置
  • 筋ジストロフィー
  • 多発性硬化症
  • 筋委縮性側索硬化症
  • パーキンソン病関連疾患・その他の指定難病
  • せき髄損傷(頚髄損傷)
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍
  • 肺炎
  • 尿路感染症
  • リハビリテーションが必要な疾患が発生してから30日以内
  • 発熱を伴う脱水・頻回の嘔吐
  • 体内出血
  • 褥瘡(床ずれ)
  • 末梢循環障害による下肢末端開放創
  • せん妄の兆候
  • うつ症状に対する治療を実施している状態
  • 暴行が毎日見られる状態
  • 酸素療法を実施している状態
  • 透析
  • 発熱又は嘔吐を伴う場合の経腸栄養
  • 頻回の喀痰吸引(1日8回以上)
  • 気管切開、気管内挿管のケア
  • 頻回の血糖チェック
  • 創傷(皮膚潰瘍、手術創、創傷処置)
医療区分1
  • 医療区分2、3に該当しない人

療養型病院(医療療養病床)の入院費用

医療療養病床の入院費用は、症状およびADL区分、年齢、地域によって異なります。月額の目安は10万~20万円です。

費用の一部は医療保険で負担しています。自己負担額は収入に応じて変動しますが一般的な自己負担額は1割です。入院医療費・食費・住居費が保険適用されます。

おむつ代などは自己負担

ただし、おむつ代・病衣代・タオル代などは自己負担です。おむつ代などは病院によって違うので、病院によって価格に差があります。個室を希望する場合は個室料が発生するケースがあるため事前にご確認ください。

医療療養病床入院時の費用(1カ月)
医療保険 項目 目安
保険適用 入院医療費 4万4,000円
食費 4万1,400円
住居費 9,600円
保険適用外 病衣 1万5,000円
タオル代 1万5,000円
おむつ代 3万円

入院・転院するまでの流れ

急性期の病状から落ち着き、慢性期になった際に療養型病院(療養病床)を検討すると思います。入院・転院までの流れを紹介しましょう。

STEP1:主治医へ相談

医療療養病床への入院がご本人の状況に適しているか主治医へ相談します。主治医の了承があれば、入院する病院を検討します。病院選びは、現在入院中の人は退院後の暮らしも支援する「地域医療連携室」に相談するのもいいでしょう。在宅で探す場合はケアマネジャーや地域包括センターの相談窓口に相談してみてください。

STEP2:必要書類の提出

希望の病院が決まれば書類を提出します。病院によって提出書類は異なりますが主治医が作成する「情報提供書」は必須です。複数科目を受診している場合は、各医師に情報提供書の作成をお願いします。

療養型病院は介護保険施設ではないので介護認定書の提出は不要です。その代わり、保険証または医療受給者証を提出します。

STEP3:医師とご家族による面談、書類審査

医師とご家族の面談を実施します。入院判定は面談と書類に基づいて審査します。ご家族が不在の場合は、成年後見人が面談を実施します。

STEP4:医師による入院決定

受け入れ可否の連絡があります。受け入れ可能な場合は、利用開始のおおまか時期を聞きます。空きの病床がない場合は待機が必要となります。

STEP5:入院

療養型病院の生活がスタートします。

多様な選択肢がある施設選び

現在、超高齢社会の過渡期であり「介護療養病床が廃止」「介護医療院の新設」など介護業界も刻々と変化しています。施設形態ごとの特徴も多様であるため、ご自分にあった施設を見つけることは困難かもしれません。

この記事では療養型病院と呼ばれる医療療養病床について解説しました。慢性期の状態の入院先として挙がる施設です。他にも「介護医療院」「24時間看護師常駐の介護付き有料老人ホーム」「在宅医療」などの選択肢が考えられます。

複数の選択肢から選ぶ際のポイントとして「入居条件」「費用」「長期で利用できるか」などを把握しておくことが大切です。他の施設と比較しながら自分にあった施設を見つけてみましょう。

この記事のまとめ

  • 医療療養型病床とは、病状が安定した人が療養するための病院
  • 一部は廃止が決定しており、病床数は減少傾向にある
  • 月額費用の目安は10~20万円程度で、医療保険を利用できる