介護を始めるにあたって必要な準備と手続きを紹介
介護はある日急にはじまるものです。準備期間がほとんどないので、はじめは戸惑ってしまうでしょう。しかし両親の介護が必要になった際には、猶予はあまりありません。家族が自立した生活ができない状態になった場合、誰かが側にしなければいけないからです。
在宅介護をするにしても、介護施設を利用するにしても、介護をする人は全員が決まった手続きをする必要があります。そこで今回は介護が必要になった際、はじめに踏むべき手順について紹介しましょう。
大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。
介護が必要になった際にまず把握することと決めるべきこと
介護には大きく分けて2つの種類があります。「在宅介護」と「施設への入居」です。本人の意識がしっかりしている場合は本人が、不安定な場合は家族が、予算や仕事といった状況をかんがみて、どちらか選択しなければいけません。
在宅介護とは
在宅介護とは主に家族が自宅で介護対象の方の介助をすることです。介護の必要性が高い場合、つきっきりで食事や入浴などのサポートをする必要があります。
ストレスや負担が大きいため「介護うつ」といって、精神的に落ち込んでしまう場合もあることが問題になっており、少しでも負担を軽減するために介護保険サービスを使って事業者と連携しながら進めるのが一般的です。
在宅介護について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護施設での介護とは
老人ホームをはじめとする介護施設への入居も選択肢の1つです。「介護施設」といってもその種類はさまざまあります。日常的な介助をしてくれる施設があれば、医療的なケアまでをしてくれる施設もあり、個人のニーズに合わせてマッチする施設を選んで入居しなければいけません。
在宅介護のほうがリーズナブルに済みますが、仕事を休まなければいけなくなる場合も多くあります。介護施設を選べば家族の負担はほとんどないですが、そのぶんのお金がかかってしまうのは確かです。一長一短なので、家族間でよく話し合ってたり、本人の意向を聞いたりして決める必要があります。
介護施設のサービス内容や料金について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
また、以下の記事では在宅介護と施設への入居について、負担や費用を含めて比較をしております。ぜひ一度ご覧ください。
まずは地域包括支援センターに行く
介護が必要になった際にまず利用するのが地域包括支援センターです。区役所に併設されているものなど、全国に5,351カ所あります(2021年4月末現在)。またそこにサブセンターやブランチを含めると7,386カ所になります。
参考:厚生労働省「地域包括支援センターについて」地域包括支援センターはひと言でいうと「高齢者の総合的な相談窓口」です。生活に関する悩みごとを広く相談できます。
もちろん介護の進め方を質問することも可能です。地域包括支援センターには「社会福祉士」「保健師」「ケアマネジャー」という3つの役職が必ず常駐しています。なかでも介護にまつわる悩みはケアマネジャーに相談しましょう。
地域包括支援センターについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ケアマネジャーとは
ケアマネジャーとはいわば「介護の方向性を決めてくれるプロフェッショナル」です。家族の状況を把握したうえで介護の進め方について効果的なアドバイスをくれます。以下のような疑問がある際は気軽に質問をしましょう。
- 在宅介護と施設入居のどちらを選ぶべきか
- 在宅介護の際にどんな介護保険サービスを使うべきか
- どのタイプの施設を選ぶべきか
- お得に介護保険サービスを用いる手段はあるか
- 介護においてストレスを感じるときはどう対処すべきか
ケアマネジャーは介護をスタートする際に最初に相談に乗ってくれるポジションであり、基本的には家族の介護生活をするうえでずっと併走してくれるパートナーです。介護生活において最も近い距離で接する人なので、はじめに分からない部分を説明しましょう。
地域包括支援センターにてケアマネジャーに相談したあとは「要介護認定」を受けることになります。
ケアマネジャーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
要介護認定とは
介護保険の利用額と密接に関わっているのが要介護認定です。「介護が必要になった」といっても人それぞれで重度は違います。寝たきりの状態になってしまった人もいれば、日常生活を送れる人もいるのです。
介護サービスを利用する全員が同じ金額の介護保険を使えてしまうと不公平になります。だから介護の度合いを「要介護度」として7段階のレベルに分けるために「要介護認定」を受ける必要があります。最も軽度なものから要支援1、2、要介護1~5の7段階です。また介護の必要がない場合は「自立」と判断されます。
要介護認定を受けて要介護度が確定することで、はじめて介護保険を使ってサービスを受けたり、施設に入居したりと、本腰を入れて介護ができるようになります。要介護度によって使える介護保険の金額も変わります。まずは介護をはじめる前に要介護認定を受けることが必須なのです。
要介護認定を受けたら、いよいよ介護をスタートすることになります。とはいえ、無計画で介護をすることはできません。最初に「ケアプラン」という計画書を作成する必要があります。
要介護認定について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ケアプランとは
ケアプランとは簡単にいうと「介護を進めるにあたって作る計画書」です。家族の意向や過去のデータを参考にしてケアマネジャーが作成します。ケアプランによって今後の介護の方向性が大きく変わりますので、非常に重要です。
ケアプランは要支援1、2の場合は地域包括支援センター内のケアマネジャーが作成します。要支援の場合は認知機能、運動機能訓練などによって要介護状態にならないようにケアをしていきます。
要介護1~5の場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談しましょう。この際はまず市区町村の役場に向かい、居宅介護支援事業所を紹介してもらうことが必要です。そのうえで、希望の居宅介護支援事業所で担当のケアマネジャーがつくことになります。
ケアプランについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ケアプランを作成する前に「悩んでいること」「解決したいこと」を明確にしておく
ケアプランは実際に家族や本人にヒアリングをしながら作成していきます。きちんと要望にフィットするプランを作成するためにも、あらかじめ「自分が臨んでいる介護のかたち」や「避けたいこと」などを明確にしておきましょう。事前に家族内で話し合うなどして、共通認識を持っておくことが重要です。
介護の方向性がすぐに決まると、その後にとるべき行動も明確になるでしょう。急に訪れた介護でも、すぐに対処することができます。
ケアプランが決まったら、在宅介護や施設への入居など、それぞれの方向性に合わせて介護を推進していくことになります。
急な介護でも慌てずに「やるべきこと」を意識しておく
先述したように「介護」は急に訪れるものです。ケガや疾患などによって、誰もがある日急に自立した生活を送れなくなる可能性があります。だからこそ介護を進めるための準備に手間取り、慌ててしまうのです。また何をすればいいのか分からずに、時間が経ってしまい、長期的に仕事を休まざるを得なくなることもあるでしょう。
家族が高齢になると、介護は身近な存在になります。特に現代は超高齢社会です。2025年には第一次ベビーブームに生まれた段階の世代が後期高齢者になります。以前にも増して介護の必要性は高まっていくでしょう。
いざというときに、慌ててしまってはいけません。この記事で紹介した手順を踏むようにして、落ち着いて介護の準備を整えていきましょう。
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最後に「介護を始めるにあたって必要な準備と手続き」に関する記事を一覧で掲載します。あらためて気になる記事をご覧ください。
在宅介護と施設介護の比較について
地域包括支援センターについて
ケアマネジャーについて
ケアプランについて
この記事のまとめ
- 介護は事前に準備すべきことがたくさんある
- まずは地域包括支援センターに行く
- ケアマネジャーと二人三脚で介護の計画を立てる
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