特別養護老人ホーム緑風苑の口コミ・評判　たこいと（男性/70代）

歴史のある特養であるが、改修等が行われ、清潔感があり、設備的にも一定の水準以上のものがあった。また、スタッフの方々も介護業務に精通されていてテキパキと働いておられた。 もっとも目を引いたのが、認知症対策である。俳句、短歌等の作成、朗読、手作り教室のような催しを積極的に実施し、認知症の進行防止に努めているとのことであった。しかしながら、残念なことに認知症が進行し、所内を徘徊したり、大声をあげる方、あるいはスタッフの指示を受け入れられない入所者も少なくなかった。 条件がよいという特養ですら、こうした入所者が少なからずおられ、人手不足から個別的対応ができず、危険のない範囲で放置されているというのが実情であった。こうした中に、認知症を発症していない要介護者が入所すると、容易に精神的にダメージを受けるのではないかと想定できた。一部入所者の「大声」だけでも何か対策が講じられないであろうか。

俳句、短歌、あるいは形式にとらわれないで何か一言を色紙に書いて、入所者およびスタッフの皆さんが「褒め合う」催しが週に1回程度実施されている。 自己認知ばかりではなく、他者が関心をもってくれることで孤独感が癒され、集団意識が高まるそうである。身体的に要介状態になったとしても他者との関係性をもつことができれば、精神的に自立意識、相互扶助意識が強くなり、集団生活への耐性も良くなるそうである。 言語表現は、あまり形式にとらわれなければ「頭の体操」としては優れた手段だと思われる。

特別養護老人ホームなので、多床居室、従来型個室、ユニット型個室、ユニット型準個室による差異、要介護度による差異等があって一概に言えないが、個室の場合、施設利用費・居住費・食費等の合計で月額12万円から8万円程度になる。

施設見学だけだったため、食事についてはメニューしか参照できなかった。施設内での調理のため温食が提供されているが、基本的には減塩食とのことであった。 特徴的なことは、月に1回であるが入所者が大広間に集まって「居酒屋」が開催されるとのこと。 参加可能な方々が一箇所に集まって、わいわいおしゃべりしながら飲食を楽しむそうだ。カラオケ大会も開催され、入所者もその日を待ちわびているとのことであった。

敷地が広く、バラ園や農園もあって、自然に恵まれている。農園では、さまざまな農作物が耕作されており、入所者も栽培や採取に参加している。 とくにパラ園はさまざまな種類のバラが栽培され、入所者の心を和ませている。秋には、「芋掘り」大会も開催されるとのことであった。 また、わりと立派な「茶室」があり、自由に利用できるとのことであった。

医師は常駐していないが、定期的に往診している。介護士や理学療養士が常駐しており、老人介護施設としては一般的な介護・医療体制となっている。また、提携医療機関については毎日送り迎えをしてくれる。必要な場合には、通院介助が整っている。 しかし、先にも指摘したように認知症等については必ずしも十分なケアが付与されているとはいえないし、認知症予防対策も完全ではない。

自然環境は良いが、便利さという点では疑問が残る。食事、入浴時間以外、入所者は自由に。外出、外泊できるが、交通の便が悪いために自律的には困難だと思われる。家族の関係者が、車で送り迎えをしないと、自由に行動することは困難であろう。

現在の実態は不明であるが、2012年次点で入所希望者の待ちが200名近いとのことであった。 したがって、条件を満たしているとしても入所できるまでに数年待たねばならないと思われる。