インタビュー

“問題行動”なんてない! 「愛の家グループホーム江戸川鹿骨」の入居者様視点に立ったサービス

今回はJR総武線「小岩」駅からバスで16分、都営新宿線「篠崎」駅からバスで9分の「愛の家グループホーム江戸川鹿骨」でお話を伺いました。「入居者様ととにかく触れ合い、その人を知る」ことを大切にしているというサービス方針について詳しく聞きました。

“問題行動”なんてない! 「愛の家グループホーム江戸川鹿骨」の入居者様視点に立ったサービス | 介護のほんねニュース

東京都江戸川区にあるグループホーム「愛の家グループホーム江戸川鹿骨」。認知症の診断を受けた方が暮らす、定員18名の施設です。入居者様の平均年齢は80代半ばで、要介護度は平均3。「入居者様の視点に立って考えることが良質なサービスにつながる」と話すのは、ホーム長の柿間 洋子(かきま ようこ)さん。「入居者様にとことん向き合う」をモットーにしたサービス方針とは?

声掛け一つにも心を込めて「入居者様とたくさん話してね」と職員に伝える

ーー本日はよろしくお願いします。まずは愛の家グループホーム江戸川鹿骨で大切にしていることを教えてください。

ホームで大切にしているのは「入居者様にとことん向き合う」ということです。日頃からスタッフには「入居者様と、とにかくたくさん話してね」と伝えています。コミュニケーションを取るほど入居者様の好みやお人柄を知れますし、それが質の高いサービスにつながると考えているからです。

ーー「向き合い方」にもさまざまな切り口があると思うのですが、どんなコミュニケーションをとっているのでしょうか。

入居者様が「今、何に困っているのか」を細かく観察し、くみ取れるようにしています。例えば、排泄介助の際に最初から職員が入居者様の下着を下ろすことはしません。まずは入居者様がご自身で下着を下ろしたり、用を足されるのを見守る。入居者様がお困りの表情を浮かべている、手が止まっているというときに初めて、職員がお手伝いをします。

グループホームは他形態の老人ホームに比べて、入居者様にたくさん向き合える時間があります。職員が先回りして何でもお手伝いするのではなく、まず待つ。そしてその方が何に困っているのかを表情や仕草から感じ取ってから、必要なお手伝いをしています。

ーー入居者様を「待つ」ことにはどんなメリットがあるのでしょうか?

入居者様が本当に望んでいるケアを見極められます。入居者様が何に困っているか把握しないままだと、一方的なケアになる恐れがあるんです。例えば「今の動作は自分でできたのに、職員がやってしまった」と感じられたら、入居者様ができることを奪っているのと同じ。これは避けなければいけません。

実は以前、入居者様に背中を向けたまま体調記録を書いていた職員がいました。本人が真剣なのは分かるのですが「まずは今、目の前の方に向き合おう」と伝えました。背中を向けている間に、入居者様が手助けを求めているサインを見逃してしまうかもしれないからです。

ーーほかに入居者様と関わるうえで意識されていることはありますか?

お声掛けの仕方です。例えば「入居者様の目線にあわせて話す」「立ったまま上から話さない」といったことを心がけています。また入居者様ができないことに対して、注意するような物言いはしないようにしています。職員がそのように対応してしまうと、他の入居者様も「あの人はみんなと同じようにできない」と感じてしまうからです。

入居者様それぞれできないことがあって当然ですし、みんなと一緒じゃなくてもいい。そういう価値観をホームに根付かせることで、入居者様に安心して暮らしていただけると思います。

フロアでお食事中の入居者様

「問題行動」という言い方はしない

ーーグループホームの入居者様は認知症状がある方ですよね。普段接するうえで、特に意識されていることはありますか?

「入居者様の視点に立って考える」ことは常に意識していますね。介護業界ではよく「徘徊」や「問題行動」という言葉を使いがちですが、私たちはそのような言い方はしません。「問題行動」という表現は、施設側の視点でしかないからです。入居者様は何か理由があってその行動をしています。「家に帰りたい」と思っているのかもしれないし、「今は食事はいらない」と思っているのかもしれない。

ただ、私どもは入居者様の安全や健康をお預かりしているので、お応えするのが難しい要望もあります。そんなときどうすれば入居者様に納得していただけるか、お一人おひとりの気持ちに寄り添いながらケアしています。

ーー「入居者様の視点に立ったサービス」のなかで印象深いエピソードはありますか?

現在も生活いただいている入居者様のなかに、帰宅願望が強い方がいらっしゃいます。1日のうちに何度も外に出ようとするため、事故にあったり迷子になったりする可能性があり、職員たちもかなり心配していたんです。安全を守るために、階段に向かう扉に鍵をかけるのか、入居者様の意思を優先して施錠しないのか……職員間で話し合いが長く続きました。最終的には施錠せず、入居者様に自由にお過ごしいただくことに決めたんです。

なぜなら、入居者様の視点に立てば「自分の家に帰りたい」と思うのはごく自然なことだからです。万が一の事故を防ぐため、現場責任者としてホーム長である私かケアマネジャーのどちらかが必ず出勤するようにしました。今では入居者様が「出かけたい」とおっしゃったときは無理にお引き止めせず、職員が後ろから見守りながら同行しています。もちろん信号などの危ない場所では、偶然を装ってお声掛けするようにしています。

ーーその後、その方のご様子はいかがですか?

現在も外出されることは多いです。ただ、どうすれば「このホームにいてもいいよ」と思っていただけるようになるかを常に考えています。そのためにはやはりたくさんお話しして、ご本人のことを深く知ることが大切だと考えています。

ーー入居者様と話す機会を増やすために、工夫されていることはありますか?

愛の家グループホーム全体の取り組みとして「ミッケルアート」というレクリエーションがあります。簡単に言うと、イラストを使った回想療法です。牧場やお花、昭和の風景などのイラストを眺めながらおしゃべりすることで、入居者様がご自身の過去や好きなことを話してくださるきっかけになります。テーマを設けずに話しているときより会話の糸口が生まれやすくなり、職員にとっても入居者様の新しい一面を知れるいい機会になっています。

ミッケルアート

毎日恒例のお散歩タイムが好評

ーー取材前に館内を見学しましたが、フロアの壁に貼ってあった「お散歩マップ」が気になりました。よくお散歩に行かれるんですか?

はい、毎日行っていますよ。みなさんお散歩が大好きなんです。当ホームの入居者様は午前中にラジオ体操、その後お散歩、昼食と夕食の前には口腔体操をおこなっています。また14時ごろにはタオルを使った体操もしています。体を動かすのがお好きな方が多いので、みなさま積極的に取り組んでくださいます。

ーー体を動かす機会がそんなに多いのですね! ちなみに、お散歩は自由参加ですか?

もちろんです。お部屋でお休みになりたい方や、ホームで過ごされたい方を無理にお連れすることはありません。それ以外の方は皆さまお散歩に出られます。行き先も職員が決めるというよりは、入居者様が「ここに行きたい」とご要望をくださることが多いです。そこでまた入居者様たちの好みが知れますね。

ーー人気のお散歩スポットを教えてください。

ホームすぐそばの「農業試験場」です。基本的に施設が開放されていて、なかにちょうどいい小道があるんです。花壇のお花がきれいに咲いていて、入居者様に人気のお散歩コースです。ほかにもお寺や公園、新中川などの自然豊かな場所が身近にあるので、お散歩には困らない環境です。

あいにく雨が降ってしまったときは、ホーム内のカラオケで演歌や歌謡曲などを歌われていますよ。ほかにも月に1回は理学療法士が来るので、入居者様一人ひとりにあわせた体操をおこなっています。

ホーム周辺のスポットが書かれた「お散歩マップ」

1日のスケジュール

愛の家グループホーム江戸川鹿骨の1日の生活スケジュール

ーー愛の家グループホーム江戸川鹿骨の1日の生活スケジュールを教えてください。

先ほどご紹介した通り、当施設はグループホームですが1日のスケジュールを強制していません。こちらでは大まかな流れを説明しますね。

朝は6時頃に入居者様のお部屋にお声掛けにいきます。まだお休みになりたい方は無理に起こしません。7時からは朝食の時間です。まだお休みになっている方は、1時間ほどずらして朝ごはんを召し上がる場合もあります。

その後はラジオ体操やお散歩の時間となります。昼食の前に口腔体操をしていただき、12時からお昼ごはんを召し上がっていただきます。14時からはタオル体操、15時から入浴のお時間となります。その後口腔体操、レクリエーションの時間が続きます。

17時頃から夕食の時間です。就寝のお手伝いが必要な方は20時頃、それ以外の方はお好きな時間にお休みになります。

取材日の昼食

ーー愛の家グループホーム江戸川鹿骨はどんな方に向いていますか? また、読者の方にメッセージをお願いします。

愛の家はグループホームなので、認知症の診断を受けた方が対象です。しかしその条件さえ満たせば、できる限りどんな方でもお受け入れしたいと考えています。私自身、若年性認知症の母を以前介護しておりましたので、ご家族のお気持ちに寄り添える部分も多いと思います。

ホームに預けたから終わりではなく、ご家族も一緒になってご本人のケアができれば幸いです。入居者様の生きがいが生まれる場所になるよう、職員みなでサポートさせていただきます。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

石橋

この記事の寄稿者

石橋

介護のほんね編集部です。老人ホームや介護にまつわることを丁寧にお伝えしていきます。

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