痴呆から認知症へと変わった呼び方
今では当たり前に使われている「認知症」。以前は「痴呆」という呼び方が使われていました。この言葉が医学用語として定着したのは明治の末期。大正に入ってからは日常でも用いられるようになったそうです。
けれども、なぜ痴呆ではなく認知症という呼び方に変わったのでしょう。今回は、この経緯についてみていきたいと思います。
「痴呆」から「認知症」へ
痴呆という呼び方を一から考え直そうと検討会が開かれたのは平成16年。高齢化が急速に進むなか、国民の健康意識が向上するよう健康増進法が施行されたりするなどした時期です。その頃に大きな課題のひとつとして考えられていたのが高齢者の痴呆対策。けれどもその対策を立てる中で、「痴呆」という表現を用いるのが果たして適切かという声が上がりました。その理由が以下の3点です。
痴呆という呼び方に代わる語句として候補にあがったのは「認知障害・認知症・記憶障害・アルツハイマー症・もの忘れ症・記憶症」の6つ。国民の意見を募集し、さらなる検討の結果、認知症という呼び方が採用されることになりました。
出典:http://www.kawasaki-m.ac.jp/
初期治療で進行を遅らせられる!
「痴呆」が「認知症」に変わって一番うれしい効果。それは、患者さんが「認知症」を受け入れやすくなったことではないでしょうか。
認知症がまだ痴呆と呼ばれていた時代には、病気を誤解して受け入れることができなかった方も多くいらっしゃいました。やはり、侮蔑的な意味を含む言葉で自分の存在を判断されたら、だれしも悲しいものです。認知症という呼び方に変わったことで、以前よりも自分の状態に向き合えるようになり、早期発見や早期治療もしやすくなるでしょう。言葉への配慮は、とても大切なことなんですね。
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この記事の寄稿者
ロビン
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。