2025年には37.7万人不足する介護人材
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年。厚生労働省が出した「2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」によると介護業界では37.7万人の人材が不足するといわれています。いくら制度を充実させたり介護施設を増やしたりしても、介護は人がいなければ成り立ちません。つまり、介護人材が不足するということは、介護が必要な人が適切なケアを受けられなくなってしまうということ。
介護職の待遇改善など、人材を増やす取り組みはいくつかありますが、このまま人材不足は続いていくのでしょうか?なにかできる工夫はないのでしょうか?
外国人の受け入れは?
日本の技術を諸外国の若者に伝えることを目的とした外国人技能実習制度というものがあります。介護もその対象とする動きがあり、今年度中の施行が目指されています。
しかし、そもそも外国人技能実習制度は国際貢献を目的とした制度。日本の介護人材の不足を補うことを目的としたものではありません。そして、言葉の壁や賃金、受け入れ先での対応など、解決しなければならない課題がいくつもあります。実習生を受け入れることが人材不足の解消につながるのか?まだまだ万事解決とはいかなそうです。
実は84万人もいる!?ニートの活用は?
では、国内の人材を生かす方法はどうでしょうか?
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」によると、15歳から39歳の無業者、いわゆるニートと呼ばれる人は、84万人もいます(平成21年現在)。この人たちが就労意欲をもち、介護の分野に関心を寄せてくれれば、人手不足の軽減が期待できるかもしれません。現在、全国に「若者キャリアステーション」が設置され、就労をサポートする取り組みがされています。もちろん、介護は誰にでもすぐにできる仕事というわけではないので、本人の努力や理解も肝心です。周囲のサポートと本人の努力が実った時、84万人のうち何人かは介護を救う人材となる可能性があります。
ロボットをうまく取り入れることは?
ここでいうロボットとは、介護リフトや離床センサーなど。ロボットにできることはロボットの力を借り、人にしかできないことは人が行うようにします。そうすることで、介護をする側の負担が軽減するだけでなく、介護者に対する申し訳ないという気持ちが和らいだり、自分でできることが広がったりと、介護される側にとってもメリットがあります。
また、介護の仕事をする人の離職理由として多いのが腰痛。介護者が装着するロボットスーツも誕生しています。これらの技術の普及により、離職率の低下が期待できるかもしれません。
要介護人口を増やさないこともひとつの手段
人材を増やすことに焦点をあててきましたが、介護を必要とする人を増やさないという手段もあります。健康寿命と平均寿命との差を縮めることができれば、要介護人口を減少させることが可能となります。
いまは健康寿命の延び率は平均寿命のそれよりもやや劣っています。ですが、介護予防の浸透とそれに向き合うひとりひとりの姿勢次第では、10年後には嬉しい誤算が期待できるかもしれませんね。
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この記事の寄稿者
チヴェッタ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。