老障介護とは?
老老介護、認認介護、多重介護と、「介護のほんねニュース」で取り上げてきた介護する人を取り巻く社会問題。今回は老障介護についてみていきたいと思います。
老障介護とは、高齢の親が障がいのある子どもの介護をし続けること。本人は自立を望んでいても、就労先に恵まれない、受け入れ施設数が十分でない、などの理由で親と同居して世話をしてもらうケースは多いようです。18歳以上の障がい者やその家族およそ1万人が回答した共同作業所全国連絡会の調査(2012年発表)によると、障がいのある人は、ワーキングプアとされる年収200万以下の方が全体の99%、100万以下も56%に及びます。そのため、6割の人が親と同居せざるを得ない状況にあります。
老障介護の実態
障がいのある子どもの年齢が40〜50代であれば、その親は70〜80代。親自身も介護の不安を抱えていてもおかしくありません。このような家庭の主な収入源は親の年金となり、高齢の親が障がいのある子どもの介護をして暮らしています。実際、以前NHKで報道された家庭では、福祉施設で働いて得られる収入と障害年金を足しても40代の子どもの年収は80万円程度にしかならず、70代母親の年金を頼りに暮らしていました。
こうした生活では、親がさらに高齢になった時にどうなってしまうのか将来の不安がつきません。
地域で暮らすことが目標でも、それが難しい現実
国が地域での生活の必要性を訴えても、その生活を支えるには家族の力と社会制度の充実が必要です。しかしながら、頼りの家族は、自分が高齢であることから将来に不安を抱いているうえにそれを解消するだけの社会制度が整っていないことで更なる不安が生まれています。結果、親は「死ぬまでこの子の面倒を見たい」「この子を看取ってから死にたい」と考えてしまうのです。親の介護力が低下しても子どもを手元に置いてしまうため意図的ではなくてもネグレクト状態となる例、無理心中などの悲しい結末になることもあります。
制度のはざまを漂う老障介護
老老介護や認認介護同様、老障介護は当事者からSOSの声が上がりにくく、実態を把握されにくいようです。多くの自治体で実施されている民生委員の高齢者巡回訪問は、単身世帯が対象となっていることがほとんど。福祉サービスを利用していない障がい者もまた実態把握の対象から外れてしまいます。
老障介護は今に始まった問題ではありません。超高齢社会の今、老障介護世帯が地域で暮らし続けるためには、高齢者福祉と障がい者福祉が共通の視点をもって取り組む必要があるでしょう。
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この記事の寄稿者
チヴェッタ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。