インタビュー

老人ホームは「入ったらおしまい」ではない ──笹岡悠(地域医療支援チーム)

“施設介護”と“在宅介護”、両方の現場を知る地域医療支援チームの笹岡さん。福祉用具貸与事業所で管理者の経験もあり、介護保険の仕組みについても精通しています。そんな笹岡さんが仕事をする上で大切にしている“原則”とは何なのでしょうか。

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「介護のほんね」地域医療支援チームについて

病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や看護師からの依頼を受け、患者さんが退院後に安心して生活できる老人ホームをご提案し、ご入居までをサポートしています。

施設=特養という思い込み

笹岡さんは昨年(2022年)12月に入社されたばかりですが、介護業界そのものは長いそうですね。

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笹岡さんの画像 笹岡さん

医療機器メーカーに転職したのが30歳の頃で、今年40歳になるのでもう10年になります。医療機器メーカーでは特養や老健、有料老人ホームにリハビリ機器や特殊浴槽を導入するお手伝いをしていました。そのうち「介護施設に入る前にはどんな生活をされているんだろう」ということに興味が湧いて、今度は福祉用具貸与事業所で(福祉用具専門)相談員として在宅で介護する方のサポートをおこなっていました。

澤村さんとはその頃からのお知り合いなんですね。

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はい、福祉用具貸与事業所の上司と部下という関係でした。

打ち合わせをする笹岡さん(奥)と澤村さん(手前) 存在感のある後輩です。

福祉用具の相談員から老人ホームの入居相談員になったのには何かきっかけがあったんでしょうか?

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現在の介護保険制度では、地域包括支援センターが中心となって「在宅で介護をする」という選択肢を持ちやすくなっているんですが、いよいよ在宅介護が難しくなって「施設に入居する」となったときには意外に選択肢が少ないなと思っていました。そこへ先に「介護のほんね」で入居相談員として働いていた澤村さんから話を聞いているうちに「こういう仕事もあるんだな」「老人ホーム探しのお手伝いにこれまでの経験が生かせるんじゃないかな」と思って入社を決めました。

「選択肢が少ない」というのは?

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「施設介護と言えば特養」という方が多いんですが、そこがご本人の生活の場になることを考えると「もっと(他の選択肢についても)調べればよかった」と思うこともきっとあるんだろうなと思っています。

必ずしも特養がいけないということではなく、最終的に結論は同じでもほかの選択肢も検討した上で決めたのかどうかでは納得感も違いますね

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老人ホーム探しは“プロ”にお任せを

入社されてからまだ日が浅いですが、ご相談を続々といただいていますね。何か心がけていることや、これまでの経験が生かされていることはありますか?

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やはり「時間がない」ケースが多いので、病院のソーシャルワーカー(MSW)さんとお話をさせていただく時も「実際に施設に入居するかどうかは置いておいて、情報収集を始めるのは早いに越したことはないですよ」ということは必ずお話しさせていただいています。

退院支援はソーシャルワーカーの仕事の一つですが、老人ホーム探しの専門家というわけではないんでしょうか?

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知っている施設と知らない施設で持ってらっしゃる情報に偏りが出やすいかなと思います。過去に入居実績のある施設であれば話を進めやすいと思うんですが、そこが満室などで受け入れができないとなると、別の施設を一から探す必要があります。退院後も医療行為が必要な患者さんも多いので、受け入れ可否を一件一件問い合わせるだけでも大変です。

インタビューを受ける笹岡さん 自力で施設を探そうとすると、同じやりとりを何度もしなければならない煩わしさがあるんですよね。

そんな時に「介護のほんね」のような紹介センターにご相談いただけると、効率よく情報を集められるんですね。

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兄の介護を経て、満を持して介護業界へ

ちなみに、介護業界に入る以前はどんなお仕事を?

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オフィス家具のメーカーで営業職として働いていました。

転職先に介護業界を選んだ理由は何かあったんでしょうか?

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もともと介護や医療の業界で働きたいなという思いはあったんです。でも大学4年生の時に兄が交通事故に遭ってしまって。

!!

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脳挫傷の後遺症で高次脳機能障害*になってしまい、そのリハビリや介護のために「自宅の近くで働ける場所を」という条件で仕事を探して就職できたのが最初の職場でした。自分が30歳になる頃には兄も症状が落ち着いて働けるようになっていたので、そのタイミングで改めて医療や介護に関わりたいと思って転職したんです

*高次脳機能障害とは、脳卒中や脳挫傷で脳が損傷を受けたことで、言語・思考・記憶・注意・遂行・社会的行動など脳が司る高次の機能に障害が起こること。詳しくはMEDLEY医療事典をご覧ください。
>MEDLEY医療事典「高次脳機能障害とは

それ以来、一貫して介護業界に携わっているわけですね。これまでにどのくらいの施設に足を運んだことがあるんですか?

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この10年間だとどのくらいになるんでしょう……。千葉県下の施設はだいたい回っているので、300くらいですかね。担当する商材が特殊浴槽だったので、建設中の建物にも何度も足を運びました。機械の種類によってお湯や水の配管の位置が違うので、設計図通りに施工が進んでいるか確認して、怖い現場監督さんに恐る恐る「すみません……! ここ、もう5センチ下げてもらっていいですか……?」って頼んだりしてましたね。

施設で利用されている浴槽や福祉用具を見て、どんなケアが可能か分かったりするんですか?

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もちろん。なので浴槽は必ずチェックします。機械の種類によってどの程度のお身体状態の方まで受け入れ可能なのかはもちろん、メンテナンス状況によってどのくらい丁寧に使っていただいているか分かりますので。そういった機械や用具を大事に使っていただいている施設はスタッフの方の教育も行き届いているなと感じます。

インタビューを受ける笹岡さん この後「最近のトレンドはADL浴槽で……」「自宅で使えるリフトもあって……」とお風呂の話で盛り上がりました。日本人の風呂への熱い思いを感じました。

「自分のことを自分で決める権利」はいくつになってもある

最後に老人ホームをお探しの方に向けてメッセージをいただけたらなと思うんですが。

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そうですね……。「老人ホームを探す」と聞くと、そこがまるで“終のすみか”のような、そこで生涯を終えることが前提のような気持ちの方が多いと思うんですが、実は入居した後にも選択の機会はあるんですよ。そこでの生活が気に入ればずっと住み続けるのもいいですし、お身体の状態が変わればまた適切な場所に住み替えることもできますし。「入ったらおしまい」ではなく「入ってから始まる」ものですよ、ということはお伝えしています。

あまり“終のすみか”だと思い詰めずに、当面の間、安心して暮らせる場所ということをまず意識すればいいんですね。

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少なくとも今の介護保険上はそう考えていいと思います。

どういう意味ですか?

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自己決定の権利が尊重されるということです。介護サービスを利用している高齢者の方は「こんなに安く福祉用具を使わせてもらって悪いわ」とか「ヘルパーさんにこんなによくしてもらって申し訳ないわ」っておっしゃるんですけど、それはみなさんが持っている権利なので。「本人の意志で決めることができる」ということがもっと当たり前のこととして浸透するといいなと思います。

介護の三原則「自己決定の尊重」「残存能力の活用(自立支援)」「生活の継続」
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高齢になったからといって自分のことを自分で決める権利がなくなるわけではありません。私たち相談員の仕事はその選択肢を示すことかなと思います。

なるほど。これからどういう相談員になりたいか、目標はありますか?

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笹岡さんの画像 笹岡さん

私自身、在宅も施設も介護の現場のことは分かっているので、介護について何かご相談いただいた時に「分からないことはない」相談員になりたいですね。介護保険制度はまだまだ分かりづらいところも多いので、「介護のほんね」を頼っていただけたら何でも分かるようなサービスでありたいなと思います。

介護のほんね編集部

この記事の寄稿者

介護のほんね編集部

年間1万件以上の老人ホーム探しをサポートしている介護のほんね編集部です。介護に関する情報を、認知症サポーターの資格を持つスタッフが正しく・分かりやすくお届けします。

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