ゴミ屋敷は衛生面、防犯面も心配
私たちが普段何気なく行っている掃除や片付けは、あんがい高度な脳の実行機能が必要な作業。ですから、認知症になるとそれが原因で片付けができなくなり、その結果ゴミ屋敷ができあがってしまうこともあるようです。かつてテレビに登場したゴミ屋敷の住民も、ひょっとしたら認知症患者さんだったのかもしれません。
ひとたびゴミ屋敷になってしまえば、見た目が汚いだけでなく、衛生面や防犯面で本人にも周囲の人にも影響を及ぼします。そうなる前に家族や地域住民がなんとか手助けしたいもの。
まずは、認知症の方が片付けられなくなってしまう理由を理解しておきましょう。
認知症で片付けられなくなってしまう理由は?
認知症の方に見られるこういった症状はどれも掃除や片付けの妨げになります。
記憶があいまいになれば、まずどこに何を片付けていいのかわかりません。また、計画的に物事を行うための実行機能に障害が出れば、日課として掃除を行うのも難しくなります。さらに情緒の不安定さから収集癖が出れば、片付けるどころかとにかく物は増えていく一方です。
特に日常的に掃除をする家族がいない独居の方は、久しぶりに訪ねたらゴミ屋敷になっていた…なんていうことがあるかもしれません。
家族だけで対応するなら一工夫
ゴミ屋敷にしないためには、もちろん家族の協力が必要です。けれど、勝手に何かを捨ててしまうと「あれがなくなった」「あれを盗んだだろう」と大騒ぎに発展することも。本人には大切な理由があって集めているのかもしれませんから、衛生面で問題がなければ気付かれない程度に少しずつ処分していくのが得策。また場合によっては「保健所の検査が~」「消防署の立ち入り検査が~」と行政の名前を出すと、すんなり片付けさせてくれることもあるようですよ。なかなか掃除に同意してくれない方の場合は、多少の作り話もやむを得ませんね。
また、近所の方やホームヘルパーなど、本人が比較的素直にいうことを聞く方に声をかけてもらうのもひとつの方法です。
専門業者に頼むのも手
素人ではどうしようもないくらい散らかってしまった場合は専門業者に掃除を依頼することができます。最近では一般的な清掃業者のほかに高齢者向け清掃サービスを低価格で提供しているところもあります。
本人が何とも思っていなくてもゴミ屋敷は不衛生になりがち。物があふれかえっていると、火事が起きた時にいっそう火の手が燃え広がりやすくもなります。つまり、誰にとっても他人事ではないのです。やはり認知症に対する理解を深め日頃から関わりを持つよう地域全体で取り組んでいく必要がありそうですね。
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この記事の寄稿者
ポッポ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。