介護施設への入居で必要な書類とは|入居時にそろえる書類を一覧で紹介
大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。
介護施設への入居にはさまざまな書類が必要
介護施設に入居する際に必要な書類は、施設側の事前に読んでおく書類、入居時に持参する書類、契約の際の書類の3つに分けられます。これらの書類には、入居申込書や入居契約書、重要事項説明書、管理規定といったものが含まれます。
施設側が用意する書類が多いものの、なかには入居する側が用意しなければならないものもあります。準備に一定の時間がかかる場合もありますので、どのような書類が必要になるのかを知っておくと安心して進められます。
事前に読んでおく書類について
最初に、入居前に必要な書類についてみていきましょう。事前に読んでおく書類には、パンフレットや重要事項説明書、管理規定といったものがあります。
重要事項説明書
重要事項説明書は、有料老人ホームをはじめとする介護施設の主要な情報をまとめた書類です。施設側が作成するもので、入居するかどうかを決めるために重要な書類となっています。そのため、誰でも分かる簡単な文章でなければいけません。また「書かれている内容は介護施設の現状を正しく反映しているか」「契約や管理規定との不一致がないか」といった点をきちんと守ったうえで作成すべき書類でもあります。
管理規定
管理規定は、入居契約を交わす際に提示される書類です。施設に入居してからの生活に関する細かい注意点などがあります。管理費や食費に関する事項はもちろんですが、その他に必要となる料金に関しても管理規定に明記されているので確認しておきましょう。
さらに、入居を考えている介護施設がどのようなサービスを提供しているのか、利用にはどのくらい費用が必要なのか、利用するためにはどうすればいいのかといった点についても、管理規定に書かれています。細かい部分まで書かれているので、入居前に忘れずに確認すべき書類です。
入居時に持参する書類について
続いては、入居時に必要となる書類についてみていきましょう。入居時に持参する書類には、診療情報提供書や健康診断書があります。
診療情報提供書
診療情報提供書は、医師からの紹介状のことを指します。主治医が他の医療機関宛に作成します。内容は、本人の名前、生年月日、住所、診療の経過、服薬の内容などです。
この診療情報提供書は、医療保険の対象となります。そのため、1割負担の場合は250円で作成してもらえるようになっています。
介護施設によっては、診療情報提供書の内容として、健康診断書に含まれるような検査項目が求められるケースがあるので注意が必要です。しかし診療情報提供書は基本的に、検査結果などに関する記載をする書類ではないことを覚えておきましょう。
健康診断書
健康診断書は、本人の健康状態に関して記された書類です。有料老人ホームなどの介護施設に入居する際に提出を求められます。多くの場合、介護施設が用意した書式に主治医が記載します。
健康診断書の用途と作成にかかる時間
健康診断書は、その施設に入居できるかどうかを決める重要な書類です。健康保険の適用外となっているので診断書に記載する項目に関する検査も全て自費となります。書類の作成料と検査料を含めると1万~2万円ほどかかってしまいます。
健康診断書の有効期限は90日です。時間の経過とともに状態が変化する可能性があるからです。1日でも過ぎてしまうと検査をやり直さなければいけません。
また健康診断書は完成までに1~2週間ほどかかってしまいます。検査の内容によっては検査結果が出るまでに時間がかかったり、外来の対応中に医師が作成することが難しかったりといった理由から、発効までに時間が必要なのです。そのため、ある程度余裕をもって健康診断を受けておきましょう。
健康診断書に記載する項目
老人ホーム・介護施設に入居する際に求められる健康診断書では、以下の項目を記載しなければいけないケースが多くなっています。
血液検査と尿検査
血液検査と尿検査は、およそ24の検査項目があります。一度の採取で全ての検査ができますが、健康診断書によって記載すべき検査内容が異なります。そのため、入居予定の介護施設から受け取った健康診断書を医師に見せ、どのような検査項目が必要なのか伝えるようにしましょう。
胸部レントゲン
胸部レントゲンは、CTによる検査です。心臓や肺などに異常がないか調べます。CTがない病院もありますので、あらかじめレントゲン検査が可能な病院を選んでおきましょう。
内服している薬について
健康診断書には、内服している薬に関する情報も記載されます。介護施設によっては、薬の内容によって入居ができなくなってしまう場合もあります。特に介護老人保健施設は、薬代を施設側が負担することになっているのが特徴です。薬価の高い薬を内服していると入居できない可能性が高まってしまうでしょう。
感染症の有無
感染症の有無も介護施設へ入居できるかどうかを大きく左右するポイントになります。MRSAや結核といった感染症に関する検査結果を記載します。なかには結果が出るまでに1週間ほど時間がかかってしまうものもあるため、余裕をもって検査を受けておくようにしましょう。
契約の際の書類について
有料老人ホームなどの介護施設へ入居するためには契約を結びます。契約時にもいくつか用意しておかなければいけない書類があるので、どのようなものがあるかみていきましょう。
入居契約書
入居契約書は、入居申込書(入居する意思を示す書類で、住所や家族に関する基本的な情報が記載されている)を提出後、実際に契約する時に必要になる書類です。入居するにあたって確認しておきたい条件を確認するだけではなく、署名や押印することで契約が成立となります。
連帯保証人・身元引受人の印鑑
介護施設に入居するには、連帯保証人と身元引受人が必要です。また入居時には連帯保証人と身元引受人の印鑑も必要になるので忘れずに用意しましょう。連帯保証人と身元引受人がいない場合は、保証会社を利用できるケースもあります。入居前に相談してみてください。
戸籍謄本
戸籍の原本がすべて書かれている写しが「戸籍謄本」になります。本籍地や氏名、性別、生年月日、戸籍に入った年月日、父母や養父母の氏名と続柄、元の戸籍などがあります。
戸籍謄本を手に入れるには、本籍地がある市区町村の役場で申請をしなければいけません。郵送で取り寄せることやコンビニで取ることもできるため、遠方に住んでいる場合でも問題なく入手できるでしょう。ただし、コンビニで取る場合は、マイナンバーカードや住民基本台帳カードが必要です。
住民票
介護施設に入居するためには、住民票も用意しなければいけません。住民票は、住民登録している市区町村の役場で住民票交付申請書を提出すると手に入れることができます。本人が受け取る場合は認印だけ持っていきましょう。しかし代理人が取りに行く場合は署名と捺印をした委任状が必要になります。
入居者が用意する書類一覧
- 診療情報提供書
- 健康診断書
- 住民票
- 戸籍謄本
介護施設入居前に必要な書類をきちんと用意しよう
介護施設に入居するためには、ただ申し込みをすればいいというわけではありません。入居契約などに必要となる書類をいろいろと用意しなければいけないのです。
事前に読んでおく書類には、パンフレットや重要事項説明書、管理規定といったものがあり、これらは介護施設が用意します。入居時に持参する書類には、診療情報提供書や健康診断書があり、主治医から書いてもらう必要があります。そして契約の際の書類には、入居契約書や連帯保証人・身元引受人の印鑑、戸籍謄本、住民票といった書類が必要になるので、それぞれのタイミングで必要なものを不備なく揃えられるようにしておきましょう。
書類があれば、入居可否の審査もスムーズに進みます。なかには、代理人が受け取る際に委任状が必要な場合もあるので、あらかじめ確認しておくと書類集めもしやすくなり、おすすめです。
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