「退院ですよ」といわれても、素直に喜べない日本人
病気やケガで入院しても、病状が安定してくると病院側は退院を勧めてくるもの。しかし、退院日を告げられても戸惑ってしまう患者さんが多くいます。患者さんは「退院=入院前の状態に戻る」と考えていることが多いので、今の状態で退院して大丈夫なのだろうか、という不安を抱いてしまうのです。
では、患者さんの退院に対する不安を解消するにはどうすればいいでしょう?
それは、病院側が支援をして、患者さんの退院後のさまざまな不安などを解消すること、つまり退院支援をおこなうことです。この退院支援という試みが今、注目を集めています。
注目される退院支援
退院支援のためには医師や看護師だけではなく、医療ソーシャルワーカーの働きがなにより重要になってきます。医療ソーシャルワーカーは、患者さんやそのご家族からさまざまな相談をうけ、職場や学校などの病院内外の部署とも連携を取り、問題解決に動きます。この仕組みがうまくいっている病院では、患者さんの戸惑いも少なくすんでいるのかもしれません。
「東京都退院支援マニュアル」をもとに退院支援を考える
東京都では、入院時から退院後2週間までに医療機関が取り組むべき項目をまとめた「東京都退院支援マニュアル」を作成し、退院支援の充実化に取り組んでいます。
このマニュアルに従って支援を進めると、本人が望む退院の時期や退院後の生活が現状とずれていないかなどを早期から把握できます。福祉用具導入や住宅改修をいつから考えるのかも明記されているので、検討漏れがありません。ケアマネジャーやかかりつけ医への情報伝達項目も網羅されているので、項目を埋めるだけでその人の状態を伝えることが可能。
これで患者さんの心の準備にもなり、在宅療養生活のスタートもスムーズに。なにより、退院支援に一定の水準が確保されることが期待できますね。
長すぎる入院でさらに退院しづらくなる?
先日話題になった、キャサリン妃が出産当日に退院したというニュース。無痛分娩とはいえ、このフットワークの軽さに驚いた方も多くいらっしゃるかと思います。ですが、ほかの先進国からみると、出産に限らず日本は入院期間が長いと言われています。入院の長期化は、体力や筋力の低下、社会復帰に対する自信の消失、膨大な医療費、新規の入院患者が受け入れられない、などの悪循環を生むことにもなります。入院を長期化せずに退院することは、患者本人はもちろん、社会にとっても大きなメリット。退院支援の取り組みがどの病院でもスタンダードになっていくとよいですね。
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この記事の寄稿者
チヴェッタ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。