寄稿

死を招く孤独の危険とは?

孤独は死を招くこと、皆さんご存知ですか?

孤独は死を招くこと、皆さんご存知ですか?
孤独というと、もちろんよい印象を持っている方はいないと思います。

しかし、「本当に死を招く」恐ろしい状況であることはご存じでしょうか?
今回は孤独のメカニズムについてお話したいと思います。

孤独は死を呼ぶ

孤独による死のリスクは、肥満の2倍以上。統計的に明らかに人間の健康を損ねるものという米国での研究結果があります。
気持ちの上で辛いだけでなく、実際に命を削るのです。

- 孤独とは?
そもそも孤独とは何か、少し考えてみましょう。

ひとりぼっちでいること。話相手がいないこと。
なかには集団の中にいても孤独な状況があると考える方もいらっしゃるのでは。
むしろそういう場合のほうが多いかもしれません。

私は、孤独とは精神的なつながりがないことだと考えています。
かつ、自分が他人と繋がっていないと感じること。

つまり孤独感を覚えることが孤独

- 孤独感とは?
では孤独感とはなんなのでしょうか?なぜ人は孤独感を覚えたりするのでしょうか。
孤独感を覚える時、それって辛い時ですよね。心が痛みます。

そう、孤独感とは痛みなのです。

- 痛みとは?
では痛みとは何でしょう。
動物が痛覚を持つ理由。
それは身体に損傷が生じたり危険が生じているから、その状況から逃げろという体から脳へのメッセージです。

孤独感とは、危険を知らせる脳へのメッセージという事になります。

- 孤独はどんな危険?
では孤独はどんな危険なのでしょうか。
今の世の中、孤独でもなんの危険もないですよね。孤独な状態で何年も暮らすことができるのだから。

孤独が危険だったのは、そう、昔の話です。
大昔、400万年前に人類がアフリカ大陸で、森林から出て恐る恐る二足歩行を始めたころの話。
そのころ、非力な猿の一種だった人類の祖先は、草原に既にいるより強い肉食獣から身を守り、食料を確保するためには、群れで行動するしかありませんでした。
群れから離れたり、集団から恩恵を受けられないことは、即、死を意味していました。
だからこそ、孤独になると脳に緊急信号が送られ、「群れへ帰れ!仲間にかまってもらえ!」と指令が下ったのです。

そして我々は、等しくそうして生き残った祖先の血を引き継ぎました。

現代。現代は、孤独になって群れから離れても、お金さえあれば衣食住に困ることはありません。
身体の危険は孤独によってもたらされなくなりました。
それでも一人になると、群れへ帰れ!という信号が、痛みとなって心に響いてくるのです。

まとめると。
孤独とは、過去の人類が生きるために必要だった、群れに帰れ信号を感じること
なのです!

さて。
前述のとおり、今の世の中、孤独でも構わないはずです。
なぜそれが健康に直接害を及ぼすのでしょうか?

孤独は、物理的に体を蝕む

孤独とは孤独感を覚えることです。
昔、人類が一人では生きられなかった時の感覚。
一人でいると死ぬぞ!と心の痛みとして緊急通報が鳴ることが、孤独感です。

でも、今の世の中は孤独だったとしても衣食住に困るわけではありません。意味のない緊急通報なのです。

実は、孤独が体を蝕むメカニズムは、この意味のない緊急通報にあります。
緊急通報自体が体にダメージを与えるのです。

皆さん、自宅、学校や職場で火災報知機が誤作動して大変な目にあった経験はありませんか?
私は以前働いていた職場でスプリンクラーが誤作動したことがありました。
会議室が水浸しになり1週間使えなくなるという大事故でした。

孤独とは、そのような状況だ、とお考え下さい。
常に頭の中でサイレンが鳴り続け、スプリンクラーから水が出続けているようなものです。

どうなるか。

1つ目。
あまりにうるさいために、他の事ができなくなります。つまり処理能力が落ちます。
自己制御機能・自己調整機能が低下します

実際に孤独感を覚えている人は、そうでない人やそうでない時に比べて筆記試験などのスコアが有意に低い。
また免疫力の低下や社会性・規律が低下することにより、病気や怪我の確率もあがります。

2つ目。
脳は緊急避難的な行動をとります。
例えば食料等が今後充分に得られない。いつ死んでもいい準備をせよ、と考え短期的に体が欲するものを得ようとします。
過剰な甘やかしが許容されます

具体的には暴飲・暴食、運動不足、睡眠過剰などを誘発します。
これらが長期的に健康を損ねることはみなさんよくご存知だと思います。

3つ目。
体の器官のレベルで、緊急臨戦体制に入ります。
すぐにアクセルを踏み込んで、あるいは逆にブレーキを踏めるように準備します。
自動車でいえばローギアのまま急加速、急停止を繰り返すような運転です。

血管や臓器には短期的に過大な負荷をかけるような命令が数多く出されます。
結果、細胞が傷つきやすくなります。

まとめますと、孤独感という名のサイレンが体に鳴り続けることにより、
自己制御機能・自己調整機能が低下。過剰な甘やかしを許容することなり、
更に細胞を酷使する
死を招く孤独の危険とは? 長期的に、これらが生活習慣病や内蔵疾患、血管性の発作を誘発。
またアルコール依存症やうつ、睡眠障害を引き起こします。
高齢者の場合はさらにサルコペニアや認知症の発症確率をかなり高めると言われています。

これが、孤独が肥満の2倍、死を引き起こすと言われているメカニズムなのです。
人間は一人では生きられないというのは比喩ではないんですね。

実はもっと怖い話があります。

孤独は、慣れる。

最初は孤独感を覚えて辛いと思っていても、いつの間にかそれを感じなくなります。
人と話をしないのが当たりまえになり、1日中だれとも話をしないのが普通になります。

ではそれは孤独ではないか。いいえ、孤独です。
本人の自覚がなくなるだけで、サイレンは鳴り響き続けます。
上記3つの体への害は続きます。自覚症状のない体の侵食が続くことになります。

慣れた上でどうなるかというと、孤独を強化する負のスパイラルが発生します。

孤独な状態→不健全な生活→駄目な自分という認識→社会による消極姿勢→孤独な状態 死を招く孤独の危険とは? 孤独な状態が、規律のない生活、自堕落な生活を呼び起こします。朝寝坊、暴飲暴食、運動不足の生活になります。
それによって自分は駄目な人間だ、生きる価値がなというネガティブな発想を呼び起こします。自己評価が低い状態です。
そうなると、社会に対して出ていこう、他人とコミュニケーションをとろうという気になりません。
自分の評価が低いと他人に会いたくなくなるのです。
結果孤独が再生産され、一度孤独になると益々他人と関わることが苦痛になります。

このスパイラルは非常に強固です。自分の意思で打ち崩すことが非常に難しい。

では、このスパイラルから抜け出すために、具体的に何をすればいいのか。
どこかでこれを断ち切る必要があります。

現実的にできるのは、2つだと考えています。

  • 不健全な生活を、生活リズムを取り戻すことで健全な生活にする
  • 駄目な自分だという認識を、自己認識を高めることで否定する
  • 死を招く孤独の危険とは 例えば、趣味。仕事。運動。恋愛。
    これらを続けたり、新しく始めたりすることで、連鎖を断ち切る。
    そんなことが必要です。

    今あげた4つは、生活リズムを取り戻すのにも、自己認識を高めることにも有効ですよね。

    また、人とのつながりが自然と生まれるので、それによって孤独を防ぐこともできます。
    これらが健全な生活に役立つのは、なんとなくイメージはありますが、整理するとなぜなのかがよく分かります。

    ちなみに、こうしたことを行わず、人と接することがなくても、自らの強い意思で常に自己認識を高く持ち、健全な生活を維持できる方もいらっしゃいます。
    ある種の仙人のような生き方、鴨長明のような隠遁生活のイメージですね。
    このような方は、「孤高」と呼ぶのがいいと思います。
    誰でもできるわけではありませんが、そうした生き方ができれば、それはひとつの完成形であろうと思います。

    さて。何を始めればよいのかは分かりました。
    でも実際に始めるのは難しい。
    何かとっかかりを作って、そこから少しずつ、前述の4つのことを始めるように持っていくことが大事になります。

    そんなときに、ご家族なり、友人なり周囲の方のサポートが必要になります。

    孤独は、自分だけでは直せない病気だと言えるでしょう。
    そこが、孤独を防ぐ上で最も難しい点だと感じています。

    弊社のサービス「つながりプラス」も、日常のお電話のなかで少しずつ自己認識を高め、リズムのある生活を導くお手伝いをしています。
    10分間の電話を楽しんでもらうだけではなく、残りの23時間50分が楽しくなる
    そんな会話を、こころみは目指しています。

    この記事は株式会社こころみのブログを元に加筆・修正しております。
  • 孤独について その1 孤独とはなにか
  • 孤独について その2 孤独が体を蝕む
  • 孤独について その3 孤独に打ち勝つには

  • ― 株式会社こころみは、離れた親を持つお子様のため、見守りサービス「つながりプラス」を提供しております。
    http://tsunagariplus.cocolomi.net/
    神山 晃男

    この記事の寄稿者

    神山 晃男

    1978年生まれ 長野県伊那市出身
    慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
    コンサルティング会社を経て、アドバンテッジパートナーズにて投資ファンド業務に従事。
    2013年に株式会社こころみを設立、一人暮らし高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」事業を展開。
    Twitterアカウントは、@akiokamiyama

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