サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いとは|サービス内容・入居条件・費用など

サービス付き高齢者向け住宅有料老人ホームはサービス内容、入居条件などの面で違いがあります。今回は両施設の特徴を比較し、違いをご紹介します。

最後に「それぞれの施設をおすすめできる方」を紹介していますので、現在どちらに入居しようか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いとは|サービス内容・入居条件・費用など
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅は、比較的自立度の高い方が利用する「バリアフリー仕様の高齢者向け賃貸住宅」です。「高齢者住まい法」によってさまざまな基準が定められており、都道府県への登録が必要になります。運営主体は主に民間の企業です。

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型介護型の2種類があります。一般型は7,263施設と全体の91.5%(※)を占めており、自立に近い方が多く入居しています。主に安否確認や緊急時の対応(状況把握)、生活相談が提供されます。

一方、介護型は678施設と全体の8.5%(※)であり、厚生労働省の定める「特定施設」に該当します。そのため施設内で介護保険サービスが提供され、介護職員は24時間常駐し日中は看護師も常駐しています。

※2021年8月末時点の数字です。
引用:一般社団法人「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和3年8月末時点)

有料老人ホームとは

有料老人ホームは大きく分けて介護付き住宅型健康型の3種類があります。ただし「健康型」に関しては全国で約20施設しかありませんので、ここでは紹介を割愛します。

介護付き有料老人ホームとは

施設職員により、生活支援や介護サービス、機能訓練・リハビリなどが提供される施設です。介護職員が24時間配置されているほか、介護サービス費は月額制のため利用頻度を心配する必要もありません。

住宅型有料老人ホームとは

介護付きに比べて自立に近い方が多く入居しています。そのためイベントやレクリエーションが充実しています。食事の提供や掃除などの生活支援を受けられ、サポートを受けながらも自由度の高い生活を実現できる施設です。

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いとは

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いを項目ごとに紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム
役割
  • ハード面で安心・安全を確保したうえで、自由で自立したシニアライフをサポートする高齢者向け賃貸住宅
  • 体と心の健康を維持し、豊かな生活を実現するために介護や生活支援などを通じてサポートする高齢者向け施設
入居条件
  • 60歳以上の高齢者とその配偶者(事実婚も含む)や親族
  • 一般型の場合は自立~要介護度が軽い人(要介護2程度)
  • 介護型の場合は自立から要介護5
  • 16種類の特定疾病により要介護認定を受けている場合は60歳以下も入居可能
  • 連帯保証人が必要
  • 65歳以上の高齢者(健康型は60歳以上の場合が多い)
  • 自立~要介護5(施設ごとに異なる)
  • 16種類の特定疾病により要介護認定を受けている場合は65歳以下も入居可能
契約方式
  • 一般的に賃貸借契約
  • 一般的に利用権方式
サービス内容
  • 安否確認
  • 生活相談
  • 緊急時の対応
  • 生活支援サービス
  • 食事の提供
  • 外部の介護サービスを利用可能
  • 身体介護などの介護サービス
  • 生活支援や代行サービス
  • 生活相談
  • 機能訓練やリハビリ
  • 健康管理
  • イベント、レクリエーションの実施
費用
  • 初期費用:数十万円
  • 月額費用:5万~25万円
  • 初期費用:0~数千万円以上
  • 月額費用:15万~35万円

概要と役割の違い

サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は以下のように定められています。

項目 内容
ハード
  • 床面積は原則25㎡以上
  • 構造・設備が一定の基準を満たすこと
  • バリアフリー構造であること(廊下幅、段差解消、手すり設置)
サービス
  • 必須サービス:安否確認サービス・生活相談サービス(※その他のサービスの例:食事の提供、清掃・洗濯等の家事援助)
契約内容
  • 長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないこととしているなど、居住の安定が図られた契約であること
  • 敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しないこと等
引用:国土交通省「情報提供 サービス付き高齢者向け住宅の現状等

ハード面、サービス面ともに入居者の身の安全が守られていることが登録基準になっています。介護サービスの提供は必須ではありません。

一方で有料老人ホームは以下のように定義されています。

老人を入居させ「食事の提供」「介護」「洗濯・掃除等の家事の供与」「健康管理」のうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供している施設。
出典:厚生労働省「有料老人ホームの概要

4つのうち1つをクリアしていれば有料老人ホームとみなされます。ただし、介護付き有料老人ホームは介護保険法が定める基準をクリアした「特定施設」に認められており、施設職員から介護サービスが提供されます。「要介護の入居者:介護・看護職員=3:1」「介護職員は24時間常駐」「日中は看護職員常駐」など、介護を必要とする方が十分なサービスを受けられる条件を満たした施設です。

なお、住宅型有料老人ホームは特定施設ではありませんので、基本的に介護サービスは提供されません。

入居条件の違い

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は、一般型・介護型ともに原則60歳以上です。一般型の場合は介護サービスが提供されないため、要介護度が高いと入居できない可能性が高いです。介護型は自立から要介護5までを受け入れています。

また「高齢者向けの賃貸マンション」という意味合いが強く、入居時に連帯保証人が必要になるケースが多くあります。連帯保証人がいない場合は成年後見人といった制度を利用する必要があります。

有料老人ホームも同じく原則60歳以上の方を受け入れています。介護付き、住宅型ともに施設によって入居可能な要介護度は違います。ただし介護付きの方が、要介護度が高い方を受け入れています。

契約方式の違い

サービス付き高齢者向け住宅の契約方式は一般型と介護型によって異なります。一般型では普通の賃貸物件と同じく「賃貸借契約」となります。

賃貸借契約には、建物賃貸借方式終身建物賃貸借方式の2つがあります。施設によっては、契約方式をどちらにするか選ぶことも可能です。

建物賃貸借方式だと入居者が亡くなっても遺族が契約を引き継げます。終身建物賃借方式は、契約者本人が逝去した時点で契約は終わります。ただし、夫婦で入居している場合は契約者が亡くなった後も、配偶者がそのまま住み続けられます。

一方で介護型サービス付き高齢者向け住宅の場合は「利用権方式」がほとんどです。また有料老人ホームも多くが「利用権方式」となります。

利用権方式は、サービスを含めて施設を利用する権利を得ることを指します。そのため居住部分だけでなくサービスまでを終身まで利用できます。ただし、施設の所有権を得るわけではないため、契約の相続はできません。

サービス内容の違い

サービス付き高齢者向け住宅が提供するサービスは「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」によって定められており、状況確認と生活相談の2点です。

定期的に職員が見回り、入居者の安否を確認してくれます。緊急時には病院や家族への連絡もします。また入居者は医療や介護などの不安を相談できます。介護型の場合は介護サービスも提供されます。

そのほかのサービスは必須ではありませんが、以下の表の通り、多くの施設では食事、家事代行などのサービスを提供しています。

サービス付き高齢者向け住宅の提供サービス(2020年8月末時点)
サービス 実数 割合
状況把握・生活相談 7,941施設 100%
食事の提供 7,646施設 96.3%
入浴等の介護 3,925施設 49.4%
調理等の家事 4,290施設 54.0%
健康の維持増進 4,987施設 62.8%
引用:一般社団法人「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和3年8月末時点)

一方、有料老人ホームの基本的なサービスは以下の通りです。

  • 食事の提供
  • 掃除や洗濯などの生活支援
  • 買い物や行政手続きなどの代行サービス
  • 常駐看護師や協力医療機関による健康管理・緊急時の対応
  • 機能訓練やリハビリ
  • レクリエーションやイベント、季節行事

特に介護付き有料老人ホームでは介護サービスが提供されていることが特徴です。住宅型有料老人ホームでは介護サービスがない一方、レクリエーションやイベントに力を入れている施設が多くあります。

費用の違い

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの費用相場は以下の通りです。

サービス付き高齢者向け住宅の費用
初期費用の相場 月額費用の相場 介護サービス費
一般型 数十万円(敷金) 5万~25万円(家賃+管理費) 利用した分のみ
介護型 数十万~数千万円(入居一時金) 15万~40万円(家賃・管理費・食費) 自己負担額上限額で定額
有料老人ホームの費用
初期費用(入居一時金)の相場 月額費用の相場 介護サービス費
住宅型 0~数千万円 10万~30万円 利用した分のみ
介護付き 0~数億円 15万~35万円 自己負担額上限額で定額

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームはどちらがいいか

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームがどんな人におすすめなのかを紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅はこんな方におすすめ

  • まだ本格的な介護は必要ないが、安心して老後を送りたい方
  • 自分で考えて、好きなペースで生活したい方

サービス付き高齢者向け住宅は「介護サービスを受けるために入居する」というより「安全な住まいで安心して老後を送る」という意味合いが強い賃貸住宅です。自立の状態から入居される方も多く、施設から仕事に向かう方もいます。

特に元気なうちに自分のペースで生活を続けたい方におすすめの施設です。

有料老人ホームはこんな方におすすめ

介護付き有料老人ホームはこんな方におすすめ

  • 介護の必要性が高い方
  • 充実した介護サービスを受けたい方

住宅型有料老人ホームはこんな方におすすめ

  • 比較的自立度が高い方
  • レクリエーションなど楽しみたい方
  • まだ介護サービスが必要ではない方

有料老人ホーム、なかでも介護付き有料老人ホームはサービス付き高齢者向け住宅よりも「介護サービス」の意味合いが強いです。「介護やリハビリ、レクリエーションなどを通して可能な限り自立に近い生活を続けたい」という方におすすめの施設です。

サービス付き高齢者向け住宅はバリアフリーの賃貸住宅、有料老人ホームは介護施設

今回は、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームを比較して紹介しました。一般的には「サービス付き高齢者向け住宅」「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の順に介護度が重くなるといえるでしょう。ただし、サービス付き高齢者向け住宅のなかでも「介護型」の場合は、介護付き有料老人ホームと同じ「特定施設」の認定を受けており、介護サービスを受けられます。

ほかにも、費用面や契約方式も異なりますので、違いを理解したうえで入居先を決定しましょう。

この記事のまとめ

  • サービス付き高齢者向け住宅は安否確認や生活相談が提供される賃貸住宅
  • 有料老人ホームは介護サービスや生活支援が提供される高齢者向け施設
  • 提供されるサービスや料金など違いが多いので、見学での確認がおすすめ

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