特別養護老人ホーム　蔵王やすらぎの里の口コミ・評判　wataman（男性/70代）

施設は出来たばかりで真新しく、清潔で、日当たりも良好であった。食堂等の広い窓からは蔵王連峰の眺めが一望できて、心が慰められた。玄関、廊下、食堂、トイレなどの共用スペースは、いずれも広々としてゆったりとしており、設計にも配慮が行き届き使いやすかった。お風呂も清潔で、車椅子でもそのまま入浴できるような設備も整えられていた。全館いわゆるバリアフリーであり、段差等は皆無で、廊下等に手すりも設置されていた。個室の広さも十分であり、防音性も優れ、入所者のプライバシーは厳守されていた。

ちょうど私が体験ボランティアで当時勤めていた役所のメンバーとともに施設を訪れた際には、2月の厳寒期であり、バレンタインデーの交歓会が開催されていた。老人ホームで歯の丈夫でない人も多いことから、チョコレートの代わりに牡丹餅が振る舞われ、皆、楽しそうに過ごしていた。ちなみに、山形は、お客様が来ると餅をついて、団子や牡丹餅を作ってもてなすという特有の文化がある土地柄であり、風土がよく生かされた行事というべきではないかと思われた。私も、お相伴にあずかり、餡子やきな粉の牡丹餅をかれこれ10個くらい、いただいてしまい、すっかりたらふくになったことが、懐かしく思い出される。その他、お花見や紅葉狩り等の各季節ごとの行事も実施されていた。

私は体験ボランティアとして行っていただけであり、費用面については一応の説明は受けましたが、実際に入所等はしていなかったので、詳しいことは分かりません。ただし、施設側の説明を聞く限りでは、特に費用が高いという印象は持ちませんでしたので、おそらく普通ではないかと思われます。

私は体験ボランティアだったので、完全に入所者と同じ物を食べたわけではありませんが、調理職員たちの腕は良いようで、主食、副食ともに非常に美味しい食事を出していただきました。入所者には、加齢のため、嚥下に困難をきたしている方々も大勢いらっしゃいましたが、そのような方々にも一人ひとりスタッフの方たちがついて、一さじ一さじ根気よくかつやさしく、食事の介助をされていたのが、今でも印象深く、記憶に鮮明に残っています。

新しい施設だったせいか、スタッフも若くて元気で明るい人が多く、皆やさしく親切で、厳しかったり、意地の悪そうな職員はまったく見受けられませんでした。ぼけたり、車椅子だったり、要介護度の高い入所者が多く、食事、入浴や下の世話等かなり大変なようでしたが、よく声掛けしながら、真摯に取り組む姿が見られました。入居者も、それぞれのレベルに応じて、皆それなりに施設での生活になじみ、エンジョイしていることが感じられました。ちなみに、施設長は、比較的若めで40代くらいだったと思いますが、テキパキとした中にも温かみの感じられる人柄の方でした。

介護・看護職員の数とか、夜間の常勤体制とか、正直言って、正確には憶えていませんが、十分であったように思われます。何かあった時に頼める近隣の病院等もきちんと確保されているようでした。健康管理も、毎日の体温計測や体操等を始め、しっかりとなされていました。当時、胃ろうの該当者はいなかったと思いますが、認知症等に対するケアは適切になされていたと思われます。

一応山形市内とはいえ、かなり人里離れた山の中という感じであり、山形市の中心部からは車でも小一時間はかかり、公共交通機関は一応バスの便はあるものの、停留所からも若干離れており、交通アクセスの面での不便さは否めませんでした。したがって、コンビニ、商店街等は言うまでもなく、病院や公共施設等も近隣にはありませんでした。環境は静かで、空気も極めて良いところですが、公園や遊歩道等がある訳ではなく、入居者がちょっと近所へ気軽に散歩できるような環境ではありません。また、御家族や知人等も、車がないとお見舞いへ行くのも大変でしょう。

正確に覚えていませんが、当時から既に待機者がかなり多かったようで、そのように施設長から説明を受けた記憶があります。よく分かりませんが、今だとなおさらということでしょうか。