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介護疲れが溜まっているかをチェックする方法はありますか?介護疲れの対策やリフレッシュの方法は?

在宅で介護をしているのですが、介護による疲れを感じつつあります。そこで、今自分に介護疲れが溜まっているかをチェックしたいです。また、介護疲れへの対策やリフレッシュ方法についても教えてください。

A介護疲れを溜めないための対策はいくつかあります。

ただし、介護疲れを感じる原因もさまざまなため、原因を根本的に解決しなければ回避することはできません。また、介護疲れによって介護うつを引き起こすこともあります。介護うつは誰にでも起こりうる可能性があるため、日頃から介護疲れを溜めないことが大事になってきます。

小濱道博
小濱道博
小濱介護経営事務所 代表

在宅介護を強いられる家庭環境に悩む人は多くいます。誰もが介護によって疲れを感じたり、うつ病になる可能性もあったりすることから、在宅介護による問題は今見過ごせない状況になってきています。

ここでは在宅介護をしている人にありがちな介護疲れや介護うつの説明と、介護による悩みを抱えない対策法をいくつかご紹介していきます。在宅介護でストレスが増えた方、気分がモヤモヤして晴れない方はぜひ最後までご覧ください。

介護疲れとは

介護疲れとは、自分自身で家族の介護を担うことによって感じる疲れのことを指します。介護疲れの原因はさまざまですが、身体的負担と精神的負担などによって引き起こされることが多くなっています。

介護のストレスから生じるさまざまな問題は、対策を講じて防ぐことができます。また、介護は1人で背負うべきものではありません。たとえ大切な家族であっても、その人に寄り添いたくさんの介助をこなすとなると、ストレスがかかるのは仕方のないことなのです。

介護うつとは

介護疲れから介護うつになる理由

介護うつは介護疲れによって引き起こるうつ病で、治療が必要になる場合も多い病気です。介護うつに見られる症状には以下のようなものがあります。

介護うつに見られる症状

疲労感・倦怠感 軽く体を動かしただけでも疲れやすく、何もしていなくてもだるいと感じてしまいます。人によっては頭痛やひどい肩こりも生じ、体が重く感じるあまり簡単にできることすら億劫になり動きたくない気持ちで無気力になります。
不安感・焦燥感 介護うつになると焦りや不安な気持ちを感じやすく、イライラして気持ちを落ち着かせることが難しくなる方もいます。神経質にもなりやすく、物音に敏感になり大きな音が発生するとイライラを抑えられない人もいるほどです。
食欲不振 食事をとりたくない、もしくは食事をとってもおいしくないと感じるうつ病の症状の一つで、摂取する量が減るため体重減少も起こります。
睡眠障害 寝つきが以前と比べて悪くなった、眠るまでに時間がかかる、となったらうつ病である可能性が高いです。また、朝早くに起きてしまい十分に睡眠がとれなくなることも睡眠障がいのひとつに挙げられます。
憂鬱感 うつ病を抱える方は気分が落ち込んで、物事にやる気を見いだせなくなる方が多いです。そのため人と会話するのも億劫に感じ、結果的に周囲の話に興味・関心を抱かなくなり1人の時間を求めるようになりがちです。
自己嫌悪 うつ病では頭が思うように動かなくなり、何事に対しても効率が悪くなります。それと一緒に物事をネガティブに捉えやすくなってしまい、酷いと「自分なんかいなくなったほうがいい」という感情も生まれてしまうのです。そうした感情で自殺願望を抱く人もたくさんいます。

上記のようにさまざまな症状が見られます。これらの症状はうつ病になっているかもしれないサインでもありますので、危険信号と捉えて病院に行くことをおすすめします。

介護うつのセルフチェック

自分が介護うつになっているかは、セルフチェックが可能です。チェックリストは下記のようになっています。以前と現在の自分を比較して、下記の項目に明らかに該当するかをチェックしてみましょう。

介護うつのチェックリスト

  • 憂うつな気分や落ち込んだ気分になる
  • 寝つきが悪い、熟睡できない。あるいは眠りすぎてしまう、日中の眠気が強い
  • 自身に対して無力感を感じる、自分や家族に申し訳なさを感じる
  • 何事においても楽しめない、興味を持てない、気力が起きない
  • 物事を決断・選択するのが難しくなった
  • 新聞やニュース、家事など物事に対して集中力がない、続かない
  • 動作や口調がゆっくりになる。あるいは落ち着きがなく、イライラしやすくなった
  • 死んでしまいたいと思う、自傷行為をしそうになる
  • 疲れているからと周囲から受診を勧められるようになった
  • 介護に対してうんざりしている、自分だけ報われない不幸感を感じる
  • 他者との関わりを絶ちたい、誰にも会いたくないと感じる
  • 急に悲しさを感じ、場所を選ばず泣いてしまう
  • 食べ物を美味しく感じない、食欲がない。または逆に過食をしてしまう
  • 疲れやすくなった、疲労が抜けない
  • 頭痛や肩こりに悩まされるようになった
  • 動機やめまい、腹痛、下痢といった原因不明の体調不良が続いている
  • 起床後、特に落ち込んだ気分になる
  • 同じ服を着るなど、身だしなみを気にしなくなった

複数当てはまる場合は、介護うつになっている可能性が考えられます。介護うつは早めの対応が必要です。不安な点があれば、一人で解決しようとするのではなく、医療機関を受診することなども検討しましょう。

介護疲れによって引き起こされた事件も

厚生労働省の発表によると、介護者による高齢者への虐待の数が年々増加傾向にあります。令和2年度では虐待判断件数は17,281件、相談・通報件数においては35,774件にのぼります。

参考:厚生労働省「 令和2年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果

介護疲れが原因となった事件の例

  • 親子の在宅介護による事件
  • 老老介護による事件
  • 介護放棄による事件

介護疲れによる問題はニュースになることもあり、世間に公表されているものもいくつか存在します。

介護疲れの原因は?

介護疲れの原因はさまざまであり、誰でも引き起こす可能性があります。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

身体的な負担

在宅での介護は高齢者が起床する際から介助が始まり、移動や座る際、姿勢を変える際などさまざまな場面で介助が必要となります。加えて衣服の着脱に、トイレや入浴など多くのことでサポートが求められ、自由な時間がないと感じてしまいがちです。そのようなハードな介護になると、介護者が感じる身体的負担も大きくなります

高齢者の体を支えるだけではなく、ときには持ち上げることも必要になるため、腕や膝、腰を痛めることも多くなります。そのほか通院や散歩の付き添い、さらには夜中に何度もトイレ介助やおむつ交換をしなければいけないとなれば、十分な休息を取ることも困難になってしまいます。

精神的な負担

身体的な負担に加えて、介護で自由が奪われるストレスを感じたり、思うように介護ができなかったり家族から叱られたりといったことで、精神的な負担は増えていきます。また介護に寄り添う時間が増えることや、他の家族や親族が協力してくれないとなると、より一層ストレスも溜まってしまうものです。

自分だけが介護を強いられて自由が奪われたという気持ちから、介護者自身の気持ちはどんどん落ち込んでいってしまいます。そうなったときに介護疲れや介護うつを引き起こしてしまうのです。

経済的な負担

在宅で介護をおこなう場合、おむつや介護食品などの介護用品の費用が必要となります。また必要に応じて、デイサービスやホームヘルパーといった居宅介護サービスの費用も支払わなければなりません。

経済的な負担は、支出の面だけに関わるわけではありません。介護に専念するため、または介護と仕事の両立が困難なために、介護離職をするという場合もあります。介護者の収入が減ることによって、経済的な負担が増えてしまうこともあるのです。

介護疲れを解消するための対策法は?

ここからは、本記事の本題でもある介護疲れを解消していくための対策をご紹介していきます。ご紹介する内容を参考に、介護でストレスを溜め込まないようにしていきましょう。

しっかりと休養を取る

介護によって疲れ切った身体は、正しい判断をするゆとりがなくなっているといえます。まずは休養をしっかりと取るようにして、体力・精神ともに余裕を持てるようにしましょう。

自身の生きがいや楽しみを持つ

在宅介護をするとなると自身の趣味を満喫できなかったり、旅行に行けなかったりと、自由がない日々に悩むことがあります。ストレスを抱えないためにも、少しでも息抜きをすることが必要です。

以前の趣味とはやりたいことがかけ離れるかもしれませんが、少しの空き時間で楽しめる趣味を持っておくことをおすすめします。すきま時間で息抜きや気分転換をしながら、介護ができるようにしましょう。

ボディメカニクスを学ぶ

身体的な疲労を強く感じている方は、ボディメカニクスを学ぶことをおすすめします。ボディメカニクスとは力学の原理を使い、体の負担を減らす技術のことを指します。活用することで、介助からくる疲労を最小限にして体の痛みや不調を防ぐことが可能です。

ボディメカニクスはネットで検索して知ることもできれば、福祉セミナーにて学ぶこともできます。上手に活用し、負担を軽減していきましょう。

適度に力を抜く

いくら両親のためとはいえ、頑張り過ぎてしまってはストレスが多くかかってしまいます。イライラすることが多くなったと感じたら、きっちりとした介護をする姿勢は一度抑えましょう

そして、適度な息抜き「完璧にやらなくても大丈夫」といった大らかな気持ちを持つようにしましょう。そうすることで余裕ができ、笑顔で介護に向き合うことができるようになるでしょう。

人に助けを求める

在宅介護の数は増えてきてはいるものの、介護を1人ですべてしていくのは非常に難しいことだといわれています。家族に協力を求めたり作業を分担したりするなど、自分だけでやろうとは思わずに誰かに頼って自身の負担を軽減していきましょう。

何にストレスを感じるのか考える

介護疲れの対策は、介護の何にストレスを感じているのか考えることも大事になってきます。「体力的に無理がある」「自由がない」「親の言葉が暴力的で苦痛に感じる」など、冷静になって考えてみると原因が分かってくるかもしれません。ストレスを抱える原因が理解できると、その原因を回避する方法を考えることができ、ストレス発散法や改善方法も思いつきやすくなります。

介護の最新情報を集める

今の日本は介護によって抱える問題が多いことから、介護に関する情報が数多く発信されています。役立つ介護情報がネットや本に掲載されていることも多いので、一度チェックしてみるといいでしょう。

便利で役立つサービスや、新たに利用できる制度を発見でき、それらを活用して介護の負担を軽減できます。また、ストレスや悩みの対処法や解決策も分かるかもしれません。

他人と比べることはしない

おこなう介護の度合いは、人によってさまざまです。要介護者の健康状態や認知症の進行具合・症状、さらには介護者の状態によっても各家庭の介護は変わってきます。そのため、他人の介護と比べても意味がありません

比べることはせずに、自分ができる範囲で家族が喜ぶ介護を考えることが、在宅介護を上手く進めるために必要な考えです。

介護保険サービスなど外部のサービスを利用する

介護保険サービスなどを利用して、介護者の負担を軽減することや自由な時間を作ることも介護疲れを解消する方法の一つです。 訪問介護ではヘルパーが自宅に訪問し、身体介助や生活支援などのケアをおこないます。要介護者が住み慣れた自宅で介護を受けられるため、在宅介護においては身近で利用しやすいサービスといえます。

ほかにも、ショートステイは介護施設に短期間宿泊できるサービスです。数日から数週間単位で利用できるほか、宿泊型の介護施設のため介護者が夜間の対応に追われないというメリットがあります。ショートステイは介護者の休息、息抜き(レスパイト)を目的として、よく利用されるサービスです。

このほかにも、介護疲れを解消する外部のサービスは複数存在するため、必要に応じて利用を検討するとよいでしょう。

誰かに相談する

「介護疲れが解消しない、解決策が見つからない」となったら、1人で悩まずに誰かに相談するようにしましょう。誰かに弱音を吐くことで、心に抱える負担を少しは軽減できます。助言やアドバイスをもらえなかったとしても、悩みを打ち明けるだけで心はすっきりするはずです。

また的確なアドバイスが必要な場合は、市町村の介護相談窓口やケアマネジャーに相談するのがおすすめです。専門家の視点から、悩みを解決する方法を助言してもらえます。

介護疲れで介護うつになったら相談やカウンセリングを

介護疲れによって介護うつになった場合は、相談やカウンセリングを活用しましょう。カウンセリングは市区町村の相談窓口高齢者総合相談センター保健所・保健センター居宅介護支援事業所などで受けられます。

窓口相談だけではなく電話やメールでの相談を受け付けている場所も多いので、気軽に利用してみてください。介護のことをよく知っている専門家に寄り添ってもらうことで、今まで解決できなかった介護の悩みを解消できることもあります。解決の糸口が見つからずに疲れて、介護うつを引き起こす前に利用してみましょう。

介護疲れからは「逃げる」ことが大切

介護は自分のみが介助に携わるのではなく、自分以外の家族や第三者に介護のサポートを求めることも大切です。介護施設への入居が難しければ、自宅にヘルパーを呼んで介護を手助けしてもらうサービスや、特定の日にちや曜日だけ介護を依頼できるサービスも増えています。

「逃げる」と聞くと悪いように聞こえますが、介護疲れや介護うつを避けるためにも重要なことです。ぜひ、この機会に便利な介護サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

小濱道博

この記事の監修

小濱道博

小濱介護経営事務所 代表

小濱介護経営事務所代表、C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問、C−SR 社)医療介護経営研究会 専務理事ほか。全国各地で介護事業コンサルティングを実施。介護事業経営セミナーの開催実績は北海道から沖縄まで全国で年間300件以上。全国各地の自治体主催講演、各介護協会、社会福祉協議会主催での講師実績も多数。「日経ヘルスケア」等の連載、寄稿多数。 「これだけは押さえておきたい算定要件シリーズ」「これならわかる〈スッキリ図解〉実地指導」ほか著書多数。

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