【図表で徹底比較】グループホームと有料老人ホームの違いとは|入居条件・費用・運営母体などで比較
介護施設のうち全国で最も多いのは有料老人ホーム、次に多いのがグループホームです。両者では入居条件をはじめ、費用相場や特徴などが異なります。今回はグループホームと有料老人ホームの違いについて紹介します。
大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。
介護施設の種類を知ることが施設探しの第一歩
介護施設にはさまざまな種類があります。有料老人ホームとグループホームを含めて、それぞれ種類ごとに特徴や費用相場、入居条件が異なります。自分に合う施設を探すためには、まずはじめに施設種別について知る必要があります。
そのなかでも有料老人ホームとグループホームは施設数が特に多いメジャーな施設です。こちらでは両者の違いを、特徴、費用、入居条件といった視点からご紹介します。
その他の「特別養護老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」などを含めた各施設種別については以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
グループホームとは
グループホームは認知症高齢者に特化した施設です。1ユニット最大9人で、原則として1施設につき最大2ユニットまでと決まっています。そのため小規模でアットホームな雰囲気があります。
料理や掃除をはじめとする家事は入居者同士が分担して実践するのが、グループホームの大きな特徴です。できるだけ自立した生活を送ることで認知症の症状を抑え、進行を遅らせることを目指しています。
有料老人ホームとは
有料老人ホームは主に民間の法人によって運営されている高齢者向け施設です。定員数は数名から100名以上まで、施設ごとに違います。
有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」および「健康型」の3種類に分かれます。ただし「健康型」は全国でも20施設程度しかないので、実質2種類です。
介護付き有料老人ホームとは
施設内には24時間365日介護職員が常駐しており、介護サービスや生活支援が提供されています。施設内で介護サービスを受けられるのが大きな特徴です。
一般的に自立から要介護まで幅広い方が入居できますが、要介護度が重い方が多く入居しています。
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームでは、基本的に介護サービスは提供されません。介護サービスを希望する方は、各々で外部の事業者と契約する必要があります。
そのため介護付きと比べて要介護度が軽い方が多く入居しており、レクリエーションやアクティビティが頻繁に開催されているのが特徴です。
グループホームと有料老人ホームの違いを紹介
グループホームと有料法人ホームは同じ高齢者向け施設でも役割に違いがあります。項目ごとに違いを紹介します。
グループホーム | 有料老人ホーム | |
---|---|---|
運営母体 |
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入居条件 |
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退去条件 |
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費用相場 |
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入居者層 |
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介護体制 |
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レクリエーション・イベント |
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ケア |
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リハビリ |
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運営母体の違い
グループホームは全体のうち半分が民間企業、残り半分は社会福祉法人・医療法人・NPO法人などが運営母体となっています。
一方、有料老人ホームのほとんどは民間企業で、その次に多いのは医療法人です。その他にも、社会福祉法人や公益社団法人などによって運営される施設もあります。
参考:e-Stat「【基本票】社会福祉施設等数,国-都道府県、施設の種類・経営主体の公営-私営別」入退去条件の違い
どちらの施設も原則65歳以上の高齢者を対象としています。その他グループホームと有料老人ホームの入居条件の違いを紹介します。
グループホームの場合
グループホームには、複数の入居条件があります。内容は以下の通りです。
グループホームの入居条件
- 医師から認知症の診断を受けていること
- 要支援2以上
- 施設と同じ市区町村に住民票があること
また、要介護度が重くなったり、常に医療ケアが必要になったりした場合は退去を命じられる場合があります。さらに認知症による暴力や暴言で周りに迷惑をかけるようになった場合も「共同生活が難しい」という理由で退去を求められる可能性があります。
有料老人ホームの場合
有料老人ホームは基本的に自立の方から要介護の方まで入居対象です。ただし施設ごとに入居条件は違います。また医療体制によっては対応できないこともあります。
退去条件には、長期入院以外に認知症の症状悪化が挙げられます。認知症の悪化で他の入居者に対して暴言や暴力行為をして共同生活が困難となると退去を求められる可能性が高くなります。
費用の違い
グループホームと有料老人ホームの費用相場を紹介します。
グループホームの費用相場
グループホームの初期費用は保証金や敷金などが該当し、相場は0~数十万円です。他の施設に比べると入居のハードルは低いといえます。
グループホームの月額費用の相場の目安は10~20万円です。こちらも他の施設に比べると低めに設定されています。
有料老人ホームの費用相場
介護付き有料老人ホームの入居費用は0~数億円、住宅型だと0~数千万円と施設によって幅があります。有料老人ホームにかかる初期費用は「入居一時金」です。簡単にいうと家賃の前払いといった名目であり、保証金としての意味合いを持ちます。
介護付き有料老人ホームの月額費用は15~35万円が相場で、住宅型は10~30万円です。グループホームと比べてやや高めです。
入居者層の違い
グループホームで暮らしている方は、認知症でありながらも、比較的元気な人が多いです。家事は自分たちでやる共同生活が前提であるため、寝たきりなど重度の要介護者はあまり多くありません。
介護付き有料老人ホームは施設内で介護サービスを受けられるため、要介護度が重い方が多いです。反対に、住宅型は要介護度が軽く自立に近い方が多く入居しています。
介護体制の違い
介護付き有料老人ホームでは、要介護の入居者3人に対して1人以上のスタッフが配置されることが定められています。この配置基準はグループホームも同じです。
しかし、看護師の配置基準には違いがあります。介護付き有料老人ホームだと、常勤の看護師を1人以上配置しなければなりません。一方、グループホームには配置義務がなく、常時医療ケアに対応できない可能性もあります。
なお、同じ「有料老人ホーム」でも、住宅型有料老人ホームには看護師の配置義務はありません。介護職員の基準も「必要数」となっており、明確な基準はないのです。混同しないよう注意しましょう。
レクリエーション・イベントの違い
グループホームでも有料老人ホームでも、さまざまなレクリエーションやイベントが実施されています。ただし介護付き有料老人ホームは寝たきりの方が多い場合もあり、施設によって開催頻度はまちまちです。
内容としては体操、ゲーム、工作、カラオケ、俳句、園芸など楽しく安全に取り組めるものばかりです。他にも、お花見や夏祭り、クリスマスといった季節行事、誕生日会、バザー、映画鑑賞会といったイベントも開催されています。
グループホームは認知症の方に特化しているので、手先を使う工作、音楽療法、園芸療法、アニマルセラピーなど、認知症の進行抑制効果が期待できるものが中心です。
ケアの違い
グループホームでは認知症のケアに力を入れており、できることは入居者自身でおこないます。
一方、有料老人ホームでは、生活支援サービスとして掃除や食事の提供、買い物の代行などはスタッフがやります。ただし自立に近い方は居室内で調理をしたり、自由に外出したりできることもあります。
リハビリの違い
グループホームは、共同生活のなかで与えられた家事をやること自体が生活リハビリにつながっています。
有料老人ホームの場合は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家が機能回復訓練やリハビリサービスを提供します。入居者の身体状況や目標に合わせて、運動機能の回復や維持を目指します。
グループホームと有料老人ホームはどちらがいいか
グループホームと有料ホームでは特徴に違いがあり、入居に適している人にも違いがあります。どちらの施設がどんな人におすすめなのかを紹介します。
グループホームはこんな方におすすめ
- 認知症の進行を抑えたい方
- 自立した生活を続けたい方
- 共同生活に抵抗がない方
- 住み慣れた地域で暮らしたい方
認知症の進行抑制をいちばんに望んでいる方はグループホームがおすすめです。また地域密着型のサービスですので「住み慣れたエリアで暮らしたい」という希望にもマッチします。
有料老人ホームはこんな方におすすめ
介護付き有料老人ホームはこんな方におすすめ
- 介護の必要性が高い方
- 充実した介護サービスを受けたい方
住宅型有料老人ホームはこんな方におすすめ
- 比較的自立度が高い方
- レクリエーションなどで楽しみたい方
- まだ介護サービスが必要ではない方
有料老人ホームのメリットは、施設の種類によって幅広い入居者層に対応していることです。そのため、介護サービスを受けることが前提の人も、将来介護を受ける可能性がある人も自分に合った施設を見つけられます。
また、日常生活のサポートを受けて家事などの負担を減らしたい人にも有料老人ホームはおすすめです。ただし、認知症ケアに関しては施設ごとに差があります。
グループホームは認知症の方専用、有料老人ホームは対象が幅広い
今回はグループホームと有料老人ホームを比較して紹介しました。大きな違いとしては、グループホームは認知症の診断を受けた方のみが入居できるのに対して、有料老人ホームでは自立の方から要介護の方まで幅広く受け入れているということです。なお有料老人ホームの多くは、認知症の方も受け入れています。
グループホームと有料老人ホームは入居者層が異なることから、サービスの内容や雰囲気にも差があります。「どちらの入居条件も満たしていて迷っている」という方は、一度見学してみましょう。実際に足を運ぶことで、生活の雰囲気も感じられます。
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この記事のまとめ
- グループホームは認知症で要支援2以上の人が入居できる老人ホーム
- 有料老人ホームは介護付き、住宅型、健康型があり、自立~要介護5まで対象
- 認知症ケアを重視するならグループホーム、介護や生活の自由度を優先するなら有料老人ホーム
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