介護タクシーとは、料金やサービスなど利用前に知りたい情報を紹介

介護タクシーは、体の不自由な方や要介護状態の方が利用するタクシーです。車両には車いすで移動できる設備やストレッチャーが完備されているため、利用者は安心して外出できます。

しかし、介護タクシーで利用できるサービスや料金が分からず、利用を躊躇している方もいるでしょう。介護タクシーはケースによっては保険適用も可能で、自己負担を減らせます。介護サービスの一種であるため、思ったよりも広範囲のサービスが受けられることにも気づくでしょう。

そこで今回は、介護タクシーの料金などサービスの利用前に知っておきたい情報についてご紹介します。介護タクシーの利用を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

更新日:
介護タクシーとは、料金やサービスなど利用前に知りたい情報を紹介
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

介護タクシーとはあくまで通称の名前

介護タクシーという言葉はよく耳にしていても「どのようなサービスか詳しく知らない」場合もあるでしょう。ここでは、介護タクシーの基本的な特徴について解説します。

介護タクシーとはあくまでも通称で、法的には「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」という長い名前です。

介護タクシーには介護保険適用と保険適用外(保険外)がある

介護タクシーには、介護保険が適用される場合と適用されない場合の2つがあります。介護保険が適用されるか否かは、利用対象や利用目的によって異なります。介護保険で決められた利用範囲であれば、ケアプランに組み込まれるため自己負担額が軽減されるでしょう。

しかし、外出先や利用対象によっては介護保険が適用外となるケースもあります。保険適用外となると費用は全額自己負担となるため、金銭的に大きく差が出るでしょう。乗車の際は介護保険が適用となるのか、適用外なのか確認しておくようにします。

介護保険制度に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【2020年版】専門家が介護保険制度のしくみと改正点を解説!

介護保険適用の介護タクシーは「訪問介護サービス」に含まれる

介護タクシーとは、自宅で介護が受けられる訪問介護サービスの1つです。訪問介護サービスには、食事の手伝いや見守りをする食事介助や身体を清潔に世話する入浴介助など各種サービスがあります。

そのなかで通院時の乗車・降車の介助が、介護タクシーの業務に該当します。ヘルパー2級などの介護職資格を有する運転手から、送迎を受けられるサービスです。単なる移動手段ではなく、介護の技術や知識を持った運転手がサポートしてくれるので安心感があるでしょう。

その他の訪問介護サービスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
訪問サービスとその費用を一覧で紹介

介護タクシーと福祉タクシーとの違いとは【実は同じもの】

介護タクシーについて調べている方や利用を検討中の方であれば、福祉タクシーと呼ばれるタクシーを聞いたことはないでしょうか。実態としては介護タクシーと福祉タクシーは同じものです。全国的には介護タクシーという呼び方が認知されています。

介護タクシーおよび福祉タクシーの事業者は、国交省の営業許可を得いているのが特徴です。その中の一部の事業者が、厚労省の「訪問介護事業所」の許可を得て、介助の作業に介護保険を適用させています。とはいえ全国に約1万4,000台ある介護タクシーですが、そのほとんどは介護保険を適用していない事業者となっています。

介護タクシーは介護保険適用内で利用できる

それでは、介護タクシーで介護保険を利用できるケースとは、どのような時なのでしょうか。介護保険が適用される条件について、利用対象やサービス内容など詳しく見ていきましょう。

居住施設・要介護などが介護保険適用内での利用条件に

介護タクシーで介護保険が適用される対象は決まっています。保険の適用対象となるのは、自宅や有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などで暮らしており、単身で車や公共交通機関を利用できない要介護1~5の方です。要支援と認定された場合には、保険が適用されません。

要支援は、日常生活は自分できるものの多少の支援が必要な状態です。一方の要介護は日常生活のすべてにおいて、誰かの介助を必要とする状態にあります。介護タクシーで保険適用となるのは、より介護度が深刻な要介護状態の場合と覚えておきましょう。

利用目的も保険適用の条件に

保険適用の範囲は、「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」と目的が制限されています。介護タクシーといえども、どこでも自由に移動できるわけではありません。

普段の生活に必要な買い物や通院、市役所など公的機関の利用、金融機関での手続きといった目的の場合のみ、保険が適用されます。補聴器やメガネなど本人が現地に行かなければできない内容も含まれます。仕事や趣味で介護タクシーを利用しても、保険適用は認められないので注意しましょう。

介護タクシーで受けられるサービス内容を状況ごとに紹介

介護タクシーでは、通院等乗降介助のサービスを提供します。介助の範囲はケアプランによって決まるため、事前にケアマネジャーとよく相談することが大事です。具体的なサービス内容は、以下のとおりです。

出発時のサービス

利用者宅までタクシーで出向き、安全な乗車をサポートします。タクシーへの乗車だけでなく、着替えなどの外出準備介助も業務に含まれます。介護タクシーは訪問介護サービスの一つであり、包括的なサービスが求められるからです。自宅からタクシーまでの移動および乗車を手伝います。

運転中のサービス

利用者を目的地まで運転します。往復の場合は、帰宅時の運転も含みます。

現地到着時のサービス

到着時は降車の介助、目的地までの移動をサポートします。通院時は、受付および受診科までの移動介助と病院スタッフへの声かけも担当します。病院内介助は、病院スタッフの役目とされるので、そこまでは手を出しません。受診後は会計や薬の受け取り業務をします。

帰宅時のサービス

帰宅時の降車介助、室内までの移動介助をします。着替えやおむつ交換も必要であれば、合わせて担当するのが仕事です。

通院等乗降介助には、移動と介助の2つの側面があります。介助を必要としない移動に関しては、保険適用外と判断されます。

「通院等乗降介助」を利用するためには事前にケアマネジャーと相談を

介護タクシーの利用は通院等乗降介助として認められれば、自己負担額が軽減されます。利用する際は事前にケアマネジャーと相談し、利用目的や必要な介助を伝えておきましょう。介護タクシーの要望があれば、ケアプランに組み込んでくれます。

ケアプランとは、介護保険を利用してサービスを受けたい際に作成される計画書です。あとはケアマネジャーが介護タクシー事業者と連携し、必要なスケジュールで利用者宅に訪問する段取りをつけてくれます。

「通院等乗降介助」を使ううえでの3つの注意点

通院等乗降介助のサービス利用時には、他にも注意点があるので覚えておきましょう。

家族の同乗は原則不可

通院等乗降介助により保険適用となる場合、原則として家族の同乗は認められません。保険適用時の乗車は単なる移動ではなく、介助を伴う移動です。家族が同乗する場合には、運転手による介助行為は必要なくなるため、サービスの適用外と判断されます。

ただし、特別な事情があると自治体が認めた際には、家族の乗車が認められることもあります。基本的には、利用者本人だけが乗車するものと考えましょう。

状況によっては身体介護や生活援助の該当となる

介護タクシーを利用していても、ケースによっては通院等乗降介助ではなく、身体介護や生活援助と判断されることもあります。

例えば、要介護4・5の場合で外出前に30分以上の時間がかかる時、入浴や食事介助などで30分以上の身体介護が必要な時、外出中に生活援助が行われる時などです。車にヘルパーが同席する際は、移動中の介助内容によって通院等乗降介助と判断されるか、身体介護と判断されるかが決まります。

運転手の病院内介助は原則認められない

通院の場合、運転手が介助するのは移動中や車内であり、病院内は病院のスタッフが対応するのが一般的です。介護職の資格を持っていても運転手は、病院内に付き添えません。

ただし、例外もあります。例えば、病院内の移動に介助が必要な場合、認知症その他見守りが必要な場合、排泄介助を必要とする場合などです。病院内介助の判断は、各自治体によって異なる傾向があります。

介護保険適用外の介護タクシーの利用は目的に制限がないのが利点

介護タクシーに保険が適用されるのは、自己負担が軽くなって助かる反面、利用目的に制限があるので、使いにくいと感じることもあるでしょう。その際は、保険適用外で介護タクシーを利用するのも1つの方法です。

保険適用外のが場合は要支援の方でも使える

利用対象は、要支援や要介護の高齢者です。介護保険とは無関係のサービスであるため、ケアプランの作成も必要ありません。家族の乗車も認められるので、病院へも付き添えます。

保険適用外の場合は幅広い利用目的で使える

保険外の介護タクシーのメリットは、利用目的が自由である点です。保険適用時には、「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」との定めがあります。

しかし、保険外では利用目的に制限がないため、幅広い用途でタクシーを活用できます。仕事や趣味、習い事、ドライブ、冠婚葬祭などさまざまな行き先に対応します。全額自己負担という点さえ納得できれば、使い勝手も悪くないでしょう。

保険適用外の場合は身体介助の可否に注意

保険外の介護タクシーであれば、利用目的に合った多様なニーズに対応できます。しかし、なかには介護職資格を持たない運転手のもいるため、身体介助ができるかどうかを事前に確かめておくと安心でしょう。

介護タクシーの料金の仕組み、医療費控除の条件など

ここまで、介護保険適用と保険外の介護タクシーについてご紹介してきました。保険適用であれば自己負担も軽くなる一方、保険外で全額自己負担の時は「一体、いくら料金がかかるのか」気になるところでしょう。

介護タクシーの料金の内訳は、運賃・介助料・機材使用料・その他費用の4つです。よく介護タクシーは「料金が高い」と言われる理由には、通常のタクシーと比較して介護タクシーは輸送の平均時間が長いことが挙げられます。

運賃は距離や時間で決まる

運賃は通常のタクシーと同じく、距離や時間によって発生する料金です。距離制運賃は最初の2kmで750円、以降1km分ごとに300円などとなっており、時間制運賃は最初の30分が1,000円で、以降30分ごとに2,000円といった料金体系です。

タクシーによっては、時間距離併用制を採用しているケースもあります。またタクシー運賃には地域差があり、同じ地域でも車両の大きさによって運賃は異なります。時間や距離が長くなるほど料金は高くなる仕組みです。

介助料が別途かかる

介助料は乗車と降車、運行中に介助に適用される料金です。多数の介護タクシーでは、基本介助料の名称が使われています。介助料は提供する介助内容に応じて変動し、室内でのベッドから車いすへの移動介助、食事やトイレ介助などは特殊介助と呼ばれます。基本介助料は500円から1,500円とされており、室内介助は1,000円が目安です。

また介護タクシーでは、利用者への声がけや見守りも実施されるのが特徴です。車いすやストレッチャーを使用する場合には思った以上にシートが不安定で、揺れも強く感じます。

介護タクシーはただ利用者を乗せて走り、現地で乗降者させているわけではありません。乗り心地の良さを追求するためルート選びにも気を配るなど、利用者に必要なサポートをするための料金です。

本格的な介助の場合は「機材使用料」も

機材使用料は、介助で使用する機材や数量に応じて加算される料金です。移動で使用する車いすやリクライニング車いす、ストレッチャーなど代表で機材によって料金は異なります。

目安料金として、車いすは無料から1,400円、リクライニング車いすは2,000円、ストレッチャーは6,000円です。値段が高い機材の場合は、使用後のメンテナンスに費用がかかり、作業時間も取られることから金額が高くなりやすくなっています。他に酸素吸入器などの医療機器を貸し出している事業者もいます。

介護タクシーの料金に関して詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護タクシーの料金はいくら程度ですか? シミュレーションしてみたいです!

介護タクシーにはその他の費用がかかることも

その他、上記の3つ以外に日常生活サポートによる料金がかかることもあります。買い物や清掃、薬の受け取りなどを、利用者に変わって運転手が実行するサービスです。

介護タクシーは、介護職の資格を持った運転手が送迎してくれるタクシーです。移動から介助までを担当してくれ、利用目的や対象次第では保険も適用されます。保険適用時は、自己負担が軽くなるためケアプラン作成時にケアマネジャーに相談しましょう。保険外は利用目的が定められていないので、仕事や趣味でも使えます。

介護タクシー料金には運賃のほかに、介助料や機材使用料など利用者をサポートする費用が組み込まれています。タクシー事業者を選ぶ時は、利用料金や対応の良さなど総合的に見比べて検討すると良いでしょう。

この記事のまとめ

  • 介護タクシーには保険適用内と適用外がある
  • 家族は同乗できないなどサービス利用の注意点がある
  • 運賃には複数の利用料が含まれる