Q

パーキンソン病の寿命はどれくらいですか? 若年性の場合も教えて下さい

父親がパーキンソン病と診断されました。パーキンソン病になった場合、寿命はそうでない方と比べて短くなってしまうのでしょうか? 症状が今後どういう経過をたどるのかも気になります。また、若年性パーキンソン病という病気もあると聞いたので、それについても教えてください。

Aパーキンソン病は適切な治療により普通の生活を送ることができ、平均寿命よりも2~3年ほど短いだけです。

パーキンソン病は進行性の疾患で、進行のスピードは一人ひとり違います。しかし、適切な治療がおこなわれれば、発症してからおよそ10年は今まで通りの生活を送れます。それ以降は個人差があるため、介助が必要になってしまう可能性も考えられますが、寿命は平均よりも2~3年ほど短命であります。つまり、パーキンソン病になったからといって、極端に短命になるというわけではないです。

内門大丈
内門大丈
湘南いなほクリニック院長、横浜市立大学医学部臨床准教授

パーキンソン病は、脳内にある運動をつかさどっている部分の機能が低下してしまう病気です。動きが遅くなったり、手が震えたりといった症状が現れます。それだけではなく、自律神経障害や睡眠障害といった運動以外の症状が現れるケースも多く見られます。

家族がパーキンソン病と診断されると今後どのように対応したらいいのか不安に感じてしまう方もいるでしょう。そこで今回は、パーキンソン病がどのような病気なのか、どのような症状が出るのかなとの疑問に答えていきます。

パーキンソン病とはどんな病気?

パーキンソン病は脳に異常が生じることで発症する病気で、体の動きに関する症状が現れるようになります。手足の震えや動作が遅くなるといった症状が代表的です、体の片側から症状が出始め、徐々にもう片方へと広がっていくという特徴があるため、最初の頃は気が付きにくい可能性も高いです。

パーキンソン病は何歳くらいで罹患しやすいか

パーキンソン病は若者よりも高齢者の方が発症しやすいといわれています。では、どのくらいの年齢で発症する可能性が高いのか、患者数はどのくらいなのか、原因は何なのかといった点について、掘り下げて見ていきましょう。

パーキンソン病患者はどれくらいいるのか

パーキンソン病は、日本国内におよそ15万人の患者がいる病気です。決して、珍しい病気ではないといえるでしょう。50代くらいから症状が出始めるケースが多く、年齢が上がるにつれて患者数は増加します。

有名な方では、ボクシングの世界チャンピオンのモハメド・アリさんや芸術家の岡本太郎さん、ハリウッドスターのマイケル・J・フォックスさんなどがパーキンソン病にかかりました。

40歳以下で発症する若年性パーキンソン病

基本的には50代以降に発症することが多いパーキンソン病ですが、40歳以下で発症することもあります。そのような場合は、若年性パーキンソン病と呼ばれます。

一般的なパーキンソン病との違いはまだ解明されておらず、割合は全体の10%ほどです。症状の進行は比較的ゆるやかと考えられています。

パーキンソン病の原因

パーキンソン病は、脳内にあるドーパミン神経細胞が壊れ、生み出されるドーパミンの量が減ることによって、運動がうまくできなくなってしまいます。ドーパミンは、脳から体に対して運動を円滑にするための指令を伝える神経伝達物質です。つまり、神経伝達物質が何らかの不具合を起こすことで発症すると考えられています。

ドーパミンが減ってしまう理由は、まだはっきりと解明されていませんが、年齢を重ねることで脳内に変化が起こったり、遺伝子に何らかの変化が起こったりすることが原因ではないかと考えられています。先天的な要因もありますが、環境や加齢といった後天的な要素もパーキンソン病を引き起こす原因になるといわれています。

パーキンソン病の症状・特徴とは?

パーキンソン病は患者数が多い病気ではありますが、家族に発症した経験がある方や医療・介護に携わっている方でなければ、どのような症状が出るのか分からないというケースも多いでしょう。そこで続いては、パーキンソン病の症状や特徴についてご紹介します。

運動症状

運動症状は、パーキンソン病を発症したばかりの時期からみられる症状です。その中でも「安静時に体が震える」「体が強張って動きにくくなる」「筋肉が硬直する」「姿勢が不安定になる」という4つの症状は代表的な例として挙げられます。その他にも「表情が乏しくなる」「喋りにくくなる」「よだれが出やすくなる」「加速歩行になる」などの症状も現れます。

では、パーキンソン病の運動症状についてさらに詳しく解説していきましょう。

安静時に体が震える

パーキンソン病になると、安静にしている時でも体が震えます。この震えは、振戦と呼ばれるものです。手足や顔面、頸部などが意志とは関係なく震えるという症状です(頸部などの振戦は、本態性振戦より少ない)。

パーキンソン病にかかった方に多く見られる症状ですが、何か動作をしている時や眠っている時は消失します。患者さまのなかには、体の内部が震えていると訴える方もいて、症状の現れ方は人それぞれです。

筋肉が硬直する、体が強張って動きにくくなる

パーキンソン病になると、体が強張って動きにくくなってしまいます。動かすことはできるのですが、スムーズさが損なわれてしまうのです。他の人が手足の関節を曲げ伸ばししようとすると、カクカクとした抵抗が見られる歯車現象が生じる場合もあります。

姿勢が不安定になる

姿勢が不安定になってしまい、転びやすくなるという症状も出てきます。歩きながら方向を変えるときや混み合っている場所を歩くときなどにすくみ現象が起こることも、姿勢が不安定になるという症状に含まれます。すくみ現象とは、動作を始めようとしたときにその動作が止まってしまう現象です。

すくみ現象は突然起こるため予測できません。歩き始めのすくみ足や広い場所でのすくみ足などは日常生活にも大きな影響を与えます。

非運動症状

パーキンソン病を発症すると、運動症状以外の症状も現れます。それが非運動症状です。非運動症状には、自律神経症状や認知機能障害、精神症状などがあるので、具体的にどのような症状なのか解説していきましょう。

起立性低血圧

起立性低血圧は自律神経症状に分類されている症状です。長期にわたってレボトバという薬を服用している場合に起こりやすくなっています。弾性ストッキングの着用が効果的です。

睡眠障害

パーキンソン病を発症すると睡眠障害になるケースも多く見られます。その中でもレム睡眠行動障害は比較的多いです。レム睡眠行動障害は、脳が覚醒している状態に近いレム睡眠時に、夢で見たことを行動に移してしまうという症状です。

うつ症状

やる気が出なくなったり、何事に対しても楽しみが感じられなくなったりしてしまうのがうつ症状です。また、パーキンソン病に伴ううつ症状では、憂鬱な気分はあまり目立ちません。この症状はどちらかという朝にひどくなり、夕方になると改善するという日内変動が大きい症状でもあります。

うつ症状に伴い、幻覚や幻聴、せん妄などが現れる方もいます。幻覚はその場所にはないものが見える症状、幻聴は実在していない音や声が聞こえるという症状です。せん妄は、意識が混濁して幻覚や錯覚が見られる症状になります。

アパシー

アパシーは、身の回りに対する関心が薄れてしまう症状です。顔を洗ったり、パジャマから服に着替えたりといった当たり前の行動に対する気力もなくなってしまいます。

認知機能障害

パーキンソン病を発症することで、認知機能障害が現れるケースもあります。計画的に手順を踏んだ行動ができなくなる遂行機能障害が現れたり、物忘れがひどくなったり、注意障害、視空間認知障害があらわれたりします。。アルツハイマー型認知症の症状とよく似ていますが、アルツハイマー型認知症では初期には、運動障害が見られません。認知症かパーキンソン病に伴う認知機能障害かは、きちんと医師から診断してもらう必要があります。

むずむずする

むずむずするのも非運動性症状の1つです。手足がむずむずするような感覚になり、じっとしていられなくなります。基本的には足を中心に現れ、夕方から深夜にかけてひどくなる傾向があります。

痒みや痛みを感じたり、虫が這っているような不快感を持ったりする症状です。不快感を持つため足を動かしたいという衝動にかられ、不眠の原因になってしまいます。場合によっては、ふるえを感じるケースもあります。

パーキンソン病の症状の経過

上記のように、パーキンソン病にはさまざまな症状があります。ただし発症したからといって、これらの全ての症状が絶えず現れるわけではありません。

多くの場合、最初は「体が震える」「体がこわばる」などの運動症状が現れることで異変に気付きます。症状は左右どちらかに偏っているケースが大半です。医師に診断を受け治療を始めてから数年間は、服薬することでほぼ1日中症状を抑えることができます。薬がよく効くこの期間のことを「ハネムーン期間」といい、一般的には3~5年程度です。

しかし病気が進行していくと、薬を飲んでも数時間後に効果が切れるようになっていきます。「ウェアリングオフ」という現象です。さらにしばらく経つと、薬が効いているはずの時間帯でも手足が勝手に動くようになります。これが「ジスキネジア」とよばれる症状です。薬の効果が薄れてくると、次のステップとして別の治療法をスタートすることになります。

パーキンソン病が重度になると、体の片側だけでなく両方をうまく動かすことができなくなっていきます。そのため生活全般で車イスを使用したり、ベッドで過ごしたりすることが多くなるでしょう。

ですが、早めに症状に気づいて治療を始めることで、症状をコントロールし進行スピードを抑えることができます。

パーキンソン病になると認知症を発症する?

「パーキンソン病になると認知症になりやすい」と聞いたことがある方もいるかもしれません。実際に、認知機能障害は非運動症状の1つです。

パーキンソン病の発症から年数を経るごとに、認知症の方も増加するといわれています。パーキンソン病患者の約40%が、パーキンソン病認知症(認知症を伴うパーキンソン病)を発症します。パーキンソン病の診断から約10~15年後が発症の目安です。
(参考:MSDマニュアル家庭版「レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症」)

認知症もパーキンソン病も自己判断ができるものではありませんので「おかしい」と感じたら早めに診断を受けるようにしましょう。

パーキンソン病は予防できるのか?

はっきりとした原因が解明されていないパーキンソン病には、予防方法も確実なものはありません。しかし、脳内物質の減少を防いだり、症状の悪化を防いだりする方法はいくつか分かってきています。

運動をする

手足の震えや姿勢反射といった運動症状をパーキンソン病は引き起こすため、外出を嫌がる患者さまも多く見られます。しかし、家の中にこもっていては症状が悪化する一方になってしまうため、適度な運動はとても大切です。適度な運動を日ごろの生活に取り入れれば、筋力の低下を防いだり、ドーパミンを増加させたりするため、症状の悪化を抑えやすくなります。

好きなことや得意なことに取り組む

ドーパミンを増やすためには、幸福感を得ることが重要なポイントになります。好きなことや得意なことに取り組んでいると、自然とドーパミンは多く分泌されます。また、目標を達成できるとドーパミンの分泌がより活性化されるので、目標を立てて取り組むのもおすすめです。

チロシンを含む食材を取り入れる

チロシンはたんぱく質の一種で、ドーパミンなどの神経伝達物質を生み出す原料になっています。乳製品やアーモンド、鰹節、大豆などに多く含まれているので、積極的に取り入れるようにしましょう。さらに、ストレスを緩和したり、鬱を改善したりといった効果も期待できるため、とても魅力的な栄養素でしょう。

リハビリ

パーキンソン病になると体が思うように動かせなくなっていきます。だからといって何もしないまま過ごしていると症状がどんどん悪化してしまうため、リハビリをする必要があります。パーキンソン病の症状悪化を防ぐだけではなく、生活の質を保つためにもリハビリは必要です。

パーキンソン病の寿命とは

家族がパーキンソン病になると「寿命はどのくらい残されているのだろう」と不安になる方もいるでしょう。パーキンソン病の方の寿命は、平均と比べてどれくらいの差があるのでしょうか。

平均寿命までは生きられる?

パーキンソン病は、治療薬が開発されたことによって、症状を改善しやすくなっています。健常者の平均寿命と比べてみても、ほとんど変わらないともいわれています。寿命は平均よりも確かに短くなりますが、その差は2~3年です。

しかし、パーキンソン病によって寝たきりになってしまった場合は、脱水や栄養障害、悪性症候群などによって寿命が短くなってしまう可能性が高まります。寝たきりになるきっかけは、転倒や誤嚥性肺炎などによる入院が多いです。

発症からどれくらい生きられる?

パーキンソン病自体は直接命にかかわる病気ではありません。そのため、発症してから10年くらいはそれまでとほぼ変わらない生活が送れます。以前は10年くらい経つと寝たきりになってしまう病気だといわれていましたが、適切な治療を受ければ発症前と変わらない生活を送れるのです。

ただ症状が進行していくと、歩行が難しくなって車いす生活になってしまったり、ベッドから自力で起き上がることが難しくなったりして寝たきり生活になってしまうケースが多く見られます。その後、誤嚥性肺炎などを患って亡くなってしまう方は少なくないので、注意が必要です。

若年性パーキンソン病の寿命は?

若年性パーキンソン病も、高齢者がかかるパーキンソン病と基本的には同じです。発症する年齢が40歳以下かどうかという違いだけです。治療薬が開発されたことによって、若年性パーキンソン病の方でも寿命を全うできるようになっています。

パーキンソン病でも暮らしやすくするための工夫

パーキンソン病は、すぐに命にかかわる病気ではありません。だからこそ、病気とうまく付き合いながら生活することが大切です。最後に、パーキンソン病の方が暮らしやすくなるための工夫をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

安全な環境を整える

動きがスムーズでなくなったり、つまずきやすくなったりすることで、家庭内でも事故のリスクが高まります。「段差をなくす」「引き戸にする」「手すりを付ける」など、バリアフリーの環境を整えましょう。すべりやすい浴室には滑り止めマットを敷くことも効果的です。

よく眠るために日中は適度な活動を

パーキンソン病の方は不眠になることも多くあります。できるだけ夜にしっかり眠れるよう、日中は太陽の光を浴びて適度に体を動かすことが大切です。

着脱しやすい衣類を選ぶ

毎日何気なくしている着替えも、体が思うように動かないと負担になってしまいます。上衣は前開きで大きなボタンやマジックテープで留められるもの、下衣は伸縮性があってウエストがゴムのものを選ぶと着替えやすくなるでしょう。

食事は飲み込みやすい大きさに

飲み込む力が衰えると、誤嚥性肺炎などを起こしやすくなります。食べ物は噛みやすい大きさに切り、一口の量を少なくすると飲み込みやすくなります。また、食べるときの姿勢にも注意が必要です。「左右に傾く」「おしりが背もたれから離れる」といった不安定な姿勢にならないようにしましょう。

横浜市立大学医学部卒業。2011年より現職。現在は、いなほクリニックグループ共同代表として認知症在宅医療を推進する一方、N-Pネットワーク研究会代表世話人、日本認知症予防学会神奈川県支部支部長、レビー小体型認知症研究会事務局長などの取り組みを通じて、認知症診療の充実ならびに認知症啓発活動に精力的に取り組む。『 レビー小体型認知症 正しい基礎知識とケア 』(池田書店)など著書多数。

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