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フレイルを自宅でチェックする方法を教えてください

両親が高齢になってきて、徐々に動くのが億劫になってきたように感じます。このままだと近い将来、要介護状態になってしまうのではないかと不安です。最近、フレイルチェックをすると体の状態を知ることができると聞いたのですが、フレイルチェックは自宅でもできるのでしょうか?できるなら、その方法を教えてください。

Aフレイルチェックは、自宅でもできるのでチェックリストを確認してみましょう。

2016年度に国立長寿医療研究センターがした研究の中で、フレイルの評価基準が定められました。それを参考にすることによって、フレイルチェックを自宅でもできます。また、介護支援事業の現場で活用されているチェックリストを確認してみるのもおすすめです。

平栗 潤一
平栗 潤一
一般社団法人 日本介護協会 理事長

これまで、高齢者に対して健常か要介護かどちらかに状態であると判断してきました。しかし最近では、健常と要介護状態の中間にあたるフレイルという段階があると考えられるようになってきました。フレイルがどのような状態なのか、どのような兆候があるのかを知っておくと、予防しやすくなるのでチェックしておいた方が良いでしょう。

今回は、フレイルとサルコペニアとの違いやリスク、自分でチェックする方法などについてご紹介します。家族がフレイルかどうか知りたいという方は、ぜひ目を通してみてください。

フレイルとは

フレイルは、比較的最近になって生まれた概念です。まずは、フレイルがどのようなものか、原因は何なのか、サルコペニアとの違いについて見ていきましょう。

フレイルについて

フレイルは、健常から要介護へと移行していく中間の段階を指します。加齢によって筋力が衰えていき、疲れやすくなってしまいます。それによって、家に閉じこもりがちになってしまうケースは少なくありません。

認知症の発症や転倒による骨折などで突然要介護状態になることもありますが、多くの人はフレイル状態を経て少しずつ要介護状態へ変化していくと考えられているのです。フレイルは、身体的な問題ももちろん含まれていますが、認知機能の低下やうつ状態など精神的な問題、経済的困窮などの社会的な問題も含めて考えなければいけません。つまり、多面的な概念を持つ考え方だと言えます。

フレイルは、適切な支援を受けられれば健常な状態に戻れる可能性がある時期とも言われています。そのため、早期発見や早期支援がとても重要な意味を持つのです。高齢者の生活機能を維持したり、向上させたりできる社会を目指すためにもフレイルという考え方はとても重要な役割を担っています。

フレイルの原因

フレイルは、特定の原因によって起こるものではなく、加齢によって現れる心身の変化や社会的な要因、環境的な要因などが複合して出現します。原因として考えられるのは、以下のようなポイントです。

  • 動くのが億劫になってあまり動かなくなる
  • 社会に出て交流をすることが減る
  • 歩く速度が遅くなる
  • 筋力が低下する
  • 認知機能が低下する
  • 普段の生活で管理をしなければいけない疾患にかかる(糖尿病や呼吸器疾患など)
  • 疲れやすくなる
  • 以前よりも元気がなくなる
  • 孤独感を感じる

このような状態になった場合、フレイルになる可能性が非常に高くなります。何らかの改善策を講じれば要介護状態になるスピードを遅くできますが、放置してしまうと、どんどん虚弱な状態になってしまいます。その結果、健常からフレイル、そして要介護状態に移行してしまうのです。

サルコペニアとの違い

フレイルとよく似た言葉に、サルコペニアというものがあります。この2つはとてもよく似ているため、その違いがよく分からないという方は少なくありません。続いては、フレイルとサルコペニアの違いについて解説していきましょう。

サルコペニアとは

サルコペニアは、加齢によって骨格筋が萎縮したり、筋力が低下したりすることによって、身体機能が低下した状態を指します。将来的に要介護状態や寝たきりになる可能性が高い状態で、健康寿命に大きな影響を与えるものだと考えられています。

フレイルとサルコペニアの違い

サルコペニアは、身体機能に焦点を当て、将来のリスクを考えるものです。それに対してフレイルは、身体機能だけではなくメンタル面の変化や社会的な要因、環境的な要因も踏まえてリスクを考えていきます。つまり、より広域な視点から見ているのがフレイルということになります。

フレイルになるとどんなリスクがあるのか

フレイルは、虚弱という意味を持っているため、なってしまうとさまざまなリスクが生まれます。フレイルを予防することでさまざまなメリットを感じられるでしょう。では、フレイルを予防すべき理由について解説していきます。

フレイルを予防すべき理由

フレイルになってしまうと、筋力や認知機能が衰えてしまい、日々の生活に支障をきたすようになります。また、要介護状態になったり、志望したりするリスクが高い状態でもあります。加齢によって心身が衰えていく老衰という言葉がありますが、フレイルの基本的な考えはそれに近いと思っておくと分かりやすいでしょう。

老衰であれば仕方ないと考える家族もいますが、健常から要介護へと移行していくフレイルの段階であれば、適切なケアをすると生活機能を維持したり、向上したりできます。内閣府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2016」の中にもフレイル対策を推進することが盛り込まれているため、国をあげた対策が進行していることが分かります。

また、病気を患っている人と患っていない人を比べた場合、患っている人のほうがフレイル状態を合併しやすいとされています。その倍率は、呼吸器疾患が1.78倍、心血管疾患は2.21倍、抑うつ症状は4.73倍、貧血は2.47倍という数字が出ています。さらに、この4つのうち2つの疾患が重なると、フレイルの合併リスクは高まると考えられています。

フレイルの予防方法

健常から要介護状態へと移行する段階にあるフレイルは、生活習慣病の進行を遅らせたり、運動機能や認知機能の低下を防いだりすることで予防できます。さらに、社会との関りを維持することも大切なポイントになります。では、具体的にどのようなポイントを押さえておけば良いのかご紹介しましょう。

持病をコントロールする

糖尿病や心臓病、呼吸器疾患、腎臓病、関節病などの慢性疾患がある方は、これ以上悪化させないようにするために持病をコントロールする必要があります。持病の治療がスムーズに進まずに行動が制限されてしまったり、症状が出てきたりすると、体を動かすのが億劫になってしまいます。それが身体機能の低下につながります。

主治医から大きな負担に感じないようなコントロール方法を教えてもらい、今の状態を維持できるように心がけましょう。

感染症にかからないようにする

高齢になると免疫力が低下してしまい、インフルエンザや肺炎などのかかりやすくなります。インフルエンザや肺炎は悪化してしまうと入院しなければいけません。それでは体力は衰えてしまいますし、免疫力が低下することで私たちの体の中に存在している常在菌による感染症のリスクも高まります。

感染症にかかってしまうと、退院後も寝たきりになってしまう可能性が高いです。そうなることを防ぐためには、清潔保持を意識したり、口腔ケアをしっかりとしたりするようにしましょう。

社会とのつながりを持つ

社会とのつながりがなくなってしまうと、気力が失われてしまいます。気力がなくなると、外出する気がなくなり、引きこもりがちになってしまうのです。引きこもりになると体力もどんどん低下していき、身体的フレイルの原因になります。

趣味の仲間や地域のボランティアに参加している仲間と交流を持ち続ければ、身体的フレイルと精神心理的フレイルの予防になります。近所の方と一緒にご飯を食べるのもおすすめです。誰かと一緒にご飯を食べると楽しい時間を過ごせるだけではなく、食欲も高まるため栄養もきちんと摂取できるようになります。

フレイルを予防するためには、日ごろの生活の中でこのような点を意識してみてください。

フレイルを自分でチェックする方法

フレイルかどうかを早期発見するためには、自分でチェックをする必要があります。ここでは、フレイルの評価基準、そして指輪っかテストとイレブンチェックという2つのチェック方法をご紹介します。

フレイルの評価基準

フレイルに関する統一の基準は定められていません。フレイルかどうか評価する際には、Friedらの評価基準は用いられています。その評価基準について解説していきます。

Friedらの評価基準は、体重減少、主観的疲労感、日常生活活動量の減少、身体能力(歩行速度)の減弱、筋力(握力)の低下の中で3つ以上当てはまったらフレイル、1つか2つ当てはまったらプレフレイル、まったく当てはまらなかったら健常と評価されます。

それぞれの項目についてさらに詳しく見ていきましょう。

体重の減少

「6カ月間で2~3㎏以上の(意図しない)体重減少がありましたか?」に「はい」と回答した場合

倦怠感

「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合

活動量

「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つの問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合

握力

利き手の測定で男性26㎏未満、女性18㎏未満の場合

通常歩行速度

(測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間5mの時を計測する)1m/秒未満の場合

指輪っかテスト

指輪っかテストは、指で輪っかを作ってふくらはぎを囲むというチェック方法です。ふくらはぎを囲めない、ちょうど囲める、隙間ができるのどれに当てはまるか確認します。

指輪っかで囲む足は、利き足ではない方の足です。もしも、ふくらはぎを囲めない場合はリスクが低く、ちょうどつかめる場合は中間程度のリスク、隙間ができる場合はリスクが高いということになります。筋肉量が低下していて、転倒による骨折などの可能性が高く、寝たきりになってしまうリスクも高いと隙間ができてしまいます。

イレブンチェック

イレブンチェックは、以下の質問に対してはい・いいえで応えていくチェック方法です。

  1. ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか
  2. 野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか
  3. 「さきいか」「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか
  4. お茶や汁物でむせることがありますか
  5. 1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか
  6. 日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか
  7. ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか
  8. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  9. 1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか
  10. 自分が活気に溢れていると思いますか
  11. 何よりまず、物忘れが気になりますか

Q4、Q8、Q11で「はい」、それ以外の項目で「いいえ」がついた数が多ければ多いほど、フレイルと評価される可能性が高くなります。

もしフレイルだったら、どう改善するか

もしも家族がフレイルだったら、要介護状態にならないように改善したいと考えるものです。続いては、フレイルを改善するための運動や食事について見ていきましょう。

運動でフレイルを改善する

フレイルを改善するためには、自分自身の体重を抵抗として活用するレジスタンス運動がおすすめです。特におすすめのレジスタンス運動を3つピックアップしてご紹介します。

スクワット

両足を肩幅くらいに開いて立ち、椅子の背や机の端に手を置きます。そして、背中が丸まったり、かかとが浮かないようにしたりしないように意識しながらお尻を真下に卸していきます。太ももの前側に力が入っていることを意識しながら10回繰り返しましょう。

上体起こし

両方の膝を立てた状態であおむけになり、両手は頭の後ろで組みます。その姿勢からおへそを覗くような感じで頭をゆっくりと持ち上げてください。お腹にしっかりと力が入っていることを意識しながら10回繰り返します。

ランジ

片方の足を前に出し、膝を曲げて体重をかけていきます。そしてゆっくりと戻していきます。この動きを片足10回ずつ繰り返してください。

食事でフレイルを改善する

フレイルを改善したり、予防したりするためには、バランスの摂れた食事を心がけることも重要なポイントになります。規則正しい食事を摂ることも大切です。

  • 1日に必要なエネルギー量を3回の食事で分けて摂取する
  • 主食、主菜、副菜、牛乳、乳製品、果物をバランスよく取り入れる
  • 筋肉を作るために必要なたんぱく質と骨を強くするカルシウムを積極的に摂取する
  • 水分もしっかりと摂取する

これらのポイントを意識した食事を心がければ、フレイルの改善や予防につながります。

フレイルは早期発見で改善できる

フレイルになると、日常生活にもさまざまな支障が出てしまうため、家族の立場から見ても改善できるのであればしたいと思うものです。そのためにも、早期発見が重要ですね。フレイルの傾向を早いうちに発見できれば、対策を取って改善へと導いていけます。

家族がフレイルかもしれないと思ったら、フレイルを自分でチェックする方法を試してみてください。指輪っかテストもイレブンチェックなら、誰でも簡単にチェックできるようになっています。

すでにフレイルになっている方は、運動や食事を変えてみましょう。そうすることで、要介護状態になるまでのスピードが遅くなりますよ。

平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

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