Q

介護休暇中は給与の支払いはあるのでしょうか? 公務員の場合も教えてください

公務員として働いていますが、高齢の両親の介護のため、介護休暇の取得を検討しています。しかし、介護休暇を取得したことで給与や賞与が減ってしまわないかが心配です。また介護の状態によって取得できるのか、介護休業とはどこが違うのかなどが知りたいです。

A基本的には、介護休暇中に給与が支払われることはありません。しかし、場合によっては払われることもあります。

【FP監修】介護休暇中は、事業主に給与を支払う義務はなく、給与が発生しなくても問題はありません。これは、公務員でも同様です。しかし、会社の規定によっては有給休暇を振り替えたり、一定の範囲内で給与を支払ったりするところもあります。

辻本由香
辻本由香
つじもとFP事務所 代表

家族の介護が必要になった時に、介護のために仕事を辞める選択をする人もいます。しかし、家族を介護で支えながら仕事と両立できるのが、介護休暇や介護休業という制度です。

介護休暇や介護休業では、休暇日数や条件、申請方法などが異なります。また、介護関連の休暇や休業に関しては公務員でも同等に扱われます。今回は、介護休暇や介護休業の内容や取得方法、条件などを併せてご紹介していきます。

介護休暇とは

介護休暇は、家族の介護が必要になった際に取得できる休暇のことです。この介護休暇は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって定められているため、誰もが取得できる権利を持っています。

また介護に関するものとしては、介護休業という制度もあります。ここでは、介護休暇と介護休業の内容や条件をみていきましょう。

介護休業とは

介護休業も介護休暇と同じように、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う0労働者の福祉に関する法律」によって定められている制度です。要介護者が家族にいる場合、長期間介護に専念できるように設けられました。

雇用期間が1年以上の従業員が対象で、介護休業は対象家族1人につき、通算で93日を上限として分割で3回まで取得できます。つまり、93日を1回で取得しても、3回に分けて31日ずつ取得してもよいということです。また、介護休暇後には復職することが条件です。

ここで気を付けたいのは、同じ家族に対して4回以上介護休暇の取得ができないという部分です。介護休暇を一定以上分割して取得できないので、日数や回数はメモしておきましょう。

介護休暇と介護休業との違い

介護休暇と介護休業は、言葉が似ているため内容を混同しやすいのですが、性質の異なる制度です。介護休暇と介護休業は両方取得できるものであり、必要性に応じた取得によって介護しやすい状況になります。

介護休暇は、基本的に介護のための単発的な休暇が対象となっています。例えば日常生活を送る中での食事や排せつなど直接的介護、病院などへの通院のサポート、買い物や銀行など手続き代行など間接的な介護も含まれます。また1時間や午前中など短時間からの取得が可能です。

一方で介護休業は、介護に専念するための休業となります。対象者が2週間以上の期間に渡って常時介護が必要な場合に取得できます。要介護2以上と判定されていること、または、介護状態の判定表から該当項目で見守りや確認、指示や声かけなどが必要な状態が継続すると認められた場合が対象です。

その他の介護休暇と介護休業の違いを解説していきます。

取得対象者

介護休暇と介護休業の取得条件は、どちらも要介護状態の対象者がいて、対象となる家族の続柄が範囲内であることです。この対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母(養父母を含む)、配偶者の父母、子(養子を含む)、祖父母、兄弟関係、孫までとなります。叔父や叔母などの親族では、これらの対象外となります。

取得日数

介護休暇と介護休業では、取得条件は同じだったものの取得日数に関しては異なります。介護休暇は対象家族1人につき、取得日数が年間5日間までです。対象家族が2人であれば最大10日間という計算になりますが、3人以上となった場合でも10日以上の取得はできません。

一方の介護休業では、対象家族1人につき通算93日間の休暇が取得できます。取得回数も最大3回となるので、93日間の休暇を1回取得、31日間の休暇を3回取得など自由に選べるようになっています。

取得条件

介護休暇と介護休業では、取得条件が異なります。介護休暇は、日々雇用契約を除く対象家族を介護する労働者が対象です。

ただし労使協定を締結している場合には、雇用期間6カ月未満の労働者と1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外となります。介護休業は雇用期間1年以上の全ての従業員となります。

また、介護休業予定日から93日経過後、6ヶ月以内に労働契約期間を満了することが明らかでない場合となります。つまり、休業後に復職するのが取得の条件になっているということです。

休暇日数のリセット

介護休暇と介護休業では、リセットのされ方が異なります。同じ職場で働いている間に介護休暇を取得した場合、1年度あたり5日まで取得することができるので、今年度5日休暇を取得したとしても、来年度になればまた5日休暇が取得できます。一方の介護休業では、通算で93日間の取得となり、その職場で働いている期間中は、同一の対象家族について93日以上の取得ができないということです。

給付金

介護休暇は給付金などの制度がありませんが、介護休業は給付金制度の対象となります。介護休業では、介護休業給付金という制度があり、一定金額を給付金という形で受け取ることができます。

介護休暇は法律で守られた労働者の権利

介護休暇は、民間企業で働く人が対象だと思われるかもしれませんが、公務員も利用できる制度となります。「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」では職員が要介護者の介護をするため「3回を超えず、かつ、通算して6月を超えない範囲内であること」と「各省各庁の長から休暇を認められること」を条件として介護休暇を取得できる。と明記されていて、国家公務員でも介護休暇が取得可能としています。

その一方で、地方公務員に関しては自治体の条例によって定められているため、場合によっては取得が難しいケースもあるでしょう。しかし、国家公務員に準じていることが多いため、介護休暇取得ができるようです。

介護休暇を申請するための条件

介護休暇を申請するための条件は、口頭または書面となります。法的に決まった申請方法がないため、会社の規定に従うことになるでしょう。そのため、有給休暇と同じ申請方法を採用している会社もあるので、事前に確認しておくと安心です。

申請方法は違ったとしても、介護休暇取得のために会社側に伝えることは以下の点です。

  • 労働者の氏名
  • 対象家族の続柄と氏名
  • 介護休暇取得日、または取得時間
  • 要介護状態である事実

会社によっては、対象家族の続柄と氏名や要介護状態である事実に関して証明書の提出を求められる場合があります。緊急の場合は、事情を伝えれば証明書の提出を休暇後にできるケースもあるので、相談してみましょう。

通常、介護休暇中は給与が支払われない

本来、介護休暇中は給与の支払いがありません。それは法的に、介護休暇中に関して働いていない日数分の賃金を会社が負担する義務がないからです。

今までの介護休暇に関しては、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者に関しては取得できない決まりになっていました。しかし、2021年1月1日からは、時間帯単位での取得が可能となるだけでなく、全ての労働者が取得可能となるように改正されます。

これによって就業時間中の数時間休暇を取得し、また業務に戻るような中抜けが可能(※)となります。その一方で、途中から職場に戻ることがあった場合や午前中に介護休暇を取った場合の判断が難しいというケースも増えます。

給与の支払いに関しては、各会社の判断によって介護休暇を有給休暇として一定の範囲内で賃金を発生させている所もあり、会社次第で対応が分かれると予想されます。働いていない日数分の賃金を会社が負担する義務は法的にはありません。

※法令で求められているのは「中抜けなし」の介護休暇ですが、各企業が法を上回る制度として中抜けを認めるように配慮が求められています。

ただし介護休暇中に給与が支払われる場合も

介護休暇中の給与に関しては、働いていない時間帯または日数分の給与支払いは義務となっていません。そのため、介護休暇という名目で休みが取得できるという意味として捉えることができます。

しかし、会社の規定によって介護休暇を有給休暇に振り替えての対処をするところや、一部の範囲で給与を発生させるところもあり、それぞれの対応は会社によって分かれているということになるでしょう。

会社の規定に、介護休暇中に給与が発生するという内容が含まれていれば、支払われる場合もあります。

公務員でも介護休暇中の給与はない

会社の場合、介護休暇中の給与は会社の規定によって柔軟な対応が可能となりますが、公務員の場合はどうなるのでしょうか?

公務員の場合、基本的に介護休暇中の給与が支払われることはありません。また、介護休暇により勤務しない1時間につき、1時間当たりの給与額が減額されることとなります。

介護休暇を取得する方法は?

実際に介護休暇を取得するためには、どのような方法で申請をする必要があるのでしょうか?

介護休暇対象者かを確認する

介護休暇を取得するためには、介護休暇を取る相手かを確認しましょう。基本的には、取得対象者として前述した家族が対象者です。

介護休暇のための書類提出

公務員が介護休暇を取得する場合、書類の提出が必要になります。基本的な提出書類は以下の通りです。

  • 介護休暇指定期間指定願
  • 要介護者との続柄が証明できる書類(住民票など)
  • 要介護者の介護が必要と証明できる書類

必要書類をまとめて一括での申請をおこないます。基本的には、介護休暇指定期間指定願に指定を希望する期間を記入し、初日となる1週間前までに提出します。要介護者の介護が必要と証明できる書類は、医師の診断書や保健師等公的な資格を有する者の証明書、介護保険被保険者証の写しなどです。

2021年から介護休暇は1時間単位で取得できる

これまでの介護休暇は、2017年に制定された時点で、半日または1日単位での取得が可能でした。しかし、今後より柔軟に介護休暇を取得できるように時間単位での取得を可能としています。

この時間単位での取得に関しては、原則的公務員を含めた全ての労働者を対象としていますが、職場環境などで時間単位での取得が難しい場合は、労使協定の締結でその業務に従事する労働者を除外することもできます。

適用除外となる一例としては、国際線などの客室乗務員や操縦士、長時間の移動を要する遠隔地の業務、交代制勤務での業務のうち夜勤の時間帯におこなわれる業務です。特定の職種以外なら、短時間から介護休暇の取得ができるようになったことで、より取得しやすい休暇となったといえるでしょう。

介護休暇と介護休業を使い分けることが大事

介護休暇と介護休業では、どちらも似ている言葉であっても制度そのものに違いがあります。また介護休暇は突発的な家族の介護が必要な場合に活用でき、介護休業は長期的な介護が必要になった場合に利用できます。

介護休暇は、年度ごとに日数が更新されますが、介護休業に関しては通算での日数になるので使った日数をカウントしておかなければなりません。介護休暇も介護休業もどちらも同時に利用できる制度なので、短期的なものは介護休暇扱いにして、継続的なものは介護休業として申請しましょう。

また介護休暇中は給与の支払いが義務付けられていないため、給与が減額されてしまいます。しかし、企業によっては給与の支払い規定を設けている所や、有給休暇として扱ってくれる所もあるでしょう。公務員は、給与は減額対象ですが、手当てに関しては減額されない部分もあります。

また介護休業となった場合は介護休業給付金の手続きにより、給付金が受給できる制度もあるので、介護休業の場合は申請手続きをおこないましょう。

介護と仕事との両立は大変ですが、従業員は介護制度を取得できる権利を持っています。多様な使い方ができる介護制度を利用して、活用してみましょう。

辻本由香

この記事の監修

辻本由香

つじもとFP事務所 代表

CFP®認定者、CDA、相続手続きカウンセラー。大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。乳がんを発症した経験から、備えの大切さを伝える活動を始める。2015年2月に金融商品を販売しないFP事務所を開業。子どものいない方やがん患者さんの相談、介護資金などの終活にまつわる相談、医療従事者へのセミナーなどをおこなっている。

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