精神科デイケアについて、サービス内容や料金などを教えてください
家族が精神疾患を患っていて、デイケアを利用すべきか迷っています。家族には認知症の母親もいるため、介護している私も精神的に参っているため、可能なら私も相談をしたいなと思っています。なので、精神科デイケアについていろいろ教えてもらいたいなと思っています。
A精神科デイケアは、社会復帰に向けた取り組みを行っています。
精神科デイケアは、精神疾患を患っている人向けに社会復帰に向けたプログラムを提供しています。施設によってプログラム内容は異なりますが、社会復帰に向けた活動をおこなっているという点は共通しています。料金は、3割負担か自立支援医療制度を使っているかによって異なります。
精神科では、デイケアと呼ばれる日帰りのリハビリテーションをおこなっています。精神疾患を患っていて症状や病状の影響で社会復帰が難しい人に対してサポートをおこなう場所です。日常生活のサポートもしています。
今回は、そんな精神科デイケアについてご紹介します。
精神科デイケアとは
まずは、精神科デイケアがいったいどのような場所なのか説明していきます。
精神科デイケアは、冒頭でも説明したように、精神科がおこなっている日帰りのリハビリテーションのことを指します。精神疾患が原因で現れる症状によって、社会復帰が難しいと考えられる人向けにサポートをしている場所です。日常生活のサポートや精神疾患の再発を防ぐための体調管理などのケアを受けられる場所でもあります。
デイケアでは、基本的に1日6時間のプログラムが組まれているのです。規模が大きい施設の場合は、70人くらいの利用者さまが在籍している場所もあるのですが、基本的には30人くらいの小規模な施設が多くなっています。他のご利用者さまとコミュニケーションを取ることも、精神科デイケアのプログラムになっていて、それをメリットだと感じている人も多いです。
デイケア以外にも、ナイトケアやショートケア、デイナイトケアといった区分もあります。これらは、利用する時間や日数によって呼び名が違うだけで、精神科でおこなわれているという点に違いはありません。それぞれの症状などに合わせて、どの時間帯が利用しやすいかを考え、決めている人が多くなっています。
精神科デイケアを利用する目的は、再発や再入院を防止するというものです。そのために、いくつかのプログラムを用意し、利用者さまに参加してもらっています。体調に合わせて参加できるため、それぞれのペースに合わせられます。
精神科デイケアのサービス内容
精神科デイケアではどのようなサービスを提供しているのか気になるという人もいるでしょう。続いては、精神科デイケアで提供されているサービスについてご紹介します。
就職支援に関するサービス
精神科デイケアでは、それぞれの症状に応じて就職に関するサポートをおこなっています。精神疾患を患っている人はそれぞれ違った課題を抱えています。その課題を上手く乗り越え、就職へ結び付けられるようなサービスを提供しているのです。
ExcelやWordといったパソコンスキルなどを身に付けて就職に活かすために必要なサポートだけではなく、ビジネスマナーやプレゼンテーションの方法、対話に必要なスキルも身に付けられるようになっています。そのため、社会復帰をしてすぐに活かせるスキルを身に付けられる環境が整っていると言えるでしょう。
ただし、精神科デイケアでは職場の斡旋はしていません。それぞれの特徴や症状、持っているスキルなどを加味した就職先を決めるためには、他の機関を利用することになります。就職を前向きに検討している人は、デイケアが終わってから就労継続支援B型、就労継続支援A型、就労移行支援などに場所を移し、取り組んでいる人も少なくありません。
文化系のレクリエーション
音楽や料理、映画などを楽しむ文化系のレクリエーションもおこなわれています。精神疾患を患っていると、気分が落ち込んでいるためスポーツをする気力がないという人は少なくありません。そのような人向けにおこなわれているのが文化系のレクリエーションです。
利用者さまが得意なことを活かしながら作業ができるので、楽しみを見出しやすくなっています。絵や貼り絵、切り絵、編み物、調理など得意な事であれば、気力も湧きやすくなります。そして作成した作品は、デイケアが主催している展覧会で多くの人に見てもらう機会もあるため、自信にもつながりやすいでしょう。
精神疾患を患うきっかけは人によって異なりますが、自分に自信を持てない状態になっている人がとても多いです。そのため、多くの人に自分が得意なことや作った作品を見てもらい、認めてもらえることに喜びを感じる人も多く見られます。また、周りの人のことを認める事にもつながり、コミュニケーションを取る際の手助けにもなるというメリットも期待できるでしょう。
運動系のレクリエーション
精神科デイケアでは、就職に関するサポートや文化系のレクリエーションだけではなく、運動系のレクリエーションもおこなっています。これはその名のとおり、ためにおこなわれているレクリエーションです。体を動かして運動をするテニスや体操、ストレッチ、卓球、ヨガなど幅広い種目が用意されています。運動をすることによって、心身ともにリラックスする効果が期待できます。さらに、体力の向上も見込めるでしょう。
それだけではなく、日ごろから適度な運動をすることによって、うつ病などの精神疾患の症状が改善したり、再発防止に役立ったりするといったメリットも期待できます。他の利用者さまと一緒に取り組むことで、周囲との関わりも持ちやすくなります。
精神科デイケアはどういった方向けのサービスか
精神科デイケアは、精神疾患を抱えているけれど社会復帰を目指したいと考えている人向けのサービスです。精神科デイケアはどのような人向けのサービスなのか、さらに具体的にみていきましょう。
人との交流が苦手な人
精神科デイケアでは、同じような悩みを抱えている人が集まっています。同じような悩みを抱えている人同士だからこそ分かり合えることもあるものです。そのため、精神疾患を抱えていない人とのコミュニケーションが怖いと感じている人でも参加しやすい環境になっているので、人との交流が苦手な人におすすめだと言えます。
人との関わりを持ちたいと思っている人
精神疾患を患っていると引きこもりがちになってしまう人も多いです。そうなると、家族としか話をしないということになりかねません。そんな中で人との関わりを持ちたいと思っている人にも、精神科デイケアはおすすめだと言えるでしょう。
生活リズムが安定していない人
仕事に行けないと夜型になってしまう人も多く見られます。それでは社会復帰にも支障が出てしまうので、生活リズムを安定させたいと思っている人にとっても精神科デイケアを利用するメリットは大きいと考えられます。
就労や復職などを目指している人
精神科デイケアでは、就職に関するサポートをおこなっています。精神疾患によって仕事に就くことができなかったり、仕事を辞めなければいけない状況になったりしたけれど、就労や復職などを目指しているという人もしっかりと支援してもらえます。再度働き始めたいという意欲があるなら、通っている精神科のドクターに相談してみると良いでしょう。
何か始めたいけどどうしたらいいのか分からない人
現状を打破し、何とかしたいと思っている人も少なくないはずです。しかし、何かを始めるためには最初の一歩を踏み出さなければいけません。その一歩を踏み出す方向が分からないという人にも、精神科デイケアの利用はおすすめです。
精神科デイケアの利用条件
精神科デイケアを利用するためにはいくつか条件が定められています。それが以下の4つです。
- 主治医がデイケアの利用が有用であると判断している
- 主治医がデイケアの利用が可能である病状と判断している
- 単独通所が可能な方
- デイケア側が利用可能であると判断した方
基本的には、精神科デイケアを担当している医師が診察し、デイケアの内部で受け入れに関する会議をおこないます。そして、利用の可否を判断するというケースが多くなっています。
デイケアによっては、関連施設の医療機関に通院している人だけを受け入れている場所や他の病院に通っていても受け入れている場所もあるため、条件は様々だと言えるでしょう。分からないことは、通いたいと思っているデイケアに確認してみてください。
精神科デイケアの通所頻度
精神科デイケアの通所頻度は、人によって異なります。週に1度から利用できますし、半日だけ利用するということも可能です。主治医やスタッフと相談しながら、無理のない範囲から始めるようにしましょう。
慣れてきたら日数や時間を増やしていけるので、状況に応じて臨機応変に対応できるサービスでもあります。
料金は、3割負担か自立支援医療制度を使っているかによって異なります。また、通う回数によっても異なるため、通おうと考えているデイケアに確認してみると良いでしょう。
介護の際にも精神科デイケアを利用できる
精神科デイケアは、介護の際にも利用できるサービスとなっています。どのような場合に利用できるのかご紹介していきましょう。
要介護者のアパシー・うつ
アパシーは、認知症の高齢者に見られるうつ症状のことを指します。アパシーになると、無気力になってしまうケースが多いのですが、物盗られ妄想や徘徊といったような症状と違ってはっきりとした症状が出るわけではありません。そのため、家族も認知症の症状が進行していることに気がつきにくいという特徴があります。
アパシーはうつ病と似た症状が出るのですが、本人は自覚意識が乏しいため、改善するための行動を取ろうとしないことが多いです。自分自身では改善しようとしないため、家族がサポートする必要があります。そのような時に、家族の力だけではなく、精神科デイケアの力を借りるのも1つの手段です。
精神科デイケアの利用を検討している場合は、主治医から精神科を紹介してもらい、デイケアに通わせたいということを相談しましょう。デイケアに通うことによって、他の人と交流することができ、やる気などを取り戻してくれる可能性も高くなるので相談してみる価値はあります。
アパシーについては下記の記事を参考にしてください。
介護担当者の介護うつ
介護をしていると、だんだんと自分が何をしているのかわからなくなってしまうことも珍しくありません。親の介護をしていた人が虐待をしてしまったりするのは、介護うつになっている可能性が高いと考えられます。介護は終わりが見えないため、いつまで頑張ればいいのか分かりませんし、どこにそのつらさを相談したら良いのか分からないという人もたくさんいます。
そのつらさを抱えたままでは、介護をしている側が倒れてしまうことになりかねません。そうなる前に、悩みを相談できる場所にたどり着く必要があります。しかし、どこに相談できるのか分からないまま、心がすり減ってしまうケースがあることも確かです。
どこに相談できるか分からずに悩んだ場合は、地域包括支援センターなどに相談してみても良いですし、どうしてもメンタル面が辛い場合は精神科にかかってみるのも良いでしょう。精神科に足を運べば、心を軽くしてくれる薬を処方してもらえるだけではなく、他の人と関わりを持てる精神科デイケアを紹介してもらえます。精神科デイケアに通うことで、日常生活の中に楽しみを見出せる可能性もあるため、利用を検討してみても良いでしょう。
介護うつについては下記の記事を参考にしてください。
高齢者デイケアと精神科デイケアの違い
高齢者デイケアと精神科デイケアは、まったくの別物です。高齢者デイケアは、認知症などによる精神障害や行動障害を改善へと導くためのサポートを行っている場所です。それに対して精神科デイケアは、精神疾患を患っている人が生活能力を回復したり、向上させたりすることによって、社会復帰を目指す場所です。
この2つのデイケアは根本的な目的が異なりますが、できることはとてもよく似ています。例えば、外に出るきっかけになる、医療スタッフの目が行き届いている、他の機関と連携したサポートが受けられるといった点は似ている部分になります。
どちらもそれぞれが抱えている悩み事を解決へと導くためのサポート役ということになるでしょう。そのため、精神的につらいと感じているなら利用を検討してみる価値は非常に大きいです。
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大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。
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