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全国に有料老人ホームや特別養護老人ホームは、どのくらいあるのでしょうか?介護施設数を教えてください。

現在、介護施設への入居を検討しています。特別養護老人ホームは入りにくいと言いますが、有料老人ホームと比べて、どのくらいの施設数の違いがあるのでしょうか。さまざまな種類の施設がありますが、全国にどれくらいあるのか教えてください。

A有料老人ホームは15,134施設、特別養護老人ホーム8,234施設です(2019年調べ)。今後も施設数は増え続ける見込みです。

介護施設・老人ホームは全国各地にあらゆる種類があります。例えば有料老人ホームのなかでも「介護付き」「住宅型」は数が多いですが「健康型」はなかなか見つかりません。今回は介護施設数を主要な種類ごとに紹介し、さらに各施設の特徴についても解説します。ぜひ施設選びの参考にしてみてください。

​​​尾渡順子
​​​尾渡順子
医療法人中村会 介護老人保健施設あさひな・認知症介護レクリエーション実践研究会

介護施設にはさまざまな種類がある

介護施設は種類によって入居条件や目的・サービス内容、料金など様々な違いがあります。入居者自身に合った施設を見つけるためにも、各施設の特徴を掴むことが大事です。

また、運営している介護施設数も施設ごとに差があります。それに加えて、地域によっても数は大きく変わってくるため、入居のしやすさにもばらつきが生じます。お住まいの地域にはどのような施設がどれだけあるのか、入居条件に該当しているかなども把握しながら探し始めましょう。

介護施設数を種類ごとに紹介!

介護施設にはいろんな種類がありますが、どれだけの数があるのでしょうか? 厚生労働省では毎年社会福祉施設等調査を実施しているので、調査結果を参考に最新の介護施設数をご紹介します。

介護施設別の施設数
施設形態 施設数
有料老人ホーム 15,134施設
サービス付き高齢者向け住宅 5,741施設
グループホーム 13,760施設
特別養護老人ホーム 8,234施設
介護老人保健施設 4,337施設
介護医療院 245施設
ケアハウス(軽費老人ホームC型) 2,035施設

最も多い介護施設は有料老人ホームであり、このデータは「介護付き」「住宅型」「健康型」を含めたものの合計です。公益社団法人全国有料老人ホーム協会による2015年度調べのデータによると、有料老人ホームの割合は介護付きが4割、住宅型が6割を占めます。健康型は現在16件しか存在しません(下図を参考)。

有料老人ホームの施設数
※2015年時点
出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」

続いて、施設数の推移を紹介しましょう。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、特別養護老人ホームが増加していることが分かります。グループホームは9~18名と少規模で暮らす住まいであるため、施設数が多い傾向にあります。

高齢者向け住まい・施設の件数
※2017年7月時点
出典:社保審-介護給付費分科会 「介護老人福祉施設 第143回(H29.7.19)

介護施設ごとの種類を紹介

介護施設はたくさんの種類があります。施設ごとに異なる特徴があるので、主な種類と特徴をご紹介します。

介護付き有料老人ホーム

有料老人ホームの1つで、都道府県から「特定施設入居者生活介護」に指定されている介護施設です。「介護付き」は認定を受けないと名乗れないようになっています。

入居すると食事や洗濯、清掃などの生活支援から排泄、入浴といった身体介護、機能訓練を受けられます。また、レクリエーションやサークル活動を通じて、入居者との交流や趣味を楽しめ、メリハリのある生活が可能です。

介護付き有料老人ホームでは、介護専門型と混合型の2種類があり、入居条件にやや違いがあります。どちらも原則65歳以上の高齢者が対象ですが、介護専用型では要介護1~5の人が入居できます。

一方、混合型は自立や要支援1・2の人も入居できます。受け入れ条件は施設ごとに異なるので、自分の介護度に対応しているのか確認が必要です。

さらに、介護サービスは一般型と外部サービス利用型の2つに分けられます。一般型は施設に属するスタッフが介護を担当します。一方、外部サービス利用型は提携する外部事業者のサービスを利用して介護サービスを提供する形態です。

介護サービスを利用する場合は介護保険が適用され、自己負担額も発生します。介護付有料老人ホームでは、要介護度ごとに介護サービス費が決定するので、利用したサービスに関係なく一定額の負担で済みます。

住宅型有料老人ホーム

有料老人ホームの1つで、原則65歳以上で自立から要介護1~5が入居対象となる介護施設です。主に食事や洗濯、掃除など生活サポートを提供しています。介護付きとは異なり、施設側が介護サービスを提供することはありません。

介護サービスの提供は外部からとなり、入居者が個別でケアマネジャーや介護事業所と契約しなければなりません。住宅型有料老人ホームの多くは、デイサービスや訪問介護、居住介護支援事業所が併設されているので介護サービスは利用しやすいです。また、自分の受けたいサービスを選べる点もメリットです。

ただし、外部サービスなので24時間体制で介護を提供できない場合があります。そのため、施設によっては、要介護度が高い人は受け入れない施設もあるので注意しましょう。介護度が高い場合は利用する介護サービスも増えるので、介護付きよりも高くなる可能性もあります。

グループホーム

グループホームの正式名称は「認知症対応型老人共同生活支援施設」です。認知症の高齢者を対象にした介護施設です。施設内では5~9人のユニットに分かれ、スタッフのサポートを受けながら共同生活を送ります。

1つの施設につき最大3ユニットまでの少人数施設であるため、アットホームな雰囲気が強く、入居者同士のコミュニケーションが取りやすいです。

共同生活となるので、あくまでも料理や掃除などの家事は入居者同士で取り組み、自立を促した生活により認知症の進行を遅らせる効果に期待できます。常駐するスタッフは認知症ケアに対する知識と経験が豊富なので、普段のお世話からメンタル面まで支えてもらえます。

グループホームを利用するには細かな条件をクリアしなければなりません。原則65歳以上で、要支援2か要介護1以上の認定を受け、医師から認知症と診断されている人が対象です。さらに、集団生活を営めること、施設と同じ市区町村に住民票を置いていることも入居条件になります。

身体状態が安定している人の入居が基本となるため、常勤スタッフに看護師が配置されていない施設もあります。その場合、医療体制が整っていない可能性があるでしょう。

その場合、健康状態が悪化すると提携先の医療施設や介護施設へと移動となります。ただし、最近は看取りに対応したグループホームも増えており、医療体制が整っている施設も見つけやすくなっています。

特別養護老人ホーム

特養と略して呼ばれることが多い特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれています。社会福祉法人や地方自治体が運営する公的介護施設で、有料老人ホームと比べて低料金で利用できることがメリットです。

特養では初期費用が一切発生しません。入居金や月額料の負担が軽いので入居希望者が多く、入居を待たされてしまうこともよくあります。

特養は、有料老人ホームよりも入居条件が厳しくなります。対象は原則65歳以上で要介護3~5の方です。自立や要支援、要介護1・2の方は入居できないので注意してください。

提供できるサービスは法令によって決まっているので、どこに入っても同様のサービスが受けられます。食事や入浴、掃除・洗濯、排泄といった生活介助を始め、自立支援を目的としたリハビリ、娯楽のためのレクリエーション・イベントも実施されています。

居室タイプは複数あり、個室タイプもあれば複数人で相部屋の施設もあります。他にも、10人以下のユニットで生活するユニット個室型や大きな部屋を仕切りユニット単位で生活するユニット型準個室型があります。部屋タイプによって居室費も変わってくるので、よく確認しておきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅

バリアフリー構造で設計された高齢者専門の賃貸住宅です。「サ高住」「サ付き」と略して呼ばれています。安否確認や生活相談、食事の提供・掃除・買い物代行など生活支援といったサービスを利用でき、自立から軽度の要介護の方まで入居できます。

一般的な賃貸住宅のように居室にキッチンや浴室が付いている建物が多く、自由度の高い生活が可能です。夫婦で入居できる部屋を用意しているところもあります。レクリエーションやイベントも実施されているので、他の入居者と交流や趣味を楽しむことも可能です。

介護が必要な方は、外部サービスと別途契約で介護サービスを利用できます。自分に必要な介護サービスを自由に選べる点もメリットです。ただし、手厚い介護を受けようとすると高額になるので要注意です。

そのため介護度が重くなった場合は、介護度が高い方を受け入れてる施設への転居をすすめられることもあります。またサ高住には、常時介護サービスを提供している「介護型」もあります。介護型は、介護度が重くなっても住み続けられます。

サ高住は建物貸賃借契約という契約方式を採用しており、入居時に敷金の支払いが必要です。敷金は家賃の2~5カ月分が目安となります。

介護老人保健施設

特養と同じ公的施設には、介護老人保健施設(通称、老健)もあります。こちらは原則3カ月までしか入居できませんが、特養は終身で利用できるところもメリットです。介護は24時間体制で、重度の要介護者を受け入れているので、サービスも手厚く安心して生活できます。

その一方で、看護師が夜間に常駐することは義務付けられておれず、夜は看護師がいない施設もあります。他にも医療処置には対応できない施設や医師も常勤を義務付けられていないため、医療依存度が高いと入居できない場合があります。ただし、最近は医療ニーズの高まりから医療ケアが充実した介護施設も増えてきました。

ケアハウス

ケアハウスは比較的安い料金で入居でき、食事と生活支援サービスを受けることが可能な介護施設です。軽費老人ホームの一種で、軽費老人ホームC型とも呼ばれています。軽費老人ホームにはA型とB型もありますが、2008年から2つのタイプの新設はなくなり、現在はC型に統一されています。

ケアハウスは大きく分けて一般型と介護型の2つがあります。一般型は一人暮らしに不安を抱える60歳以上の高齢者が入居できます。ただし、介護サービスは常設されていないので、介護が必要な時は退居や外部サービスとの契約が必要です。

一方、介護型は「特定施設入居者生活介護」の認定を受けているケアハウスが名乗れます。こちらでは施設に常駐するスタッフによる介護サービスが提供されます。そのため、一人暮らしに不安があり、要介護1以上の認定を受けている高齢者が入居可能です。

初期費用は一般型よりもやや高くなりますが、月額料金に違いはほとんどありません。また、要介護度が上がっても、そのまま住み続けられます。施設によっては看取りにも対応しています。ただし、介護型は施設数が少ない上に人気があるに、入居待ちが多い現状です。

集団生活に支障がなければ、認知症の人を受け入れている施設もあります。しかし、医療ケアの充実度は施設ごとに異なるため、重度の医療措置が必要な人は入居できない可能性があります。

介護医療院

介護医療院は2018年に誕生した施設です。「日常的な医療ケアなどの医療機能」「生活施設としての機能」を兼ね備えています。

夜間も医師や看護師が常駐しているので、医療依存度の高い方も安心です。経管栄養や喀痰吸引が必要な方におすすめします。また長期滞在できるよう生活の場としての設備も整っています。まだ施設数は少ないですが、今後ニーズも増えてくるため施設数も増えてくるでしょう。

健康型有料老人ホーム

入居対象が原則65歳以上で自立した生活が可能な人に特化した有料老人ホームです。そのため、病気や怪我により介護が必要になった場合は、介護サービスを提供できる施設へ移動しなければなりません。

老人保健健康増進等事業による2013年度の調査では、健康型有料老人ホーム数はわずか16施設でした。ニーズが少なくなくなりつつあるため、他2つと比べると数に大きな差があります。身近に施設がない地域がほとんどです。

介護施設の今後について

日本における高齢化はまだまだ止まらず、75歳以上人口は2054年まで伸び続ける見通しです。また高齢者の人口のピークは2042年といわれています。65歳以上の高齢者人口が3,935万人になると予測されています。ちなみに2020年の高齢者人口は3,619万人です。

今後も施設数は増えていく見込みです。しかし、ただ増やすだけでは解決しません。施設数が足りない以上に、介護施設で働く人材が足りていない現状です。

人材の不足の原因は多岐にわたり、少子高齢化はもちろんのこと重労働に似合わない給料の低さや人間関係の悪化による離職、競合との人材獲得競争の激化などの要素も人材不足の要因につながっています。

国は介護職員の待遇改善にも努めており、令和元年度の平均賃金28.8万円で前年から102%アップしていますが、全職種の平均37,3万円からはまだまだ低い状態です(参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に向けて」)。

入居を断られる場合は「空室がない」という理由だけではなく、「人材が足りない」という理由で断られるケースもあるのです。今後も特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームは増加傾向にあります。ただし経営難により倒産する施設も増えてくるでしょう。

今後はますます地域によって入居のしやすさにバラツキが出てきます。もし施設探しでお悩みでしたら介護のほんねにご相談ください。。無料で施設選定から見学相談までサポートしています。

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、認知症介護実践リーダー、米国アクティビティディレクター、他。介護職として働く傍ら、レクや認知症、コミュニケーションに関する研修講師も務める。2014年米国アクティビティディレクター資格取得。レクリエーションを通じ、多くの高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、「介護技術としてのレクリエーション援助」を広める一方、介護情報誌やメディアにおいて執筆等を手掛けている。『認知症の人もいっしょにできる高齢者レクリエーション 』(講談社)など著書多数。

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