ノーマライゼーションってどんなもの?
現在の日本では、ほとんどのものやシステムが障害を持たない人を前提に作られています。障害を持つ人にとっては不便なことも多いため、施設などに「隔離」された状態で暮らしている人も多いようです。そんな中、広がりを見せつつあるのが「ノーマライゼーション」という概念。これは、さまざまな条件や環境を整えることで障害のある人も障害のない人と同じように生活できる社会を目指そうという考え方です。
ノーマライゼーションの考えが生まれたキッカケ
ノーマライゼーションの考え方は1950年代、デンマークで生まれました。当時の知的障害者が暮らしている施設は、まるでナチスの強制収容所のようだったとか。そのため、知的障害者の親たちが生活環境の改善を求めて法律改正を訴えたことが始まりです。
その活動は北欧諸国に広がり、やがて世界へと波及します。国連でも「知的障害者の権利宣言(1971年)」「障害者の権利宣言(1975年)」が次々に採択されました。日本にノーマライゼーションが紹介されたのはちょうどこの頃。その後、国連が採択した拘束力のある「障害者権利条約」には、現在154カ国が批准しています。
ノーマライゼーション、日本では?
日本が「障害者権利条約」に署名したのは2007年のこと。ですが、実際に条約への批准が承認されたのは、国内の障害者基本法の改正などの法整備が追い付いた数年後のことでした。
実はこれに先立ち、さいたま市では「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」が制定されています。これは、「条例について話し合う100人委員会」として参加した市民の意見を反映した、政令指定都市初のノーマライゼーション条例となりました。
出典:http://www.city.saitama.jp/
さいたま市「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)」
この条例では、言葉の定義や障害者に対する差別や虐待の禁止、障害のある人が地域で暮らしていくための支援などがわかりやすく規定されています。特に簡明版では、視覚障害のある人への文書での通知が差別にあたることなどが具体的に説明されています。ノーマライゼーションを理解する上でもとても役立ちそうですね。
出典:http://www.city.saitama.jp/
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さいたま市、ノーマライゼーションへの実際の取り組みとは
さいたま市では、この条例に基づいた障害者支援の一環として工賃増額モデル事業を行っています。これは、障害者の工賃を増額するためのアイデアを公募し、プレゼンテーションで選ばれたものに助成を行うというもの。他にも授産製品の販売所を区役所内に設けるなどの取り組みも行われています。また、障害のある人と健常な人が一緒に参加できる競技会の開催など、多方面からノーマライゼーションに取り組んでいます。
これから他の自治体でも、さまざまなノーマライゼーションへの動きが広がっていくといいですね。
出典:http://www.city.saitama.jp/
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この記事の寄稿者
ノック
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。