Q

生活保護を受給していますが、老人ホームへの入居は可能ですか

母親が現在生活保護を受けて生活しておりますが、介助がなければ毎日を送るのも苦しい状況となってきました。できる限りのサポートはしているもの、私自身が仕事をしているだけあって、やはり手が足りない状況となっています。
このところ老人ホームへ入居させたいと考えているのですが、はたして本人が生活保護受給者である場合でも入居は可能なのでしょうか?

A生活保護を受けていても入居は可能です

生活保護受給者でも老人ホームへの入居は可能となっています。全国いたる所に点在しているので、住み慣れた場所から離れることなく介護を受けられる可能性もあります。ただし場所によっては入居待ちであったり、希望する介護サポートまで実施していなかったりと注意が必要です。広い地域から選定していくことで、安くも希望に沿った施設は見つかります。

​​​尾渡順子
​​​尾渡順子
医療法人中村会 介護老人保健施設あさひな・認知症介護レクリエーション実践研究会

1ヶ月の平均支給額5万円程となる国民年金ですが、正直それだけでは生活が困難であると考える高齢者が多くいます。そこで多くの方に活用されているのが生活保護となっています。最低限度の生活費を賄ってくれる生活保護はひと月あたり10~13万円を受給できる制度です。

受給者数は年々増えており、厚生労働省のデータでは2020年1月8日時点で163万7,6737世帯もいるという結果がでています。そして、その内の半分以上となる55%ほどが高齢者世帯となっているのです。高齢者世帯は89万7,264世帯と非常に多くいます。

そして、この結果から多くの人が生活保護受給者でも老人ホームへ入居できるかどうかを心配に挙げている方が増えているのです。

生活保護でも老人ホームへの入居は可能か

事実、生活保護を受給している方でも入居は可能です。ただし、入居できる老人ホームには限りあるのも事実なので、入居を希望する方はしっかりとその事実と向き合っていかなければなりません。

比較的多くの老人ホームが生活保護を受け入れている

PwCコンサルティング合同会社の「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究報告書(令和2年3月)」によると「生活保護を受け入れている施設」の割合は、介護付有料老人ホームで10.9%、住宅型有料老人ホームで54.1%、サービス付き高齢者向け住宅で31.7%となりました。

前提として介護付き有料老人ホームは少ないものの、サービス付き高齢者向け住宅では半分、住宅型有料老人ホームでは67.7%の施設で生活保護の方が暮らしていることになります。

半数かそれ以上の施設は生活保護の方が入居していることになります。

生活保護受給者が施設に支払う金額について

生活保護受給者とはいえども施設に入居したらその費用は払わなくてはなりません。施設を利用する費用が発生するのは月に1回で、どの施設も月額であることがほとんどです。人によっては生活保護の金額に加えて家族からの支援で入居を可能にしている方もいます。しかしながら生活保護のみを頼りに生活している方は、支給される生活保護の範囲内で入居し続けられる施設を探さなくてはなりません。

一般的な有料老人ホームの利用となると月に15万円~30万円程度の金額を必要とします。内訳は家賃に食費、管理費、そして介護保険の1割~3割負担などでかかっていき、合計で同じ利用料になるとはいえども、家賃の割合が高い食費の割合が高いなど、施設によって設定している料金は様々です。

そして、生活保護受給者の場合には、施設利用に必要な費用が自治体から老人ホームに支給されていきます。本人が直接負担することはないものの、施設の家賃に関しては住宅扶助で納める、生活費は生活扶助で納めるといったように、自治体から支給される金額を自由に利用費用に充てることができないようになっています。

住宅費と生活費といったように、それぞれ上限額が生まれてしまうので、なおのこと施設選びに悩んでしまうことでしょう。ちなみに生活保護受給者に支給される家賃や生活費となる家賃扶助と生活扶助ですが、それぞれ収入や世帯の人数によって変化します。

また、物価と家賃相場も加えて金額を左右する項目となるので、住んでいる市区町村によって金額が異なる可能性が大いにあります。ここで例として、単身者に支給される金額を見ていきましょう。

単身者の家賃扶助に関する平均額は月2万2,000円~5万4,000円程度となっています。生活扶助となると月に6万円~7万5,000円程度です。これら2つを合わせると8万2,000円~12万9,000円となり、かなり幅があることが分かることでしょう。この上限内で選んでいくことも生活保護受給者には求められるのです。

生活保護受給者でも入居しやすい低価格な介護施設とは

生活保護受給している人は、やはり一番重気になってしまうのが費用面でしょう。「生活保護を受けている身でも施設に入れるとなったら、何か入居条件にハンデがあるのでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし実際にはそのようなことはなく、低価格で利用できるだけではなく、入居条件も優しい施設はたくさんあります。ここからは生活保護受給者向けの2つの施設について詳しくご紹介していきましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは介護保険施設の1つで、民間運営の有料老人ホームに比べて費用が安いことがメリットに挙げられます。費用が安いことから生活保護受給者のみならずあらゆる高齢者に人気が高く、入居待ちとなっている人が多い事実にあります。

しかしながら、待機状況というのは地域でかなり格差が生まれているとのことです。場所によっては待機期間を経て入居することもなく、すんなりと入れる場所もあるため、近くばかりを選択肢として考えるのではなく広い場所において選定していくことが求められるでしょう。

そんな特別養護老人ホーム(通称:特養)では、要介護3以上という入居要件を満たす必要があります。要介護3というのは自力で歩くことが困難であるほどの介護度です。食事や排泄など身の回りのことのほぼ全てで介助を必要とする状態となります。また、認知症の症状が見られる状態というのも要介護3です。厚生労働省が定めた要介護認定等基準時間の基準で見ると、要介護3は要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態であると表されています。

この介護度の条件を満たせば入居対象となるのですが、特養では特例として認証である方に限り要介護度2以下でも入居が可能な場合もあるのです。詳しくは各特養の施設に連絡をして聞いてみましょう。ちなみに特養の特徴には以下のようなものが挙げられます。

24時間介護が受けられる体制

特養では介護スタッフが24時間常駐しています。これにより必要時に適切な介護を受けられ、利用者となる高齢者も安心して生活できることでしょう。

看取り介護できる

特養というのは原則として終身にわたって入所できる場所になります。そのため途中で自宅介護をおこなったり、施設を変えたりする必要性はありません。

倒産のリスクが少ない

特養は公的施設である故に倒産リスクが少ないという特徴をもっています。経営は地方自治体か社会福祉法人に限られており、開設許可を得る際も収支の厳しい審査を経て、補助金と税制面で優遇されていくなど、民間企業以上に倒産リスクの少ない場所で生活を送ることができます。

費用の安さに加えてこのような特徴から多くの利用者を呼んでいます。

ケアハウス

続いてケアハウスについて見ていきましょう。ケアハウスというのは低価格で利用できる施設で、一般型と介護型の2種類があります。

一般型ケアハウス

一般型は1人での生活に不安を感じる60歳以上の高齢者が入居できる施設となっています。入居要件はたったこれだけなので、大変入居しやすくも費用が低価格であることから最近の注目度は高くなっています。

一般型のケアハウスのサービス内容としては、清掃や洗濯といった生活支援と、食事の提供と緊急時の対応が基本的なサービスです。介護サービスがおこなわれることがないため、介護が必要になったら他の施設へ移動するか介護サービスの別途契約をおこなう必要があります。介護度が低いようであれば外部サービスの利用で対応もできるでしょう。要介護3以上になってくると退去しなければいけない他、別の施設に移らざるを得なくなってしまいます

介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは名前からも分かる通り介護サービスが提供されるケアハウスになっています。介護保険法において特定施設入居者生活介護という指定を受けた施設にあたります。そのため適切な介護サービスが提供できるスタッフから介護や介助を受けられるのです。そんな介護型は独居生活に不安があり、要介護1以上の方が入居できます。介護サービスが加わるも入居要件がかなり優しいため、入居しやすい施設として注目が高いです。

提供されるサービスは食事の提供に入浴、そしてトイレの介助、さらには機能訓練、通院の付き添いなどがプラスされ、充実した介護サービスが受けられます。また介護型は、要介護度が上がったとしても住み続けられるという特権があります。施設によっては看取りまでおこなってくれる場所もあるので、気になる方は探してみましょう。

ただし、これらの条件と特徴からもある程度は予想できる通り、非常に人気が集中している施設になります。入居待ちの時間が長くなることも珍しくないため、入居したいと考えている場合は早めに申し込みをおこなうべきでしょう。

生活保護の場合は広い地域で探すことが重要

生活保護受給者であると、限られた資金の中で施設生活を送ることになるので、利用できる施設が限られてしまいます。特に都心や都心部に近い場所は費用が高くなりがちで、ご紹介してきた特養やケアホームであっても入居できない可能性もあるのです。その場合には郊外の施設も検討してみることをおすすめします。

都心から離れたくない思いがあっても、生活が困難である状況が続いてしまっては、充実した暮らしには感じられないことでしょう。柔軟に考えることが非常に大事なのです。費用面は問題ないものの、「個室がいい」といった希望する環境の施設が見つからない場合でも広い地域で探すことが重要になってきます。母数が多くなることで費用面や施設の環境面共に理想に近い場所を探すことができるでしょう。

生活保護受給者が施設転居時にやるべきこと

最後は生活保護を受けている方が、施設に入居する際にやらなければいけないことをご紹介します。まず、施設へ入居するためにケースワーカーに相談していきましょう。ケースワーカーとは、精神的、肉体的、社会的な面で何らかの不安や欠陥をもつ人の相談相手となってくれる人物です。解決のための指導に当たってくれて、生活保護である方もゆっくりと話を聞いてもらえます。

ケースワーカーは相談を受けて、自治体の管轄する地域内にて生活保護受給者も受け入れている施設を紹介してくれます。ただ、紹介された施設に希望する介護サービスがない場合であると、今住んでいる地域以外の施設を希望することあるでしょう。もし別の地域の施設を希望するのであれば、移り住む予定となる先で引き続き生活保護を受ける手続きが必要になってきます。

移管の申請をおこなえば、引っ越し先の自治体でも引き続き生活保護を受けられます。ただ自治体によっては移り住むことに許しが出ないこともあります。他の自治体の施設への入居を希望している方は早めにケースワーカーに相談しましょう。ケースワーカーが寄り添って問題解決に導いてくれます。

生活保護中の方でも老人ホームに入れる

生活保護を受けている方でも入居できる施設はあり、その数は限られるものの、入れない可能性はゼロではないということをご理解いただけたでしょう。入居先は生活保護の方でも入りやすい特別養護老人ホームやケアホームがおすすめです。どちらも比較的人気が高く生活保護の方になると入居できないこともありますが、広い地域から施設を選んでいくことで、入居の可能性も高まりますし、好みの施設や安い金額で収まる施設も見つかることでしょう。

施設生活を希望する場合、まずはケースワーカーに相談してみましょう。なかなか理想の施設が見つからない悩みにも寄り添いながら、素敵なセカンドライフを実現してくれる老人ホーム探しをおこなうことができます。

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、認知症介護実践リーダー、米国アクティビティディレクター、他。介護職として働く傍ら、レクや認知症、コミュニケーションに関する研修講師も務める。2014年米国アクティビティディレクター資格取得。レクリエーションを通じ、多くの高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、「介護技術としてのレクリエーション援助」を広める一方、介護情報誌やメディアにおいて執筆等を手掛けている。『認知症の人もいっしょにできる高齢者レクリエーション 』(講談社)など著書多数。

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