「介護のために両親に移住を」のリスク
帰省を機に、離れて暮らす両親との同居や介護について考え始めたという人もいるかもしれません。いずれ訪れる介護のことを考えたとき、仕事や生活の都合から「自分たちの住まいの近くに両親を呼び寄せる」という選択をする人は多いものです。
また、近くにいれば日常の介助などもしやすく、介護施設に入所する場合も、すぐに足を運べる距離に施設があれば安心感がありますね。一見メリットの多そうな「呼び寄せ介護」ですが、高齢者の移住は心に思わぬ負担をかけてしまうことも。
高齢者の移住を検討するなら知っておきたい「リロケーションダメージ」と呼ばれる現象についてご紹介します。
リロケーションダメージって?
生活環境が変わったことがストレスとなり、心のバランスが取れなくなってしまうことを「リロケーションダメージ(移り住みの害)」といいます。誰にでも起こる可能性のあるものですが、特に認知症高齢者に症状が出やすく、不安や混乱から認知症やうつを悪化させてしまうリスクがあると考えられています。また、これまで認知症の症状がなかった人でも、リロケーションダメージがきっかけで認知症を発症してしまうことも。
とはいえ、「介護のために高齢になってから移住を余儀なくされる」というのは決してめずらしい話ではありません。介護をきっかけに住み慣れた地方都市から、子世帯が暮らす首都圏へ引越しをする。施設の空きを求めて、知らない土地へ移住をする。それから、施設への入所や病院への入院が原因でリロケーションダメージを起こすこともあります。
出典:http://www.pref.okinawa.jp/
リロケーションダメージを和らげる配慮を
これまでの生活をリセットし、見知らぬ土地で新しい生活をはじめるというのは大きな不安がつきまとうもの。ましてや長い人生のなかで生活習慣や人間関係が確立された高齢者であれば、環境を変えるというのは勇気がいるものです。リロケーションダメージを緩和するには、新しい土地での生活になじめるよう周囲がサポートするのが大切。なるべく生活を変えずに済むようこれまでの暮らしを尊重し、不安や孤立感を極力取り除けるよう心のケアを十分に行うなど配慮したいですね。
-
関東 [12229]
-
北海道・東北 [6920]
-
東海 [4898]
-
信越・北陸 [3311]
-
関西 [6701]
-
中国 [3567]
-
四国 [2056]
-
九州・沖縄 [7732]
この記事の寄稿者
シノヅカヨーコ
家事が嫌いなぐうたら主婦。25年2月生まれのムスメと夫の三人暮らしです。 子育てをしながら育児や暮らしにまつわる話題を中心にライターとして執筆活動をしています。