福島県飯坂ホームの口コミ・評判　専業主夫（男性/70代）

特別養護老人ホームとして福島県最初の施設でした。ので、建物も設備も時代遅れも甚だしいものでした。居室も６〜８人部屋でプライバシーが無く、トイレや洗面所も共用で狭く、入浴も特浴も独浴も狭くて介護するのも大変でした。それでも施設としては人気がありました。入居費用が安いこと。職員の介護技術が高いこと。地域に密着した行事を催して交流を図って、地域行事にも参加したこと。そして、入浴のお湯が源泉かけ流しの温泉だったこと！ハード面のマイナスを、特養のパイオニアとしてのノウハウと、職員の高い技術が若い職員に受け継がれていることが、高い人気の理由でしょう。実際、最近できたばかりの最新の施設をいくつか見学しましたが、確かに建物も設備も素晴らしいものでした。ですが、職員の介護の様子を見るととても危なっかしいのです。利用者との対応もおざなりでした。今年、ホームは新たな場所に新たな施設としてオープンしました。素晴らしい施設に生まれ変わりました。私は退職しましたが、特養運営のノウハウと、高い介護技術が引き継がれることを望みます。

施設の行事としては春はお花見。初夏はバス旅行。秋は近くの神社の大祭など、地域の行事や催しものに、それぞれ少人数に分かれて出掛けます。付き添いは職員のほかに、施設のOB・OGや、地域のボランティア登録をされた方々や、家族や親族の方がボランティアとして支援してくれます。施設内の行事としては、職員が鬼に扮して逃げ回る節分や、地域との共催で盆踊り大会。団子刺し。クリスマス会兼忘年会など、節句ごとの行事を設けて生活にアクセントをつけています。そのほかに、プライベートで外出を希望される利用者には事前に計画を立てて、介護タクシーの手配や付き添いの手配をして支援していました。利用者の笑顔を見たい、が職員の口癖でした。

とにかく、建物も設備もたいへん古いので、費用の安さで言えば県内でも１・２を争うものでしょう。入所される方も家族もその点を理解した上でのことだと思います。敷金に当たるような入居金はありません。月額の負担金は、本人及び家族の収入によって異なりますが、最高でも８万円くらいです。生保の方は免除ですし、平均すると４万円くらいでしょうか。特養でしたので、紙おむつは施設事業費で賄われ、日用品は利用者自己負担となっていましたが、私が居た頃はまだ厚生労働省からの通達が無く、やはり事業費で賄われていました。月額の自己負担意外に実際に負担があったのは、食費くらいでしょう。自己負担の振り込みや利用者のお金の出し入れは、施設が一括して通帳を預かり本人や家族に代って行っていました。主に生活指導員がその業務に当たっていましたが、現場主任と主事と施設ケアマネと栄養士と訓練士と次長のチェックを受けて、施設長の決裁を受けるのですが、毎日が大変な作業でした。

食事は外部委託です。施設の管理栄養士と委託業者の管理栄養士が献立を作っていました。利用者の個別の状態によって細かく献立が作られていましたが、突然の様態の変化にも対応してくれましたね。職員も個別の状態に合わせて介助のスピードを変えて、辛抱強くやっていました。原則、外部からの持ち込みは遠慮していただきましたが、職員が必ずチェックすることで、利用者の満足を得られるような対応を柔軟にしていましたよ。

前述したとおり、建物も設備も古い中で、唯一自慢できるのが職員のスキルです。県立民営ということもあって、中途退職は少なく、介護スキルを熟練していく環境にあり、他の介護施設と比べて格段の差がありました。もちろん、人間の集まりですから、ちょっと眉を顰める方（職員）もいましたが、施設全体としての雰囲気は非常に良かったと思っています。

看護師は５人居ましたが、土日勤務があるために常態勤務者は３〜４名で夜勤ローテーションには入っていませんでした。ただ、容態が急変したりとかの際は深夜遅くまで付き添ってくれたりしてくれましたね。何も無くて看護師が退勤した後でも、何かあればすぐに来てくれる態勢にありました。協力病院は二ヶ所あって、昼夜対応してくれました。毎日のように通院があるために、医務室に詰めているのは２〜３名なので、入浴の時の処置やおむつ交換の時の処置が間に合わない時がありました。

全国の福祉施設の中でも珍しく、温泉街の街中に立地すると言う恵まれた施設です。旅館も民家も公共施設も近くにあり、周囲はサルやクマも出る山に囲まれたのどかな温泉地です。そのほか果樹地帯なので、リンゴや桃や梨などの畑が広がり、家族の面会があると旬の果物のおすそ分けがありますよ。交通の便が良いので、家族の面会が多く、いつも賑わっています。

施設の老朽化に伴って、ようやく今年の９月に、道路を挟んだ隣の空き地に新しい施設となってオープンしました。これまでのように、施設が古いからとか設備が古いからと言う言い訳が利かなくなりました。これからがホームの真価が問われる時です。