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介護保険を使った住宅改修について知っておくべきことを教えてください!

要介護認定を受けた家族がいるのですが、快適に過ごすためにも住宅のリフォームを検討しています。しかし、費用も多くかかるので不安を抱えているのですが、介護保険を活用することで費用の一部を負担してくれることを知りました。
制度を利用するために、事前に知っておくべきことはありますか? 教えてください。

A 居宅介護住宅改修費を活用するには条件があります。

要支援、要介護認定を受けている家族と一緒に暮らしている場合、介護保険制度にある居宅介護住宅改修費を活用して住宅改修料金の自己負担額を減らすことが可能です。しかし、対象者や対象となる住宅改修には種類があります。対象外の改修工事もあるので、ご注意ください。

岡田慎一郎
岡田慎一郎
理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

同居している親や、今後同居を考えている親族が要介護認定を受けている場合、暮らしやすいようにリフォームを考える人もいるでしょう。しかし、費用が多くかかってしまうのであれば、思うように改修できずに悩んでしまうこともあるはずです。

そんな時に活用できるのが居宅介護住宅改修費です。リフォームの負担を減らすことができる制度ですが、活用するには条件や注意点もあるので、あらかじめどんな制度であるのか把握しておく必要があります。今後住宅改修を検討している人がいたら参考にしてください。

介護保険を使って住宅改修ができる

要支援認定や要介護認定を受けている家族が暮らしやすいように住宅改修をする場合、「お金がかかりそう」などと不安を抱く人もいるでしょう。しかし、介護保険制度にある居宅介護住宅改修費を活用すれば、費用の一部を負担してくれます。金銭的な負担が軽減するのであれば、リフォームの実現可能性も高まるでしょう。支給対象となる具体的な工事は以下の通りです。

手すりの設置

転倒を防止するほか、移動する際の負担軽減となる手すりの設置は介護保険を活用とした住宅改修の対象となります。廊下や階段、浴室やトイレ、玄関など、あらゆる部分に設置でき、二段式や横付け、縦付けなど、手すりの種類も複数あります。

段差解消

少しの段差でも躓く危険があるので、段差をなくすことで安全な生活が可能となります。具体的な内容としては、スロープの設置や敷居を低くする工事、浴室の床のかさ上げ工事などとなります。

滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更

滑って転倒することを防止するための改修工事です。具体的な内容としては、畳から板製の床材に変更することや、ビニール製の床材にして滑りにくくする工事や、車椅子でも移動しやすいように畳からフローリングにする工事も対象です。

扉の取り替え

開き戸の扉であると車椅子では開くことが困難です。そのため、誰でも開きやすいように引き戸や折り戸、アコーディオンカーテンなどに変える工事となります。ドアノブを変える、戸車の設置も対象です。

便器の取り替え

和式の便器だと、立つことや座る動作に負担がかかります。使いやすいトイレにするためにも、和式トイレから様式トイレに変更する工事が対象です。現在洋式トイレを利用していても、立ち上がりがしやすい洋式トイレに変更する場合にも対象となるので、リフォームの際は検討してみましょう。

上記の工事に付帯して必要となる改修

上記で挙げた工事には該当せずとも、伴って必要となる改修の費用については対象となります。例えば、床材を変更する場合、床の下地を補強するための工事も実施されることがあります。こうした工事も給付対象となるので安心でしょう。

その他にも、扉を変更する際に壁の補強が必要であれば給付対象です。給排水設備工事や柱の変更など、上記に当てはまらなくても対象となる工事は複数あるので、事前にケアマネジャーや工事を担当する業者に相談してみましょう。

介護保険で住宅改修をする際の条件

介護保険で住宅改修を行う場合、条件があるのであらかじめ理解しておきましょう。居宅介護住宅改修費を活用できる人の条件としては、介護保険の要支援1~2、また要介護1~5のいずれかの認定を受けている人になります。加えて、介護保険被保険者証に記載されている家に住んでいることが条件です。制度を活用するためには、工事前に申請することになるので、早い段階から準備を進めることでスムーズに手続きを終えることができるでしょう。

介護リフォームのQ&A

要支援、要介護認定を受けている家族が住みやすく、介護をしやすい家にするためにも、住宅改修が効果的となりますが、多くの疑問もあるでしょう。以下を参考に疑問を解決していきましょう。

リフォームの最中に利用者が死亡した場合の給付は可能?

利用者が死亡した時点で完成しているリフォームに関しては介護保険の給付対象となります。申請書類の作成時には、申請者や受給者は遺族となるので注意してください。

他の市に引越しを考えている場合の申請方法は?

例えば、C市からD市に引越しをする場合、リフォームが必要であることを相談することで事前申請を行うことが可能です。転居後に介護保険給付の申請をD市に対して実施できるので、忘れずに行ってください。

退去のための回復工事には利用できる?

賃貸住宅に住んでいる場合、退去する際には回復工事が必要になることもあります。介護保険を活用して費用の一部を負担してもらいたいと考える人もいるでしょうが、支給対象にはなりません。自己負担で改修することになるので気を付けましょう。

対象外の工事はどんなものがあるの?

介護保険制度を活用できない工事もあるのであらかじめ把握しておきましょう。手すりの設置に関しては、福祉用具貸与としての設置は対象外です。段差の解消でも同様に福祉用具貸与としてのスロープや踏み台の設置や、福祉用具購入に該当する浴室用の「すのこ」は対象とはなりません。

床または通路面の材料の変更では、ベッドを設置するために床材をフローリングに変える工事は対象外となります。便器の取替えに関しては、暖房機能や洗浄機能の付加は対象外です。和式のトイレに腰掛け便器の設置を検討する人もいるでしょうが、これは福祉用具の支給対象となるので、住宅改修では支給対象外となります。

金額の上限はあるの?

介護保険制度の対象となる住宅改修において、支給の上限があるのか気になる人もいるでしょう。支給額としては、費用の9割です。ただし、一定の所得があれば8割、所得が高い人であれば7割になるので注意してください。

上限としては、要支援・要介護に関わらず支払限度額は20万円となっています。そのため、自己負担額が1割であれば18万円まで、2割であれば16万円まで、3割であれば14万円まで補助金を受け取ることが可能です。

回数の上限はあるの?

介護のためのリフォームであれば、何度でも利用できると考える人もいますが、回数の制限はあるので注意してください。そのため、利用者1人に対して現住居につき20万円までとなります。

20万円を超えた金額は全額自己負担となり、再度リフォームをする場合も前回のリフォーム時に上限に達していれば、補助金を受け取れないので自分で支払う必要があります。ただし、1度に上限までリフォームする必要はありません。10万円のリフォームを2回、2万円のリフォームを10回することも可能なので、必要な時に必要なリフォームをすることが可能です。

トイレリフォームの内容は何が対象範囲内なの?

要介護認定を受けても、トイレだけは自分でしたい人は多くいます。トイレの改修工事としては、車椅子でも利用しやすいトイレや立ち上がりのしやすいトイレなどがあり、体に負担を与えないようなリフォームができます。

和式のトイレを洋式の便器に交換するリフォームを思い浮かべる人もいるでしょうが、その他にもトイレの段差を無くすために床の引き上げや引き下げを行う工事、便器の位置を変える工事、便器の向きを変える工事なども対象です。

ストレスなく過ごすためにも、利用しやすいトイレに変更することも検討しましょう。

金額の上限がリセットされる条件は?

上記で、介護保険制度においての支給上限は20万円までであると解説しましたが、金額の上限がリセットされることもあるのです。例えば、要介護区分が3段階上昇した場合です。介護保険を活用して住宅改修をした時の介護区分から3段階上がった時に、再度20万円まで住宅の改修工事が実施できます。

例えば、要支援認定を受けていて20万円分の改修工事をした後に、要介護3まで認定区分が上がった場合には再度20万円の上限で改修が可能です。あくまでも、初めて改修工事をした時点から区分が上がった場合なので気を付けてください。

注意点としては、介護区分が下がった時でしょう。要介護認定を受けた時に改修工事を行い、その後介護区分が下がり、その後再び3段階以上区分が上がったとしても介護保険の対象とはならないのです。その他にも、介護区分が3段階以上上がった時点で改修工事を行わなければ、その後介護区分が下がった時に工事をしようとしても利用することはできないのです。

また、改修をした住宅から違う住宅に引越しをした場合も再度支給できます。リセットについては難しい部分も多いので、ケアマネジャーなどに相談して疑問を解決しましょう。

入院中に申請をすることはできるの?

同居している家族が病気やケガで入院をして麻痺が残ってしまった場合、入院中にリフォームを検討する人もいるでしょう。退院後、すぐにでも自立した生活が送れるよう、介護がしやすいようにと考えるのでしょうが、補助金を受け取るためには要支援認定や要介護認定が必要です。

そのため、介護のためのリフォームを依頼する前に要介護認定の申請が必要となります。要介護認定は、1次判定と2次判定があり決定されます。身体機能や生活機能、認知機能や精神・行動障害、社会生活の適応についてチェックされるのです。

申請する際には、住んでいる市町村窓口に出向きます。介護保険要介護(要支援)認定申請書や介護保険被保険者証、主治医の意見書などの書類や印鑑が必要となるので忘れないようにしましょう。認定までの流れとしては以下の通りです。

介護保険を活用した場合の住宅改修の流れについても解説していきましょう。

となります。補助金が受け取れるのは、工事が完了して費用を業者に支払ってからとなるので注意しましょう。また、上記の②と⑤の申請はケアマネジャーや高齢者支援センターの職員が実施してくれます。

自分で改修をする場合に介護保険は使えるの?

要介護支援、要介護認定を受けている人も快適に過ごせるリフォームを自分でしたいと考える人もいるはずです。手すりの設置や段差を解消するためのスロープの設置は、それほど難しくない工事も多く、ホームセンターなどでも販売されています。

この場合、介護保険が利用できるのかと不安になるでしょうが、自分で設置した場合でも購入費の7~9割分所得に応じて給付されます。そのため、購入する際にはあらかじめケアマネジャーに相談して、理由書の作成や手続きについて相談してみましょう。

あくまで「要介護者の安全な生活を守るため」に使う

暮らしやすい住宅にするための改修工事は時間だけではなくコストもかかってしまいます。住み慣れた住宅を改装することになるため、なかにはリフォームを躊躇してしまう人もいるでしょう。

しかし、要介護者の安全な生活を守るために大いに活用できる手段のひとつです。体の負担を軽減するだけではなく、ストレスを無くすためにも有効です。上記のように、制度を利用するためには条件があり、リフォームの種類も対象外のものがあるので、あらかじめ確認してから申請しましょう。

要介護認定については下記の記事を参考にしてください。

岡田慎一郎

この記事の監修

岡田慎一郎

理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

身体障害者、高齢者施設に勤務。古武術の身体運用を参考にした「古武術介護」が反響を呼ぶ。近年は介護、医療、リハビリ、消防・救命・育児支援・教育・スポーツなど、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、多岐にわたる活動を国内外で行う。『あらゆる状況に対応できる シンプル身体介助術』(医学書院)など著書、DVD、通信講座など多数。

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