「運動を科学する」スポートロジーとは
「スポートロジー」って聞いたことありますか?あまり耳慣れない方も多いのではないでしょうか。実はこれはSport + logy(=スポーツ学)という意味の造語。運動や日常的な身体活動が、健康にあたえる影響を科学的に分析・研究しようという比較的新しい学問です。
病気に運動がいいとはよく聞くけれど…
肥満や糖尿病といった生活習慣病の予防や改善には、食事療法や積極的な運動が効果的。けれどもお医者さんからは「なるべく歩いて」「水泳などもいい」などただ運動をすすめられるだけで、具体的な方法まで教えてもらえることはほとんどありませんでした。理由は単純。日本のスポーツ界はアスリート向けの研究が盛んで、市民向けのスポーツ研究はあまりなされてこなかったからです。「運動は病気の予防や改善に良い」のはわかっていても、「その運動の病気に対する有効性」がデータで示せるほどはっきりわかっていなかったんですね。
少子高齢化が進む今、健康的に日常生活を送れる期間をあらわす健康寿命を延ばすことが課題とされています。これからスポートロジーは、運動の有効性を示すデータを積み上げていくことになります。
身体面もメンタル面もスポートロジーで健康に
ところでスポートロジーがカバーする領域は生活習慣病だけではありません。スポートロジーを主導する順天堂大学では、「メタボリックシンドローム予防」「自立力保持」「健脳」という3つのプロジェクトが発足し、スポーツの重要性を研究しています。「メタボリックシンドローム予防」は言うまでもなく肥満や生活習慣病の予防について。「自立力保持」は、寝たきりにつながる転倒・骨折の防止や骨粗しょう症の予防に有効なトレーニングについて研究・検証するチームです。「健脳」では、スポーツが認知症やうつ病などメンタル的な病気の予防や改善にどのように影響するかなどが研究されています。スポーツはまだまだ私たちの知らないポテンシャルを秘めているのですね。
健康寿命を延ばして明るく元気な未来を!
スポートロジーでは「理論的な運動の実践」と「運動の効果・有効性を証明できるデータの蓄積」だけでなく、「専門スタッフの育成」も重要な柱とされています。スポーツ療法の効果を証明しつつ、専門スタッフによる実践指導の場を広げることがスポートロジーの最大の目的なのです。
これが実現されれば健康寿命が延び、問題を抱える本人だけでなく家族や社会の負担がぐっと減っていくはず。スポートロジーはこれからの日本の未来に関わる大きな役割を担っているのかもしれませんね。
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この記事の寄稿者
tamago
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。